くだもの・科学・健康ジャーナルHP > 果物&健康NEWSトップ >
  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第184回 キッズQ:リンゴのべたべたはなに?

  


□□■ 果物&健康NEWS Vol.184 ■□□
  ■  2008年2月15日(金) ■

みなさん、こんにちは!
特集は「キッズQ:リンゴのべたべたはなに?」です。
────────────────────────
携帯WEBメールで「果物&健康NEWS」を読んでみよう
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.

:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:マンゴー
 ◇ 今週のレシピ:マンゴー
 ◇ キッズQ:リンゴのべたべたはなに?
 ◇ 品種紹介:マンゴー「アーウィン」
 ◇ 文献紹介:90歳以上長生きする秘訣
 ◇ 文献紹介:葉酸が認知症リスクに関連
 ◇ 果物花便り:都立庭園(梅の季節の催し)
 ◇ 文学の中の果物:台湾の姿態(豊島与志雄)
 ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:マンゴー

 マンゴーは熱帯果物の王女と称され、世界中で食されています。マンゴーの原生地は、ミャンマー、インドシナ、マラヤ地方ではないかと考えられています。

 沖縄では明治30年(1897年)に農業試験場で栽培されていた記録があります。鹿児島県へは大正時代初期に、宮崎県へは昭和51年鹿児島大学から導入され、本格的に栽培が始まったのは昭和59年以降です。

 我が国では主に生食されていますが、主産国では、生食のほか半完熟果実、完熟果実は、調理素材、ジュース、ジャム、ゼリーなどに、未熟果実はその酸味を生かした料理素材やピクルス、チャツネなどに利用されています。 




□ 今週のレシピ:マンゴー

○ マンゴープリン

材料
 マンゴーピューレ 100cc、マンゴーコンカッセ 100g、板ゼラチン 3g、レモン汁 小さじ1/4杯、ドラゴンフルーツ(赤肉) 100gなど

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www3.pref.okinawa.jp/site/view/contview.jsp?
cateid=48&id=5587&page=1


○ マンゴーのもち米添え

材料
 マンゴー、もち米 2カップ、ココナッツミルク 300cc、砂糖 1/2カップなど

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトの2番目のレシピです。
http://www.agri.pref.hokkaido.jp/fukyu/nayoro/moti/moti6.html




□ キッズQ:リンゴのべたべたはなに?

 リンゴの果実表面は、べとべとしていたり、白い粉がついていたりしていますが、これは、リンゴの特徴の一つで、品種により白い粉がつくものと、べとべとになるものとがあります。

 「デリシャス」や「陸奥」などの品種は、果実の表面に白い粉がついていますが、これは「果粉(Bloom)」といわれるものでリンゴ自身が作り出すろう物質(脂肪に似た物質)です(文献1)。

 リンゴの表皮組織は数層から出来ていて、果皮組織の最上層にはクチクラと呼ばれる組織があります。クチクラは果皮の表面を微生物から保護したり、果肉からの水の蒸散を抑え鮮度を維持するなど、果実にとって大切な生理的役割を果たしています。クチクラは二層構造となっていて、上層のろう質顆粒とトリテルペンの一種であるウルソール酸結晶、下層の流動性のろう物質が、それぞれクチンという脂肪酸類の重合体に包まれた構造になっています。このろう質顆粒とウルソール酸結晶がリンゴ表面のろう物質の正体です。ろう質顆粒は、パラフィン、アルコール、飽和脂肪酸からできています。

 一方、「ジョナゴールド」などの品種は、果実の表面がべとべとしていますが、これはリンゴの皮に含まれているリノール酸やオレイン酸が、収穫時期に表皮組織から表面にでてきたものです(文献2)。リノール酸もオレイン酸も一般的な脂肪酸で、リノール酸は必須脂肪酸として知られています。

 リンゴの表面の白い粉やベトベトを、農薬や人工的なワックスではないかと心配している人がいますが、リンゴ本来の生理的現象です。ろう物質も脂肪酸もリンゴ自らが作り出す新鮮さを保つための物質ですから食べても安全です。

【文献】
1) McBean, D. M. et al.: Physical Barriers to Moisture Transfer. pp639-641. In: (Ed)Hulme, A. C.: The Biochemistry of Fruits and their Products. Vol.2. Academic Press. (London and Mew York) (1971)
2) 野呂昭司ら:収穫時期におけるリンゴ ' ジョナゴールド ' 果皮の脂質の変化. 園学雑. 54: 116-120. (1985)




□ 品種紹介:マンゴー「アーウィン」

 「アーウィン(Irwin)」は、アメリカ・フロリダで「Lippens」の実生から選抜され、1949年に命名された品種です。果実の重さは400g程度で、果皮の鮮紅色が特徴です。線維が少なく、まろやかな風味で人気の品種です。完熟すると果実がネット内に落下します。

「アーウィン」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.tropicalfruitnursery.com/
mango-viewer/pages/'Irwin'%20mango.htm





□ 文献紹介:90歳以上長生きする秘訣

 アメリカの研究グループは、男性を対象にした長期間の調査結果から、タバコをやめ、体重や血圧、血糖値をコントロールし、定期的に運動をすることが、90歳以上長生きする秘訣であると報告しています。

 研究では2,357人の男性(研究開始時の平均年齢72歳)を対象に25年間(1981-2006年)追跡調査を行いました。その結果、970人が90歳を越えて長生きしました。90歳まで長生きできるかについて生活習慣との関係を調査した結果、喫煙はリスクを2.1倍に高めました。糖尿病で肥満の場合は1.86倍に、肥満の場合は1.44倍に、高血圧の場合は1.28倍にリスクが高まりました。一方、定期的に運動している場合はリスクが28%減少することが分かりました。

 さらに、喫煙習慣がなく、肥満でなく、糖尿病や高血圧がなく、座業習慣がない場合は54%の人が90歳を越えて長生きできるとしています。この長寿に対する不利な生活習慣が5つのうち2つある場合は22%〜38%でした。5つともある場合は90歳まで長生きできたのは4%でした。

【文献】
Yates, L. B. et al.: Exceptional Longevity in Men: Modifiable Factors Associated With Survival and Function to Age 90 Years. Arch. Intern. Med., 168: 284-290. (2008)




□ 文献紹介:葉酸が認知症リスクに関

 韓国とイギリスの国際共同チームは、血液中の葉酸が少ないと認知症のリスクが高まると報告しました。研究では、韓国の年金生活者518人を対象に2.4年間追跡調査を行いました。その結果、血中の葉酸レベルが低い人は、高い人に比べて認知症リスクが3倍になることが分かりました。また、ビタミンB12やホモシステインの血中濃度とも関係していました。

【文献】
Kim, J-M. et al.: Changes in folate, vitamin B12, and homocysteine associated with incident dementia. J. Neurol. Neuros. Psych., Online 5 Feb. (2008) [doi: 10.1136/jnnp.2007.131482]




□ 果物花便り:都立庭園(梅の季節の催し)

○ 春を呼ぶ小石川後楽園 黄門様のお庭で梅まつり

 黄門様こと水戸光圀公ゆかりの小石川後楽園には、約120本の紅梅・白梅の梅林があり、花の見ごろには、辺り一面に馥郁(ふくいく)たる香りが漂い、和やかな趣を感じさせてくれます。

開催期間:平成20年2月9日(土)〜3月2日(日)

○ 浜離宮恩賜庭園 梅まつり

 浜離宮恩賜庭園には、将軍家の別邸であった頃には1万本の梅の木があったといわれています。現在も2月頃から梅林や園内の各所に植えられている梅の木が、庭園を艶やかに彩ります。

開催期間:平成20年2月16日(土)〜3月2日(日)

○ 向島百花園 梅まつり

 梅にゆかりの深い向島百花園では、「梅まつり」の期間中、江戸文化を体験する英語ガイド付きプログラムなど沢山のプログラムがあります。早春の百花園で、江戸の香りと梅の香りを楽しみながら、趣のあるひとときをお過ごしください。

開催期間:平成20年2月10日(日)〜3月2日(日)

○ 六義園 早春の六義園を楽しむ

 六義園では「早春の六義園を楽しむ」を開催いたします。春を告げる梅の香りを楽しみながら、俳句展やコンサートを通して、六義園の魅力に触れてください。

開催期間:平成20年2月9日(土)〜2月29日(金)

詳細は下記のサイトをご覧ください。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/EVENT/2008/01/21i1f200.htm




□ 文学の中の果物:台湾の姿態(豊島与志雄)

 台湾の春はやはり豊かである。草木の繁茂は云うまでもなく、花も豊か、果物も豊かだ。果物の秀逸はパパイヤであろうか。その味はバナナにまさることは勿論であるが、マンゴーには及ばない。その代り、マンゴーや柑橘類が季節的であるのに反して、パパイヤだけは一年中常に結実する。数顆が熟する頃には、その上の一節には次の数顆が既に成長している。四季ともにそうなのである。製糖会社にしても、甘蔗の糖分の稀薄な夏季は工程を休み、機械の手入れをするだけに止める。然しパパイヤは一年中休みなくその結実成熟の工程を続ける。



豊島与志雄(とよしま よしお)
 1890年11月27日-1955年6月18日。小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者。代表作に、「生あらば」、「野ざらし」、「白い朝」、「山吹の花」などがある。日本芸術院会員。




□ 今週の果物

 リンゴ(「ふじ」、「ジョナゴールド」、「王林」、「シナノゴールド」)や、終盤にさしかかったみかんも食味がよいので好調です。また、いよかん、はるみ、デコポン、ポンカン、ネーブルオレンジ、はっさく、きんかんも人気です。
 イチゴは色々な品種(「あまおう」、「とちおとめ」、「紅ほっぺ」、「さがほのか」、「とよのか」、)が出揃い好調です。キウイフルーツ、干し柿(あんぽ柿)も好評です。

生鮮食料品のマーケット・レポート(2月12日発行)は下記のサイトです。
http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/
market2008-02-1/market2008-02-1.htm





□ 今日のフォト

 冬の間、まだ樹が眠っている間に整枝選定作業を行います。こうした作業で美味しい果物が実るようになります。写真はニホンナシ「豊水」の剪定前(下)と剪定後(上)です。バランスよく整枝剪定されていることが分かります。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News32.html
  (掲載は次号まで)




☆ 編集部より ☆

 講演会などでリンゴのべたべたの話をすると、「その現象はよく分かった。でも人工的ワックスも使っているのでしょう?」と必ずと言っていいほど聞かれます。現在、リンゴは人工的ワックスも含めポストハーベスト農薬は使われていませんので、ご安心ください。(tnk)

今週末那須へ行ってきます。苺を食べて、お湯にひたってきます。(KT)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

 無断転載はお断りします。 リンクは自由です。

 詳しくは、著作権、リンクについて に記載しています。

 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

Copyright 2004-2007 田中敬一. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.



メルマガ果物&健康NEWS登録




サイト案内




くだもの
はたらき



果物と糖尿病予防


果物&健康Newsへ戻る
果物&健康Newsへ戻る


くだもの・科学・健康ジャーナルへ
くだもの・科学・健康ジャーナル
ホームページへ戻る