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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第158回
「果物は太る」「果物は糖尿病に悪い」などの誤解の解消に向けて2

  
 

□□■ 果物&健康NEWS Vol.158 ■□□
   ■   2007年7月6日(金)    ■


みなさん、こんにちは!
特集は「『果物は太る』『果物は糖尿病に悪い』などの誤解の解消に向けて2」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.


:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:ブルーベリー
 ◇ 今週のレシピ:ブルーベリー
 ◇ 「果物は太る」「果物は糖尿病に悪い」などの誤解の解消に向けて2
 ◇ 品種紹介:ブルーベリー「はやばや星」
 ◇ 文献紹介:食事プラス運動で乳ガンの生存率が向上
 ◇ 読者から:柑橘の樹の下の土が硬くなってしまった
 ◇ 読者から:「夏みかん」へのコメント
 ◇ 今日は何の日:世界人口デー(7月11日)
 ◇ 文学の中の果物:孫(斎藤茂吉)
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:ブルーベリー

 ブルーベリーにはポリフェノールが豊富に含まれています。ポリフェノールには抗酸化作用があるため、細胞の老化やガン予防、肝臓の機能回復、血圧の上昇を抑制する作用があります。

 また、血液中の血小板の凝固を抑制し、毛細血管を保護する機能や血栓の生成を抑制するなど、生活習慣病を予防する成分として期待されています。

 研究報告によると、ラットにブルーベリーを摂取させたところ、脳への血液の流れを止めたときにおこる脳障害を軽減できることが分かりました。このことから、脳への血液循環の異常で起きる脳卒中の予防効果が期待されています。




□ 今週のレシピ:ブルーベリー

○ ブルーベリージャム

材料
 ブルーベリー(冷凍でも可) 250g、砂糖 100g、レモン果汁 1/4個分など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://recipe.gourmet.yahoo.co.jp/J000364/

○ ブルーベリーチーズケーキ

材料
 プレーンヨーグルト 200g、カッテージチーズ(裏漉しタイプ) 200g、ブルーベリージャム(低糖) 100gなど

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://recipe.gourmet.yahoo.co.jp/U000699/




□ 「果物は太る」「果物は糖尿病に悪い」などの誤解の解消に向けて(第2/3回)
  (財)中央果実生産出荷安定基金協会

 200グラム運動の事務局担当者として、「果物は太る」「果物は糖尿病に悪い」などの誤解は見過ごせないので、次のような質問状を病院あてに出しました。

(前文略、質問事項) 
@「果糖を含むため血糖を早く上昇させます。(病院HPの記述)」に関して

 血糖(血液中のブドウ糖濃度)の上昇度を表すグリセミック・インデックス(GI)は、ブドウ糖を100として果糖は20程度と格段に低い数値であり、「果糖を含むため血糖を早く上昇させる」との記述は不適切と考えます。

 また、果物は、GIの低い果糖や糖の吸収速度を抑える食物繊維が多いこともあり、精白パンの95、にんじんの85等と比べ40程度と低く、血糖値の上昇を招きにくい食品といえますので果物に関する説明としては不適切と考えます。 

A「最近の果物は糖度が高く(病院HPの記述)」に関して

 ご指摘のとおり、最近の果物は品種改良や栽培技術の革新から甘くて美味しくなっております。しかし、甘さや美味しさは糖度の上昇と酸度の低下等との兼ね合いもあり、糖度の上昇はわずかでも甘く感じます。例えば、糖度10度のみかんはあまり甘くありませんが、12度のみかんは大変甘く感じます。その際の食事バランスガイドで勧められている1日2つ(おおよそ200g)当たりエネルギーの増加は16kcal(200g×2%×4kcal)に過ぎません。

 ちなみに、年間を通じて普通に摂取する場合の全国的な平均値を表す日本食品標準成分表で4訂版(1982年)とデータの更新が行われた5訂版(2000年)を対比してみますと、100g当たりでは、うんしゅうみかん(44→46kcal)で2kcalの増加、りんご(50→54kcal)で4kcalの増加に過ぎません。

B「果物は糖度が高く・・・中性脂肪の増加をまねく(病院HPの記述)」「砂糖や果糖などの糖類の摂り過ぎは中性脂肪を増加させます。・・・・・果物は控えましょう(病院HPの記述)」及び「果物は炭水化物を多く含んでいます。食べ過ぎに気をつけましょう。(病院HPの記述)」に関して

 中性脂肪の増加や肥満症の主な原因は過剰なエネルギーの摂取が原因と考えられますが、とり過ぎが問題となるのは果物に限ったことではありませんし、果物は甘くてもエネルギーはそれほど多くありません。

 果物のエネルギー量は100g当たり50kcal前後(うんしゅうみかん:46kcal、りんご:54kcal)で、ショートケーキ(344kcal)や食パン(264kcal)、納豆(200kcal)、煮さば(253kcal)などと比べても格段に少ない低エネルギー食品であり、決してエネルギーの過剰摂取を心配するような糖分の多い食品とはいえないのではないでしょうか。

 しかも、果物はほとんど水分で、ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含んでおり、おまけに、多量の水分と水溶性食物繊維の膨張で満腹感が得られやすく、また、調理せず生で食べられるので調理による栄養の損失と塩分やエネルギーの増加がない特性を持っています。「食べ過ぎ」を心配するよりも他の高エネルギー食品の摂取を抑えることのできる食品として位置付けるべきではないでしょうか。

 ちなみに、アメリカの病院ランキング(US NEWS)の消化器・循環器系疾患分野で1位のメイヨ・クリニック(Mayo Clinic)では、肥満療法のダイエットプログラムを公表しており、この中で果物については「摂取制限なし(少なくとも3サービング)」としています。(著者注:3サービングはおおよそ300g)

 このように、ダイエット食品ともいえる果物について「食べすぎに注意」や「控えた方がよい食品」としてとりたてて記載する必要はないのではないでしょうか。逆にこのことにより誤った情報を与えることにならないか危惧しているところです。

 以上のような内容の手紙を出しましたところ、早速、病院内で見直し検討が行われ、こちらの指摘を踏まえた記述に改訂がなされました(次号参照)。当病院の迅速かつ適切な対応に敬意を表したいと思います。(次号へ続く)




□ 品種紹介:ブルーベリー「はやばや星」

 「はやばや星(はやばやぼし)」は、「コリンズ」及び「コビル」の自然交雑実生から育成された早生品種です。

 果実はやや丸みを帯びた扁円形で、円形に近く、果実重は平均1.6gです。果皮は暗青色で、肉質はやや軟、果肉の色は淡緑です。甘味は中位で、平均糖度は12.9%、酸味はやや強く、食味は濃厚です。

「はやばや星」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/
data/hinsyu/pr-hayabayaboshi.html





□ 文献紹介:食事プラス運動で乳ガンの生存率が向上

 1991年から2000年に早期の乳ガンと診断され治療を受けた女性1,490人を対象に食生活と運動習慣について調査が行われた結果、30%の女性が健康的なライフスタイルを維持していました。

 毎日5サービング以上の果物や野菜を食べ、週6日、30分ほど早歩きなどの運動を続けていた女性は、健康に気を使わない女性に比べ、乳ガン治療後10年間に死亡するリスクが44%低いことが分かりました。

 以上の結果より、研究者らは、果物と野菜の摂取と適度な運動を伴う健康的なライフスタイルの維持は、乳ガン発症後の生存率を高めることが出来ると結論づけています。

【文献】
Pierce, J. P. et al.: Greater Survival After Breast Cancer in Physically Active Women With High Vegetable-Fruit Intake Regardless of Obesity. J. Clin. Oncol., 25: 2345-2351. (2007) [DOI: 10.1200/JCO.2006.08.6819]




□ 読者から:柑橘の樹の下の土が硬くなってしまった

 こんにちは。
 このメルマガをみると、各地の旬の果物が分かるので、旅行の際は、その地域の旬の果物を食べたいとおもっています。

 ちなみに、沖縄はこれからマンゴー、パインの最盛期に入ります。是非、沖縄を訪れた際は旬のマンゴー、パインを味わってみて下さい。

 早速質問ですが、柑橘の樹ですが、植え付け時に堆肥や土壌改剤を投入して土づくりを行いました。しかし、数十年も栽培していると、土がカチカチになり、pHも柑橘に合わなくなってきています。そこで、堆肥や土壌改良材を投入したいのですが、何か良い方法はありませんでしょうか?(「沖縄パイン」)

【編集部より】
 カンキツの周りの土が硬くなるのは、長い間風雨にさらされ有機物などが少なくなり、土の中の空隙が少なくなったためです。そのため土壌改良には、土を深耕し完熟堆肥を1樹当たりリンゴ箱1〜2個分(20〜30kg程度)くらいを加えます。その際、土壌改良材として石灰を1本当たり1〜3kg加えてもよいでしょう。

 また、カンキツ樹の周囲に堆肥を置いておく(幹の廻は空ける)ことや地表面に敷草や草を生やすことも土壌改良につながります(草生管理)。草生した場合は年数回の草刈をし、刈った草は樹冠下に敷きます。

 さらに外部から土を持ち込む客土を2cm程度行うことも樹勢回復につながります。




□ 読者から:「夏みかん」へのコメント

 先月号に掲載されました佐々木様や以前、大阪府:食いしん坊様からの「夏みかん」に関する投稿を楽しく拝見してお便りします。

 みかんの大産地、和歌山でも酸っぱい夏みかんはほとんど栽培されていません、たまに民家の庭先に大木がポツンと残っている程度です。仮に栽培したとしても、市場に出せばタダ同然で手間賃もありませんので、農家にとって生産意欲の湧くものではありませんから苗木の入手さえできないのが現状です。今の農産物流通は標準的な方の嗜好に合わせた商材しか取り扱わないシステムになっているようで、夏みかんや「辛いダイコン」などが店頭に並ぶことは非常に希になりました。

 数年前、東京で乗ったタクシードライバーから”重曹(炭酸)を付けて食べた夏みかんが忘れられない”とのお話をお聞きして、急遽、栽培を始めました。仮に佐々木様や食いしん坊様のような方が1,000人に1人でもいらっしゃるとして、全国で12万人の方が好まれる計算となります。私のような個人出荷の農家は、このような方を大切にしてこそ、「毎日くだもの200グラム運動」に貢献できると考えています。

 幸い、ネット販売では、マイナーな趣向のお客様にもピンポイントで入手していただける販売方法が取れますので、今はお店で入手できなくなった昔懐かしい品種にも積極的に取り組んでいます。消費者のご嗜好を無視した経営に将来はないとの考えです。

 余談ですが、私も吉田松陰先生を尊敬して、松下村塾なども訪ねています。夏みかん発祥の地でもある山口県は歴史的に逸材の宝庫でもありますね。(和歌山県:児玉)




□ 今日は何の日:世界人口デー(7月11日)

 世界人口デーは、国連人口基金(UNFPA)が1989(平成元)年に制定した国際デーの一つです。1987(昭和62)年のこの日に、地球の人口が50億人をこえたことから、世界の人口問題への関心を深めるために制定されました。
2007年の国連人口基金の声明は下記のサイトで読めます(英文)。
http://www.unfpa.org/wpd/




□ 文学の中の果物:孫(斎藤茂吉)

 『孫は子よりも可愛いと申しますね』と人にいはれる。これは実際そのやうである。併(しか)し、何のためにさういふものであるのか、私にもよく分からない。私が二階に臥(ね)てゐると、二人の孫が下の廊下を駆(か)ける音がする。その音を聞いてゐると、何ともいへぬ可愛い感じである。私は、これが孫の可愛い感じといふものだらう、理窟(りくつ)はいろいろあるかも知れんが、吉士が佳女のこゑに心牽(ひ)かれるやうなものかも知れん、私が医科大学一年生のとき、独逸(ドイツ)のヴエルヴオルン教授の生理学汎論を読み、タクシスの説を学んだことがある、孫が可愛いなどといふのは、煎(せん)じつめれば、何か知らんあんなものでもあるのかも知れないなどと思ふことがある。

 私の祖父は一面は酒客でデカダン気味のところのあつた人だが、孫の私なども可愛がつてくれた、木苺(きいちご)の熟す時分になると、七歳ぐらゐになる私を連れて、山の谿流に沿(そ)うて上下し、木苺を籠(かご)に丹念に採つて、それを私にも食べさせてくれたのをおぼえて居る。



斎藤茂吉
 さいとう もきち、1882年5月14日〜1953年2月25日。山形県南村山郡金瓶村(現在の上山市金瓶)出身の歌人、精神科医。アララギ派を代表する歌人で、歌集「赤光」、「白き山」などが代表作。



きいちご:バラ科キイチゴ属の落葉性低木です。我が国では、平地、里山、山地に野生種が分布しています。果実は1個の子房から発達した小核果が多数集合した液果です。ラズベリーやブラックベリーもキイチゴの仲間です。




□ 今日のフォト

 ナシが大きくなっています。しゃりしゃりとした独特の食感が特徴のナシの美味しい季節がもうすぐやってきます。写真は「幸水」です。  (2007/7/13 掲載は次号まで)

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News8.html



  ■ 「果物&健康NEWS」登録依頼パンフレット

   「果物&健康NEWS」登録依頼パンフレット(PDFファイル)は下記のサイトにあります。メルマガの講読を、お勧めいただければ幸いです。
  http://www.kudamononet.com/kkr/index.html

  ■ 携帯で「果物&健康NEWS」全文を読む方法は下記に記載してあります。
  http://www.kudamononet.com/kkr/KKR-Mobile.html


☆ 編集部より ☆

 食品売り場の果物の種類や量が豊富になってきました。昨日はアンズ、今日はブルーベリーを食べました。毎日が楽しみです。(tnk)

 先月、温州みかん(ストレート果汁100%)、はっさく(濃縮還元果汁100%)、オレンジ&みかん(濃縮還元果汁100%)のジュースをそれぞれ6本ほど購入して家族で飲み比べた。さすがにストレートのみかんジュースは上品な味でおいしかったが、以外にはっさくのジュースが大好評であった。近所にもいくつか配ったところ、そちらでもはっさくのジュースが好評であった。はっさくのジュース、おすすめします。(AA)


 沖縄の西表島のピーチパイン(ソフトタッチ)を購入しました。酸味がなく、通常販売されているパインとは違った味で非常に美味しかったです、ネットなどでしか購入できないと思いますが機会があれば是非お試し下さい。(sk)


 「湿度が高くて蒸し暑いこんな時期、私と同じようにお弁当を作っている方は食中毒に気を遣っているのではないかなと思いますが、そんな時の一押しは「梅干混ぜごはん」です。

 私の場合、前はご飯にちょっと酢を入れて炊いたりしてましたが、手がすべって酢をどば
ーっと入れすぎて酢飯になってしまった失敗もあったので、梅干なら安心です。作り方はいたって簡単で、お米1合に対して梅干1個を入れて炊くだけです。炊けたらよくかき混ぜて梅干の実の部分もご飯にまぜこみます(種は除去)。

 祖母に教えてもらってから結構はまってます!梅干は殺菌作用もあるし、梅風味のご飯は食欲をそそります。

ちなみに冷奴に梅干、鶏肉ときのこの梅風味蒸し(つぶした梅干と塩・コショウで味付)にもはまっている今日この頃です。」(OA)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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