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第111回 果物摂取と大腸ガン予防

  



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□□■ 果物&健康NEWS Vol.111 ■□□
   ■   2006年7月21日(金)   ■


みなさん、こんにちは!
特集は「果物摂取と大腸ガン予防」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.


:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:ブドウの選び方
 ◇ 今週のレシピ:ブドウ
 ◇ 果物摂取と大腸ガン予防
 ◇ 品種紹介:ブドウ「甲斐ノワール」
 ◇ 文献紹介:加齢黄斑変性は活性酸素が原因
 ◇ 文学の中の果物:「一房の葡萄」
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:ブドウの選び方

 美味しいブドウは、軸が緑色で太く、果皮に白い粉がふき、果粒に弾力があり、粒がそろっているものです。果皮の白い粉は、果粉あるいはブルームと呼ばれています。この果粉は、果皮のクチクラに含まれている成分で、ブドウの果実自身が作り出し、鮮度を保ったり、病気などから果実を守ったりする働きがあります。

 ブドウは、枝に近い房の上部(肩)が最も甘いので、房の先のから食べると最後まで美味しくいただけます。また、ブドウの果実を房からはずして冷凍し、暑いときなどに取り出し半解凍状態で食べるのも良いでしょう。




□ 今週のレシピ:ブドウ

○ ブドウのスムージーシェイク
  夏の暑い日にぴったりな口当たりのよいおやつです。

材料(4人分)
 スムージーシェイク:ブドウ 2房、アイスクリーム 200g
 シロップ:ブドウ 3/4房
 飾り用:ブドウ 1/4房、グラニュー糖 大さじ1杯、水 大さじ1/2杯

下記のサイトで作り方と出来上がりの写真を見ることができます。
http://www.tepore.com/cooking/recipe/300046/index.htm

○ ブドウのコンポート
  ブドウを使った高級デザートです。

材料(4人分)
ブドウ 20個、赤ワイン 150cc、みりん 150cc、シナモン 適宜、砂糖 30g

下記のサイトで作り方と出来上がりの写真を見ることができます。
http://www.lico.co.jp/recipe/detail.html?kijiheadcd=102410




□ 果物摂取と大腸ガン予防

 大腸ガンのほとんどは、結腸と直腸の粘膜の分泌腺組織にできる腺ガンです。初め結腸や直腸の粘膜に腫瘍ができて、ガンが進行すると結腸壁や直腸壁に浸潤していきます。

 我が国では、大腸ガンが増加していますが、発生には遺伝的因子よりも環境的因子の比重が大きく、食生活の急激な欧米化、特に動物性脂肪やタンパク質のとり過ぎが原因ではないかと考えられています。40歳以降から多くなり、60〜75歳で最も多く発症します。

 大腸ガンと食事パターンとの関係について男性の自衛隊員1,341人を対象に解析した結果、果物と野菜を多く摂取しアルコールの飲用が少ない人は、そうでない人と比較して大腸ガンになりにくいことが九州大学と自衛隊病院との共同研究から明かとなりました(文献)。

 研究では、1)果物、野菜、乳製品、デンプンを多く摂取し、アルコールの摂取量が少ない食事パターン(DFSA食事パターン)、2)動物性食品の多い食事パターン(欧米型食事パターン)、3)果物の摂取量の少ない伝統的な日本型食事パターンを特定しました。

 DFSA食事パターンの特徴は、他の2つのパターンに比較して果物の摂取量が多いことです。また、DFSA食事パターンと伝統的な日本型食事パターンにおける野菜の摂取量はほぼ同等量でした。

 これら3つの食事パターンについて解析したところ、DFSAパターンの食事をしている人は、そうでない人と比較して大腸ガンの前駆体である腫瘍ができるリスクが38%少ないことが分かりました。少し専門的になりますが、4分割したオッズ比は、1.00、0.97、0.71、0.62で、p値は0.003と統計的に有意な逆相関を示しました。一方、他の2つの食事パターンではこうした傾向は認められませんでした。
 
 この研究の優れている点は、研究の開始前にすべての被験者に対して結腸鏡検査で大腸の全域を調べ、腫瘍がないことを確認していることです。そのため、この研究は他の大腸ガンに対する疫学調査と比較してその精度が高いと考えられます。

 大腸ガンと果物、野菜との関係、あるいは大腸ガンと食物繊維との関係については様々議論されており、効果は低いとの報告もあります。しかし、今回の研究結果は、大腸ガン予防に果物の摂取が有効であるとする有力な証拠です。

 また、2003年の世界保健機構(WHO)と食糧農業機関(FAO)が公表した果物と野菜の摂取は予防的であるとする報告、及び、国際ガン研究所(IARC)の果物摂取は大腸ガンのリスクを下げる可能性があるとする報告を強く裏付ける成果です。

【文献】
Mizoue, T. et al.: Dietary Patterns and Colorectal Adenomas in Japanese Men - The Self-Defense Forces Health Study. Amer. J. Epidemiol. 161: 338-345. (2005) [doi: 10.1093/aje/kwi049]




□ 品種紹介:ブドウ「甲斐ノワール」

 山梨県果樹試験場が育成した「甲斐ノワール(かいノワール)」は「ブラック・クィーン」と「カベルネ・ソーヴィニヨン」を交配してできた赤ワイン用の醸造専用品種です。果皮は紫黒色で、糖度は20%程度と高くなります。この品種でワインをつくると「カベルネ・ソーヴィニヨン」に似た香りのある色の濃い製品ができます。

「甲斐ノワール」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/
data/hinsyu/pr-kainoil.html





□ 文献紹介:加齢黄斑変性は活性酸素が原因

 目の網膜の黄斑部分に沈着物ができ、視力が落ちる加齢黄斑変性は、活性酸素が原因であることを慶応大学の研究チームがマウスの実験で明らかにしました。加齢黄斑変性は、活性酸素との関連が指摘されていましたが、網膜変性の原因なのかはっきりしていませんでした。

 そこで、体内で作られる活性酸素を除去する酵素スーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD1)を作れないように遺伝子操作したマウスを用いて調べた結果、36匹のうち30匹で加齢黄斑変性特有の沈着物ができました。そのため、研究者らは、加齢黄斑変性の原因は活性酸素であると結論づけました。

【文献】
Imamura, Y. et al.: Drusen, choroidal neovascularization, and retinal pigment epithelium dysfunction in SOD1-deficient mice: A model of age-related macular degeneration. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 103: 11282-11287. (2006)




□ 文学の中の果物:「一房の葡萄」

 先生は真白なリンネルの着物につつまれた体を窓からのび出させて、葡萄(ぶどう)の一房をもぎ取って、真白い左の手の上に粉のふいた紫色の房を乗せて、細長い銀色の鋏で真中からぷつりと二つに切って、ジムと僕とに下さいました。真白い手の平に紫色の葡萄の粒が重って乗っていたその美しさを僕は今でもはっきりと思い出すことが出来ます。 −有島武郎著「一房の葡萄」より

 有島武郎(ありしま たけお:1878-1923年)は、農学者を志して札幌農学校に進学しました。志賀直哉や武者小路実篤らとともに文芸雑誌「白樺」の同人です。「生まれ出づる悩み」、「或る女」などの作品があります。



   ■ 土用の丑の日には「う」のつくブドウを食べよう!


☆ 編集部より ☆

 ブドウにはポリフェノールが沢山含まれているので健康の維持・増進に有効です。凍らせたブドウも冷凍ミカンのようにひと味違った風味があります。(tnk)


 今般の記録的豪雨で大きな被害を受けられた地域の皆様に対して心よりお見舞い申し上げます。速やかで安全・確実な復旧をお祈りします。
 当方の新潟の実家も1昨年の集中豪雨と中越大震災で大きな被害を受けたこともあり、テレビの画像を胸が締め付けられる思い出見つめています。
 ちょっと長くなりますが、実家が地震で全壊した時、長野県松川町の友人宅から物流が混乱している中、奇跡的に西洋なしが届きました。
 その美味しさに感動し、親戚一同とても勇気づけられたことを想い出しました。「明日もこのナシを食べれるように頑張ろう!」というかんじです。 お袋は、それ以来、西洋なしをみると「命のナシ」だといって、決まってウルウルしています。(uru)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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