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■□ 果物&健康N8WS Vol.224
□■ 2008年11月25日(火)
みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「食育セミナーで食習慣が本当に変わるの?」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
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◇ カキの名句
◆ 広告
◇ 果物の小話:カキ − その1
◇ 今週のレシピ:カキ
◇ 食育セミナーで食習慣が本当に変わるの?
◇ 品種紹介:カキ「駿河」
◇ 読者から:交配の表記の仕方について
◇ 文学の中の果物:トカトントン(太宰治)
◇ 今週の果物
◆ 広告
◇ 今日のフォト
◇ 編集部より
□ カキの名句
澁柿と烏も知りて通りけり
− 小林一茶
■ 広告 からだにいいことβ習慣!
□ 果物の小話:カキ − その1
この度は、カキについて5回にわけて記述します。
カキは、カキノキ科カキノキ属に属し、カキノキ属植物は世界に200種とも400種ともいわれ、その大半は熱帯・亜熱帯地域に分布し、常緑性と落葉性とがあります。温帯地域に分布するものは非常に少なく、落葉性です。
カキノキ属の中で果樹として重要なものには、カキ、マメガキ(中国原生で主に柿渋採取、台木)、アメリカガキ(北アメリカ原生で果径3cm前後、渋味が多いが成熟すれば甘味を増す。ゴルフクラブのヘッド用材、台木)などがあります。そのうち果実を食用とするものは、カキだけです。
カキの原生地は中国で、中国ではBC2世紀には栽培されていたといわれています。わが国には、奈良時代頃に中国から渋ガキが渡来
したと考えられています。しかし、日本西南部と南朝鮮に純野生種とも野生化したとも区別できないヤマガキが存在するとされ、中国、朝鮮半島、日本を原生地とする説もあります。
ただ、後者の日本原生地説については、地質年代の更新世の化石層からカキの遺物は見つかっていますが、『古事記』(712)、『日本書紀』(720)には柿の文字が人名や地名にみられるだけで、さらに『万葉集』(759年までの400年間の歌集、780年頃成る)にも果樹としてのカキを詠んだ歌はないことから、現在のところ定説には至っていません。このように、現在のわが国におけるカキ品種の基本種は、中国から渡来したものとする説が有力です。
カキの語源には、赤い果実のなる木であることから「赤木」、果実が赤いこと「赤き」に由来するなど、諸説があります。なお、kakiという名は多くの国で用いられ、カキの学名Diospyros kaki Thunb.の中にもkakiという名称が使われています。属名のDiospyrosは、ギリシア語のdios(神聖な、の意)とpyros(小麦、の意)からなっています。 (間苧谷)
□ 今週のレシピ:カキ
○ 柿のチーズグラタン
材料
カキ 大1個半(375g位)、さといも 大5〜6個、ロースハム 120g、たまねぎ 小1個、しめじ 1.5パック(150g位)、牛乳 450cc+少々、みそ 大さじ1.5強、溶けるチーズ 120gなど
作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.jagifu.or.jp/05plaza/05_02_03_20.html
□ 食育セミナーで食習慣が本当に変わるの?
食育セミナーを開催しても本当に効果があるのでしょうか。食育に携わっている人が常に抱いている疑問です。セミナー終了後のアンケートの成績がよくても、しばらくすると忘れられてしまいます。特に、講演会などのグッド・レクチャーが到達点であるのとは異なり、食育セミナーは食習慣の改善が目的なので、知識の切り売りではない果物の魅力を知ってもらうことが大切です。
そこで、昨年12月1日に若い女性を対象に行われた食育セミナーについて、セミナー終了直後のアンケート結果とその半年後の意識変化について紹介します。
検討対象の食育セミナーは東海農政局がプロデュースした「くだもののススメ 〜考えよう 未来を担う子供達の食生活」(平成19年12月1日)です(参考資料1)。その中で、果物の健康効果の紹介や果物の美味しい食べ方の実践講座などが行われました。
その結果、果物をほぼ毎日200g食べている人は22%でした(問1)が、今後果物の摂取を「今までより増やしたい」と回答したのは、79.4%と高い結果でした(問2)、一方、変わらない20.6%でした。若い女性に対する食習慣の改善の動機づけに対してこの食育セミナーは効果的と考えられました。しかし、今までのデータや経験からすると、この意識が長期間続くのか疑問が残りました。そこでフォローアップの意識調査が行われました。
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問1.「食事バランスガイド」や「毎日くだもの200グラム運
動」で勧める、果物を1人1日2つ(おおよそ200グラム:みか
んなら2個、りんごなら1個程度)を食べていますか。
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ほぼ毎日食べている 22%
週3〜4回食べている 25%
週1〜2回食べている 28%
月に1〜3回 12%
ほとんど食べていない 13%
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問2 「毎日くだもの200グラム運動をお知りになり、今後はど
の程度食べたいですか。
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今までより増やしたい 79.4%
今までと変わらない 20.6%
変わらない理由1
(1)200g以上食べているから 17.6%
(2)嫌いだから 0.7%
(3)食べるのに手間だから 0%
(4)価格が高いから 2.2%
(5)他の食べ物(お菓子など)がおいしいから 0%
(6)ダイエットしたいから 0%
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○ フォローアップ調査結果
食育セミナー終了後から半年後の今年(平成20年)5月に食育セミナーの効果について女子大生89人を対象に意識調査が行われました。セミナー後に果物の摂取量は変わったのか、また、果物摂取量が増加した場合、変わらない場合のそれぞれの理由を調査しました。
その結果、半年後でもおおよそ半数近くの参加者が果物の摂取量が増加したと回答していました(問3)。増加の大きな理由は果物の健康効果の解説により、果物の摂取が健康によいと知ったためでした(問4)。一方、果物摂取量が変わらないと回答した人の多くは、果物のよさは認めているものの価格が高いと思っているためでした(問4)。
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問3.セミナー終了半年後の果物摂取に対する意識
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200g食べている 9.0%
食べる量が増加した 38.2%
変化なし 51.7%
その他 1.1%
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問4.果物摂取量増加の理由
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健康によいと知った 24人
魅力を感じた 19人
美味しさが分かった 7人
美味しさを感じた 13人
安いと感じた 4人
その他 2人
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問5.果物の摂取量が変わらなかった理由
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食費の負担 16人
調理者の理解が得られない 10人
食べたいとは思わない 5人
良いと思わなかった 1人
講演内容を忘れた 9人
その他 8人
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さらに、セミナーで知った果物についての健康効果等を周囲の人へ話したかどうか、また話したい講演内容について調査しました。あわせて、周囲の人に話した際に相手の理解を得られたかどうかについても調査しました。
その結果、半分以上が、セミナー終了後に身近な人に講演内容を話していました。そして、大半がその内容について、理解が得られたと回答しています。さらに、機会があれば、別の相手にも紹介したという回答者を含めると9割を超える結果となりました。周囲に紹介した講演内容は果物の健康効果、果物の魅力や実演された果物の食べ方(切り方)との回答が得られています。
以上のようによく準備された食育セミナーの効果は持続することが分かりました。今後更に、詳細な研究を行い最も効果的な食育セミナーについて明らかにしたいと考えています。
【参考資料】
1. 食育セミナー:くだもののススメ 〜考えよう 未来を担う子供達の食生活
講演:食事バランスガイドと果物の健康機能性について
農研機構果樹研究所(田中敬一氏)
講演+実演:知っ得?納得!果物の魅力
(有)八百文(鈴木和子氏)
講演:先進的な食育事例の紹介:子供が変われば家庭が変わる
西尾市立寺津小中学校(榎本美晴氏)
日時:平成19年12月1日
場所:椙山女子学園大学
【本年度の東海農政局の食育セミナー】
デーマ:Fruit Stories 〜伝えたい 伝えてほしい くだものの感動
日時:平成20年11月29日
場所:名古屋女子大学
詳細は下記のサイトをご覧下さい。
http://www.maff.go.jp/tokai/press/engei/081020.html
申し込みは下記サイトにあります。
http://www.maff.go.jp/tokai/press/
engei/pdf/081020-02.pdf
□ 品種紹介:カキ「駿河」
「駿河(するが)」は「花御所(はなごしょ)」と「晩御所(おくごしょ)を交雑して育成された品種です。「駿河」の結実は良好で、花も良く着くので豊産性です。完全甘ガキであり、熟期は「富有」より遅く、11月下旬から12月上旬です。果実の大きさは「富有」よりやや小さく、250g程度、肉質は緻密です。
「駿河」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/data/hinsyu/cu-suruga.html
□ 読者から:交配の表記の仕方について
果実等の「交配」の表記で、「A×B」と「B×A」は違うのでしょうか? (KWさん)
【編集部】
メールありがとうございました。品種紹介で交雑親を記載していますが、この順番は母親品種、父親品種の順で、植物の交雑育種における順番と同じです。そのため、入れ替えると母親品種と父親品種が違ってしまいます。
□ 文学の中の果物:トカトントン(太宰治)
「ようし! 頑張ったぞ!」と附添の者が叫んで、それを抱き上げ、私の見ている窓の下に連れて来て、用意の手桶(ておけ)の水を、ざぶりとその選手にぶっかけ、選手はほとんど半死半生の危険な状態のようにも見え、顔は真蒼(まっさお)でぐたりとなって寝ている、その姿を眺めて私は、実に異様な感激に襲われたのです。
可憐(かれん)、などと二十六歳の私が言うのも思い上っているようですが、いじらしさ、と言えばいいか、とにかく、力の浪費もここまで来ると、見事なものだと思いました。このひとたちが、一等をとったって二等をとったって、世間はそれにほとんど興味を感じないのに、それでも生命(いのち)懸けで、ラストヘビーなんかやっているのです。別に、この駅伝競争に依って、所謂文化国家を建設しようという理想を持っているわけでもないでしょうし、また、理想も何も無いのに、それでも、おていさいから、そんな理想を口にして走って、以て世間の人たちにほめられようなどとも思っていないでしょう。また、将来大マラソン家になろうという野心も無くどうせ田舎の駈けっくらで、タイムも何も問題にならん事は、よく知っているでしょうし、家へ帰っても、その家族の者たちに手柄話などする気もなく、かえってお父さんに叱られはせぬかと心配して、けれども、それでも走りたいのです。いのちがけで、やってみたいのです。誰にほめられなくてもいいんです。ただ、走ってみたいのです。無報酬の行為です。幼児の危い木登りには、まだ柿の実を取って食おうという慾がありましたが、このいのちがけのマラソンには、それさえありません。ほとんど虚無の情熱だと思いました。それが、その時の私の空虚な気分にぴったり合ってしまったのです。
☆
太宰 治(だざい おさむ)
1909年6月19日〜1948年6月13日。青森県北津軽郡金木村(現在の青森県五所川原市、旧金木町)で県下有数の大地主の6男として生まれる。代表作に「富嶽百景」、「斜陽」、「人間失格」などがる。
□ 今週の果物
今週は名古屋市の青果物市場に入荷している果物について紹介します。名古屋市には地元産のニホンナシ、キウイフルーツ、イチゴのほか、岐阜産のカキ、静岡産のミカン、長野産のリンゴなどが多く取り扱われています。
甘ガキは岐阜産、渋ガキは岐阜、和歌山、山梨産です。
ミカンは静岡、熊本、和歌山産などです。
リンゴ「ジョナゴールド」は青森産、「王林」は長野、岩手産、「ふじ」は長野、青森産です。
ニホンナシは愛知産、セイヨウナシは山形産です。ブドウは長野(「巨峰」)、岡山産です。キウイフルーツは愛知産です。
イチゴは愛知産、メロンは高知、静岡、熊本産、スイカは熊本、高知産です。
■ 広告 科学技術の理解を助ける「果物&健康NEWS」
科学技術立国を目指して科学技術の理解増進のため科学博物館、大学や研究機関、学会、NPOなどではホームページやメルマガなどを通じて様々な情報を発信しています。内閣府は、その先進的な活動事例として「果物&健康NEWS」を選定しました。
□ 今日のフォト
12月17日早朝、つくばは深い霧に覆われ、視界も限られていました。黄色や赤に色づいた農研機構果樹研究所のカキの果実や葉も霧にぬれていました(写真)。つくばは霧の発生が多いところですが、京都府亀岡市は盆地にあるため晩秋から早春にかけて霧が30〜40回も発生するそうです。
http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News68.html
(掲載は次号まで)
☆ 編集部より ☆
メルマガ発行に対して「金にもならず、評価もされないのによくやるね」といわれます。「だからです」と答えています。でも、長く続けていると、いま科学技術に求められているもの、メルマガの目指す形が見えてきます。科学技術立国の一翼を担っていること、農業振興のための食育にかかわる研究や実践などです。本メルマガは苦しいときに頼りになる多くの友人に支えられています。(tnk)
先日埼玉県の長瀞に紅葉を見に行ってきました。渋滞にはまってしまい、到着が3時を過ぎてしまいましたが、夕日に映るもみじが見れたので、よかったです。
店先でつるし柿を久しぶりに見かけて、10年以上前に亡くなった祖母の顔をふと思い出しました。(KT)
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