ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第13回 果物の摂取を推奨するWHO勧告 



  

      
□□■  果物&健康NEWS Vol.13 ■□□
   ■   2004年5月28日(金)   ■

みなさん、こんにちは!
今回は、果物の摂取を推奨するWHOの勧告についてです。



■メニュ−■

   □□ 食事と運動と健康に関するWHOの世界戦略 □□

   ◆◇◆ サイト紹介 ◆◇◆

   ◎● Q&A 砂糖を減らすのに、果物を食べてもいいの? ●◎

   ★☆ 一口メモ:WHOが期待する農業政策 ☆★



□□ 食事と運動と健康に関するWHOの世界戦略 □□

 世界保健機関(WHO)は、政府、非政府組織の192の加盟国から2,000人以上の代表の参加をえて、ジュネーブで第57世界保健総会(WHOの最高意志決定機関:2004年5月17-22日)を開催しました。そして、総会最終日(5月22日)に「食事と運動と健康に関する世界戦略」を採択しました。この世界戦略は、非伝染性疾病(生活習慣病:心血管疾患、タイプ2糖尿病、ガン、肥満など)を防ぐため、バランスの取れた食事と適度な運動を行い、脂肪や砂糖、塩の摂取を減らし、果物や野菜の摂取を増やすことを勧めています。また、この世界戦略を実現するために、農業政策、課税・補助金などを通じた財政政策による健康促進策、学校教育政策などから、栄養ラベルを含む消費者教育、未成年者の食習慣に悪影響を与える広告の自粛など幅広い政策を進めるよう勧告しました。

○健康増進のための食事について、国と個人に対し、WHOは次のことを推奨しています。

・果実、野菜、マメ科植物、全粒穀類、種実の摂取を増やすこと。
・摂取エネルギーのバランスと健康な体重を保つようにすること。
・総脂肪からのエネルギー摂取を制限すること。そして、脂肪の摂取は、飽和脂肪から不飽和脂肪へ、トランス型脂肪酸を削減するように摂取方法を移行させること。
・砂糖単独の摂取は制限すること。
・すべての食事において塩(ナトリウム)の摂取を制限し、そして、ヨウ素化されたミネラルを確保すること。

注)最後のヨウ素の件は、我が国には当てはまりません。世界的に見るとヨウ素不足ですが、我が国では、海藻を食べる習慣があることなどから不足はないと考えられています。

 また、昨年の総会で採択した「タバコの規制」についての経過報告が行われ、今までに114の国とヨーロッパ共同体が署名し、16の国が批准したと報告しています。平成16年2月27日に施行された改正健康増進法は記憶に新しいものです。従って、今回の勧告に対しても様々な施策が行われると考えられます。



◆◇◆ サイト紹介 ◆◇◆

http://www.who.int/mediacentre/releases/2004/wha4/en/

 世界保健総会が、地球的な規模で人々の健康を新しいレベルに引き上げると決定したことを伝えるプレスリリースです(英文)。

http://www.who.int/mediacentre/releases/2004/wha3/en/

 上記の総会で採択された「食事、身体的活動、健康における世界戦略」の概要についてのサイトです(英文)。

http://www.who.int/gb/ebwha/pdf_files/WHA57/A57_9-en.pdf

 「食事、身体的活動、健康における世界戦略」の詳細(戦略の最終目標、政府のとるべき方針など)が記されています(PDFファイルで全22ページ:英文)。政策担当者には重要な文書です。



◎● Q&A 砂糖を減らすのに、果物を食べてもいいの? ●◎

 果物には砂糖(ショ糖)が含まれているため、上記の質問がでてきたと思います。この質問にお答えする前に、砂糖は有害かについて説明します。多くの日本人は砂糖はよくないと考えておられますが、結論から述べると、砂糖は、肥満、糖尿病、心臓病、高血圧などの生活習慣病と直接的な関係はありません。このことは、アメリカ食品医薬局(FDA)、および、WHOと国連食糧農業機関(FAO)の研究から明らかにされています。さらに、果物、穀類、牛乳などから供給される砂糖を含む糖類は、炭水化物源として重要であると結論づけられています。

 では、なぜ、砂糖単独の摂取を控えるように勧告しているのかというと、現在、摂取エネルギー量が多く肥満となっている人が多いので、脂肪や砂糖から摂取するエネルギーを減らす必要があるためです。もともとエネルギーの低い果物の摂取では、砂糖を含む糖類について気にする必要はありません。



★☆ 一口メモ:WHOが期待する農業政策 ☆★

WHOが期待している食料生産に関する農業政策は以下の通りです。

・農業政策と生産物は、しばしば国民の食習慣にすばらしい影響を与える。
・政府は多くの政策措置により農業生産に影響を及ぼすことができる。
・健康を重要視し、摂取パターンが変化するように、加盟国は、農業政策の評価において健康的な栄養補給について考慮する必要がある。



☆ 編集部より ☆

 日本型食生活のなかで、果物は必ずしも重要視されていませんでした。今回、果物を多く摂取する必要があるとWHOの勧告に盛り込まれたことから、「毎日くだもの200g」運動に弾みがつくことを期待しています。でも、この勧告で、果樹花き課消費班は忙しくなる?(tnk)


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