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■□ 果物&健康N8WS Vol.208
□■ 2008年8月1日(金)
みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「リポフル閑談:ニホンナシで便秘解消」です。 ◇
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
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◇ くだもの健康豆知識:ダイナミックに変化、果物研究と摂取量
◇ 今週のレシピ:ナシ
◇ リポフル閑談:ニホンナシで便秘解消
◇ 品種紹介:ナシ「なつしずく」
◇ 果物の小話:ザクロ(石榴、安石榴)の雑学−その1
◇ 読者から:糖尿病と果物についての意見
◇ 文献紹介:果物、野菜の摂取で2型糖尿病のリスク低減
◇ 文学の中の果物:白帝城(北原白秋)
◇ 夏休み特集:果物と理科自由研究
◇ 今週の果物
◇ 今日のフォト
◇ 編集部より
□ くだもの健康豆知識:ダイナミックに変化、果物研究と摂取量
生活習慣病予防に関する果物の研究はダイナミックに展開されており、その推奨摂取量も大きく変化しています。そのため、にわかには信じられないことも多いと思われます。例えば、教科書の記載と違うぞ!とか。
1982年に行われたガン研究から世界で初めてガン予防のために果物と野菜の摂取が勧告されました。このときの調査文献数が約2000件です。その後、世界ガン研究財団などによる研究レポート(1997年)では4000件となり、昨年(2007年)報告された最新のガン予防に関するレポートでは7000件となり、最近10年間で研究論文が急激に増加しているのが分かります。
アメリカで1991年に始まったガン予防のための「5 A DAY運動」における果物と野菜の推奨摂取量は5サービングでした。しかし、研究の進展につれて推奨摂取量が増加し、10年後の改正では倍量となり、現在では毎日13サービングの摂取が推奨されています。
果物と野菜の摂取を推奨するガン予防運動の成果は素晴らしく、運動開始後、最初に10万人当たりのガンによる死亡率が減少し、次いで罹患率が減少しました。最近ではガンによる死亡者の絶対数も減少に転じています。
このように、ガンだけでなく心臓病や糖尿病など生活習慣病予防に関する研究は著しく進展しています。こうした研究の結果から果物の推奨摂取量も増加しています。にわかには信じられないかもしれませんが、時代はダイナミックに変化しています。
【用語解説】
サービング
サービングとは、食事の摂取単位のことで、1サービングは1回に食べる分量を示しています。リンゴやオレンジなら1個が1サービングです。
□ 今週のレシピ:ナシ
○ 揚げ出し梨
○ 梨天麩羅
○ 焼き梨
○ ナシのコンポート
○ 梨饅頭
○ 梨のはさみ揚げ
○ 黒川流 GORO GORO梨カレー
○ 梨酢豚
作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.younavi.ne.jp/~amagi/nasi/recipi/recipi.html
□ リポフル閑談:ニホンナシで便秘解消
リ ポ:今日のテーマは、女性に関心の高い話題で、「ニホンナ
シで便秘解消」です。フルッタさん、よろしくお願いし
ます。
フルッタ:よろしくお願いします。女性の多くが便秘に悩んでいる
のですが、リポさんは大丈夫ですか。
リ ポ:何とかしたいと思っています。ナシがいいのですか。
フルッタ:便秘とは何かからお話ししたいと思います。便秘とは、
3日から4日以上排便がなかったり、排便に困難を感じ
るような状態をいいます。便秘になると、食物が大腸や
小腸に長くとどまるため、便に含まれている細菌毒素な
どの有害物質の影響で、大腸ガンなどになる可能性があ
ります。
リ ポ:便秘を侮ってはいけないということですね。
フルッタ:便秘に悩んでいる人の多くは、肌のトラブルもかかえて
います。便秘になると、体の新陳代謝が悪くなりホルモ
ンの代謝が落ちる、自律神経の働きが低下して皮膚の血
行が悪くなることから、肌が荒れると考えられています。
リ ポ:便秘が解消されれば、肌荒れも改善するということです
ね。
フルッタ:理想的な便は、水分が70〜80%でバナナ状になっている
状態です。ニホンナシには、便を柔らかくして、便の量
を増やす作用のあるソルビトールという成分が豊富に含
まれてます。
リ ポ:便秘解消にはソルビトールですね。
フルッタ:それだけではありません、ニホンナシには、便秘解消に
有効な良質な食物繊維が豊富に含まれています。
リ ポ:便秘解消に食物繊維が効果的なことは知ってます。だか
ら、サツマイモがよいわけですよね。
フルッタ:ニホンナシに含まれている食物繊維含量は、100キロカ
ロリー当たりで、2.1gですが、サツマイモは1.7gです。
リ ポ:本当ですか。ニホンナシの方がサツマイモより、食物繊
維がだんぜん多いのですね。知りませんでした。
フルッタ:果物を食べた人と、食べなかった人について比較試験が
行われました。その結果、果物を沢山食べれば食べるほ
ど、便の量が多くなり、腸を通過する時間が短く、排便
回数が多くなることが確かめられました。
リ ポ:便秘解消には、ソルビトールや食物繊維が豊富なニホン
ナシの摂取が効果的ということですね。
女性の皆さん!今が旬のニホンナシをしっかり食べて、
自然なお通じをめざしましょう。
□ 品種紹介:ナシ「なつしずく」
「なつしずく」は、「平塚25号(幸水×菊水)」と「筑水(ちくすい)」を交配して育成された早生品種です。果実の形は扁円形で、果実の大きさは中位です。果皮は黄緑色で、果肉は白色で、果肉の硬度は軟です。甘味はやや高く、酸味は少なく、果汁が多いのが特徴です。
「なつしずく」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/new/natsushizuku.html
□ 果物の小話:ザクロ(石榴、安石榴)の雑学−その1
ザクロの原生地はイラン、アフガニスタン、西パキスタン、インド西北部といわれています。ザクロは約1200万年〜100万年前にさかのぼる古い植物であり、人類の歴史の中でも、最も古く栽培が始まった果樹の1つです。古代ギリシア時代にはカルタゴ人が愛好し、"カルタゴのリンゴ"という呼称があるほどで、ザクロの属名Punicaはラテン語のPunicus(カルタゴの)に、英名pomegranateはラテン語のpomme granatum(種子の多いリンゴ)に由来します。
中国への伝来は前漢の武帝の時代に張騫(〜BC114)が西域から持ち帰ったとする説と、インド、チベットを経て3世紀に伝わったという説とがあります。
わが国へのザクロの渡来は、恐らく10〜11世紀で、中国からとされています。鎌倉中期にはすでに栽培され、徳川時代にはかなり普及していたようですが、果樹園としての栽培はありません。わが国では花木としての品種が多く、八重咲き品種や、一歳ザクロやヒメザクロのようにわい性で四季咲き性のものもあります。特に山梨県ではザクロを甲州の八珍果の1つとして、古くから庭木として利用してきました。ただ、果実は副産物として利用されるに過ぎず、果樹として改良されずに終わっています。
熟期は9〜10月で、果皮が黄赤色に変わり、わずか裂果した頃に収穫します。わが国の在来品種は果径5cm程度ですが、10cmを超えるものもあります。果実は生食、ジュース、シロップとして利用されます。漢方では成熟果皮を石榴果皮(せきりゅうかひ)といい、慢性下痢、下血、脱肛、駆虫の効果があります。樹皮や根にはアルカロイドのペレチェリン等を含み、駆虫剤、整腸剤等として、花は止血薬等として用いられます。 (間苧谷)
□ 読者から:糖尿病と果物についての意見
果物に関する誤解は確かにあると思いますが、「糖尿病の原因は食べ過ぎ(肥満)です。」というのも誤解ではないでしょか。
糖尿病の患者はすべて肥満でしょうか?スマートだけど血糖が高い人も多くいます。もちろん、肥満からインスリン抵抗性が起こってやせた人を除いての話です。
一番に疑うのはやはりお菓子の摂取です。患者さんとの話の中でもほとんどの方から「お菓子が好きだ」という話を聞きます。そして「果物が好きだ」という方も多いと思います。
通常は代謝経路の違う蔗糖と果糖ですが、食べるタイミングによっては、果糖が通常とは別の経路で代謝されるのではないかという説にも信憑性があると思います。
しかしながら、これらの疑問を解消するだけの研究例がないのは残念です。これからも経験的に判断するしかないかな?と感じました。 (浅田英嗣)
【編集部より】
メールありがとうございました。次回、エビデンスをもとに、糖尿病と果物摂取との関係について紹介します。
アメリカ・ヨーロッパで行われた多数の研究から果物の摂取の必要性が明らかになりましたが、我が国では「欧米人と日本人では基礎代謝が違うので欧米の説をそのまま日本に当てはめることはできない」と説明されていました。
日本人でも果物の摂取が必要であることは、2006年に発表された九州大学などによる研究などから分かりました。この研究では2106人を対象に、3つの食事パターンと2型糖尿病発症との関係を調べたものです。@果物、野菜、乳製品、デンプンを多く摂取し、バランスの良い適度な食事パターン、A動物性食品の多い欧米型の食事パターン、B果物や乳製品の摂取の少ない伝統的な日本型食事パターンのうち、@がそれ以外のパターンに比べて49%、2型糖尿病の発症リスクが低いことが分かりました。
一方、肥満、特に内臓脂肪型肥満は、2型糖尿病や高脂血症、高血圧などの生活習慣病と深く関係することから、日本のメタボリックシンドロームの診断基準では、罹患の判定には内臓脂肪型肥満が必須の項目となっています。
※2型糖尿病:
□ 文献紹介:果物、野菜の摂取で2型糖尿病のリスク低減
果物や野菜を沢山摂取している人は2型糖尿病の発症リスクが低いと、イギリス・ケンブリッジ大学の医学・疫学の研究チームが7月28日発行の医学雑誌「内科学アーカイヴス」に発表しました。
研究では、2万1831人の健康な中年の男女イギリス人を対象に12年間、追跡調査を行いました。果物と野菜の摂取量と血液中のビタミンC濃度を測定しました。血液中のビタミンCは、果物と野菜の摂取量のマーカーとして測定されました。
調査の結果、血液中のビタミンC濃度の高い人は低い人に比べて2型糖尿病の発症リスクが62%低いこと、また、果物と野菜を多く摂取している人は少ない人と比べて2型糖尿病の発症リスクが22%低いことが分かりました。
以上の結果から研究者らは、2型糖尿病の予防には果物と野菜の摂取を多くすることが必要であると述べています。
【文献】
Harding, A-H. et al.: Plasma Vitamin C Level, Fruit and Vegetable Consumption, and the Risk of New-Onset Type 2 Diabetes Mellitus. The European Prospective. The European Prospective Investigation of Cancer?Norfolk Prospective Study. Arch. Intern. Med., 168: 1493-1499. (2008)
□ 文学の中の果物:白帝城(北原白秋)
父はまたその子の麦稈帽を二つたたいた。私はひそかに微笑した。
「すこし強く叩いて置け。」
私の長男である彼隆太郎は、神経質だが、意志は強さうである。一緒に行く、汽関車に取り附いてでもついて行くと言つてきかないので、止むなく小さなリュックサックを背負はして連れて出たものだが、下りの特急の展望車で、大きな廻転椅子に絵本をひろげてゐた時にもこの子は一個の独自の存在であつた。食堂のテーブルに対ひ合つた僅な時間のひまにも、この子はおぼつかないながら、ナイフとフオクは確に自分の物として、焼きたてのパンや黄色いバタや塩つぱいオムレツの上にのぞんで、決して自分を取り乱さなかつた。箱根の嶮路にかかつて、後部の大きな硝子戸に、汽関車がぴつたりとくつ附き、そのまま轟々と真つ黒い正面をとどろかして押し登つた時にも、それを見たこの子はそれこそひとりで大喜びであつた。その夕方、名古屋の親戚の家の玄関に立つた時にも、別に鼻白みもしなかつた。彼が生れた日にだけしか彼を見なかつたその伯母さんが。
「ほう、おまへが降坊。まあ大きくなりましたね、おお、よく似てゐるわね、うちの子に。ほほほ。」
よくまあお父さんについて来られましたね、と驚いて、その式台で微笑された時にも、この子はうんとだけ言つて笑つた。そうして自分で靴をぬぐとすぐに飛び込んで行つた。生みの母に初めて離れて遠い旅に出るこの子の母はよく言つてきかした。「ね、坊や、自分のことはみんな自分でするのですよ。」
だから、その晩にも、彼はひとりで必死になつて上衣を脱いだり、パンツや、シャツの釦をはづしたり、寝衣に著更へたり、帯を結んだり、寝床にころがつたり、眠つたりした。
その翌朝の今日のことである。柳橋駅から犬山橋までの電車の沿線には桑が肥え、梨が実り、青い水田のところどころにはほのかな紅い蓮の花が、「朝」の「八月」の香ひを爽やかな空気と日光との中に漂はしてゐた、さうしたすがすがしい眺めと薫りとをこの子はどんなに貪り吸つたことか。父とまた初めて旅するこの子の瞳はどんなに黒く生々と燃えてゐたことか。さうして酒徒としての私にはやや差し障りさうな道連ではあつたが、時とすると侮り難い小さな監督者であらうも知れぬが、だが、私自身にも寧ろ或はそれを望んだ心もちもあつた。
私はわが子の両手を強く握つた。――よく一緒に遣つて来た。来てほんとによかつたのだ。
☆
北原 白秋(きたはら はくしゅう)
1885年1月25日-1942年11月2日。詩人、童謡作家、歌人。福岡県柳河(現在の柳川)に生まれる。上京後、「明星」「スバル」などに短歌、詩を発表。1918年から鈴木三重吉の「赤い鳥」の童謡面を担当し、以後、日本の創作童謡に新分野を開拓した。代表作は「雲母集」(歌集)、「からたちの花」(童謡集)など。
□ 夏休み特集:果物と理科自由研究
千葉市の理科自由研究のサイトから果物に関係するテーマを紹介
します。
○ リンゴから出るエチレンの働きについて
http://www.cabinet-cbc.ed.jp/db/rika_cd/jiyuken/r
onbun/keyword/107062k.htm
○ 野菜や果物の水分の蒸発
http://www.cabinet-cbc.ed.jp/db/rika_cd/ji
yuken/ronbun/genre/10840j.htm
○ みかんの内果皮の有無による水分の保持具合について−糖度・
酸性度など−
http://www.cabinet-cbc.ed.jp/db/
rika_cd/jiyuken/ronbun/genre/11051j.htm
○ 良い種子の条件〜スイカの種子の観察・実験を通して〜
http://www.cabinet-cbc.ed.jp/db/
rika_cd/jiyuken/ronbun/genre/10732j.htm
○ イチョウの葉についての研究
http://www.cabinet-cbc.ed.jp/db/
rika_cd/jiyuken/ronbun/genre/10234j.htm
○ 食物のにおいの影響(梅干し)
http://www.cabinet-cbc.ed.jp/db/
rika_cd/jiyuken/ronbun/keywo/rd/10416k.htm
□ 今週の果物
今週は横浜市への果物の入荷状況について紹介します。神奈川県は果物の産地です。この時期、地元産のスイカやメロンが沢山出回ります。
ニホンナシ(「幸水」など)は、熊本、福岡、佐賀産です。モモは山梨産、スモモは山梨、長野産、サクランボは北海道産が入荷しています。ぶどう「デラウェア」は山形産、「巨峰」は長野、栃木、山梨産などです。奈良産のカキ(渋がき)も入荷しています。
スイカは地元神奈川と山形産です。メロン(「アンデスメロン」、温室メロン、など)は山形、千葉、神奈川、静岡、愛知産です。イチゴは山形産です。
ミカンは佐賀、愛知産、リンゴ(「ふじ」、「ジョナゴールド」など)は青森産です。
□ 今日のフォト
八月から本格的なナシのシーズンになります。農研機構果樹研究所の圃場では、果実が日に日に大きくなっています。写真は「豊水」です。ナシ棚から青い空と白い雲が見えます。シャッターを切ったらセミがバサッ、バサッと枝から飛び立ちました。暑い夏に似合うアブラゼミです。
http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News52.html
(掲載は次号まで)
☆ 編集部より ☆
リボフル閑談の書式を台本タイプに近づけました。読みやすくなったでしょうか。等幅フォントで作成しいるためプロポーショナルフォントでは少しづれてしまいます。
生活習慣病予防のための研究はダイナミックに変化しています。そのため、素早く対応できる本メルマガのようなインターナショナルの科学情報メディアが必要だと考えています。(tnk)
本日付けで省内編成があり、果物&健康NEWSの配信は生産流通振興課園芸流通促進班から引き続き行います。名前が長くてなかなか慣れそうにありません。
今後とも当メルマガのご愛読よろしくお願いします。(KT)
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