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■□ 果物&健康N8WS Vol.212
□■ 2008年8月29日(金)
みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「毎日、果物と野菜を沢山食べるには」です。
メルマガをゆっくりとお楽しみください。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
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◇ 読者から:桃の切り分け方は?
◇ 果物の小話:ナツメ(棗)の雑学
◇ 今週のレシピ:リンゴ
◇ 毎日、果物と野菜を沢山食べるには
◇ 文献紹介:子供たちが果物と野菜を食べるのは親の影響
◆ 若い人に本メルマガをお勧めください
◇ 品種紹介:リンゴ「きたかみ」
◇ くだもの健康豆知識:混濁果汁と透明果汁
◇ 読者から:放射線照射による品種改良とは?
◇ 読者から:食品成分は栽培などで異ならないか?
◇ 文学の中の果物:ジャーナリズム雑感(寺田寅彦)
◇ 今週の果物
◇ 今日のフォト
◇ 編集部より
□ 読者から:桃の切り分け方は?
こんにちは。いつも楽しく拝見しています。
沖縄県ではなかなかおいしい桃を食べる機会が無いのですが、先日、知り合いから桃をいただきました。しかし、果実が柔らかく皮をむいたり種を取るときに果肉がつぶれてしまい、きれいに切り分けることができませんでした。
桃はどのように切り分けると良いのでしょうか? 教えて下さい。 「沖縄パイン」
【編集部より】
モモの種〈核〉は硬いため、リンゴのように真ん中にナイフを入れるとそこから崩れてしまいます。また、最近の品種は種と果肉が離れにくいので、種を避けてナイフを斜めに入れると、うまく切り分けることが出来ます。
種の離れの良い性質を離核といい、簡単に種を取ることができます。「大久保」などが離核品種です。また、ネクタリンでは「ファンタジア」や「フレーバートップ」などがあります。現在、離核のモモ品種の育種も進められています。
読者の皆様のモモの切り分け方を教えてください。また、モモに限らずこの果物はこう切るとうまくいく、こんな道具、食べ方があるなどをメールしてください。お待ちしています。
□ 果物の小話:ナツメ(棗)の雑学
ナツメは、クロウメモドキ科ナツメ属の1種であるサネブトナツメ(シナナツメ)を基本種として改良された変種の総称として扱うのが一般的です。サネブトナツメの原生地はヨーロッパ東南部〜アジア南部とされていますが、明らかではありません。
中国では紀元前から栽培され、重要な果樹であり、現在中国では400品種以上あるといわれています。わが国には野生のナツメはなく、中国から古い時代に渡来したもので、万葉時代には生食、干しナツメを薬用としていました。『延喜式』(927)には信濃(長野県)、丹後(京都府)、因幡(鳥取県)、美作(岡山県)、備前(岡山県)、阿波(徳島県)の国々から干しナツメが献上されたとあります。このように、平安時代以降、菓子として利用されてきましたが経済栽培されたことはなく、明治時代以降も庭先果樹として植えられていたに過ぎません。現在、岐阜県等でわずかに栽培されています。
ナツメの語源は、夏芽で初夏に芽を出すことによるとされています。抹茶の容器「棗」は、ナツメ果実の形状に由来します。
果実は球形、長球形で通常3〜8g程度で、中には50gになる品種もあり、中心に核があります(無核品種もある)。熟期は9〜10月で、果皮は暗赤褐色で果肉はリンゴに類し酸味を帯びます。果実は生食、乾果として菓子用、蜜ナツメとして利用する他、果実をかるく湯通しして乾燥させたものを大棗(たいそう)、種子を酸(さん)棗(そう)仁(にん)といい、漢方薬(強壮、健胃、鎮静、催眠薬等)に用います。材は堅く、車軸や印材となります。 (間苧谷)
□ 今週のレシピ:リンゴ
○ 爽やか☆人参とリンゴのヨーグルトサラダ
材料
リンゴ 1/4個、人参 1/2本、ヨーグルト 大さじ1杯、マヨネーズ 大さじ1杯、塩・レモン果汁 少々
作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/recipe/621685
○ オープンアップルポテトパイ
材料
リンゴ 2個、レモン汁 少々、砂糖 30g、さつま芋 1本、砂糖(芋の甘みで加減) 30g、卵黄 1個分など
作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/recipe/631711
□ 毎日、果物と野菜を沢山食べるには
毎日、果物と野菜を沢山食べるにはどうしたらよいでしょうか。現在の食生活をそのままにして、果物を沢山食べるのは難しいと思います。理由の1つに、ほとんどの人はすでに十分量のカロリーを摂取しているため、それに果物を加えると、果物のカロリーは低いとはいえ、カロリーオーバーとなる可能性があります。
そのため、握り拳1つの果物を摂取したら、それに見合うだけ肉などを握り拳分減らすと良いと思います。そうすると理想的な食事バランスに近づきます。
それでも、沢山の果物を毎日食べるのは大変かもしれません。むしろ、思い切って食生活を果物と野菜中心に切り替えると無理なく果物と野菜を沢山食べることが出来ます。
今回、1日に果物と野菜を11サービング(果物6サービング、野菜5サービング)摂取するメニューを紹介します。果物は、オレンジ1個、小さめのリンゴ1個、中くらいのバナナ1本、フルーツジュース1カップ、レーズン1/4カップです。
朝食
全粒小麦パン 1切れ
マーガリン 小さじ1杯
シリアル 3/4カップ
低脂肪牛乳 1カップ
中くらいのバナナ 1本
フルーツジュース 1カップ
昼食
全粒小麦パン 2切れ
マスタード 小さじ1杯
チキンサラダ 3/4カップ
新鮮なキュウリ 1/2カップ
八つ切りトマト 1/2カップ
ヒマワリの種 小さじ1杯
低カロリーのイタリアンドレッシング 小さじ1杯
オレンジ 1個
夕食
柔らかいローストビーフ 3オンス
無脂肪のローストビーフソース 小さじ2杯
グリーンビーンズのバター炒め 1カップ
カノーラオイル 小さじ1/2杯
小さめのベイクドポテト 1個
無脂肪のサワークリーム 小さじ1杯
チェダーチーズ 小さじ1杯
小さめの小麦ロールパン 1個
ソフトマーガリン 小さじ1杯
小さ目のリンゴ 1個
低脂肪牛乳 1カップ
軽食
アーモンド 1/3カップ
レーズン 1/4カップ
無脂肪フルーツヨーグルト 1/2カップ
上記のような食事を摂取すると総カロリーは2,062kcalと丁度良い量になります。そして、食物繊維が37 gと非常に多くなり、カリウムが約4g、ナトリウムがその半分の2gとなり、理想的な栄養状態になります。いかがですか。
このメニューは循環器系疾患予防に有効とされているDASH摂取プランで提示されている例です。
1日当たりの栄養成分値
摂取カロリー 2,062kcal
炭水化物 284 g
タンパク質 114 g
脂肪 63 g
飽和脂肪酸 13 g
コレステロール155 mg
カルシウム 1,220 mg
マグネシウム 594 mg
カリウム 4,909 mg
食物繊維 37 g
□ 文献紹介:子供たちが果物と野菜を食べるのは親の影響
アメリカで行われた研究から、子供たち(未就学児)が果物や野菜を食べるのは両親の影響が大きいことが分かりました。子供に果物と野菜を沢山食べてもらいたいと、両親が望むなら自らも果物と野菜を食べることが重要です。
研究では1,300家族以上を調査した結果、両親の果物と野菜の摂取量が増加するとその子供たちの摂取量も増加しました。一方、肥満児は、菓子や塩分の多い食品を好む傾向がありました。
以上の結果から、子供たちに健康的な食習慣を身につけてもらいたいなら、両親自らが食生活をリードすることが必要で、そうすれば子供達の肥満を防ぐことが可能であると、研究者らは考えています。
【文献】
Haire-Joshua, D. et al.: High 5 for Kids: The impact of a home visiting program on fruit and vegetable intake of parents and their preschool children. Prev. Med. 47: 77-82. (2008) [doi:10.1016/j.ypmed.2008.03.016]
■ 若い人に本メルマガをお勧めください
学生など若い人に役立つ情報も沢山ありますので本メルマガをお勧めください。本メルマガは若い人が使い慣れている携帯Webメールでも受信できます。
農林水産省の登録サイトは下記です。
http://www.maff.go.jp/j/pr/e-mag/index.html
上記サイトが携帯Webで読めない場合は下記の仮登録サイトをご利用ください。
http://www.kudamononet.com/kkr/registory.html
□ 品種紹介:リンゴ「きたかみ」
「きたかみ」は「東北2号(とうほく2ごう)」と「レッドゴールド」を交配して育成された早生品種です。成熟期は盛岡で9月上旬です。果実の大きさは150〜200gで、果皮は濃紅色で、果肉は黄白色です。硬さは中くらいで、切り口の褐変は少ないのが特徴です。糖度12%、リンゴ酸0.5%前後で甘酸適和です。品種名は育成地盛岡を流れる北上川にちなみ名付けられました。また、北海道向けの意も込められています。
「きたかみ」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/data/hinsyu/cu-kitakami.html
□ くだもの健康豆知識:混濁果汁と透明果汁
混濁果汁とは、果汁中のペクチンなどの食物繊維などがコロイド状をなして混濁している状態の果汁です。食物繊維を多く含むだけでなく、果実らしい香りを保持しているのが特徴です。これに対して、透明(清澄)果汁は、果汁中のペクチンをペクチン分解酵素(ペ
クチナーゼ)等で分解して遠心分離などによって食物繊維などを除去し透明化したものです。オリが少ないので長期保存が出来ます。
混濁果汁では、濁度と色調が重要な品質要素です。色調を保持するため、搾汁の際にL-アスコルビン酸(ビタミンC)を添加します。リンゴでは、破砕するとポリフェノールがポリフェノールオキシダーゼの作用により空気中の酸素と結合して褐変するので、これを防止するため、L-アスコルビン酸が添加されます。また、製品の濁度と食物繊維などパルプ量を一定の数値内に収めるため、使用する破砕機の選択も重要なポイントです。粒子の大きいパルプを除くには遠心分離器などで行います。
□ 読者から:放射線照射による品種改良とは?
いつも楽しく興味深く読ませていただいております。
新水の品種改良における、「放射線照射」について質問です。品種改良は、自然が誘発した、突然変異であったり、かけあわせだったりするかと思いますが、「放射線照射」による品種改良ってどうなんでしょうか。
少し疑問に思い、投稿してみました。あまり具体的でない質問ですみません…。 (大森)
【編集部より】
メールありがとうございました。「寿新水」は、独立行政法人 農業生物資源研究所 放射線育種場(放射線育種場)で育成されました。
放射線育種は、対象品種の基本的な性質を損なわずに目的(「寿新水」では耐病性)形質のみを改良する場合などに用いられています。放射線育種場は、放射線により誘発された突然変異を利用した作物の品種改良などを行っています。
さらに詳しく知りたい場合は下記の放射線育種病のホームページをご覧ください。
http://www.irb.affrc.go.jp/
□ 読者から:食品成分は栽培などにより異なるのではないか?
食品成分表の値が昔と違うのは、分析法の進歩というより、野菜などでは栽培法の違いが大きいのではないでしょうか。魚では養殖か天然かの違い、獣では、飼料の違いなどの影響も非常に大きいと思われますが、如何でしょうか。(SK)
【編集部より】
メールありがとうございました。日本食品標準成分表について多くの方が同様な疑問をいだくようです。また、この質問に類似した「なぜ成分表には各食材について成分値が1つしかないのか?品種や栽培で異なるのではないか?」があります。次回、こうした食品成分表に対する疑問にお答えします。
□ 文学の中の果物:ジャーナリズム雑感(寺田寅彦)
セザンヌがりんごを描くのに決して一つ一つのりんごの偶然の表象を描こうとはしなかった、あらゆるりんごを包蔵する永遠不滅のりんごの顔をカンバスにとどめようとして努力したという話がある。科学が自然界の「事実」の顔を描写するのはまさにかくのごとき意図によるものであろう。新聞記者が新聞紙上に日々の出来事を記載するにこの意図があるかどうかは明らかでないが、もしそういう意図があってそうしてそれを実行し成就しようとするならば新聞記者というものは、セザンヌやまたすべての科学者を優に凌駕(りょうが)すべき鋭利の観察と分析の能力を具備していなければならないことと思われるのである。新聞記者になるのもなかなかたいへんなsことである。
翻って考えてみると、科学者自身の間にもまたこのジャーナリズムのそれのような類型的の見方をする傾向が多分に存在している。従来用い古した解析的方法に容易にかかるような現象はだれも彼も手をつけて研究するが、従来の方法だけでは手におえないような現象はたとえ眼前に富士山のようにそびえていてもいっさい見て見ぬふりをしているという傾向がたしかにあるのである。しかし、だれか一人のパイオニアーがその現象に着眼して山開きのつるはしをふるって登山道がつき始めると、そうすると、始めて我れも我れもとそのふもとに押しかけるようになるのである。これも科学的ジャーナリズムの発達のおかげで世界じゅうの学者の研究が迅速に世界じゅうの学者の机上に報道されるからである。三原山(みはらやま)投身者が大都市の新聞で奨励されると諸国の投身志望者が三原山に雲集するようなものである。ゆっくりオリジナルな投身地を考えているような余裕はないのみならず、三原山時代に浅間(あさま)へ行ったのでは「新聞に出ない」のである。
☆
寺田 寅彦
(てらだ とらひこ、1878年11月28日-1935年12月31日)
物理学者、随筆家、俳人。漱石の門下生で数多くの随筆がある。
□ 今週の果物
今週は札幌市の青果物市場へ入荷している果物について紹介します。地元北海道産が多く入荷しています。セイヨウナシ、スモモ、ブドウ、イチゴ、メロン、スイカなどです。
佐賀産のミカン、リンゴは山形、青森産の「つがる」や青森産の「ジョナゴールド」、「ふじ」などです。
ニホンナシ(「幸水」など)は新潟、茨城産、セイヨウナシは青森、北海道産です。カキ(渋ガキ)は奈良産です。モモは福島産、スモモは北海道、山梨産などです。ブドウ(「デラウェア」、「巨峰」など)は北海道、山形産などです。
イチゴ、メロン、スイカは北海道産です。
□ 今日のフォト
リンゴの季節到来を示す品種は「つがる」です。全国各地の青果物市場に入荷しており、果物売り場に並んでいます。これから多くの品種が店頭に並ぶので食べ比べてみてください。写真はポット植えの「アルプス乙女」です。
http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News56.html
(掲載は次号まで)
☆ 編集部より ☆
感動を与えてくれた北京オリンピックが終わりました。女子ソフトの決勝戦で宇津木元監督の「よし」、「よし」の絶叫も感動的でしたが、個人的には陸上男子400メートルリレー3位が一番でした。夏が終わると実りの秋となります。(tnk)
来週から2週間職場にインターンシップ生を受け入れます。このメルマガにも参加してもらおうと思っています。乞うご期待。(KT)
果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。
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ご協力に感謝いたします。 編集長 敬白
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