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□□■ 果物&健康NEWS Vol.187 ■□□
■ 2008年3月7日(金) ■
みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「果物の値段は高くないといわれても」です。
──────────────────────── 果物で、おいしくメタボを撃退しましょう。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.
:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
◇ くだもの健康豆知識:干し柿
◇ 今週のレシピ:干し柿
◇ 果物の値段は高くないといわれても
◇ 品種紹介:カキ「陽豊」
◇ 文献紹介:朝食を食べる十代の若者はより健康的
◇ 前号のインターネット文献検索でErrorとなった方へ
◇ 文学の中の果物:闇の書(梶井基次郎)
◇ 第5回オーライ!ニッポン大賞決定
◇ 今週の果物
◇ 今日のフォト
◇ 編集部より
□ くだもの健康豆知識:干し柿
干し柿の歴史は古く、少なくとも平安時代には作られていたと考えられています。干し柿は半乾きの「あんぽ柿」と乾燥の進んだ「ころ柿(枯露柿)」があります。干し柿を巻いて固めたものは巻柿と呼ばれています。
干し柿は渋柿の皮をむき、雨に当たらないようにして乾燥させます。3〜4週間して、やわらかくなり渋が抜け柿色となったものがあんぽ柿です。この干し柿のことを福島県伊達郡周辺の人たちは最初「天(あま)の干し柿」と呼んでいましたが、いつしか訛って「あんぽ柿」となったとされています。
ころ柿は、表面が白くなるまで乾燥させたものです。表面の白い粉は果実の中に含まれていたブドウ糖と果糖です。
□ 今週のレシピ:干し柿
○ 干し柿と大根の柚子風味
材料 (4人分)
干し柿 2個、大根 250g、塩 小さじ1杯、柚子の皮 少々など
作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://sugar.lin.go.jp/recipe0501/rcp2.htm
○ 干し柿大福
材料(3個分)
干し柿 3個 、こしあん 60g、切り餅 200g、片栗粉など
作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/mykitchen/recipe/318735/
□ 果物の値段は高くないと言われても
果物は高いとのイメージが定着しています。アンケートなどでは「果物は美味しくて健康によいと思うけれど高い」との回答が多く寄せられます。そこで、家計調査の数値から果物の価格について調査しました(文献1)。
家計調査は、国民生活における家計収支の実態を把握するための統計調査です。調査対象は学生の単身世帯を除く全国の消費者世帯で、無作為に選定された世帯について6か月間(単身世帯は3か月間)、すべての収入と支出を毎日家計簿に記入してもらったデータです。
家計調査では、購入数量と支出額を調査しているので100グラム当たりの購入価格が計算できます。そこで、全世帯(農家を含む)を対象とした調査データを用いて代表的な果物と野菜の価格について比較してみました。
その結果、野菜では100グラム当たり、ネギは56.0円、トマトは54.0円、キュウリは39.2円、レタスは36.0円、ニンジンは28.7円、キャベツは14.9円でした。 果物では100グラム当たり、ナシは44.4円、リンゴは38.0円、ミカンは34.5円、スイカは30.4円、バナナは21.0円でした。
ネギやレタスなどの野菜は、1回当たりの購入だとミカンより安いように感じますが、それは嵩が大きいためで、重量単位で比較するとミカンの方が安いのです。このように、野菜と果物を品目別に比べてみるとあまり違いがないように思えます。
確認のために生鮮野菜全体と生鮮果物全体の価格を調べました。生鮮野菜全体の平成18年の平均価格は36.9円、平成17年では35.9円、平成16年は37.9円でした。生鮮果実全体では平成18年は40.4円、平成17年は38.7円、平成16年は39.9円でした。
従って、生鮮果実全体から生鮮野菜全体の価格差は平成18年は3.5円、平成17年は2.8円、平成16年は2円でした。こうしてみると野菜と果物の価格には大きな差はなく、果物が野菜と比べて特に高いことはないと考えられます。
果物が高いと感じる理由に、旬の時期より早く出荷された果物の価格は、通常よりかなり高価格になり、そのことがテレビなどマスコミで報道されることなどが高いと感じる要因と思われます。
一方、1世帯(3.16人)当たりの年間の食料費は891,439円で、このうち果物は37,305円(生鮮果実35,468円)でした。生鮮野菜は63,942円、菓子類は75,463円、調理食品は101,904円、飲料は46,705円、酒類は43,476円、外食費は159,675円でした。
平成16年の国民健康・栄養調査によると1人当たりの果物の摂取量は119.2グラムでした(文献2)。この量は、食事バランスガイドなどで提示されている毎日くだもの200グラムのおおよそ6割です。従って、果物の摂取量を200グラムにするためには1世帯当たり果物に対して、年間であと2万5千円程度必要となります。そのため、「果物の値段は高くないと言われても」と思われるかも知れません。
国民健康・栄養調査によれば、メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われている人と予備群とを合わせた割合は男女とも40歳以上で特に高く、40〜74歳では男性で2人に1人、女性で5人に1人です。そして、脂肪の摂取過多の現状が明らかになっています。また、食事バランスガイドによれば、「菓子・嗜好飲料 楽しく適度に」と記されています。こうした生活習慣病予防の観点から食生活を見直すことで果物200グラムの摂取は可能ではないかと思われます。
【文献】
1) 総務省:家計調査年報(平成18年)
http://www.stat.go.jp/data/kakei/2006np/index.htm
2) 厚生労働省:平成16年国民健康・栄養調査結果
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/05/h0508-1a.html
□ 品種紹介:カキ「陽豊」
「陽豊(ようほう)」は、「富有(ふゆう)」と「次郎(じろう)」を交配して出来た品種で、「松本早生富有」とほぼ同時期に熟する中生の完全甘ガキです。果実の糖度は16〜17%程度、肉質はやや硬めですが、完熟すると果汁も多くなり食味も向上します。
「陽豊」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/data/hinsyu/cu-yoho.html
□ 文献紹介:朝食を食べる十代の若者はより健康的
アメリカ・ミネソタ大学の研究チームは、十代の若者の朝食の摂取状況を調べた結果、朝食を摂取している十代の若者は食べない若者より健康的であると報告しました。
研究では、2,200人以上の十代の若者の朝食の摂取頻度と健康との関係を調べた結果、毎日朝食を食べている若者は、食べていない若者より健康的な食事をしており、運動量も多いことが分かりました。また、5年後の結果によると、朝食の摂取頻度とBMI値とは関連しており、毎日朝食を食べる若者は肥満のリスクが低いことが分かりました。
【文献】
Timlin, M. T. et al.: Breakfast Eating and Weight Change in a 5-Year Prospective Analysis of Adolescents: Project EAT (Eating Among Teens). Pediatrics, 121: e638-e645. (2008) [doi: 10.1542/peds.2007-1035]
□ 前号のインターネット文献検索でErrorとなった方へ
メールソフトのインターネット自動設定を使われている場合、インターネットURLが2行になっていると、ソフトが自動判断で分割してしまい、Error(Requested article does not exist on the system.)となってしまいます。 1行にすれば自動設定でも目的の文献が見つかります。
(前回メルマガの記載)
http://www.blackwell-synergy.com/doi/abs/10.1111/j.1750-3841.
2007.00632.xx
下記をクリックしてください(1行にしてあります)。
http://www.blackwell-synergy.com/doi/abs/
10.1111/j.1750-3841.2007.00632.x
□ 文学の中の果物:闇の書(梶井基次郎)
「まあ柿がずいぶん赤いのね」若い母が言った。
「あの遠くの柿の木を御覧なさい。まるで柿の色をした花が咲いているようでしょう」私が言った。
「そうね」
「僕はいつでもあれくらいの遠さにあるやつを花だと思って見るのです。その方がずっと美しく見えるでしょう。すると木蓮によく似た架空的な匂いまでわかるような気がするんです」「あなたはいつでもそうね。わたしは柿はやっぱり柿の方がいいわ。食べられるんですもの」と言って母は媚(なまめ)かしく笑った。「ところがあれやみんな渋柿だ。みな干柿にするんですよ」と私も笑った。
柿の傍には青々とした柚(ゆず)の木がもう黄色い実をのぞかせていた。それは日に熟(う)んだ柿に比べて、眼覚めるような冷たさで私の眼を射るのだった。
☆
梶井 基次郎(かじい もとじろう)
1901年2月17日-1932年3月24日。大阪生まれ。昭和初期の作家。志賀直哉の影響を受け、簡潔な描写と詩情豊かな小品を残す。東京帝大英文科に入学したが肺結核のために卒業はできなかった。初の作品集「檸檬」刊行の翌年に早逝。
□ 第5回オーライ!ニッポン大賞決定
第5回オーライ!ニッポン大賞、審査委員会長賞、ライフスタイル賞の各賞受賞者が決定されました。
オーライ!ニッポン大賞は、全国の都市と農山漁村の共生・対流に関する優れた取り組みを表彰し、もって国民への新たなライフスタイルの普及定着を図ることを目的としています。
詳細は下記のサイトをご覧ください。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/
kouryu/080303_1.html
今回の受賞団体等は下記に掲載されています。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/
kouryu/pdf/080303_1-05.pdf
□ 今週の果物
リンゴ(「ふじ」)や、終盤にさしかかったみかんが、品質がよいので堅調です。また、いよかん、デコポン、ポンカン、はっさく、きんかん、ネーブルオレンジも豊富に出回り人気です。新しいカンキツである「はるみ」が食べやすいと消費者からの声。
イチゴは色々な品種(「女峰」、「あまおう」、「とちおとめ」、「さがほのか」、「とよのか」、「さちのか」)が楽しめます。また、ジャム用も出回っています。
キウイフルーツや 干し柿(あんぽ柿、市田柿)も好調です。
生鮮食料品のマーケット・レポート(3月3日発行)は下記です。
http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/
data/market2008-02-3/market2008-02-3.htm
□ 今日のフォト
3月2日札幌で、森元治氏(北海道果樹協会会長)を司会者として村田光範先生(東京女子医科大名誉教授)、奥平和子氏(コープさっぽろ理事)、萬年暁子氏(ベジタブル&フルーツマイスター)、田中敬一(農研機構果樹研究所)らにより、パネルディスカッションが行われました。
その中で、どうしたら200グラムの果物を食べられるかが議論され、毎日食べた果物を記録するとよいのではないかとの提案がなされました。この方法は、体重を減らすのに有効なことが分かっています。
写真は、会場で配られた「ふじ」(214グラム)と「王林」(194グラム)です。どちらも握り拳と同じ200グラムくらいです。
http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News35.html
(掲載は次号まで)
■ ホワイトデー(3月14日)
甘くて美味しい果物はいかがでしょうか
■ 次回の配信は3月17日(月)に予定しています。
☆ 編集部より ☆
北海道にはまだ雪がありましたが、会場は札幌駅から地下道でつながっていたので、滑って転ぶことはありませんでした。毎日食べた果物を記録するのはとてもよい方法だと思いましたが、毎日つけてもらうための動機づけが必要とも感じました。このことについて考えてみたいと思います。(tnk)
先日初めてせとかを購入しました。今まで横目で見つつ素通りでなかなか手が出なかったのですが、残り1パックだったのでついつい買ってしまいました。
皮をむいたとたん柑橘のすがすがしい香りが漂い、ちょっと幸せな気持ちになりました。
こういった高級果実はホワイトデーのお返しにもいいかな〜(KT)
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