くだもの・科学・健康ジャーナルHP > 果物&健康NEWSトップ >
ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第116回 果物を食べてダイエット対策

  




サイト案内




□□■ 果物&健康NEWS Vol.116 ■□□
   ■   2006年8月25日(金)    ■


みなさん、こんにちは!
特集は「果物を食べてダイエット対策」です。
------------------------------------------------------
毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.


:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:ナシ
 ◇ 今週のレシピ:ナシ
 ◇ 果物を食べてダイエット対策
 ◇ 品種紹介:ナシ「二十世紀」
 ◇ ローマからのフルッタ通信
 ◇ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする第35回
 ◇ 文学の中の果物:樹木の不思議(薄田泣菫)
 ◇ 読者から
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:ナシ

 世界にナシ属の植物は約20種あり、果樹として栽培されているのは、ニホンナシ、チュウゴクナシ、セイヨウナシです。

 ニホンナシは、中国中部、朝鮮半島南部、日本中部以南に原生しているヤマナシを改良したものと考えられています。その後、改良に改良を重ね、「幸水」、「豊水」など世界に誇れる品種群を生み出しました。最近育成された品種では、「あきづき」などが注目されています。

 追熟しなくても美味しく食べられるこうした品種群は世界的にも注目されており、イタリアなど世界各国でニホンナシの導入が進められています。




□ 今週のレシピ:ナシ

○ ナシゼリー
 甘いナシでも、甘さが乗らないナシでも美味しくいただけるとのことです。

材料(2〜3人分)
 粉ゼラチン(ナシの大きさに応じて) 大さじ1杯前後、砂糖(ナシの甘さに応じて) 大さじ1杯前後、ナシ 1個、レモン汁 大さじ1杯

下記のサイトで作り方と出来上がりの写真を見ることができます。
http://cookpad.com/chiamama/recipe/106711/

○ デザート・ナシ
 旬の果物はやっぱりおいしい。何気なく食べていたナシもこうして出されると美味しさが倍増します。

材料(4人分)
 ナシ 2個

下記のサイトで出来上がりの写真を見ることができます。
http://recipe.gourmet.yahoo.co.jp/E082904/




□ 果物を食べてダイエット対策

 果物を食べれば薬のように減量できるとした報告はありませんが、生活習慣病予防について行われた多くの研究は、果物の摂取がダイエットに効果的であることを示しています。今回、その中から栄養指導を行ったヒト介入研究の報告を3つ紹介します。

 果物と野菜の摂取量を増やし、脂肪の摂取量を減らすMultiple Risk Factor Intervention Trial (MRFIT)と名付けられた栄養指導を受けた人は、血液中の脂質が改善し、血圧が低下し、体重を減らすことができました(文献1)。

 報告によれば、栄養指導により果実と野菜の摂取量が1日あたり5サービング以上に増加するとともに、穀類の摂取も増加し、脂肪からのエネルギー摂取量は35%未満に減りました。特に、果物と野菜の摂取量はダイエットと関係しており、体重の減少量の大きかった人は、そうでない人より果物と野菜の摂取量が多いことが分かりました。そして、このことが体重の減量に大きく貢献していました。

 肥満体の213人を対象に、果物と野菜を自由に摂取してもらうことや、高複合炭水化物食品と低脂肪食品の摂取を増やすなどの栄養指導を行いました(文献2)。その結果、7カ月後には全参加者の69%となる147人がやせることに成功し、体重が平均で6.3kg減少しました。

 さらにその後、平均25カ月の追跡調査(4〜76カ月)を行った結果、53%の人は、減量が続いているか体重を維持しており、平均で8.0kgの体重の減少が観察されました。

 両親のうち少なくとも1人が肥満体の親と肥満ではない子供のいる家族を対象に、栄養指導に関するヒト介入試験が行われました(文献3)。参加した家族をランダムに2つのグループに分け、最初に、一般的なダイエットプログラムを両グループの両親に説明したあと、1つのグループには果物と野菜の摂取を奨励しました。

 一方、もう一つのグループには高脂肪と高糖度食品の摂取量を減らすように奨励しました。子供たちに対しては両親と同じ食事をすることを目標としましたが摂取カロリーの制限はしませんでした。

 そして1年後、果物と野菜の摂取を奨励したグループの両親の体重は、高脂肪・高糖度食品の摂取を制限したグループと比較して統計的に有意に体重の減少が認められました。その上、果物と野菜の摂取を奨励したグループの両親と子供は、高脂肪・高糖度食品の摂取量も少なくなっていることも分かりました。

 どの研究も果物と野菜の摂取量を増やすと、摂取カロリーが減少し、ダイエットに結びつくとしています。「食事バランスガイド」では、どのくらい果物と野菜を食べたらよいかを提示しています。

 その目標摂取量と現在の摂取量を比べると野菜の摂取量も不足していますが、果物の摂取量は目標値の半分程度と特に少なくなっています。従って、果物の摂取量を意識して増やせばダイエット効果が期待できると科学的データから予測されます。

【文献】
1) Dolecek, T.A. et al.: Methods of dietary and nutritional assessment and intervention and other methods in the Multiple Risk Factor Intervention Trial. Am. J. Clin. Nutr. 65 (suppl 1): 196S-210S. (1997)

2) Fitzwater, S.L. et al.: Evaluation of long-term weight changes after a multidisciplinary weight control program. J. Am. Diet Assoc. 91: 421-424. (1991)

3) Epstein, L.H. et al.: Increasing fruit and vegetable intake and decreasing fat and sugar intake in families at risk for childhood obesity. Obesity Res. 9: 171-178. (2001)




□ 品種紹介:ナシ「二十世紀」

 「二十世紀(にじっせいき)」は、明治21年(1888年)に千葉県松戸市大橋の松戸覚之助が偶然に見つけた偶発実生です。明治31年(1898年)に渡瀬寅次郎と池田伴親により「二十世紀」と命名されました。

 名称の由来は、来たる新世紀(二十世紀)における代表的品種になるであろうとの願いからとのことです。 その後、明治37年(1904)鳥取県に導入され、鳥取県の特産品となりました。鳥取県ではこのことを記念して鳥取二十世紀梨記念館をオープンしました。

 記念館では、「夏休み企画2006」(平成18年8月31日(木)まで)、夏休み親子自由研究教室にみんな集まれ〜!!(平成18年8月27日(日))を開催しています。

二十世紀梨の歴史は下記のサイトで読めます。
http://www.pref.tottori.jp/shijou/taste/f-information/
nashi/part111/index.htm#a2


鳥取二十世紀梨記念館のホームページは下記です。
http://www.pref.tottori.jp/nashikinenkan/




□ ローマからのフルッタ通信

 ローマで手に入る桃の中で一番日本の桃の味に近くておいしいという評判を聞き、絶対に試してみなくてはいけないと思っていた桃があります。「平べったい、ちょっとつぶれたお饅頭ぐらいの大きさの桃」とでも説明すればいいだろうかと考えていたのですが、この変わった形の桃は、UFO ピーチ、ドーナツピーチ、または蟠桃(ばんとう)と呼ばれており、日本でも生産されています。

 ローマで出回っている桃は基本的に黄桃で、値段はキロ1ユーロぐらいと手ごろです。しかし、UFOピーチは白桃で、キロ4〜4.5ユーロと値段も高く、市場でも他の桃と比べるとそれほど出回っているわけではないようです。果肉は硬めで、小さめの梅干ぐらいしかない種からは果肉が簡単にはがれます。形が形なので皮をむくのには少々苦労しました。さっぱりした甘さで、私が求めていた桃の味でした。

 「変な形の桃」というのが正直な第一印象ですが、古くは西遊記で孫悟空が食べたと言われているのもこの桃だそうです。

 この桃について調べているうちに、イタリアは世界2位の桃の生産国であることを知りました。イタリアの桃の生産量は約1,698千トンで、日本(174千トン)の10倍近い生産量です。ちなみに1位は桃の原産地でもあり、桃源郷がある(かもしれない)中国で、6,030千トンでした(H. Sato)。
(統計は桃とネクタリンの生産量で2005年の数値です。)

ご参考まで
http://www.kudamono200.or.jp/arekore/syokai/
momo/momo07.html


http://www.tokyo.info.maff.go.jp/tokyo/sizen/kisetu/
daikoubantou/bantou.htm





□ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする
第35回 家庭で楽しむブルーベリー栽培3


ブルーベリーと土壌水分
 ラビットアイ系はハイブッシュ系より多少乾燥に耐える性質をもつとされていますが、根群域の浅いブルーベリーでは土壌水分の不足は他の果樹より生育に大きく影響します。乾燥期には樹の生育に合わせて適量の土壌水分を保つため、保水性を高める有機マルチ(土壌表面にピートモスやわらなど有機物を敷いて土壌表面を保護する)と共に灌水が必要です。

 時期としては、新梢が伸び始める春から夏にかけての期間で、果実の肥大初期や後期に十分な水分が必要です。この時期は梅雨期に当たり適度の降雨がある場合は灌水を必要としませんが、乾燥の程度により灌水を心がけましょう。特に、梅雨明け後における高温時は乾燥させないよう注意が大切です。

1)水の与え方
 同じ晴天でも気温が35℃以上の場合と30℃以下の場合では乾燥程度も大分異なります。灌水は日中を避けて、早朝や夕方が望ましいのですが、ブルーベリーの新梢の先がしおれ始めたときは水分が不足始めているので、その時は日中でも灌水しましょう。

 良好な生育には生育期間中に1週間当たり25〜50mm程度の降雨があることが望ましいとされており、この量が潅水の目安となります。これを1平方メートルあたりに当てはめると、25〜50リットルとなるので、乾燥程度を考えながら、地植えでは成木で1本当り1回に30〜50リットルを灌水の目安としましょう。

 鉢植えの場合は出来れば毎日、朝と夕に鉢底から水が出るくらいたっぷりと水を与えましょう。ただ鉢受け皿の溜め水は加湿となり、根腐れを起こすので捨てておきます。

2)乾燥を防ぐには
 有機物のマルチが有効です。ピートモスで根の周辺をマルチ出来ることが望ましいのですが、経費の点から考えれば、イナわら、麦わら、刈草、落葉、のこくず、もみがら等の有機物で十分です。雑草防止に利用されている黒のポリマルチは水分蒸発や雑草抑制には効果的ですが、ブルーベリーの生育のためには有機物のマルチが望まれます。有機物の敷く厚さの目安は5〜10cm程度としましょう。(K. Suzuki)




□ 文学の中の果物:樹木の不思議(薄田泣菫)

 今日久しぶりに岡山にいる友人G氏が訪ねて来た。そして手土産だといって梨を一籠くれた。梨は一つずつ丁寧に二重の薄紙に包まれていたが、その紙をめくってみるとなかからは黄熟した肌の滑っこい、みずみずしい大粒の実が現われた。

 梨好きな私は、早速その一つを皮をむかせて食べてみた。きめの細かい肉は歯ざわりがさくさくとして、口の中に溶け込むように軽かった。

 「うまいね、この梨。ことしの夏は京都、奈良、鳥取と方々の果樹園のものを食べてみたが、こんなうまいのは始めてだよ。」

 「実際うまいだろう。皆がそう言っている……。」と客はさも満足そうにいって、口もとに軽い微笑の影を漂わせた。
 − 薄田泣菫著「艸木虫魚(そうもくちゅうぎょ)」の中から「樹木の不思議」より

薄田泣菫(すすきだ・きゅうきん:1877年生まれ-1945年死去)は、岡山県浅口郡(現:倉敷市)出身で、詩人、ジャーナリスト、エッセイストです。




□ 読者から

 果物&健康NEWSは、農水省のいろいろなメルマガの中でも身近な関心事を判りやすく満載しているので役に立ちます。

 Vol.115で取り上げられた果実の1人・1年当たりの供給量43.1kgについて、コメの消費量61.4kgに比べると多いなというのが正直な感想でした。薬事法・健康増進法と広告の記事も大変役に立ちました。

 家内と孫は大の果物好きで、食べるのも早いです。家内は太るのではと気にしながらもたくさん食べますが、その都度このメルマガを見せ慰めています。(新潟県:竹内)




☆ 編集部より ☆

 「果物&健康NEWS(107号6/23)」に掲載した(sk)さんのワールドカップと果物消費量を考察した記事が日経マガジンや日農新聞などで取り上げられました。こうしたところから果物への関心が高まると楽しいですね。(tnk)


 私の実家でも田んぼのノリ面に桃を植えています。
 ある年、小さな木に確か4つか5つだけ桃が実り、あと4、5日で食べ頃になった日のことです。
 私は、両親に友達の所に遊びに行くとウソをついて桃の木の植えてある田んぼまでこっそり出かけました。そうです。独り占めしようと思ったのです。
 木に登って、1つめを食べ、2つめを食べ始めた頃だったと思いますが、突然、バイクに乗った親父が手ぶらで現れ、桃泥棒はあえなく御用となりましたが、その時の親父の普段とは違う剣幕がいまだに忘れられません。
 きっと、親父もこっそり食べようと想っていたにちがいないと、今は確信しています。 (uru)


 沖縄で日本一早い露地温州みかんが23日に出荷されました。これから、どんどん露地物のみかんが出てくるので楽しみです。(sk)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

 無断転載はお断りします。 リンクは自由です。

 詳しくは、著作権、リンクについて に記載しています。

 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

Copyright 2004-2006 田中敬一. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.



メルマガ果物&健康NEWS登録





くだもの
はたらき



果物と糖尿病予防


果物&健康Newsへ戻る
果物&健康Newsへ戻る


くだもの・科学・健康ジャーナルへ
くだもの・科学・健康ジャーナル
ホームページへ戻る