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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第134回 果物の値段は高い?

  
 

□□■ 果物&健康NEWS Vol.134 ■□□
   ■   2007年1月16日(火)  ■


みなさん、明けましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
特集は「果物の値段は高い?(家計調査、小売物価統計から)」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.


:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ 謹賀新年
 ◇ 今週のレシピ:リンゴ
 ◇ 果物の値段は高い?(家計調査、小売物価統計から)
 ◇ 品種紹介:リンゴ「さんたろう」
 ◇ 文献紹介:BMIとウエストサイズで糖尿病患者の心臓病リスクを予測
 ◇ 文献紹介:リンゴの赤色を制御する遺伝子の発見
 ◇ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする(第45回)
 ◇ それでもリンゴはダイエットに有効
 ◇ 果物おもしろ記録:世界一大きなリンゴ
 ◇ 2006年10大農林水産研究成果の第1位「ぽろたん」
 ◇ 「毎日くだもの200グラム運動」記者懇談会のお知らせ
 ◇ 配信エラーについて
 ◇ 編集部より



□ 謹賀新年

 明けましておめでとうございます。

 果物&健康NEWSも3回目のお正月を迎えることが出来ました。今年も果物の健康効果、食育を中心に、果物を取り巻く情勢や食文化、科学的トピックなどを掲載していきます。

 手探りで続けてきたメルマガも皆様に支えられ、手応えを感ずるようになってきました。とても小規模なミニコミ誌ですが、今後も地道に情報をお伝えしていきたいと考えております。

 今年もどうぞよろしくお願いいたします。大きく飛躍できる年にしたいと願っています。




□ 今週のレシピ:リンゴ

○ リンゴのレモン煮

材料
 リンゴ 2個、グラニュー糖 大さじ2杯、水 大さじ2〜3杯、無塩バター ひとかけ、レモン汁 1/2個分、レーズン 適量

下記のサイトで作り方と出来上がりの写真を見ることができます。
http://www.mint-j.com/toko/001.htm

○ リンゴのガレット

材料(直径8〜9cm)
 リンゴ 小1個
生地:薄力粉 40g、卵 1個、グラニュー糖 20g、牛乳 90cc、溶かしバター 10g、サラダ油 適量、グラニュー糖 適量、シナモン(仕上げ用) 適量

下記のサイトで作り方と出来上がりの写真を見ることができます。
http://www.mint-j.com/toko/021.htm




□ 果物の値段は高い?(家計調査、小売物価統計から)

 果物は高いとのイメージがあります。アンケートをすると「果物は美味しくて健康によいと思うけれど高い」との回答が多く寄せられます。そこで、家計調査、小売物価統計の数値から果物の価格について考えてみたいと思います。

 家計調査は、国民生活における家計収支の実態を把握するための統計調査です(文献1)。調査対象は学生の単身世帯を除く全国の消費者世帯で、無作為に選定された世帯について6か月間(単身世帯は3か月間)、すべての収入と支出を毎日家計簿に記入してもらったデータです。

 家計調査では、購入数量と支出額を調査しているのでキログラム当たりの購入価格が分かります。そこで、全世帯(農家を含む)を対象とした平成17年度の調査データ(1世帯当たり年間の品目別支出金額、購入数量及び平均価格)を用いて代表的な果物と野菜の価格について比較してみました(表1)。

 その結果、平成17年度は、キログラム当たり野菜では、トマトが508円、レタスが351円、にんじんが275円、ばれいしょが223円、たまねぎが187円、キャベツが145円でした。果物では、メロンが511円、りんごが393円、なしが380円、かきが319円、みかんが294円、バナナが211円でした。

 また、生鮮野菜全体では359円/kgで、生鮮果物全体では387円/kgでした。この差をみかん1個(100g)に換算すると約3円、りんご1個(250g)では7円です。こうしてみると野菜と果物の価格に大きな差はなく、果物が野菜と比べて特に高いことはないと考えられます。

 他方、小売物価統計調査は、国民の消費生活上重要な商品の小売価格などを全国的規模で毎月調査しています(文献2)。都道府県庁所在地など167市町村を対象として、一定の銘柄を指定し、店舗で実際に販売している平常の価格を調査しています。従って、特売や安売りの価格は含まれていません。野菜類、果物類などは、調査日とその前2日間(計3日間)の中値を小売価格としています。

 平成17年の果物と野菜の価格を表1に示しましたが、家計調査の結果と似たような価格となっています。ただ、小売物価調査の価格(平常小売価格)から家計調査の価格(実際の購入価格)を差し引いた差額は、野菜ではキャベツの25円からトマトの68円の間に分布しており、あまり価格差はありません。一方、果物ではバナナの22円からりんご116円、みかん216円と価格差の幅が広がっており、平常価格は購入価格より高くなっています。こうしたことが果物は高いとの印象を生んでいるのかも知れません。

 また、果物には旬の季節があるので、旬の時期より早く出荷された場合は、通常よりかなり高価格になり、そのことがテレビや新聞などで報道されることや、果物を贈答品として利用することなども果物は高いと感じる要因と思われます。しかし、旬の時期では果物の値段が特に高いわけではないので、「毎日くだもの200グラム以上」を食べていただきたいと思っています。


表1.家計調査、小売物価調査による果物と野菜の価格とその差額(円)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        家計調査    小売物価調査
品 目    キログラム単価   キログラム単価 差額*
       17年度 16年度   17年平均
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
トマト     508   528     576     68
レタス     351   419     399     48
にんじん   275   263     325     50
ばれしょ   223   221     278     55
たまねぎ   187   179     214     27
キャベツ   145   156     170     25
 −− −− −− −− −− −− −− −− −−
メロン    511   519     595     84
りんご    393   381     509     116
なし     380   447     462     82
かき     319   415     410     91
みかん    294   322     510     216
バナナ    211   224     233     22
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
*差額=小売物価調査(17年平均)−家計調査(17年度)


【文献】
1) 家計調査(平成17年年報統計表:二人以上の世帯)
  http://www.stat.go.jp/data/kakei/2005np/02f.htm

2) 小売物価統計調査(平成17年平均)
  http://www.stat.go.jp/data/kouri/index.htm




□ 品種紹介:リンゴ「さんたろう」

 「さんたろう」は、「はつあき」と「スターキング・デリシャス」を交配して出来た品種です。果実の大きさは通常350g前後と大きく、果皮色は濃赤色に着色して美しいのが特徴です。糖度は12.5〜13%、リンゴ酸含量は0.6〜0.7%で「ふじ」よりやや酸味を感じます。

「さんたろう」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/
data/hinsyu/cu-santaro.html





□ 文献紹介:BMIとウエストサイズで糖尿病患者の心臓病リスクを予測

 BMIとウエストサイズで糖尿病患者の心臓病リスクを予測出来ることをアメリカ・スタンフォード大学の研究グループが発表しました。

 ボランティア261人を対象に、BMI、ウエストサイズ、コレステロール、中性脂肪、インシュリンなどを測定した結果、BMIかウエストサイズを測定することで糖尿病患者の心臓病リスクを予測できることが分かりました。

【文献】
Helke, M.F. et al.: Comparison of Body Mass Index Versus Waist Circumference With the Metabolic Changes That Increase the Risk of Cardiovascular Disease in Insulin-Resistant Individuals. Amer. J. Cardiol. 98: 1053-1056. (2006)




□ 文献紹介:リンゴの赤色を制御する遺伝子の発見

 オーストラリア・CSIRO Plant Industryの研究者らは、リンゴの赤色を制御する遺伝子を発見したと発表しました。リンゴの皮の赤色はアントシアニンで、光が当たるとアントシアニンの遺伝子が発現してきます。

 そこで、光で活性化する遺伝子に焦点を合わせ研究を行った結果、R2R3 MYB遺伝子がアントシアニンの生合成の転写制御因子であることが分かりました。

 転写制御因子とは、アントシアニン生成酵素の発現過程において最も基本的な制御を行っている因子のことです。従って、この転写制御因子の発見により色が良くて健康に役立つリンゴの育成が進むと期待されています。

【文献】
Takos, A. M. et al.: Light-Induced Expression of a MYB Gene Regulates Anthocyanin Biosynthesis in Red Apples. Plant Physiol. 142: 1216-1232. (2006) [doi: 10.1104/pp.106.088104]




□ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする
  第45回 家庭で楽しむブルーベリー栽培13 繁殖その2


○ 挿し木
2.休眠枝挿し(熟枝挿し)
【挿し穂の取る時期、挿し木時期】

 冬期に剪定した枝をそのまま挿しても活着しますが活着率は劣りますので、剪定時に採取した穂木を5℃前後で春まで冷蔵しておき3月中、下旬に挿します。また、3月中、下旬ころに1年枝を切り取り挿す方法もあります。

 穂木は充実した新梢を挿し穂とし、花芽のない部分を10cm程度に切りそろえます。穂木は緑枝挿しと同様に穂の基部をよく切れる切り出しナイフ等で斜めに切り削ぎ、次ぎに反対側(裏側)を少し切り返します。できた穂木は乾かないように水を入れた容器に入れ、十分に吸水(1昼夜程度)させておきます。

【挿し床、挿し方】
 挿し床、挿し方は、用土を含め緑枝挿しと同様ですが、鹿沼土、ピートモス、ピートモス+鹿沼土を用いた石川駿二氏(東京農工大学)の実験例では、鹿沼土単独より、ピートモスやピートモス+鹿沼土の方が高い発根率を示しています。また挿し穂の部位(頂部、基部)や品種の違による実験では、どの品種も頂部の方がやや高い傾向が見られますが、いづれも90%程度の発根が見られるため、どちらを用いても実用的には問題ないと考えられます。

3.挿し木苗の鉢上げ
 発根した苗木は3〜4号程度の鉢(ビニールポット等でも十分)に鉢上します。鉢用土はピートモス単用でも勿論いいのですが、ピートモスを主体にして鹿沼土や腐葉土、モミガラ燻炭等を混合して用います。施肥は鉢上げ後3週間程度経ってから緩効性肥料を1鉢あたり5〜10g追肥します。

 休眠枝の場合、挿し穂の養分で芽は伸び始めますが、発根には1〜2ヶ月程度かかります。その間乾燥させないように水管理には注意しましょう。(K. Suzuki)




□ それでもリンゴはダイエットに有効

 毎日新聞(07/1/6付け)に「本当?『2週間で2キロ程度やせられる』過大評価は危険」と題した記事が掲載されました。この記事は、「発掘!あるある大事典」の番組内容を検証したものですが、放送された内容の一部のみ(ポリフェノール)を取り上げ、「学者は疑問視」とのコメントを掲載しています。

 リンゴのダイエット効果は、ポリフェノールよりも食物繊維や体積が大きくカロリーが少ないことが大きく寄与していると考えられていますが、この点について記事ではわずか60字程度触れているのみです。

 本メールマガジンでは、何回かに分けてリンゴなど果物のダイエット効果について、その根拠となる科学論文と一緒に情報を掲載してきました。従って、リンゴのダイエット効果に科学的根拠がないような記事には承伏しかねます。ぜひ、リンゴなど果物のダイエット効果について知っていただきたいと思います。

 本メルマガで取り上げた「果物摂取でダイエット、肥満予防」の記事は下記のサイトにあります。
http://www.kudamononet.com/LifeStyle/medical/obesity.html



       ■ 食事前に果物、新しい習慣


□ 果物おもしろ記録:世界一大きなリンゴ

 ギネスで認証された世界一大きなリンゴは、2005年10月24日に青森県弘前市の岩崎智里さんが収穫した品種「スタークジャンボ」で、その重量はなんと1.85kgで、普通のリンゴの約6倍もあります。それまでの世界記録は、1997年にイギリスで収穫されたリンゴで1.67kgでした。

ギネスに掲載された世界一大きなリンゴは下記のサイトで見られます。
http://www.guinnessworldrecords.com/records/natural_world/
plant_world/heaviest_apple.aspx





□ 2006年10大農林水産研究成果の第1位「ぽろたん」

 農林水産省技術会議事務局が2006年度の10大研究成果を発表し、その第1位に、農研機構果樹研究所が発表した渋皮が簡単にむける画期的なニホングリ新品種「ぽろたん」が選ばれました。クリ関連産業の活性化が期待されています。

10大成果は下記のサイトで読めます。
http://www.maff.go.jp/www/press/2006/20061221press_7b/index.html




□ 「毎日くだもの200グラム運動」記者懇談会のお知らせ

○講演:『食事バランスガイドに果物が初めて入った理由』
  〜医者にも誤解されている果物の効能〜


【内容】
 「果物の摂取は糖尿病を誘発しやすい」というのは誤りで、逆に予防に有効です。ダイエットに効果的なことや生活習慣病予防に役立つことも科学的に証明されています。にもかかわらず、今まで摂取目標の記載がありませんでした。その理由は?
   農研機構果樹研究所 「果物&健康NEWS」 田中敬一氏

○試食会:リンゴを使ったフルコースのオリジナルレシピの紹介
 〜家庭で簡単に作れます〜
     銀座ライオンブラッスリー小松店調理長 安齋功ニ氏

○関東の旬のくだものや戦略品種の紹介
          日本園芸農業協同組合連合会 松本 務氏

○『毎日くだもの200グラム運動』について
        中央果実生産出荷安定基金協会 原田都夫氏

  日時:平成19年1月19日(金)14:00〜15:30
  会場:銀座ライオンブラッスリー小松店
     (中央区銀座6-9-5 ギンザコマツB1)

  問い合わせ・申し込みは下記までお願いいたします。
   「毎日くだもの200グラム運動」記者懇談会事務局
   潟Tン・クリエイティブ・パブリシティ内 青木
    TEL(03)3545-0511 FAX(03)3545-3069




□ 配信エラーについて

 もし、メルマガ「果物&健康NEWS」132号(2006年12月15日配信)が文字化けしていて読めない場合、下記宛に連絡下さい。折り返し132号を再送いたします(原因は、いつもと違う方式で配信されたためと思われます)。ご迷惑をおかけいたしました。

題名を「132号文字化け」としてkudamono_kenkou@nm.maff.go.jp宛にメールをお送り下さい。




☆ 編集部より ☆

 「果物&健康NEWS読んでいるよ」とのうれしい年賀状を沢山いただきました。ありがとうございます。これからも多くの方に読んでいただけるメルマガを目指して前進していきたいと思います。果物に対する誤解が解けて、流れが反転することを夢みています。(tnk)


 皆様あけましておめでとうございます。今年は穏やかなお正月でしたね。当方は1月3日に横浜まで箱根駅伝の観戦に行ってきました。選手の皆様の必死でさわやかな力走に刺激され、「よし!おれも2月のマラソンに向けて頑張ろう!」と固く決意したまでは良かったのですが、妻から「帰りに中華街で美味しい物をたくさん食べよう!」と誘惑され、つい、動けなくなるまで「暴飲&暴食」してしまいました。年明け早々、自分の意志の弱さを改めて痛感した次第です(uru)。


※ Sk氏は体調を崩してしまい、お休みをいただきました。
  代わりといっては何ですが、上司のNn氏より新春特別寄稿をいただきました。


 このメルマガに携わるようになってから、おかげさまでちょうど一年が過ぎました。私生活でも、「毎日くだもの200グラム運動」を実践することとなり、朝食は可能な限り果物を主体にしています。今は旬のぽんかんが美味しいですね。
 効果はどうかと聞かれると、毎日欠かさない晩酌のせいか体重に目立った変化はないものの、BMIは23.6で何とか正常値の範囲を維持しており、体調も良好で、この時期はヒラメやヤリイカなどを狙って週末になると真冬の海に繰り出しているのですが、ここ一年風邪はひいたことがありません。
 肝機能も良好で、果物の持つ健康機能性成分のおかげでしょうか?今年は生まれて5回目の年男になり、日増しに体力の衰えを感じる今日この頃ですが、果物のおかげで次回の定期健康診断では更に良い結果になるのではないかと期待しています(Nn)。




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

 無断転載はお断りします。 リンクは自由です。

 詳しくは、著作権、リンクについて に記載しています。

 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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