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第173回
「ガン予防には果物・野菜の摂取と肥満解消

  




□□■ 果物&健康NEWS Vol.173 ■□□
   ■ 2007年11月9日(金) ■


みなさん、こんにちは!
特集は「ガン予防には果物・野菜の摂取と肥満解消」です。
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 ◇ くだもの健康豆知識:クリとクリタマバチ
 ◇ 今週のレシピ:クリ
 ◇ ガン予防には果物・野菜の摂取と肥満解消
   −世界ガン研究基金・アメリカガン研究財団の報告より
 ◇ 品種紹介:クリ「秋峰」
 ◇ 文献紹介:ライフスタイル改善でで女性の心臓発作予防
 ◇ 文学の中の果物:たべものの木(若山牧水)
 ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◆ 広告(とりあえず みかん編)
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:クリとクリタマバチ

 シバグリやニホングリは、北海道南部から九州全土に分布しており、多くの品種が知られていました。ところが、クリの害虫であるクリタマバチにより「銀寄」など一部を除き在来品種の大部分が枯死し、淘汰されてしまいました。

 クリタマバチは、クリの新芽に卵を産み、虫こぶを作ります。虫こぶができた新芽は伸長できなくなり、花も咲かず枯死します。昭和16年岡山県でクリタマバチの発生が初めて認められ、その後全国のクリ園に広がりました。

 そのため、農研機構果樹研究所によりクリタマバチ抵抗性品種の育種が行われ、「筑波」、「石鎚」などの品種が育成されました。現在、農研機構果樹研究所には約150品種・系統が保存されています。




□ 今週のレシピ:クリ

○ リンゴに化けたモンブランシュー

材料(5個分)
 マロンクリーム(クリの甘露煮 200gなど)、生クリーム 50ml、シュー生地 、カスタードクリーム、飾り用(クリの甘露煮(小切り)など)

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.bob-an.com/recipe/OutputMain.asp?
KeyNo=04464&PG=26694380&ST=11&Z=04&CTop=
0&D=3&RC=%82Q%82O&cnt=1&sch=%8CI


○ 鮭の朴葉焼き

材料(4人分)
 クリの甘露煮 4粒、生鮭(上身) 300g、ギンナン(ゆでたもの) 12粒、スダチ 2コ、マイタケ 100g、シメジ 100g、朴葉 4枚など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.bob-an.com/recipe/OutputMain.asp?KeyNo=
05050&PG=26694380&ST=11&Z=04&CTop=0&D=3&RC=
%82Q%82O&cnt=1&sch=%8CI





□ ガン予防には果物・野菜の摂取と肥満解消
  −世界ガン研究基金・アメリカガン研究財団の報告より


 世界ガン研究基金 (WCRF) とアメリカガン研究財団(AICR)が「食品、栄養、運動とガン予防」のレポートを11月1日に発表しました(文献)。この報告は、委員長のマイケル・マーモット(Michael Marmot)教授以下21人の著名な科学者によるパネルが編集しました。日本からは九州大学名誉教授の廣畑富雄先生がパネルに参加しています。

 研究報告は膨大で、ガンの予防に利用できる最も包括的な内容となっています。この研究報告では、1960年代以降に発表された50万件の研究報告から7000件選択し、新しく開発した研究評価法によってガンに影響を及ぼす食事や環境など生活因子を科学的に評価しました。そして、その結果をもとに「ガン予防のための10ヶ条」を勧告しています。また、この勧告は心臓病予防にも役立つとマーモット委員長が述べています。

 健康な体重の範囲でできるだけ痩せるように努め、成人期になってからは体重が増えないようにすることを勧告しています。体脂肪の増加は、7つのガン(大腸ガン、閉経後の女性乳ガン、食道ガン、すい臓ガン、子宮体ガン、腎臓ガン、胆嚢ガン)のリスクを増加させると判断されました。体脂肪が増加すると、乳ガンのリスクを高めるエストロゲンなどのホルモンが放出されます。また、ウエストの周りの体脂肪は、ガンのリスクを高める成長ホルモンの生成を促進します。

 運動は少なくとも3つのガン(大腸ガン、閉経後の女性の乳ガン、子宮体ガン)のリスクを減少させます。逆に、運動をしないとガンのリスクが高まります。そのため、1日に30分間の少し息切れするぐらいの活発なウォーキング(適度な運動)を始めるように勧めています。望ましい運動は1日あたり60分間の適度な運動、または30分間の強めの運動を勧告しています。

 食事では、植物性の食品を多く摂取するように勧告しています。個人に対しては、果物と野菜を少なくとも1日に 5サービング以上を摂取することを勧めています。また、公衆衛生の政策上の観点からの目標はさらに高く、果物と野菜を少なくとも1日当たり600グラム以上摂取することを勧告しています。

 ガンのリスクを下げる食品として果物は最も効果的な食品で、4つのガン(口腔・咽頭・喉頭ガン、食道ガン、胃ガン、肺ガン)のリスクを下げます。次いで、非デンプン性の野菜は3つのガン(口腔・咽頭・喉頭ガン、食道ガン、胃ガン)のリスクを下げると判断されています。従って、日々の食事にはカラフルな果物や野菜を摂取してビタミンやミネラル、ポリフェノールなどのファイトケミカルの摂取を勧告しています。

 牛肉や豚肉などの赤味の肉の摂取は、1週間あたり生肉で700グラム未満にするように勧めています。また、ハムやベーコンのような加工肉は避けるように勧めています。

 アルコールの摂取は7つのガン(大腸ガン、閉経後の女性の乳ガン、食道ガン、胃ガン、肺ガン、すい臓ガン、前立腺ガン)のリスクを高めるので、飲酒を控えるように勧めています。

 さらに、サプリメント、甘い飲料、お菓子などの加工食品、塩分の多い食品を避けるように勧告しています。


ガン予防のための10ヶ条(勧告)

1.体重不足にならない範囲で、できるだけ体重を少なめに保ってください。
2.毎日、30分間以上の運動をしてください。
3.甘い飲み物を避けてください。高カロリー食品の摂取を減らしてください。特に、糖分や脂肪を多く含む、あるいは、食物繊維が少ない加工食品は控えましょう。
4.いろいろな果物と野菜、全粒穀物、豆類を食べましょう。
5.赤味の肉は食べる量を減らし、加工肉を避けましょう。
6.飲酒は飲まないか少量に控えましょう。
7.塩辛い食物と塩によって加工された食物の摂取は減らしましょう。
8.ガンの予防にサプリメントを使用しないようにしましょう。
9.赤ちゃんのいる母親は生後6カ月まで母乳だけで育てて、次いで、他の飲料と食物を加えるのが最良です。
10.ガンに打ち勝った人々は、ガンの治療後にガン予防のための勧告に従ってください。

番外. 煙草を吸わないでください。

【文献】
World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research: Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. Washington DC: AICR, (2007)

下記のサイトから全文を読むことが出来ます。(PDFファイル、全537ページ:11.96Mb)
http://news.bbc.co.uk/1/shared/bsp/hi/pdfs/
31_10_07_dietcancer.pdf





□ 品種紹介:クリ「秋峰」

 クリ「秋峰(しゅうほう)」は、「筑波」と「524−1(「利平ぐり)×「クリ平塚24号」)」を交雑して出来た品種です。母親品種の「利平ぐり」はチュウゴクグリの雑種と推測されている品種です。果肉は「筑波」より黄色味が強く、貯蔵後も果肉色の変化が比較的少ないのが特徴です。粉質で甘味、香気が多く、食味良好です。

「秋峰」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.kasyukyo.or.jp/hinsyu/syuuhou.html





□ 文献紹介:ライフスタイル改善で女性の心臓発作予防

 バランスの良い食事、適量のアルコール、運動、禁煙、適正な体重を維持している閉経後の女性は、心筋梗塞につながる心臓発作のリスクが極めて低いと、スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究グループが発表しました。

 研究では、2万4444人の閉経後の女性を対象に、食事などライフスタイルについて6年間追跡調査しました。その結果、沢山の果物、野菜、全粒粉、魚、マメ科植物を食べ、適量のアルコール(1日当たり5グラム以下)を飲んでいた閉経後の女性は、心臓発作のリスクが67%低いことが分かりました。また、それに加えて禁煙、運動、適正体重を維持していると心臓発作のリスクが92%低くなりました。

 以上の結果から、研究者らはライフスタイルを改善すれば心筋梗塞につながる心臓発作を予防できると述べています。

【文献】
Akesson, A. et al.: Combined Effect of Low-Risk Dietary and Lifestyle Behaviors in Primary Prevention of Myocardial Infarction in Women. Arch. Intern. Med., 167: 2122-2127. (2007)




□ 文学の中の果物:たべものの木(若山牧水)

 栗は花も木もわづらはしいが、乾いた落葉と、その中に實(み)を含みながら笑みわれて落ちてゐる毬(いが)を見るのは樂しい。毬ばかりか、それこそ、本當の栗色をしたあの實の形も可愛いいではないか。柿が田舍の村の日向を思はすならば、この落栗は野山の日向であらう。うまいのはそれこそ野山の灌木林などにある實の小さい柴栗がうまいが、うちにあるのは今のところみな丹波栗である。これもいま花をつけつゝある。



若山 牧水(わかやま ぼくすい:明治18年(1885年)8月24日 - 昭和3年(1928年)9月17日)。宮崎の生まれ。本名、繁。自然主義の歌人で、歌誌「創作」を主宰。歌集に「海の声」「別離」などがある。




□ 今週の果物

 今週は「生鮮食料品のマーケット・レポート」がないので、東京大田市場と大阪本場市場の果物情報を紹介します。

 リンゴ(「ジョナゴールド」、「ふじ」、「王林」など)、早生ミカン、カキ(「平核無」、「富有」、「次郎」など)が豊富に出回っています。また、セイヨウナシ(「ラ・フランス」)、クリ、スダチやユズも人気です。

 11月から出荷の始まった早生ミカンは、糖度も高く、ほどよい酸味になっているので、美味しいミカンが楽しめます。




□ 今日のフォト

 天高くカキ実る秋です。農研機構果樹研究所の圃場では渋柿の「平核無」がたわわに実っています。

 「カキが赤くなると医者が青くなる」
 カキを食べていれば病気とは縁遠くなるとの諺です。「青くなる」とは、患者がいなくなって医者が困ってしまうという意味です。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News22.html
  (写真掲載終了)




■ 広告(とりあえず みかん編)

 とりあえず みかん!

 (食事バランスガイドでは毎日みかん2つ)



☆ 編集部より ☆

 大げさにいえば、研究者生命をかけて、果物を毎日200グラム以上摂取する必要性を提唱しました。このことに対して内部、外部から批判や酷評をいただいてきました。でも、今回紹介した世界ガン研究基金の報告は、主張に対する強力な科学的裏付けとなるものです。ほっとしています。(tnk)

 とある店で女性がパフェを食べているときの会話。「私ブドウって苦手」「私も。おいしいんだけど、皮をむくと爪が青くなるんだよね〜」それって苦手の理由になるんかい!と思ってしまうのは私だけでしょうか。(KT)




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