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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第201回 世界をリードする2つの指針

  




■□ 果物&健康N8WS Vol.201
□■  2008年6月13日(金)


みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「世界をリードする2つの指針」です。
メルマガをゆっくりとお楽しみください。。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp


:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:生活習慣病とは
 ◇ 今週のレシピ:サクランボ
 ◇ 世界をリードする2つの指針
 ◇ 品種紹介:サクランボ「南陽」
 ◇ 文献紹介:地中海式食事が糖尿病予防に有効
 ◇ 読者から:「今週のレシピ」について
 ◇ キャッチコピーを応募してみませんか?
 ◇ 文学の中の果物:ヴェルダン(野上豊一郎)
 ◇ 今週の果物
 ◇ サクランボの旬と主産県
 ◇ 今日のフォト
 ◆ 父の日(6月15日)
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:生活習慣病とは

 生活習慣病とは、食習慣や運動習慣などの生活習慣が、疾病の発症・進行に関与する疾患群のことです。ガン、高血圧、脳卒中、心臓病やメタボリックシンドロームなどがあります。

 生活習慣病は、複数の疾患感受性遺伝子と生活習慣との影響下で発症しますが、その遺伝子の発現は、生活習慣によって大きく左右されます。例えば、ハワイに移住した日本人の疾病構造がアメリカ型に変化することが明らかとなっています。生活習慣病の予防に果物の摂取量を増やすとともに食事全体を見直す必要があります。

 かつては加齢とともに発症・進行すると考えられ「成人病」と呼ばれていたのですが、若い人でも発症し、子供の頃からの悪い生活習慣の蓄積がその発症に大きく関わっていることがわかり、1996年に、生活習慣病という呼び名に変わりました。




□ 今週のレシピ:サクランボ

○ さくらんぼのクラフティ

材料:グラタン皿1枚分
 さくらんぼ 10粒、卵 1個、砂糖 大さじ4杯、薄力粉 大さじ2杯、牛乳 100cc、バター 大さじ1杯など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/mituki/recipe/204957/

○ フライパンで簡単 さくらんぼのマトファン

材料
 さくらんぼ 200g、薄力粉 70g、卵 2個、牛乳 200cc、バター 20g、シナモン 小さじ1杯など。

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://allabout.co.jp/gourmet/
cookingmen/closeup/CU20070614A/index2.htm


○ 山形産さくらんぼのジャム

材料
さくらんぼ(佐藤錦) 400グラム、クエン酸 小さじ2分の1杯、砂糖 200グラム、水 120cc

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/mykitchen/recipe/394894/




□ 世界をリードする2つの指針

 生活習慣病を予防し健康を維持・増進するためには食生活を改善することが大切なことが20世紀後半の研究から明らかになってきました。そのため、生活習慣病予防のための食生活指針が各国で作成されています。

 こうした食生活指針に大きな影響を与え、研究をリードしているのがアメリカ国立衛生研究所、アメリカ国立心肺血液研究所などにより作成されたDASH摂取プラン(文献1)と、世界ガン研究基金 とアメリカガン研究財団が作成した「食品、栄養、運動とガン予防」(文献2)です。DASH摂取プランは大規模なヒト介入研究により、ガン予防のためのレポートは詳細な疫学研究であるために、研究者により信頼されています。

 DASHプロジェクトと呼ばれるヒト介入研究にはボランティアが400人以上も参加しています。こうした信頼性の高い研究をもとに作成されたのがDASH摂取プランです。このDASH摂取プランでは果物を320kcal〜400kcal摂取することを勧めています(リンゴなら毎日3〜4個、ミカンなら7〜8個)。

 一方、ガン予防の研究レポートでは膨大で、ガンの予防に利用できる最も包括的な内容となっています。この研究報告では、1960年代以降に発表された50万件の研究報告から7000件選択し、新しく開発した研究評価法によってガンに影響を及ぼす食事や環境など生活因子を科学的に評価しました。この研究結果をもとに「ガン予防のための10ヶ条」を勧告し、果物の摂取を推奨しています。

 両者の影響を受けたアメリカの食生活指針であるマイピラミッドでは、果物を1日あたり1〜2.5カップ(1カップは2サービング)の摂取を勧めています(リンゴなら毎日1〜3個くらい)。我が国でも 「日本人の食事摂取基準2005」などで両者の影響を受けています。

 21世紀に入り大規模なヒト介入研究と疫学研究の結論が一致し、両者とも果物の摂取量を増やすことを勧めています。

【文献】
1) YOUR GUIDE TO Lowering Your Blood Pressure With DASH
http://www.nhlbi.nih.gov/health/public/
heart/hbp/dash/new_dash.pdf



2) World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research: Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. Washington DC: AICR, (2007)
http://news.bbc.co.uk/1/
shared/bsp/hi/pdfs/31_10_07_dietcancer.pdf





□ 品種紹介:サクランボ「南陽」

 サクランボ「南陽(なんよう)」は、「ナポレオン」の自然交雑品種です。「ナポレオン」、「高砂」とは交雑和合性ですが、「佐藤錦」とは交雑不和合性です。果形は長心臓形で、果皮色は淡紅色で、果重は8〜10gと大果です。肉質はち密で果肉は硬く、糖度は14〜16%、酸度は pH3.7〜4.0で 酸味が少なく、食味良好です。

「南陽」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/data/hinsyu/pr-nanyou.html





□ 文献紹介:地中海式食事が糖尿病予防に有効

 果物と野菜、食物繊維を多く摂取する地中海式食事を続けていると2型糖尿病に対する予防効果があるとスペインの研究チームが発表しました。

 研究では13,380人のスペイン人男女を対象に4年間の追跡調査が行われ、食習慣は2型糖尿病罹患リスクと関係していることが分かりました。地中海式食習慣のある人は、そうでない人と比べて2型糖尿病発症のリスクが83%低いことが分かりました。

【文献】
Martinez-Gonzalez, M. A. et al.; Adherence to Mediterranean diet and risk of developing diabetes: prospective cohort study. BMJ, Online May 29 (2008) [doi: 10.1136/bmj.39561.501007.BE]




□ 読者から:「今週のレシピ」について

 メルマガ200号達成おめでとうございます。
 さて、生で食べるだけが果物でないというばかりのレシピのご紹介は果物に熱を加えることで、新たな栄養素を誕生させることができるようで、いつも冒険心ワクワクにいろいろと参考にして挑戦しています。

 傾向として、熱帯地域が原産の果実は、熱を加えると甘みが増すような気がして普段のお味噌汁やカレーなど煮物に隠しアジとしてコッソリ入れたりしています。

 とはいえ、フルーツを温めるという習慣のない日本人には、ちょっと抵抗があるらしく我が家ではトップシークレットで、本当の隠しアジなのですが、最近ちょっと発見したお店でフルーツを素揚げした「フルーツフリッター」を見つけました。まだ、食べてはいないのですが、新たなフルーツの食し方として一石を投じてくれたのではないかと思わず微笑みました。

 これからも新発見を楽しみに購読させて頂きますので末永くよろしくお願いします。 (朝露のハミング)

【編集部より】
 朝露のハミングさん、こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。「今週のレシピ」は、果物を使った料理を掲載しているサイトを紹介するコーナーですが、読者からの投稿もお待ちしています。
 生鮮果実だけでなく、色々な食べ方を工夫して、美味しく果物の摂取量を増やしましょう。




□ キャッチコピーを応募してみませんか?

 果物&健康NEWSでもみかんのβ-クリプトキサンチンの機能性については特集記事や論文を通して紹介していますが、このすばらしい機能性をより多くの方にPRするために、キャッチコピーを募集したいと思います。お気軽にご応募ください!!!
 なお、入選作品を応募された方には、果物グッズを差し上げます。

1.コンセプト
(1)みかんが健康に良いと印象づけるものであること
(2)誰にでもわかりやすいものであること
・ “みかん”にインパクトのある修飾語をつけたもの
・ β-クリプトキサンチンの略語を使用したもの
  など
2.応募期間 7月18日(金)頃まで
3.応募方法
   件名に“キャッチコピー”と入力して当メルマガのアドレス
   へお送りください。  kudamono_kenkou@nm.maff.go.jp
4.入選作品の取扱い
 誠に勝手ながら、入選したキャッチコピーの使用権は当方に   帰属するものとさせていただきます。今後の「毎日くだもの   200グラム運動」に活用する予定です。   (注)本件は、無償の取組です。

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□ 文学の中の果物:ヴェルダン(野上豊一郎)

 その日、朝早く、自動車で出かけ、夜に入ってパリに帰りついたのだが、帰りにランスとソアッソンの寺を見ようという計画を立てていたので、ヴェルダンには小半日きりいなかった。それでも自由のきく車で見て廻れたおかげで、遊覧バスなどで見るよりはゆっくり見られた。

 パリを出て東へ一直線に駈けらせると三十分ほどでモーの町を通り過ぎた。マルヌ河に沿うた古い町で、パリに供給する小麦・チーズ・卵・家禽・野菜などの多くは此処から運ばれると聞いていたが通りすがりに一番に目を惹いたものは、街路の左側に高い方塔を一つ聳やかしたゴティク様式の古いカテドラルだった。八百年の星霜を経てどす黒く寂び、雅致を失わない程度にがっちりと力強く立ってる風貌が私たちにしばらく車を停めさせた。覗いて見ると、薄暗い内陣の両側には型の如く天井の一段低い側堂が付いて、外陣は一つきりで、唱歌席の装飾なども簡古で似合わしく思われた。しかし、行手を急いでいて、ゆっくり見ていられなかったから、前の荒物屋みたいた店で絵端書を買って思い出のよすがとすることにした。

 それからマルヌを渡り、美しい田舎道を百二三十キロも走ったと思う頃、シャーロンの町を通った。毛織物の名産地で、此処にも古いカテドラルがあるということだったが、目につかないで通り過ぎ、それから先は方向を少し北へ振って行くように道がついていた。レジレットという村のあたりからは樹林が目立って多くなり、道も上ったり下ったり、曲りくねったりして、ショファにはうるさいかも知れないが、見て通る者には今までの平たい郊野よりは趣があってよかった。道の両側には高い並木がつづき、その間から緑の牧場や畑が透いて見えた。

 クレルモンの手前で、道ばたの大きな桜の木に長い梯子を二つ掛けて、百姓の親爺と娘がさくらんぼをもいでいた。あれを売ってくれないか知らと弥生子がいい出し、車を停めショファに懸け合わせると、やろうというので、銀貨を二つ渡すと、親爺も娘も梯子から下りて、食いきれないほどたくさん籠に入れて持って来た。それを私たちは新聞紙に載せて、膝の上にひろげ、摘まみながら進んだ
日ざしが次第に強くなり、いいかげんに咽喉が渇いて来たのでうまかった。

 クレルモンといい、レジレットといい、この辺一帯はアルゴンヌの森林地帯の一部で、大戦の時は一時ドイツ軍に占領されていた土地である。もうヴェルダンの前線までは二十キロあるかないかぐらいだった。



野上 豊一郎(のがみ とよいちろう)
 1883年9月14日-1950年2月23日。大分県臼杵市出身。岩波茂雄らと同じ夏目漱石門下。法政大学総長。妻は小説家の野上弥生子。




□ 今週の果物

 大阪市では、和歌山産などの甘夏ミカンや青森産のリンゴ(「ふじ」など)の定番の果物に加えて、多種多様な国産の果物が出回っています。

 和歌山産のウメ、茨城、熊本、静岡産などのメロン(「アンデス」、「アールス」、「クインシー」、「プリンス」、「ホームラン」など)、熊本、鳥取産のスイカの入荷量が多く人気です。

 その他、大阪、鳥取産などのブドウ(「デラウェア」、「巨峰」など)、佐賀産などのハウスミカン、香川産のビワ、山梨産のモモ、福岡産などのスモモ、山形産のサクランボの入荷も始まっています。




□ サクランボの旬と主産県

 サクランボの出荷は6月中旬から多くなり、6月下旬から7月上旬がピークで、7月中旬頃までです。平成19年の収穫量は1万6千6百トンで、山形県が圧倒的で67%を占めています。次いで青森県の10%、山梨県の9%と続きます。




□ 今日のフォト

 ウメの最盛期です。農研機構果樹研究所でも育種中の系統や品種の収穫が続いています。今週はウメジュースの作り方を紹介します(メルマガ15号から)。写真はウメジュース用「白加賀」です。

◇ 必要な材料と器具

 ウメ果実(青ウメ)2kg、上白糖2kg、食添用醸造アルコール(アルコール分約96%)200ml、7〜8lの広口ビン(密封型)1個を用意します。

 食添用醸造アルコール200mlに水1,500mlを加えてアルコール水(アルコール分約11.2%)を作ります。このアルコール水のうち860mlをジュース用(果汁抽出)に用い、残りを果実や容器の殺菌に使います。

◇ 果実の洗浄

 ウメ果実を水でよく洗い、ゴミ等を丁寧に除きます。洗浄が終わったら、アルコール水に2〜3分浸して果実を殺菌後、ざるで水切りを10分ほど行います。ウメを入れる容器もアルコール水で洗浄しておきます。

◇ ウメジュースの作り方

 容器にウメ果実(2kg)を隙間なく詰めてから、砂糖(2kg)を果実の上から詰めるのですが、容器を振ったりしながらウメの間に砂糖が入るようにします。全ての砂糖が容器に入ったらアルコール水(860ml)を流し込み蓋をします。しばらくするとアルコール水が全体に行き渡ります。保管は冷蔵庫(10℃)でします。最初は、ウメの周りに空間があるので、容器をよく振る必要があります。この時点では、砂糖は完全には溶けず容器の下にたまります。そのため、砂糖が完全に溶けるまで、容器を振って撹伴することがキーポイントです。

 最初の1週間は毎日、その後は、1週間に3〜4回よく容器を振ります。約1ヶ月後に、しわしわになったウメ果実を取り除き、できた果汁をふるいか、布でこすとウメ果汁の濃縮液が得られます。得られたウメ濃縮液はビンに詰め冷蔵庫(3℃)に保管します。この状態では容器を振る必要はありません。飲むときはウメ濃縮液を4倍(ウメ濃縮液1に水3の割合)に希釈します。この時のアルコール濃度は0.5%以下になっています。このままでも美味しいのですが、貯蔵期間が長くなると、こくがでてさらに美味しくなります。果樹研究所では2年以上貯蔵しているウメ濃縮液もあります。
 
◇家庭でウメジュースを作る場合の変更点、注意点

 食添用醸造アルコールが手に入らない場合は、焼酎でも可です。
アルコール分が30%の焼酎を使う場合は、30%焼酎を320ml、水を540ml用意して混ぜ、860mlのアルコール水を作って使用します。また、この割合で、少し多めにアルコール水を作って洗浄用とします。

 冷蔵庫を使えない場合は、日の当たらない涼しいところにおいてください。一番のキーポイントはよく振ることですから、容器の出し入れが容易なことも重要です。もし、カビが生えてしまったら、
残念ながらウメジュース作りは失敗です。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News47.html
  (掲載は次号まで)





■ 父の日(6月15日)

 お父さん毎日ご苦労さん。美味しい果物をみんなで食べましょう。



☆ 編集部より ☆

 メルマガが201号となり、新たな一歩を踏みだしました。これからもよろしくお願いいたします。また、読者からのメールも多く寄せられるようになりました。ありがとうございます。ただ、ご質問には調査が必要な場合も多く、なかなかいっぺんに回答できません。すみません。(tnk)

 キャッチコピーの募集について、果物が好きな皆様にもお力添えいただければと思い、募集させていただきました。報酬は何も準備できませんが、たくさんの皆様からのご応募お待ちしております。(KT)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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