ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第12回 サクランボ摂取と痛風



  

      

□□■  果物&健康NEWS Vol.12 ■□□
    ■   2004年5月21日(金)  ■

みなさん、こんにちは!
今回は、サクランボ特集第2弾です。



■メニュ−■

   □□ サクランボ摂取と痛風 □□

   ◆◇◆ サイト紹介 ◆◇

   ★☆ 果樹研究所公開日アンケート結果から(第2回) ☆★
      − 知っている機能性成分は? −



□□ サクランボ摂取と痛風 □□

 サクランボ(オウトウ)は、可憐な姿と甘酸っぱい味で親しまれている初夏の果物です。植物学的には「セイヨウミザクラ」といい、バラ科サクラ属に分類されています。ウメやモモも同じサクラ属です。

 カルフォルニア大学デービス校のグループは、サクランボ摂取による痛風予防効果について、昨年発表を行いました(2003年)。痛風はかつてぜいたく病と考えられていましたが、食事の欧米化が進み、近年ではごく一般的な病気となり、痛風患者は、50〜60万人いると言われています。痛風は「風が吹いただけでも激痛を感じる」ことからその名がつけられました。足の親指の付け根が赤く腫れ、激しい痛みを感じるのが特徴です。

 痛風の直接的な原因は、血液中に存在する尿酸です。尿酸は、血液を循環し、その大部分が尿として、残りは便として排出されますが、何らかの原因により、血液中の尿酸濃度が高くなり、体内に蓄積されると血液中で溶けきれない尿酸がナトリウムと結合し、結晶となります。尿酸の濃度が高い状態が続くと、尿酸塩の結晶が関節や腎臓に沈着します。特に蓄積しやすいのが足の親指の付け根です。結晶が沈着すると異物を排除する働きのある白血球が、この結晶を攻撃するため発作が起こります。

 適切な治療を行わず放っておくと、再び痛みの発作が起こります。初めは年に1〜2回程度ですが、次第にその間隔が短くなっていきます。痛風のもとである「高尿酸血症」を放っておくと、腎臓障害を起こす事が知られていますが、その他、心疾患、脳卒中、尿路結石などの合併症を引き起こしやすくなります。

 カルフォルニア州デービス周辺はサクランボの産地です。そこでは、サクランボを食べていると痛風にならないとの民間伝承があるそうです。最近、サクランボに含まれているアントシアニンの一種であるシアニジンが、痛風などと関係する炎症反応を強く抑制することがわかりました。また、臨床試験でサクランボを摂取すると痛風が軽減すると報告されていました。

 そこで、カルフォルニア大のグループは、10人にサクランボを2単位(280g)摂取してもらい、血液中の尿酸の濃度を調べたところ最初214μmol/lだったのが、摂取後183μmol/lに減少したことと、炎症の指標であるCRP(C反応性タンパク質)とNO(一酸化窒素)の減少を確認しました。また、尿中に排泄された尿酸値は202μmol/mmol creatinineから350μmol/mmolcreatinineへと増加したと報告しています。以上の結果から、サクランボの摂取は痛風予防に有効であると結論づけています。




◆◇◆サイト紹介◆◇

 ハウスサクランボの出荷式が5月15日、山形県寒河江市のJAさがえ西村山本部で行われました。生産者ら約270人が集まり、安全なサクランボ作りの決意表明後、約90kgのサクランボが第1陣として出荷されました。

 今年のサクランボは安心して食べられます。「同じ過ちは繰り返さない」を合い言葉に、無登録農薬の問題を克服し、安全・安心なサクランボ作りに取り組んだ経過が山形新聞に連載されています(2003年の特集)。「安全は科学で証明できるが、安心は心の問題。信頼回復には時間がかかる」の指摘は貴重です。このことは、新しい農薬を登録するなどの場合、安全の科学的証明はもちろんですが、消費者が安心感・信頼感を得られるのかも大切であることを示しています。

 山形新聞の特集「やまがた発 食と安全」は1〜8部に分かれていますが、下記のサイトは「第6部サクランボ」です。

http://www.yamagata-np.co.jp/media/shoku/sakuranbo/sakuranbo.html




★☆ 果樹研究所公開日アンケート結果から(第2回) ☆★
   − 知っている機能性成分は? −

 今回は果物に含まれている機能性成分の認知度についてです。4年前と比較して、すべての成分で認知度が高まっているのは、健康食品ブームが続いているためと考えられます。一番伸びたのはアントシアニンの23.2%で、レスベラトロールはたったの1.1%でした。ブドウなどに含まれているレスベラトロールは、ガンなどの生活習慣病予防効果だけでなく、寿命延長効果も期待されている成分ですが、ほとんど知られていません。

               今回    前回
成分名        2004年(%) 2000年(%) 増減(%)
カロテン          81.2    66.1   15.1
食物繊維         79.8    71.2    8.6
カテキン          76.4    59.9   16.5
ポリフェノール       75.9    59.6   16.3
ペクチン          60.5    45.6   14.9
フラボノイド        51.9    37.8   14.1
アントシアニン      41.0    17.8   23.2
β-クリプトキサンチン  17.7    11.7    6.0
レスベラトロール      3.0     1.9     1.1

質問:知っている機能性成分はありますか(複数回答可)
今回 調査日2004.4.14 回答者数2087人
前回 調査日2000.4.19 回答者数1860人




☆ 編集部より☆

 果物は、栽培者の工夫や思いが味や形に現れます。果物は美味しいだけではありません。智慧もつまっています。仕事を終えて智慧のみを食べるのを楽しみにしています。(tnk)


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