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第174回 ガンの予防:その科学的根拠

  




□□■ 果物&健康NEWS Vol.174 ■□□
   ■ 2007年11月16日(金) ■


みなさん、こんにちは!
特集は「ガンの予防:その科学的根拠」です。
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 ◇ くだもの健康豆知識:サルナシ
 ◇ 今週のレシピ:サルナシ
 ◇ ガンの予防:その科学的根拠
 ◇ 品種紹介:サルナシ「香粋」
 ◇ 文献紹介:果物、野菜、魚の摂取で認知症予防
 ◇ マタタビとネコ
 ◇ 文学の中の果物:大菩薩峠−山科の巻(中里介山)
 ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◆ 広告(宇宙編)
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:サルナシ

 サルナシ(Actinidia arguta)は、マタタビ科に属する雌雄異株または雌雄雑居性の落葉性つる植物です。その仲間にはマタタビ(A. polygama)や、シナサルナシ(A. chinensis)などがあります。シナサルナシを品種改良したものがキウイフルーツです。

 サルナシは、日本全国に自生しており、果実はキウイフルーツより小ぶりで、表面に毛がないため皮をむくことなく食べることが出来ます。キウイフルーツよりも香りが強く、かすかな酸味と甘みが特徴です。果実酒やジャムなどの加工品にも利用されています。




□ 今週のレシピ:サルナシ

○ サルナシ(ベビーキウイ)ジャム

材料
 サルナシ 400g(約 60個)、グラニュー糖 140g

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www1.ttv.ne.jp/~kiwi/jam_babykiwi.html




□ ガンの予防:その科学的根拠

 世界ガン研究基金のレポートは、何がガンのリスクに影響するかを科学的に解析したうえで、ガンの予防のための勧告を行いました(文献)。

 専門家によりガン予防に対する意見が異なる場合があります。このことは、科学の本質と関係がありますが、ガン予防に対する政策決定を行うとき、しばしば混乱をもたらします。そこで、科学的な評価基準により、関連するすべての証拠(7000件以上の文献)を調べたうえで、国際的なガンの専門家による調査委員会で最終判断を行い、レポートが作成されました。レポートでは、果物や野菜を多く、赤肉を減らし、アルコールを控えるなどのバランスの良い食事を摂取し、体重を適正に保ち、毎日少なくとも30分の運動を行えば、ガン発症のリスクが下がると結論づけています。

 今回の解析で体脂肪の増加は、食道ガン、すい臓ガン、大腸(結腸直腸)ガンなどと明らかに関係しており、かつ、体重の増加とも関連していることから、適正体重を保つことを勧告しています。そのため、エネルギー密度の高い食品(肉など)の摂取を少なくして、エネルギー密度の低い食品(果物や野菜など)の摂取を多くすることを勧告しています。

 今回の報告に対して著者の1人であるアメリカ・ハーバード大学ウィレット(Walter J. Willett)博士は「ガンの発症は、長年にわたり数多くの環境因子の影響を受けた結果であると考えるべきであり、ガンになるか否かは遺伝子と日々の生活習慣とによって決まるので、予防には日常生活の選択が重要である」と述べています。

 また、アメリカ・ガン協会(ACS)のドイル(Colleen Doyle)氏は、今回のレポートの結果はアメリカガン学会のガイドラインと一致しているとして、体重管理の重要性を指摘しています。アメリカガン研究財団(AICR)のコリンズ(Karen Collins)氏は「体重に注意し、定期的に運動し、バランスのとれた健康的な食事を摂ることで、ガンの3分の1は予防できる」と述べています。

【用語解説】
エネルギー密度
 エネルギー密度(energy-density)とは食物の重量あたりのカロリー量のことです(表)。エネルギー密度の低い食品は、水分含量と食物繊維が多く、かつ、微量栄養成分が豊富なことが知られています。


表 食品100g当たりのエネルギー密度
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品目      エネルギー密度(kcal/100g)
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【エネルギー密度の低い食品】
ニホンナシ      43kcal
ウンシュウミカン   46kcal
(普通、じょうのう)
リンゴ        54kcal
ニンジン       37kcal
(根、皮むき、生)
パセリ        44kcal
ゴボウ        65kcal
−−−−−−−−−−−−−−−−−
【エネルギー密度の高い食品】
うし(赤肉)     201kcal
(脂身付き)     286kcal
ベーコン       405kcal
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


【文献】
World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research: Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. Washington DC: AICR, (2007)

http://news.bbc.co.uk/1/shared/bsp/hi/pdfs/
31_10_07_dietcancer.pdf





□ 品種紹介:サルナシ「香粋

 サルナシ「香粋(こうすい)」は、「一才サルナシ」に「マツア」を交配して作られた品種です。果実表面は緑褐色で、全くの無毛です。果実の大きさは30〜50g程度で、果肉は濃緑色、甘みが非常に強く(糖度17〜20)食味良好です。収穫後、自然追熟の進行が早く貯蔵期間が短いので注意が必要です(10月下旬収穫5℃貯蔵で約1カ月)。

「香粋」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/data/hinsyu/pr-saru-kousui.html





□ 文献紹介:果物、野菜、魚の摂取で認知症予防

 フランスの研究グループは、食事パターンと認知症との関係を調べ、果物、野菜、魚、ω3系不飽和脂肪酸(いわし、あじ、さば、などの青みの魚の脂肪に多く含まれる)の摂取量が多いと認知症のリスクが減ると発表しました。

 研究では65歳以上の男女8,085人を対象に4年以上にわたって追跡調査が行われました。その結果、毎日果物と野菜を摂取している人は、そうでない人と比べ認知症のリスクが28%低いことが分かりました。また、魚を1週間に1回食べた人は、食べなかった人と比べて認知症のリスクが40%、アルツハイマー病のリスクが35%低くなりました。さらに、ω3系不飽和脂肪酸を多く含むオイルを使用していると認知症のリスクを下げる可能性があり、ω6系不飽和脂肪酸を使用しているとリスクを高めることが分かりました。

 以上の結果より、研究者らは果物、野菜、魚、ω3系不飽和脂肪酸を多く含むバランスの良い食事を摂取していると認知症やアルツハイマー病を予防できると述べています。

【文献】
Barberger-Gateau, P. et al.: Dietary patterns and risk of dementia. The Three-City cohort study. Neurology, 69: 1921-1930. (2007)




□ マタタビとネコ

 マタタビは、九州から北海道にかけて広く分布しています。マタタビの名は、旅先で疲れた人がこの実を食べたらたちまち疲労が回復して元気になり、旅が続けられたことに由来するという説など、諸説があるようです。

 マタタビには、マタタビラクトンやアクチニジンが含まれており、こうした物質にはネコを酩酊状態にする作用があります。「ネコにマタタビ」としてよく知られていますが、ライオンやトラ、ヒョウにも効果があるようです。




□ 文学の中の果物:大菩薩峠−山科の巻(中里介山)

 この無比の豪犬を相手に今、米友は組んずほぐれつしている。気が短くて、喧嘩っ早いにかけては名うてのこの小男は、ここへ来るともうこのザマだ。だが、格闘でも、喧嘩でもない、米友が犬を愛し、犬が米友に懐(なつ)く、一見旧知の如しというのがこれで、人に許さざる犬が、米友には許す、猫がまたたびに身を摺(す)りつけるように、犬の眼から見ると、米友はまたたびのような人種で、慕い寄られる素質を持っている。



中里 介山(なかざと かいざん、1885年(明治18年)4月4日 - 1944年(昭和19年)4月28日)。
 小説家。本名は、中里 弥之助(やのすけ)。東京都羽村市生まれ。1913(大正2)年「大菩薩峠」の連載を「都新聞」で開始し、1941(昭和16)年まで書き継がれるが、未完に終わる(全41巻)。その他に、聖徳太子に材をとった「夢殿」、法然上人を描いた「黒谷夜話」などがある。




□ 今週の果物

 リンゴ、ミカン、カキが豊富に出回っています。また、ニホンナシ、セイヨウナシ、キウイフルーツ、ブドウも人気です。

 食味の良い早生ミカンが好評です。リンゴは「ジョナゴールド」、「陽光」、「ふじ」、「王林」などが、カキは「平核無」「富有」、「次郎」など、個性ある品種が出揃いました。ニホンナシは「あきづき」、「南水」、「新興」、セイヨウナシは「ラ・フランス」、ブドウは「巨峰」、「ピオーネ」などです。

生鮮食料品のマーケット・レポート(11月12日発行)は下記のサイトです。
http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/
market2007-11-1/market2007-11-1.htm





□ 今日のフォト

 秋も深まり、リンゴの品種がたくさん出回ってきました。それぞれ味や形に個性があるので、色々な品種にチャレンジしてみてください。

 写真は農研機構果樹研究所で育成された「こうたろう」(赤色)と「きたろう」(黄色)です。赤と黄色のリンゴは食卓を彩ったり、香りで部屋を満たしたます。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News23.html
  (写真掲載は次号まで)




■ 広告(宇宙編)

 くだもの:宇宙飛行士も食べてますよ。

(食事バランスガイドでは毎日くだもの2つ)



☆ 編集部より ☆

 いつのまにか11月も半ばになり、忘年会の日も決まりました。まだまだ今年中にしておかなければならない仕事が沢山残っています。大変です。(tnk)

 今週は果物の展示会でした。果物が健康にいいことをみんなに分かってもらえて、とてもいい気分です。メルマガのチラシもたくさん配りました。仲間が増えるといいな。(AH)

 今日はすでにみかん2つで果物200g消化。帰ったら、「にっこり」が待っています。初めて食べるので楽しみです。(KT)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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