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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第150回 カナダ糖尿病協会の食事指導

  
 

□□■ 果物&健康NEWS Vol.150 ■□□
   ■   2007年5月11日(金)   ■


みなさん、こんにちは!
特集は「カナダ糖尿病協会の食事指導」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.


:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ 品種紹介:サクランボ「Jのしずく」
 ◇ 今週のレシピ:サクランボ
 ◇ カナダ糖尿病協会の食事指導
 ◇ 読者から:ハウスミカン
 ◇ 文献紹介:肥満の予防と治療に対するカナダの新ガイドライン
 ◇ 読者から:ニューヨークから
 ◇ 文献紹介:光を当てると結晶が曲がる
 ◇ 読者から:遺伝子組み換え食品
 ◇ 読者から:疑問です
 ◇ 果物の歌:さくらんぼの実る頃
 ◇ 田舎に泊まって、「農」を身近に感じよう!
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 編集部より



□ 品種紹介:サクランボ「Jのしずく」

 「Jのしずく(じぇいのしずく)」は「ナポレオン」と「マートングローリー」を交配してできた品種です。果実は短心臓形で重さは約7gです。果皮色は帯赤黄斑色で、果肉は乳白色です。果汁が多く、甘酸適和で食味良好です。収穫期は「佐藤錦」より遅く、6月下旬から7月上旬頃です。

「Jのしずく」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.tohoku.affrc.go.jp/periodical/singijutu/H9/seika520.html




□ 今週のレシピ:サクランボ

○ サクランボのカスタードパイ
 電子レンジでできる簡単サクランボのデザートです。

材料(6人分(直径18cm1台分))
 サクランボ(種つき) 20個、冷凍パイシート 1枚 ・カスタードクリーム: 卵黄 1個分、砂糖 大さじ3杯、小麦粉 大さじ1杯、コーンスターチ 大さじ2杯、牛乳 1/2カップ、 キルシュ 小さじ1杯、粉糖 適量、ミントの葉 適宜

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.daiei.jp/sukoyaka/recipe/s.cgi?md=rc&id=20030618

○ サクランボケーキ

 「琥伯茶楼(こはくちゃろう)」のサイトのレシピです。材料 (900ccパウンド型1個分)は、サクランボ(佐藤錦) 250gなどです。切り口がおしゃれなケーキです。

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~torano/recipe/sweets/SR_ca14.htm

○ チェリーキールゼリー

 上記と同じ「琥伯茶楼」のレシピです。材料 (小型ワイングラス4個分)は、コンポート用に、サクランボ(「佐藤錦」) 6粒、キールゼリーにサクランボ(「佐藤錦」) 4粒などです。
 サクランボの代わりにブドウでも良いとのことです。

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~torano/recipe/sweets/SR_re06.htm




□ カナダ糖尿病協会の食事指導

 糖尿病には1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病などの病型がありますが、日本では約90%が2型糖尿病です。2型糖尿病は、身体がインスリン抵抗性を示すためインスリンの働きが悪くなり、インスリンを多く必要とするのに、必要量を分泌できないと発症します。

 2型糖尿病は、予防または発症を遅らせることが出来ます。そのためには、2型糖尿病のリスクを知っておく必要があります。

 年齢、家系、人種などは替えることの出来ないリスクです。もし、こうしたリスクがあるならリスクを避けるための行動が必要です。例えば、40歳以上であるなら2型糖尿病のリスクが高いので、健康に気を配って糖尿病の兆候を見逃さないようにすることが大切です。

 一方、替えることの出来る2型糖尿病のリスクは、体重、運動量、血圧、コレステロールなどで、他の疾患(心血管疾患、高血圧、ガン、関節炎、胆嚢病など)のリスクと多くの点で類似性があります。運動不足の人は2型糖尿病のリスクが高いことが知られていますが、心血管疾患による死亡率も高いのです。中でも太り過ぎや肥満は、2型糖尿病発症のリスクが最も高い因子の1つです。

 こうしたリスク因子が1つ以上あるなら、バランスの良い食生活に換えると2型糖尿病の予防や発症を遅らせることが出来ます。

 「健康的なバランスの良い食事」といわれると、好きな食べ物をあきらめると考え勝ちですが、そうではありません。脂肪分の高い食事を楽しみたいなら、それ以外の食品は、いつもよりカロリーの低い食品にしたり、いつもより多くの運動すると良いでしょう。

 健康的な体重を維持することが、糖尿病の予防や治療における最も重要なステップの1つです。体重の管理には、「カナダ:健康的食生活のための食事ガイド(Canada's Food Guide to Healthy Eating )」が役立ちます。この食事ガイドでは、食物繊維が多い食品(玄米、全粒食パン、レンズ豆、エンドウ、果物、野菜)の摂取を勧めています。

 食事ガイドでは、機能別に4つの食品群に分けています。果物は、食品群2(果物と野菜)に含まれており、 1日あたり5から10サービング摂取する必要があるとしています。果物1サービングとは、オレンジ1個、モモ1個です。従って、半分を果物から摂取するとすると1日あたりモモなら2個半から5個となります。

 さらに、この食事ガイドでは、毎日さまざまな果実と野菜を食べ、1カ月に一度か、1週間に一度、新しい果物や野菜を試すように勧めています。

 カナダ糖尿病協会のホームページは下記です(英語、フランス語、中国語のサイトがありますが日本語はありません)。
http://www.diabetes.ca/

専門家向けのページは下記です。
http://www.diabetes.ca/section_professionals/index.asp

一般向けQ&Aは下記のサイトにあります。
http://www.diabetes.ca/ilt/diabetes_answers/
got_diabetes_questions_get_answers.aspx





□ 読者から:ハウスミカン

 こんにちは。毎回、果物づくしのネタ(情報)楽しく拝見しております。

 沖縄県では3月から4月にかけてミカンの花が満開で、非常によい香りを漂わせておりました。

 しかし、数日前にハウスミカン出荷の記事を見たのですが、ハウスミカンの花っていつ頃咲いているのでしょうか?少し気になったので、教えていただけたらと思います。(沖縄パイン)

【編集部より】
 ハウスミカンの開花時期についてですが、地区及び出荷予定時期により若干バラツキはありますが、12〜2月頃が開花期となっています。
 今年の普通ミカン(本州)の開花盛期は、5月中旬頃と予想されています。




□ 文献紹介:肥満の予防と治療に対するカナダの新ガイドライン

 カナダ医学会誌に、子供と成人に対する肥満の予防と治療に対するガイドラインが発表されました。

 この新ガイドラインは医学の専門家と政策立案者により作成され、政府が公表した世界で最初の肥満の予防と治療のガイドラインです。このガイドラインでは以下のことを推奨しています。

・太りすぎや肥満を解消するための最初の処置は、生活習慣(食生活、運動)の改善を行う。もし失敗したら、薬物療法や肥満手術を考える必要がある。

・太りすぎか肥満体であるなら10歳から血糖値やコレステロールなどの測定を定期的に受ける必要がある。

・体重管理プログラムに参加する患者に対して、ライフスタイルを変更するための方法やサポートを受けられるようにする必要がある。

・子供たちの太り過ぎや肥満を防ぐためのプログラムを学校で行う必要がある。また、体育の時間などを通じて毎日の活動量を増やすようにする。

・テレビやビデオ、ゲームなどに使う時間を1日あたり2時間未満に制限する必要がある。

【文献】
Lau, D. C. W. et al.: 2006 Canadian clinical practice guidelines on the management and prevention of obesity in adults and children. CMAJ 176: S1-13. (2007) [doi: 10.1503/cmaj.061409]

下記のサイトから上記論文とガイドライン全文を読めます。ガイドラインはPDFファイルで120ページ、論文は14ページです。
http://www.cmaj.ca/cgi/content/full/176/8/S1/DC1




□ 読者から:ニューヨークから

 こんにちは、いつも興味深く読ませていただいています。
 メルマガの中に「新鮮な果物、野菜」とよく出て来ますが、私の住んでいるところではなかなか毎日「新鮮」な物ばかりともいきません。それに加え、大きな物や量の多いものは徐々に使いますので、冷蔵庫に何日も待機することしばしばです。

 そこでお聞きしたいのですが、ここで仰る新鮮な野菜、果物とはどのくらいまでのものをさし、新鮮でない物(「悪く」なる前のもの)と、どの程度栄養価等が変わってくるのでしょうか?

 新鮮な果物や野菜の5サービング分を新鮮でない物でとる場合、サービング数を増やす必要が有るのでしょうか?(新鮮でないものをたくさん食べるより無理してでも新鮮なものを買い少しだけ食べる方が良?)「新鮮でないと意味が無い」わけでは無いと思いますので、お教え頂ければ幸いです。

 その他、「生」以外の果物についての記事(冷凍、ドライ、生との栄養価の違い、それぞれのメリット、デメリット等)なども期待しています。

 これからも幅広い視点で果物普及がんばって下さい!楽しみにしています :)   (ニューヨーク:GF)

【編集部より】
 新鮮な果物は、栄養価が高いだけでなくとても美味しいです。しかし、「新鮮でない」からダメではありません。栄養成分的に少し違いがありますが気にするほどではありません。最も大切なことは、果物を食べることです。

 今後、冷凍果実、ドライフルーツなどを本メルマガ上で取り上げていきたいと思います。




□ 文献紹介:光を当てると結晶が曲がる

 紫外線を当てると棒状の結晶が一瞬で縮み、可視光線を当てると元通りに伸びる物質を立教大、九大、大阪市立大の研究グループが見つけました。

 長さ0.3mmの棒状の結晶をバットのように使い、微小なガラス球を「打つ」実験にも成功し、その様子がビデオで公開されています。結晶の先端近くに小さなガラス球を置いて、右から結晶に紫外線を当てると、紫外線が当たった部分だけ長さが約10%縮むとともに右に曲がり、ガラス球をはじき飛ばしました。そして、可視光線を当てると結晶は再び伸びて元に戻りました。

 今までに光で変形する物質はいくつか知られていましたが、固い結晶が変形するのは初めての発見とのことです。この結晶は、研究グループが開発したジアリールエテンという物質です。

 ミクロレベルの動力源に使える可能性や、非接触で微小な物を操る極小のピンセットなどへの応用が期待されています。

 結晶が硝子球を打つビデオ(約4秒)は下記のサイトで見られます(このビデオを見るためにはQuickTime Playerが必要です)。一見の価値があります。
http://www.nature.com/nature/journal/v446/n7137/
extref/nature05669-s6.mov


【文献】
Kobatake, S. et al.: Rapid and reversible shape changes of molecular crystals on photoirradiation. Nature 446: 778-781. (2007) [doi:10.1038/nature05669]




□ 読者から:遺伝子組み換え食品

 こんにちは。最近メルマガを読み始めたのですがとても興味深いです。

 今度是非、遺伝子組み換え食品について特集してください。私は今アメリカにいるのですが、アメリカでは遺伝子組み換え商品がいたるところにあり、しかも提示されていないので自分がいつそのような食品を口にしているのか分かりません。

 どんな危険があるのか、またどんな利点があるのか知りたいです。例えば、種なしの果物なども遺伝子操作をしていると思うのですがそれとはどう違うんですか?
 これからもがんばってください!

【編集部より】
 遺伝子操作による果物は販売されていません。ミカンに種のないのは単為結果性という種を作らない生物的性質のためです。この単為結果性を利用したのが種なしスイカや、最近話題となった種なしビワなどです。ブドウ「デラウエア」は、ジベレリンという植物自身も作っている植物ホルモンを利用して種なしにしています。




□ 読者から:疑問です

 楽しく拝見しています。
 時折、果物を野菜と比較して「もっとたくさん摂取しましょう」と普及活動を行っていますが、私にはそれが正しいのか分かりません。

 たとえば、「果物はカロリーが高いから」と、その代わりに野菜を食べている人は聞いたことがありません。野菜は食事の食材として利用されていて、果物の主なシーンはデザートです。用途目的が違います。

 日本人の日常において、果物に置き換える必要のあるものは、スナック菓子やアイスやケーキ・プリンなどではないでしょうか。もう少しその辺を検討されるとよろしいのではと考え、mailしました。

 これからもがんばってください。

【編集部より】
 生活習慣病予防には果物と野菜の摂取が重要です。科学データは両者に優劣がないことを示しています。

 日本では野菜摂取の必要性や重要性は広く理解されていますが、果物については十分ではありません。そこで、野菜と比較しながら果物良さを説明するのが分かりやすいと考えています。

 ケーキやアイスを果物に置き換えるだけでは十分ではありません。何よりも大切なのは食事バランスです。果物や野菜、穀類、肉類などをどう摂取するかを考える必要があります。この点について、別の機会に詳しく説明いたします。




□ 果物の歌:さくらんぼの実る頃

 作詞 J.B.Clement、作曲A.Renardの「さくらんぼの実る頃」は、シャンソンの代表曲です。この曲が出来た当時のフランスは、ナポレオン3世による第二帝政の末期です。

 日本でも古くから親しまれている曲ですが、映画「紅の豚」(宮崎駿監督)の挿入歌として加藤登紀子さんが歌い有名になりました。

 さくらんぼの実頃に悲しい恋は終わりました。山形では6-7月に「佐藤錦」や「ナポレオン」が実ります。

 歌詞と演奏は下記のサイトです。クリックすると演奏が始まりますので、演奏がじゃまな人は消音してからクリックしてください。
http://bunbun.boo.jp/okera/saso/sakuranbo_mino.htm




□  田舎に泊まって、「農」を身近に感じよう!

 農林水産省インターネットテレビで、大阪の高校生が農業体験修学旅行で青森県南部町へ行き、初めての農作業や料理作りを農家の方と一緒に楽しむ様子を放映しています。「博士」と「ぶっくん」が案内役です。

上記番組は下記のサイトでご覧いただけます。
http://www2.maff.go.jp/cgi-bin/maff-tv/tv.cgi?
ch=6&ptr=5&play=190&player=





□ 今日のフォト

 モモの摘果作業が始まっています(左図)。まだ果実(右図)は小指の先くらいですが、この時期に摘果すると栄養分が果実に集まるので夏に美味しいモモが出来ます。作業は脚立にのって行います。  (2007/5/11 掲載は次号まで)
http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News.html




■ 「果物&健康NEWS」登録依頼パンフレット

 「果物&健康NEWS」登録依頼パンフレット(PDFファイル)は下記のサイトにあります。メルマガの講読を勧めていただければ幸いです。
 http://www.kudamononet.com/kkr/index.html



☆ 編集部より ☆

 150号を発行できました。最低でも1年間は続けようと考えていましたが4年目になります。もし、野菜の研究者だったら「果物&健康NEWS」のようなメルマガは作らなかったかも知れません。野菜の健康効果はかなりよく知られているからです。

 一方、果物の健康効果はほとんど知られていないだけでなく、誤解も多く、科学的根拠も提示されていません。このメルマガが、少しでも役立てばと思っています。(tnk)


 2007年5月から、果汁100%のジュース(1リットル入り)で約20円の値上げがあるとの記事を先日目にしました。背景には、原油をはじめとする化石燃料の国際価格が上昇するなかで、世界的にバイオ燃料への需要が高り、オレンジ果汁などの主要産地となっているブラジルなどで、オレンジ栽培農家の転作が進み、生産量が減少しているためだとのことです。

 我が家では、1リットル入りのオレンジジュースを1日1本程度消費しているため、家計への影響があるのですが、みかん農家にとってはいろんな意味で若干追い風になるのではないでしょうか。でも、ブラジルの農家は、儲かると思えばオレンジの木まで簡単に切ってしまう農家が多いんですね。そちらの方がびっくり。(AA)


 最近は、読者からの質問などのメールが多く編集部として嬉しい限りです。当メルマガは読者の皆様と一緒に作っていければと思いますので、ご遠慮なく質問を送って頂ければ幸いです。


 (AA)さん書いているバイオ燃料の件ですが、朝のニュースでビールの価格も上がるかも?と報道されていました。ビール好きととしては非常に重要な問題です!(sk)


 ゴールデンウィークに2ヶ月ぶりに実家(愛知県)に帰ってリフレッシュしてきました!実家にいたときは毎晩家族3人で果物を食べていました。

 実家で食べていたのはデコポン、グレープフルーツ、キウイフルーツですが、スーパーに行くと店頭にはもう既にスイカ、メロンも並んでおり、なんだか「夏だなぁ」という気分でした。

 最近暑い日が続いてバテ気味ですが、ビタミン豊富な果物を食べて乗り切ろうと思ってます。暑い時期の私の一押しは、果物を冷凍庫に入れてシャーベットにすることです。是非試してみてください!(入れたことをずっと忘れていてカチカチに固まってしまった苦い思い出もありますが)。(0A)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

 無断転載はお断りします。 リンクは自由です。

 詳しくは、著作権、リンクについて に記載しています。

 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

Copyright 2004-2007 田中敬一. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.



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