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第226回 リポフル閑談:脳卒中予防と果物

  



■□ 果物&健康N8WS Vol.226
□■  2008年12月5日(金)


みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「リポフル閑談:脳卒中予防と果物」です。
科学技術立国の一翼を担う「果物&健康NEWS」
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp

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 ◇ ゼミ・卒論・食育に役立つ資料:フィンランドの食品成分表
 ◇ 今週のレシピ:リンゴ
 ◇ リポフル閑談:脳卒中予防と果物
 ◇ 品種紹介:リンゴ「ノースクィーン」
 ◇ 果物の小話:カキ その3
 ◇ 文献紹介:リンゴなどにあるケルセチンでインフルエンザ予防
 ◇ 果物おもしろ記録:リンゴの皮むき世界記録
 ◇ 文学の中の果物:初恋(島崎藤村)
 ◇ 食育シンポジウム「果物と健康」
 ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◆ 広告
 ◇ 編集部より



□ ゼミ・卒論・食育に役立つ資料:フィンランドの食品成分表

 フィンランドは生活習慣病予防のための研究が盛んで、有益な情報の発信源です。そのフィンランドで食べられている食品の成分値をネットで見ることが出来ます。

 アクセスしたら最初に、"IN ENGLISH"をクリックします。そうすると英語版に変わるので、Foodのあとの空欄に検索したい食品名を入力します。例えば「apple」と入力すると一番上に「Apple curd cheese pie in short crust pastry」が出てきます。

 生のリンゴの成分値を知りたい場合は、下の方を見ていくと、下記のように皮付き、皮なし、国産、輸入別に4つのリンゴの成分値を見ることが出来ます。

Apple, imported, average, with skin
Apple, imported, without skin
Finnish apple, average, with skin
Finnish apple, without skin

フィンランドの成分表の検索サイトは下記です。
http://www.fineli.fi/




□ 今週のレシピ:リンゴ

○ りんご巻きトンカツ

材料
 豚モモ肉(薄切り) 12枚(約200g)、リンゴ 1個など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.jadatemirai.or.jp/eino/recipe200611_02.html

○ りんごと白菜のサラダ

材料
 リンゴ 1/2個、白菜 3枚、たまご 1個など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.jadatemirai.or.jp/eino/recipe200611_01.html




□ リポフル閑談:脳卒中予防と果物

リ  ポ:皆さん今日は。寒くなってきましたね。果物食べてます
     か。今日の話題は、「脳卒中予防と果物」です。フルッ
     タさん、よろしくお願いします。
フルッタ:リポさん、よろしくお願いします。脳卒中は、ガン、心
     臓病に次いで死亡率の高い病気です。脳卒中は、脳の動
     脈が詰まったり、破裂したりして、脳組織が壊死する病
     気です。人を対象とした研究から果物を沢山食べている
     と脳卒中のリスクが下がることが分かりました。

リ  ポ:果物を食べていると脳卒中のリスクは、どのくらい下が
     るのですか。
フルッタ:フィンランドで男女約1万人を対象に、15年間、追跡調
     査を行った結果、リンゴの摂取量が多い人は、脳卒中の
     リスクが男性で41%、女性で39%低いと報告されていま
     す。
リ  ポ:リンゴってすごいですね。

フルッタ:アメリカで行われた研究では、果物と野菜を沢山食べて
     いる人は、脳卒中のリスクが低いと報告されています。
     脳卒中のリスクが最も低かった人の果物と野菜の摂取量
     は、男性で10サービング、女性で9サービングでした。
     1サービングは、おおよそ握り拳1個分です。

リ  ポ:10サービングとはどれくらいですか。
フルッタ:すべてをリンゴに換算すると5個位、ミカンなら10個位
     です。果物を相当量食べていることになります。

リ  ポ:果物を食べるといいのですね。果物好きには美味しい情
     報ですね。
フルッタ:そうです。沢山食べられない場合でも、毎日、リンゴ半
     分かミカン1個食べるだけでも脳卒中のリスクが約6%減
     少することも分かりました。

リ  ポ:リンゴ半分食べるだけでも効果があるのですか。
フルッタ:はい。一方、食塩の摂取量が多いと脳卒中のリスクが高
     まります。臨床研究から、食塩の摂取と血圧との関係は
     累進的なので、できる限り食塩の摂取量を下げる必要が
     あります。

リ  ポ:食塩のとりすぎは良くないですよね。
フルッタ:食塩とは逆に、カリウムの摂取量が多いと脳卒中のリス
     クが下がります。カリウムは、食塩による血圧上昇を抑
     制する効果があります。アメリカ脳卒中学会では、食塩
     を1日当たり5.8g未満に抑え、カリウムを4.7g以上摂取
     することを推奨しています。

リ  ポ:食塩を減らしてカリウムを多く摂ればよいのですね。
フルッタ:その通りです。脳卒中の予防には、果物、野菜、低脂肪
     の乳製品などの摂取量を増やし、総脂肪と飽和脂肪酸の
     少ない食事にすることが推奨されています。

リ  ポ:日本はどうですか。
フルッタ:アメリカやフィンランドなどと同様に、日本でも食塩の
     摂取量が多く、カリウムの摂取量が少ないことが明らか
     となっています。食塩を含まず、カリウムの豊富な食品
     の代表は、リンゴなどの果物です。
リ  ポ:そうすると、料理の味付けで、食塩を減らして香酸カン
     キツ(ユズやカボス、スダチなど)をうまく使うと脳卒
     中予防に良いわけですね。

フルッタ:それは重要なポイントの一つです。我が国の現状から考
     えると、脳卒中予防にはもっと果物の摂取量を増やす必
     要があります。

リ  ポ:脳卒中予防には果物が良いと言うことですね。フルッタ
     さん、ありがとうございました。
     皆さん。旬のリンゴやミカン、カキは美味しいだけでな
     く、脳卒中予防にも効果がありますよ。
                              



□ 品種紹介:リンゴ「ノースクィーン」

 「ノースクィーン」は「ふじ」と「つがる」を交雑して育成された品種です。早生品種「つがる」のあとの品種が少ないため育成されたもので、北海道では10月中旬に収穫できます。果実果皮は黄色で陽向面はうっすらと赤色に色づき外観が美しく仕上がります。
食味は甘酸適和でバランスがとれています。

「ノースクィーン」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/data/hinsyu/pr-northqeen.html





□ 果物の小話:カキ その3

 カキの3回目です。大蔵永常(1768〜?)の農学書『公益国産考』(1859)に、“柿は諸国にあって品種も多いが、大和の御所柿が最高である。しかし、甘柿は食べる期間が30日前後と短いため、その地方の特産品にはなりにくい。たくさん作って利益を得、地方の特産物とするには渋柿がよい。安芸の西条柿の干柿は極上品、美濃から出る蜂屋の干柿は品質がよい。”という内容の記載があります。

 「御所」は、現在の奈良県御所市の原産です。1645年頃には既に近畿、東海地方に広く栽培されていたこともあり、砂糖丸、大和御所、目黒御所、久佐衛門、キネリなどの別名を多く持つ完全甘カキです。現在注目されている「太秋」は、「御所」の血を引いています。「西条」は、現東広島の長福寺に1239年に植えられたとされていますが、実際にはそれより200〜400年前から栽培されていたようです。1619年には浅野家が西条柿奉行を置いたとされる名品です。「蜂屋」(別名、堂上蜂屋)は、現岐阜県美濃賀茂市蜂屋町の原産とされ、当地では古くから栽培され、干柿として朝廷や将軍家に送り、大変もてはやされたことから堂上の名が付きました(堂上:昇殿を許された人)。

 欧米にカキが伝来した時期は定かではありませんが、明治以降にわが国の栽培品種が多く伝わっています。当初、apple of orient と呼ばれ期待されたようですが、甘ガキと渋ガキとの区別、さらに適切な食べ方が分からなかったこともあり、大きな産業には発展しませんでした。

 現在、世界各国にカキ栽培は広がり、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランド、イタリア、スペイン、イスラエル等で栽培されています。渋ガキは、加工するのではなく、樹上あるいは収穫後に軟化を進め熟しガキとして食べる国が多いようです。 (間苧谷)




□ 文献紹介:リンゴなどにあるケルセチンでインフルエンザ予防

 アメリカ、サウスカロライナ大学の研究チームは、動物実験からリンゴ、ブドウなどの果物に含まれるポリフェノールの一種であるケルセチンがインフルエンザの罹患リスクを低下させると「アメリカ生理学雑誌-調節、統合及び比較生理学」に発表しました。

 マウスを用いた研究から、身体に負担のかかる運動をするとインフルエンザにかかりやすくなることが分かりました。また、激しい運動をして疲労したマウスは、運動をしなかったマウスよりインフルエンザの発症率が高くなりました、

 次に、運動させたマウスと運動しなかったマウスにケルセチンを与えたところインフルエンザの発症率は同じでした。このことは、疲労していてもケルセチンを摂取すればインフルエンザにかかりにくいことを示しています。さらに、ケルセチンを摂取し、運動しなかったマウスを運動させてもインフルエンザにかかりにくくなることが分かりました。

 以上の結果から、リンゴやブドウなどに含まれているケルセチンにはインフルエンザに対する予防効果があると研究者らは考えています。

【文献】
Davis, J. M. et al.: Quercetin reduces susceptibility to influenza infection following stressful exercise. Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol. 295: R505-R509. (2008) [doi: 10.1152/ajpregu.90319.2008]




□ 果物おもしろ記録:リンゴの皮むき世界記録

 リンゴの皮を途中で切れたりせず1本につながった皮の長さの世界記録は、1976年10月16日、アメリカ・ニューヨーク州ロチェスターで樹立されました。キャシー・ウォクラ・マディソンさんは11時間30分かけて剥いた皮の長さは172フィート4インチ(52メートル51センチ)でした。当時、彼女は16歳でしたが、成長してリンゴ園の販売部長になったとのことです。




□ 文学の中の果物:初恋(島崎藤村)

まだあげ初(そ)めし前髪の
林檎(りんご)のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛(はなぐし)の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅(うすくれなゐ)の秋の実に
人こひ初(そ)めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情(なさけ)に酌(く)みしかな

林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ

           「若菜集」より




□ 食育シンポジウム「果物と健康」

 毎日くだもの200グラムで健康生活。果物はバランスのとれた食生活に不可欠です。くだもの摂取の重要性を考えてみませんか。

講演:毎日くだもの200グラムと健康
農研機構果樹研究所 上席研究員 田中敬一氏
講演:学生の食事バランス大丈夫? 〜 Yes we can! 〜
宮城学院女子大学 教授 佐藤幸也氏

日時:平成20年12月15日(月曜日)
午後3時〜5時30分
場所:エル・パーク仙台(141ビル)5階)
   セミナーホール
   仙台市青葉区一番町4丁目11番1号

問い合わせ先
東北農政局生産経営流通部園芸特産課
TEL 022-263-1111(内線4430・411)

チラシ、申し込み書等は下記のサイトにあります。
http://www.kudamono200.or.jp/JFF/sonota/sympo_201225.pdf




□ 今週の果物

 大阪本場市場に入荷している果物について紹介します。入荷量が多いのは和歌山産のミカンやカキ、青森産のリンゴなどです。クリスマスに向けてイチゴの取り扱いも増えてきました。  

早生温州ミカンは和歌山産、普通温州ミカンは愛媛産です。ネーブルオレンジは和歌山産、「しらぬひ」は徳島、大分産、ユズは愛媛、徳島産、スダチは徳島産です。
 
リンゴ「ジョナゴ−ルド」は青森産、「陸奥」は青森、長野産、「ふじ」は長野、青森産、「王林」は岩手、青森産です。

カキ「富有」は和歌山、奈良、福岡産です。

イチゴ「女峰」は香川産、「とよのか」は長崎、徳島産、「さちのか」は長崎、徳島、和歌山産、のほか福岡産のイチゴも入荷しています。

セイヨウナシは山形産です。メロン「アールスメロン」は静岡、熊本、高知産です。




□ 今日のフォト

 気象庁は生物季節観測から、11月30日に東京でイチョウが黄葉したと発表しました。平年より11日遅く、観測史上、2番目に遅い記録だそうです。イチョウの黄葉の基準は「対象の木全体を見て、大部分が黄色系統の色になり、緑色系統が殆ど見られなくなった最初の日」とのことです。農研機構果樹研究所のイチョウの葉も綺麗に黄化しています。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News70.html
  (掲載は次号まで)





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 http://www.kudamononet.com/kkr/mmp/mmp.html



☆ 編集部より ☆

 先日、名古屋女子大学で行われた東海農政局プロデュースによる食育セミナーに参加していただいた愛知県の林さんからメールをいただきました。その中で『はるばる出かけた甲斐がありました。..果物の良さを改めて確認できました。』とあり、大変うれしく思っております。ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。(tnk)

 今年親戚からもらったりんごは蜜がたっぷり、非常に甘くておいしいです。おいしいので、いっぱい食べたいのですが、すぐにお腹がふくれてしまいます。昔は1個簡単に食べられたのですが、最近は1度に全部は食べきれなくなってしまいました。(KT)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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