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□□■ 果物&健康NEWS Vol.160 ■□□
■ 2007年7月20日(金) ■
みなさん、こんにちは!
特集は「2型糖尿病遺伝子研究の最前線」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.
:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
◇ くだもの健康豆知識:ナシ
◇ 今週のレシピ:ナシ
◇ 2型糖尿病遺伝子研究の最前線
◇ 品種紹介:ナシ「あきあかり」
◇ 文学の中の果物:いのちの初夜(北條民雄)
◇ 読者から:要望
◇ 読者から:簡単な濃縮法
◇ 読者から:野鳥の巣立ち
◇ 日本全国野菜・くだものフェア2007を開催
◇ 平成19年度「子ども霞ヶ関見学デー」
◇ 海外旅行:植物も入国審査
◇ 今日のフォト
◇ 編集部より
□ くだもの健康豆知識:ナシ
みずみずしいナシの美味しい季節となりました。ナシには水溶性食物繊維が豊富に含まれているので、コレステロールを正常化する作用や、血糖値を下げる働きがあります。また、不溶性食物繊維は、ソルビトールとの相乗効果で便秘解消に有効です。
さらに、ブラジルで行われたヒト介入研究からダイエットにも効果が認められました。また、オランダで行われた疫学調査から気管支炎や肺気腫の予防にも有効であることも明らかとなっています。
□ 今週のレシピ:ナシ
黒川きらめき梨生産者組合作成のナシ・レシピ集です。
○ 揚げ出し梨(揚げ物)
○ 梨天麩羅(揚げ物)
○ 焼き梨(菓子)
○ ナシのコンポート(菓子)
○ 梨饅頭(菓子)
○ 梨のはさみ揚げ(菓子)
○ 黒川流 GORO GORO梨カレー(カレー)
○ 梨酢豚(中華)
下記のサイトで作り方と出来上がり写真を見ることが出来ます。
http://www.younavi.ne.jp/~amagi/nasi/recipi/recipi.html
□ 2型糖尿病遺伝子研究の最前線
日本では年々2型糖尿病患者が増加しており、予備群を含めると1600万人を超ていると報告されています。世界ではおよそ2億人が2型糖尿病と推定されています。
糖尿病は、致命的な疾病で心臓発作や脳卒中、失明、腎不全、手足切断などの原因となりますが、早い時期に自己管理を行えば予防が可能です。そのため、肥満対策や食事内容の見直しなど生活習慣の改善が必要です。
偏った食事や運動不足などのライフスタイルが2型糖尿病発症や進行のリスクを増加させることが知られていますが、治療法や予防法についの解明は、まだ十分とは言えません。そのため、2型糖尿病の背景となる遺伝子についての解析が精力的に行われています。最近、2型糖尿病の発症と関係があると考えられる新しい遺伝子が複数特定されました。
イギリス・オックスフォード大学などの研究チームは、38,759人のヨーロッパ人を調べ、2型糖尿病発症と関係するFTOと呼ばれる遺伝子の変異を特定しました(文献1)。このFTO遺伝子は肥満と関係があり、FTO遺伝子の変異を1つもつ人は持たない人と比べて体重が1.2kg重く、2つもつ人は3kg重く肥満のリスクが67%高くなっていました。この研究結果は、糖尿病発症の主な原因は肥満であるとする疫学調査の結果と一致します。
肥満になると筋肉や脂肪組織がインスリン抵抗性を示しインスリンの働きが悪くなり2型糖尿病が発症し、その結果として心臓病や脳卒中、失明、腎不全などを引き起こします。
イギリスなどの国際チームは、2型糖尿病患者5,681人と健常者8,284人の遺伝子を20億以上調べた結果、糖尿病発症と関係する2つの遺伝子を見つけました(文献2)。これらの遺伝子は、2型糖尿病の発症リスクを10〜20%増加させると考えられました。これら遺伝子はすい臓にありインスリンを作り出するβ細胞の機能や再生にかかわっていると考えられています。そのため、研究者らは、これらの遺伝子を研究するとβ細胞とインスリンの増減との関係解明に役立つと述べています。
イギリス、アメリカ、スエーデンなどの国際チームは、2型糖尿病発症と関係する画期的な遺伝子を発見しました(文献3)。発見された遺伝子は、グリコキナーゼを制御するタンパク質(GCKR)でした。グリコキナーゼは血糖値と中性脂肪を調節する酵素として知られています。このGCKR遺伝子をマウスの肝臓で過剰に発現させるとグリコキナーゼの活性が上昇し、血糖値が下がり、中性脂肪が増加することが報告されています。
このことは、血糖値を上昇させる食品を多く摂取すると糖尿病を発症しやすいとする仮説と関係するかも知れません。血糖値をあげる食品、言い換えればグリセミック・インデックス値の高い食品の摂取は糖尿病を発症しやすく、果物などのように血糖値を上げない、グリセミック・インデックス値の低い食品の摂取は糖尿病になりにくいとする仮説とGCKR遺伝子の機能とが一致します。
すなわち、血糖値を上げる食品を摂取すると、GCKR遺伝子がグリコキナーゼを介して血糖値を下げるように過剰に働き、同時に中性脂肪のレベルを上げると考えられます。この仮説は、検証が必要ですが、糖尿病発症のメカニズムとしてかなり魅力的です。
【文献】
1) Frayling, T. M. et al.: A Common Variant in the FTO Gene Is Associated
with Body Mass Index and Predisposes to Childhood and Adult Obesity. Science,
316: 889-894. (2007) [DOI: 10.1126/science.1141634]
2) Zeggini, E. et al.: Replication of Genome-Wide Association Signals in
UK Samples Reveals Risk Loci for Type 2 Diabetes. Science, 316:1336-1341.
(2007) [DOI: 10.1126/science.1142364]
3) Diabetes Genetics Initiative of Broad Institute of Harvard and MIT,
Lund University and Novartis Institutes for BioMedical Research: Genome-wide
association analysis identifies novel loci for type 2 diabetes and triglyceride
levels. Science, 316: 1331-1336. (2007) [DOI: 10.1126/science.1142358]
□ 品種紹介:ナシ「あきあかり」
「あきあかり」は、162-29(「新高(にいたか)」×「豊水(ほうすい)」)と「ナシ平塚17号(「雲井(くもい)」×「幸水(こうすい)」)を交配して出来た品種です。「幸水」より1週間程度遅れて収穫できる赤ナシで、果実は円形で条溝が明瞭、果梗が太く短いのが特徴です。平均果実重は400gで「幸水」より大きくなります。肉質はち密で柔らかく多汁です。果汁糖度は13%以上で「幸水」より高く、食味が優れています。
「あきあかり」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/
data/hinsyu/cu-akiakari.html
□ 文学の中の果物:いのちの初夜(北條民雄)
俺は死ぬのだろうかと思い出した。「今」どうして俺は死なねばならんのだろう、「今」がどうして俺の死ぬ時なんだろう、すると「今」死ななくても良いような気がして来るのだった。
☆
こういう大きな病院のことだから、毎日夥(おびただ)しい死人があるのであろう、それであんな煙突も必要なのに違いないと思うと、にわかに足の力が抜けて行った。だが歩くに連れて展開して行く院内の風景が、また徐々に彼の気持を明るくして行った。菜園と並んで、四角に区切られた苺畑が見え、その横には模型を見るように整然と組み合わされた葡萄(ぶどう)棚が、梨の棚と向かい合って見事に立体的な調和を示していた。これも患者たちが作っているのであろうか、今まで濁ったような東京に住んでいた彼は、思わず素晴らしいものだと呟(つぶや)いて、これは意想外に院内は平和なのかもしれぬと思った。
☆
北條民雄
ほうじょう たみお、1914年9月22日-1937年12月5日、小説家。ハンセン病となり隔離生活を余儀なくされた。代表作は自身の体験に基づく名作「いのちの初夜」や「癩家族」、「癩院受胎」など。川端康成がその才能に感動した「いのちの初夜」は文學界賞を受賞した。
□ 読者から:要望
お世話になります。小生は、鳥取にて果物屋を営んでおります。毎回、貴省メルマガは楽しみにしております。私事で恐縮ですが、要望をさせて頂きます。
過日、行政の福祉課保健士さんが講演された際ですが、「果物は一日リンゴ一個食べればいい」と言われました。理由は「メタボの原因になる」とのこと。私が、果物屋だから「?」と思いましたが、一般の方は信用されるはずです。
こうした誤解を世に公表されないよう、行政側の再教育をお願いできないでしょうか。公衆の面前で否定することは、彼女の立場も考え控えましたが聴衆から「果物ダイエット」の本に書いてあることと違うとか「あの人は思い込みで話しているのかも」などと囁きが聞こえておりました。ご一考頂ければ幸甚に存じます。(ウシガエル)
【編集部より】
メールありがとうございました。「果物は太る」「果物は糖尿病に悪い」などの誤解を解くための努力を続けていますが、意識改革にはどうしても時間がかかってしまいます。
私どもが作成しておりますパンフレットや「毎日くだもの200グラム」の運動指針等を福祉保健部等へも配布して情報提供を行っていきたいと思います。今後ともご支援をお願いいたします。
□ 読者から:簡単な濃縮法
果実のジュースでゼリーなどを作られる方は多いのですが、ケーキにする場合、使える水の分量が限られてくるので香りもでません。そんな場合、コップに入れて冷凍しておくと水と濃いジュースに別れます。上の水を捨てて濃縮することでケーキにもおいしく濃いものが使えます。
何かの折りにお役に立てばお使い下さい。濃縮でお困りの方が多いので簡単な方法としてお勧めしています。(M)
□ 読者から:野鳥の巣立ち
毎号果物&健康NEWS メルマガ楽しみに拝読させていただいております。
青森県弘前でりんご農家を営んでいるものですが、趣味でりんごにまつわる写真や動画を楽しんでいます。ワッチミー!TVというサイトに、りんごの作業をや津軽の四季などの動画を投稿して楽しんでいますが、今回『野鳥の巣立ち』という題でりんご園の野鳥の巣作りの模様を掲載しました。
農薬回数(農薬散布間隔約1ヶ月)が少ないせいか、あちらこちらに小鳥の巣が点在します。今どきのりんご園の風景としてご紹介いただければと思います。
◇ワッチミー!TVアドレスです。
http://www.watchme.tv/v/?mid=94423888bf96c
270615197b61e7cc695
これからもよろしくお願いします。(青森県:せなりー)
□ 平成19年度「子ども霞ヶ関見学デー」
農林水産省では、今年も8月22日(水)、23日(木)に子ども霞ヶ関見学デーを開催します。今年のテーマは「きて!みて!体験!! ようこそ農林水産省へ!」です。
「体験!園芸教室!(みんな食べてる?野菜と果実、気軽に育てようきれいなお花)」、「もっと身近にバイオマス」、「海岸漂着流木のアート教室」、「クイズ・紙芝居・ビデオ鑑賞」、「クラフトコーナー・木工教室」などなど、様々なイベントが予定されています。皆様のおいでをお待ちしています。
昨年までの様子を下記のサイトでご覧いただけます。
http://www.maff.go.jp/kodomo/video.htm
実施日:8月22日(水)、23日(木)午前10時から午後4時まで
集合場所:農林水産省本館7階講堂
(本館正面玄関は工事中のため使用できません。ご注意下さい)
受付時間:午前10時から午後3時45分まで
問い合わせ先:農林水産省大臣官房情報課
電話番号:03-3501-3779(直通)
※昨年度の農林水産省会場への訪問者数は2,744名で、参加府省庁中3年連続1位でした。
□ 海外旅行:植物も入国審査
海外のお土産に植物(果物、野菜、切り花など)をとお考えの皆様、植物も入国審査が必要です。渡航先の病害虫の発生状況などにより、植物を国内に持ち込めないことがあります。事前にチェックしておきましょう。
輸入が禁止されている植物
http://www.pps.go.jp/faq/import/kinshi.html
輸入時に検査が必要な植物
http://www.pps.go.jp/faq/import/kensa.html
検査が必要のないもの
http://www.pps.go.jp/faq/import/fuyou.html
さらに詳しくは植物防疫所ホームページをご覧下さい。
http://www.pps.go.jp/faq/index.html
□ 今日のフォト
モモの最盛期は7月と8月です。今年のモモは糖度が高くとても美味しくできています。写真はモモの代表的な品種の1つである「白鳳」です。
(2007/7/20 掲載は次号まで)
http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News9.html
■ 果物かごに「くだもの」が一杯の夏
☆ 編集部より ☆
8月1日から農林水産省野菜課と果樹花き課が統合し、園芸課となるので、次回(8月上旬)の配信からは園芸課消費班からの配信となります。
園芸課となっても当メルマガ「果物&健康NEWS」は変わりなく配信しますので、今後もよろしくお願いします。(sk)
北條民雄さんは24才で亡くなりました。「いのちの初夜」は、亡くなる前年に発表されました。学生時代に読んだときは気づかなかったのですが、引用した部分を読み返してみると、味わいのあるいい文章だと思いました。果物には命があることを改めてかみしめています。(tnk)
私のふるさと新潟が3年前の中越地震に続いて、また、大きな被害を受けてしまいました。
被災した皆様に心よりお見舞い申し上げます。余震や降雨でこれ以上被害が広がらないように祈るばかりです。被災者の皆様が1日も早く美味しい桃をゆっくりと味わえる日が来ますように...。「頑張ってますよ。新潟!」。 (uru)
「この時期スーパーにはいろんな種類の国産果物が並んでいて目移りします。先週は、私の大好きないちじくだ、と思ってよくよく見たらソルダムでした。桃やスイカもよく見かけます。個人的には、桃の皮を向いて(なかなかうまくむけませんが)、がぶっとかぶりつくのが好きです。汁が服にたれると染みになるのと歯の隙間に桃の繊維がはさまるのが難点ですが、桃1個を完食すると身も心も大満足です。」(OA)
果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。
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ご協力に感謝いたします。 編集長 敬白
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