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第182回
 果物を食べてもらうための動機づけについて

  


□□■ 果物&健康NEWS Vol.182 ■□□
   ■ 2008年2月1日(金) ■


みなさん、こんにちは!
特集は「果物を食べてもらうための動機づけについて」です。
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 ◇ くだもの健康豆知識:オリーブ
 ◇ 今週のレシピ:オリーブ
 ◇ 果物を食べてもらうための動機づけについて
 ◇ 品種紹介:オリーブ「ミッション(Mission)」
 ◇ 文献紹介:地中海式食事でアレルギー予防
 ◇ 果物の小話:クリの雑学−その3
 ◇ 果物花便り:曽我梅林(神奈川県)
 ◇ 果物おもしろ記録:日本で最初にオリーブを食べたのは誰?
 ◇ 文学の中の果物:オリーブとホルトガル(牧野富太郎)
 ◇ 今週の果物
 ◇ 携帯WEBメールで「果物&健康NEWS」を受信−その3
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:オリーブ

 香川県小豆島にオリーブが導入されたのは、今からちょうど百年前の1908年4月です。明治40年、農商務省がオリーブオイルの国内自給を目的に香川県、三重県、鹿児島県をオリーブ栽培の試験地に指定しました。翌年、アメリカから小豆島へ519本の苗木が導入されました。

 オリーブは油料作物として有史以前から地中海沿岸で栽培されていました。オリーブの原生地は小アジア説と、エジプト、リビア、エチオピア、アトラス山脈、ヨーロッパの一部に存在していたとの説があります。

 オリーブオイルは、オレイン酸の含量が多く、飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸のバランスが優れていることに特徴があります。




□ 今週のレシピ:オリーブ

○ 帆立貝ベーコン巻きクリームドエピナール敷き

材料 (4人分)
 帆立貝柱 12ヶ、ホウレン草 2束、ベーコン 12枚、オニオン・人参・パセリ 各100g、レモン汁・小麦粉・塩・胡椒・オリーブオイル 少々

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.umai-aomori.jp/cook/recipe/
tatujin/15-13.phtml


○ バームクーヘン

【材料・2バーム分】
 およそ天板(40×50cm)14層分、卵黄 400g、薄力粉 400g、コーンスターチ 200g、卵白 750g、ラム酒 30g、オリーブオイル 160g、サラダ油 160g、生クリーム 420g

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.pref.nara.jp/nnorin/html/library/
baumkuchen/recipe.html





□ 果物を食べてもらうための動機づけについて

 本年4月より、生活習慣病を予防するため、健診結果に基づき食事指導などの保健指導の実施が義務付けられます。そして、2013年からは、もし目標が達成されないと共済組合など医療保険者が支払う支援金が減額されることになります。生活習慣病を減らすためには、予備軍に対する保健指導が必要です。その方法には、「情報提供」、「動機づけ支援」、「積極的支援」があります。厚生労働省健康局では効果的・効率的な保健指導が出来るように、保健指導の事例(効果等)についての手引きを公表しています(文献1)。

 上記の方法は優れていますが、地域や職域など大人数に対して、このようなきめ細かい指導は難しく、新しい標準化されたプログラムの開発が求められています。アメリカ・南ダコタ州立大学の研究で、ヤングアダルト(成人期前期。12〜19歳までの若い大人という意味)に対して栄養専門家による面接、ニュースレターやE-mailによる個別のフォローアップを行うと、果物と野菜の摂取量が増えることが分かりました(文献2)。このことは、適切に動機づけを行えば若い人も果物の摂取量を増やすことを示しています。

 果物を食べてもらうための動機づけについて、仁愛女子短期大学、同志社女子大学、椙山女子大学で行われた主に若い女性を対象にしたセミナーのアンケート結果を紹介します。セミナーでは、今後、医療・栄養関係者と連携する必要があることから、「食事バランスガイドとくだもの200グラム」を中心に紹介し、サプリメントや特定成分の話題には触れませんでした。

 セミナー終了後、今後果物の摂取を「今までより増やしたい」と回答したのは、仁愛女子短期大学で85.7%(変わらない14.3%:200g以上食べているから2%、手間が掛かる4%、価格が高い6%、ダイエット中だから2%)、同志社女子大学では78%(変わらない18%:200g以上食べているから12%、手間が掛かる3%、価格が高い2%)、椙山女子大学大学では79.4%(変わらない20.6%:200g以上食べているから17.6%、嫌いだから0.7%、価格が高い2.2%)でした。

 若い女性に対する動機づけに対してセミナーの効果が認められます。しかし、今までの研究データから、長年続けている食習慣を1回のセミナーで変えることは難しく、その後の「情報提供」などのフォローアップが必要とされています。南ダコタ州立大学の研究から、直接個人に届く「果物&健康NEWS」のような情報提供はフォローアップの手段として効果的ではないかと期待されます。

 生活習慣病を予防するために、今後、医療・栄養関係者と連携して、最も不足している果物の摂取量を増やすための栄養指導プログラムを開発し、地域・職域で実施できるように標準化する必要があります。

【文献】
1) 厚生労働省健康局:保健指導の事例(効果等)について.
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iry
ouseido01/pdf/info03d-8_0001.pdf


2) Richards, A. et al.: Motivating 18- to 24-Year-Olds to Increase Their Fruit and Vegetable Consumption. J. Am. Diet. Assoc. 106: 1405-1411. (2006)




□ 品種紹介:オリーブ「ミッション(Mission)」

 1769年、アメリカ・カリフォルニア州でメキシコから輸入した種子の実生苗から選抜したスペイン系品種です。我が国へは明治41(1908)年に農商務省指定試験の開始時にアメリカから導入されました。

 オイル及び塩蔵用の晩生品種です。果実加工品としての品質が優れており、我が国の栽培面積の大半を占めています。

「ミッション」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.aaronscanna-amaryllis.com/
product/Mission+Olive+Tree




□ 文献紹介:地中海式食事でアレルギー予防

 ギリシャ・クレタ大学などの国際研究チームは、地中海式食事を摂取していた妊娠女性の子どもはアレルギー性疾患にかかりにくいと報告しました。

 研究では、クレタ島の母子468人を対象に、妊娠時から生後6歳半まで追跡調査が行われました。その結果、果物や野菜、ナッツ類、魚介類に富む地中海式食事を摂取していた母親の子どもでは有意にアレルギー性疾患(喘鳴、アトピー)が少ないことが分かりました。地中海式食事を食べていた母親の子供は、そうでない子供より一般的な喘鳴のリスクが78%、アトピー性喘鳴のリスクが70%、アトピーのリスクが45%低いことが分かりました。

 以上のことから、研究者らは、妊娠中からバランスの良い食事をしているとアレルギーの予防に有効と考えています。

【文献】
Chatzi, L. et al.: Mediterranean Diet in pregnancy protective for wheeze and atopy in childhood. Thorax, Online 15 Jan. (2008) [doi: 10.1136/thx.2007.081745]




□ 果物の小話:クリの雑学−その3

 チュウゴクグリの原生地は、中国です。中国で最も古い果樹の一つで、『山海(せんがい)経(きょう)』(戦国時代から秦・漢時代に次々書き加える)には、現在の北京周辺や陜西省周辺にクリの産地があると記載されています。天津甘栗の名は、中国北部一帯、特に華北の万里の長城周辺の山岳地帯で生産されたものが、天津市に集荷され、輸出されたことによります。

 わが国でのチュウゴクグリの栽培は、明治時代に各地で導入・試作されました。しかし、ニホングリに比べると小果で収量も少ない上に、またニホングリの花粉が受粉・受精すると渋皮の剥皮が困難になることもあり、広く普及するまでには至りませんでした。チュウゴクグリは渋皮の剥皮が容易で、焼き栗にした時に食べやすく、甘みに富みます。

 ヨーロッパグリの原生地は、地中海沿岸から小アジアです。栽培歴は古く、ギリシア時代以前といわれています。ヨーロッパグリはニホングリよりやや小さく、多くの品種で渋皮剥皮性は良好です。

 マロングラッセで有名なフランスでは、クリの渋皮を手で除く際に、爪が渋のタンニンで黒くなるのを隠すためにマニキュアが行われたとされています。なお、余談ですが、マニキュアの歴史は古く、古代エジプトではヘンナ(西アジア原産のミソハギ科の低木で、1年中、芳香ある白・薄紅・薄緑色の花が咲く)の花を用いて爪を染めたとされています。

 アメリカグリの原生地は、北米東北部のメイン州から東南部のジョージア州、アラバマ州に至るアパラチア山脈の周辺部です。アメリカグリの渋皮剥皮性はよく、小粒であるものの甘味に富み、よい風味もあり、クリ属の中で品質は第一といわれています。(間苧谷)




□ 果物花便り:曽我梅林(神奈川県)

 神奈川県小田原市にある曽我梅林の総本数は、約35,000本で主な品種は「白梅」、「白加賀」、「十郎」、「杉田」などです。現在、1分から2分咲きとのことです(2008.1.31)。小田原梅まつりは、平成20年2月2日(土)から2月 29日(金)まで開催されます。

詳しくは下記のサイトをご覧ください。
http://www.kanagawa-kankou.or.jp/topics/ume/soga.htm




□ 果物おもしろ記録:日本で最初にオリーブを食べたのは誰?

 オリーブは、安土・桃山時代にキリスト教の宣教師によって我が国に初めて持ち込まれました。フランシスコ派のポルトガルの神父がオリーブオイルを携えてきたと考えられています。そして、文禄3年(1594年)にスペイン国王から豊臣秀吉に「オリーブの実一樽」が献上されました。このことから日本人で初めてオリーブを食べたのは豊臣秀吉であると考えられています。




□ 文学の中の果物:オリーブとホルトガル(牧野富太郎)

 昔蘭学時代にはオリーブ(Olive)すなわちオレイフ・ボーム(Olive-baum)のことをホルトガルといった。寛政十一年(1799)出版の大槻玄沢(おおつきげんたく)(磐水(はんすい))の著『蘭説弁惑(らんせつべんわく)』に図入りで出ている。そしてその油すなわちオリーブ油をホルトガルの油と呼んだ。それはホルトガル船が持ち渡したからで、またその樹も同じくホルトガルと称えた次第だ。

 我国の徳川時代における本草学者達はヅクノキ一名ハボソを間違えて軽率にもそれをオリーブだと思ったので、今日でもこの樹をホルトノキ(ホルトガルノ木の略)と濫称しているが、それは大変な誤りだ。



牧野富太郎(まきの とみたろう)
 文久2年(1862)4月24日-昭和32(1957)年1月18日。高知県生まれ。「日本の植物学の父」と言われ多数の新種を発見した。生まれた日は「植物学の日」とされています。小学校中退、独学で理学博士の学位を得た。「オリーブとホルトガル」は「植物一日一題」に収載されている。代表的著作に、「牧野日本植物図鑑」がある。



高知県立牧野植物園のホームページは下記です。
http://www.makino.or.jp/




□ 今週の果物

 ミカン、リンゴ(「ふじ」中心)、イチゴ(「とちおとめ」、「あまおう」、「さがほのか」、「紅ほっぺ」、「とよのか」など)が人気です。みかん売り場に柑橘類(デコポン、はるみ、いよかん、甘夏みかん、ポンカン、はっさく、キンカンなど)が増えてきました。イチゴは多くの品種が出揃い味比べが出来ます。キウイフルーツや貯蔵した柿もコンスタントに好評です。

生鮮食料品のマーケット・レポート(平成20年1月30日発行)は下記のサイトです。
http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/
market2008-01-3/market2008-01-3.htm





□ 携帯WEBメールで「果物&健康NEWS」を受信−その3

 パソコンを使った携帯WEBメールの登録方法と「果物&健康NEWS」の受信方法を紹介します。
1.googleホームページの上にあるGmailをクリックします。
 http://www.google.co.jp/
2.右下したにある「Gmail アカウント登録」をクリックして、ご自身のメールアドレスを決めます。例えばaaaとするとaaa@gmail.comとなります。
3.登録されたら画面下にあるアドレス確定からGmailのサイトに入ります。これでGmailの登録は終了です。
4.取得したメールアドレス(例:aaa@gmail.com)をメルマガ「果物&健康NEWS」に登録します。
 http://www.kudamononet.com/kkr/qr/registoryqr.html
5.農林水産省から確認のメールが届くので返信してください。
6.携帯電話のWEB画面からGmailに入ればメールを読めます。
 http://gmail.com

(上級者向け)
7.Gmailは転送設定が出来ます。携帯とパソコンのメールアドレスを設定すると両方にメールが届きます。転送設定するときは、必ずメールを残す設定にしてください。そうでないと「果物&健康NEWS」の全文を携帯で読めなくなります。
8.GmailではPOPの設定が可能です。したがって、現在パソコンで使い慣れたoutlook、Thunderbird、秀丸、Apple Mail等でメールを送受信できます(注:サーバーによりこの設定を許可していない場合がありますので、分からないときはサーバー管理者にお尋ねください)。



☆ 編集部より ☆

 迷惑メールにずいぶん悩まされてきましたが、Gmailを使うとおもしろいようにトラップされます。最近では、どんなメールがトラップされているか覗きに行ったりしています。2008年もあっという間に1ヶ月が過ぎてしまいました。2月26日は「果物&健康NEWS」の創刊日で、5年目に入ります。(tnk)

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