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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第175回
 ガン予防:エビデンスだけでは不足です

  




□□■ 果物&健康NEWS Vol.175 ■□□
   ■ 2007年11月22日(木) ■


みなさん、こんにちは!
特集は「ガン予防:エビデンスだけでは不足です」。
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:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:カボス
 ◇ 今週のレシピ:カボス
 ◇ ガン予防:エビデンスだけでは不足です
 ◇ 品種紹介:カボス「豊のミドリ」
 ◇ 果物の小話:スモモの雑学
 ◇ 今週の果物
 ◇ プレスセミナー札幌
 ◇ みかん祭り2007
 ◇ 今日のフォト
 ◆ 勤労感謝の日(11月23日)
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:カボス

 カボス(異名:香橙、カボスユ、本カボス、シャンス)の正確な起源ははっきりしていませんが、約300年前には現大分県で栽培されていたようです。

 大分県臼杵市字乙見には元禄8年(1695)に稲葉藩在住の医師が、苗木か種子か不明ですが、京都からスダチを持ち帰って植えたと伝えられています。現在も樹齢100年以上の古木が臼杵市に多く残っています。

 カボスは、ユズ、スダチと並ぶ我が国の主要な香酸カンキツです。香酸カンキツとは食酢等に用いられるカンキツの便宜上のグループ名です。




□ 今週のレシピ:カボス

 かぼすドリンクアイデアの入賞作品です。

○ かぼす牛乳
材料;かぼす 1/2個、氷7片、バナナ1本、牛乳 200cc

○ かぼすゼリーinソーダ
材料:かぼす 中3個、水 200cc、砂糖 大さじ6杯、粉寒天 5g

○ カボスムージー
材料:かぼす 1/2〜1/4個、飲むヨーグルト 250cc、氷 6〜7個

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.blue.oit-net.jp/kabosu/page/recipe.html




□ ガンの予防:エビデンスだけでは不足です

 世界ガン研究基金のレポート「食品、栄養、運動とガン予防」には、「グローバルな視点」との副題がついています(文献)。レポートでは、まず世界で発症しているガンについて検討を行い、食生活などの変化に伴うガン発生部位の変遷について解析し、ガンが生活習慣病であることを明らかにしています。

 次に、7000以上の文献を科学的に解析を行いました。この文献のことをエビデンス(科学的根拠)と言いますが、レポートを作成したパネリスト(世界のガン研究者21人)は、政府や個人にガン予防のための勧告を行うためには、エビデンスがあるだけでは不足であると考えています。その理由は文献により結果が異なっていることがあるためです。従って、そうした結果の相違を科学的に解析し、評価を行いました。

 評価は、予防に役立つ生活因子(ガンを予防するのが「確実」、「ほぼ確実」、「可能性あり」)、発症に関与する因子(ガンの発症に関与するのが「確実」、「ほぼ確実」、「可能性あり」)に分けて評価が行われました。以下食品についての評価結果を紹介します。

 果物は、予防効果が「ほぼ確実」と評価されたのは、口腔・咽頭・喉頭ガン、食道ガン、胃ガン、肺ガンの4つで、「可能性あり」と評価されたのは、鼻腔ガン、すい臓ガン、肝臓ガン、大腸ガンの4つです。

 非デンプン性の野菜では「ほぼ確実」と評価されたのは、口腔・咽頭・喉頭ガン、食道ガン、胃ガンの3つで、「可能性あり」は、鼻腔ガン、肺ガン、大腸ガン、卵巣ガン、子宮体ガンの5つです。ネギ類は胃ガンに対して「ほぼ確実」、ニンニクは大腸ガンに対して「ほぼ確実」、ニンジンは頸ガンに対して「可能性あり」と評価されました。

 魚類は大腸ガン予防に「可能性あり」、乳類は大腸ガン予防に「ほぼ確実」、膀胱ガン予防に「可能性あり」と評価されました。

 予防効果ありとの評価がなかった食品群は、穀類、肉類(鶏肉を含む)、卵類、脂質、オイル、砂糖、食塩、水、ジュース、ソフトドリンク、ホットドリンク(コーヒー、紅茶、茶など)、アルコール飲料です。

 以上の科学的評価結果をもとにレポートを作成したパネリストは、ガン予防のために「ほぼ確実」と判定され、かつ、ガン発症に関与しないとされた食品(果物、非デンプン性の野菜、ネギ類、ニンニク)の摂取を勧めています(表)。従って、摂取が勧められた食品の中で果物は最も多く、次いで非デンプン性の野菜と言うことになります。

 そして、ガン予防のために、このレポートでは、個人に対し果物と野菜を少なくとも1日に 5サービング以上を摂取することを勧告しています。また、公衆衛生の政策上の観点からの目標は、さらに高く果物と野菜を少なくとも1日当たり600グラム以上摂取することを勧告しています。

 「果物ってそんなにいいの」、「エビデンスがあるとされているあの食品がない」など、この科学的評価結果に驚かれたのではないでしょうか。1997年に世界ガン研究基金が発表した前回の評価結果はその後の生活習慣病予防の研究に大きな影響を与えました。今回の報告は、さらに進化した手法で各食品が評価されています。


表 ガン予防のためにレポート作成者(パネリスト)が勧める食品
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品目     ガンの部位
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果物     口腔・咽頭・喉頭ガン、食道ガン、胃ガン、肺ガン
非デンプン性 口腔・咽頭・喉頭ガン、食道ガン、胃ガン
の野菜
ネギ類    胃ガン
ニンニク   大腸ガン
上記以外食品 なし
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【文献】
World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research: Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. Washington DC: AICR, (2007)




□ 品種紹介:カボス「豊のミドリ」

 「豊のミドリ(とよのミドリ)」は、カボスの枝変わりです。推定樹齢80年のカボスの古木の枝の1本が、枝梢の節間が短く枝葉が密生しており、普通系カボスに比べて葉色、果皮色共に緑色が濃い枝変わりになっているのが発見されました。
 果実は扁円形で大きさは120g内外で、果皮は滑らかで緑色が濃く、果汁の糖度、酸ともに普通系カボスより高いため、長期間の貯蔵に適した品種です。

「豊のミドリ」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/
data/hinsyu/yutakamidori.html





□ 果物の小話:スモモの雑学

 スモモの仲間は、約30種あります。その内、果樹として最も価値の高い種は、ヨーロッパスモモと日本スモモ(英名Japanese plum)です。日本スモモの原生地は中国の長江沿岸地帯とされています。ここで、不思議に思うのは中国原生のものを何故、日本スモモと言うのでしょうか。

 原生地の中国から日本にスモモが渡来したのは、奈良時代以前とされています。『日本書紀』『古事記』『万葉集』にもその名が見られ、江戸時代には栽培も多少普及していたようです。ただ、江戸時代の人でも果実が酸っぱく、余り好まれなかったようです。このように、スモモは古くから日本にあるため原生地のように誤解されたこと、スモモが米国へ伝わったのは主にわが国からであることから、日本スモモと言われるようになったと想像されます。なお、日本スモモのことを、中国では中国李と呼んでいます。

 日本から米国に渡ったスモモに「甲州大巴旦杏(こうしゅうだいはたんきょう)」があります。米国のジョン・ケルシーが本品種を米国で栽培し、「ケルシー」または「ケルシージャパン」という英名を付けました。本品種は、大正末期にわが国へ逆導入されていますが、米国で英名を付けられただけで、「甲州大巴旦杏」そのものです。そもそも「甲州大巴旦杏」は、文政年間に現山梨県の医師大久保章玄が長崎より持ち帰ったと伝えられています。

日本スモモについて中国はわが国に対して、また「ケルシー」についてわが国は米国に対して“庇を借して、母屋を取られる”の感があります。

 スモモは漢字では李と書きますが、スモモという名称は“酸っぱい桃”から「酸桃」とついたとも、果皮に細毛がないため「素桃」と呼ばれたとも言われています。 (間苧谷)




□ 今週の果物

 東京大田市場、大阪本場市場の入荷情報を紹介します。
 糖度が高く美味しいと評判の早生ミカンや、リンゴ(「ジョナゴールド」、「ふじ」、「王林」、「紅玉」、「陸奥」など)、カキ(「平核無」、「富有」、「次郎」など)が豊富に出回っています。
 また、セイヨウナシ(「ラ・フランス」)、クリ、ブドウ、スダチやユズ、キンカンも人気です。




□ プレスセミナー札幌
  皮ごと食べて健康長寿〜果物からはじまる食育〜


 「毎日くだもの200グラム運動」プレスセミナー「メタボリックシンドローム対策としてのくだもの」を開催いたします。

 果物は野菜と同様に毎日の食生活に欠かせない食品と位置づけられており、「食事バランスガイド」とその中で果物を2つ(200g)とることをすすめる「毎日くだもの200グラム運動」について紹介します。

当日プログラム
「食事バランスガイド」と「毎日くだもの200グラム運動」について
 中央果実生産出荷安定基金協会
果物の誤解「太る」「糖尿病に悪い」を解く
 農研機構果樹研究所上席研究員 田中敬一氏
皮ごと食べて健康長寿〜果物からはじまる食育〜  
 東京女子医科大学名誉教授 村田光範先生 
北海道の最新果物事情
 余市町農業協同組合営農部長 田村政司氏
オリジナルレシピ試食会 
 ロイトン札幌洋食料理長・木村敦氏考案による、北海道産のくだもの(りんご、洋なし)などを使ったオリジナルレシピ

対象者:プレス関係者
日時:11月26日(月) 13:30〜15:00(受付13:00)
場所:ロイトン札幌
主催:食育啓発協議会(中央果実生産出荷安定基金協会)

問い合わせ先
「毎日くだもの200グラム」プレスセミナー広報事務局(電通PR内)
TEL:03-5565-2737 FAX:03-5565-4467




□ みかん祭り2007

 今年も「10万人のふれあい広場2007」において「みかん祭り2007」が開催されます。大阪城公園太陽の広場において、みかん祭り参加県による試食・販売ブースを設置し、試食を主体としたチャリティー販売を行うとともに、くだものの機能性等のパネル展示を行います。

日時:平成19年11月23日(金・祝) 9:00〜15:00
   みかん祭り2007のステージスケジュール
   午前10時30分と午前11時30分の2回
場所:大阪城公園 太陽の広場

みかん祭りの案内は下記のサイトです。
http://www.nichienren.or.jp/home/topic/News/mikanfes.htm

ラジオ大阪10万人のふれあい広場2007は下記のサイトです。
http://www.obc1314.co.jp/fureai/




□ 今日のフォト

 北海道や青森から初雪の便りが聞かれる頃となりました。日が短くなりました。札幌の日の入りは16:07、東京は16:31、福岡は17:13、那覇は17:38です(11月21日)。太陽の位置も低くなり午後直ぐに大きな影を作ります。

 写真はほぼ収穫の終わったニホンナシの育種圃場です。木々の影が長くなっています。深とした静寂を感じさせる午後です。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News24.html
  (掲載終了)




■ 勤労感謝の日(11月23日)

 勤労をたっとび、生産・収穫に感謝する日です。秋の豊穣に感謝しつつ果物を食べましょう



☆ 編集部より ☆

 今週の金曜日は勤労感謝の日なので、少し早くメルマガを配信しました。みかんが安くて美味しいですよ。(tnk)

今週末は3連休。近くにお住まいの方は、ぜひみかん祭りにいらしてください。みかんを食べて楽しく連休を過ごしましょう!(KT)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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