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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第235回 消化と吸収及び消化管での滞留時間

  




■□ 果物&健康N8WS Vol.235
□■  2009年3月2日(月)


みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「消化と吸収及び消化管での滞留時間」です。
科学を生活へ 果物&健康NEWSが6年目に入りました。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp

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 ◇ 桃の花の句
 ◇ 今週のレシピ:ひな祭り
 ◇ 消化と吸収及び消化管での滞留時間
 ◇ 品種紹介:モモ「錦」
 ◇ 文献紹介:果物と野菜の摂取が骨を強くする
 ◇ 読者から:「リポフル閑談」の復活を
 ◇ 文学の中の果物:みみずのたはこと(徳冨健次郎)
 ◇ 果物花便り:日本一早いモモの花見(山梨県)
 ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 編集部より




□ 桃の花の句

  春の苑くれなひにほう桃の花
       した照る道に出で立つをとめ

            − 大友家持 (万葉集) −




□ 今週のレシピ:ひな祭り

○ 淡雪かん

材料(4人分:18×15cmの流し箱1コ分)
 白桃(缶詰) 2コ、キーウィフルーツ 1個、イチゴ 7〜8粒、寒天 1本、水 2カップ、砂糖 100g、卵白 1コ分、梅酒 大さじ2杯

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.bob-an.com/recipe/OutputMain.asp?
KeyNo=02027&PG=79566475&ST=&Z=01&CTop=
0&D=3&RC=%82P%82O&cnt=1&sch=%93%8D


○ 桃缶のスクランブル

材料(4人分)
桃缶(白と黄) 500g 2缶、薄力粉 180g、無塩バター 100g、アーモンドパウダー 30g、グラニュー糖 100g

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.daiwa-can.co.jp/cooking/recipe034.html




□ 消化と吸収及び消化管での滞留時間

【読者からの質問】

 はじめまして。 いつもメールを楽しみにしています。
 私は果物が大好きで毎日最低2回は食べています。また実家にいたときも毎食後果物を食べるのが習慣でしたので果物を食べている量はかなり多いと思います。

 最近読んだ本で「果物は食後に食べるのではなく朝食として食べるほうが良い。その理由は果物は消化に時間がかからないので食後に食べると先に食べた食事が果物の消化の邪魔をする」というような内容のことが書いてありました。(消化の邪魔をするというのは正確な言い方ではないかもしれません)。

 日本では果物というと食後のデザートとしてとらえられていると思いますが、食後に食べるのはやはり消化の関係上、あまり良くないのでしょうか?

 このメルマガでは果物をいつ食べることを奨励しているのでしょうか? お聞かせいただけるとうれしいです。ではこれからも楽しみにしています。
(ハンドルネーム: くいめい) 

【回答】

○ 消化・吸収とは

 メールありがとうございました。同様の質問が別な方からも来ています。果物など食品の消化管での滞留時間は人の体内での消化と吸収に深く関係しています。

 消化とは栄養素を体内に吸収できる大きさに分解することです。消化の方法には物理的消化(咀嚼、蝉動運動など)と化学的消化(消化酵素による分解)、生物的消化(腸内細菌による分解)があります。

 吸収とは、消化された栄養素を体内に取り込むことです。消化された栄養素のほとんどは小腸上部で吸収されます。吸収の方法には受動輸送(エネルギーが不要:単純拡散、濃度勾配)と能動輸送(エネルギーが必要:濃度勾配に逆らうナトリウム共輸送)とがあります。

○ 消化管の中でおきること

 消化・吸収にたずさわる臓器は、順に口腔、食道、胃、小腸、大腸です。こうした消化管と消化に関わる臓器である肝臓、胆嚢、すい臓とが互いに協力して食品を栄養素まで消化します。口から入った食品は食道を通過して、胃に入ります。消化のために胃の中に滞留する時間を「胃内容排出時間」といいます。

 液体の食品は固体の食品より胃の中の滞留時間が短いことが知られています。また、液体でも糖分が多いと滞留時間が長くなります。同じ量の固体でもタンパク質、脂質、炭水化物の含有率が異なると滞留時間も違ってきます。一般的に、食物繊維<タンパク質<脂質が多い食品の滞留時間は長くなることが知られています。

 果物の胃での滞留時間を直接計測したデータはありませんでしたが、食品の吸収速度を示すグリセミック・インデックスの計測値が参考になります。グリセミック・インデックス値は炭水化物含量を一定にして血液中に吸収されたブドウ糖(グルコース)の量をはかります。そのため、胃での滞留時間が予測できます。つまり、食品のグリセミック・インデックス値は、その食品が体内でどの位早く消化・吸収され、血糖値を上昇させるかを示す指標です。

 フランスパンや精白パンなどのデンプンを主体とした食品のグリセミック・インデックス値は高く、それぞれ95、70ですが、果物は低く、リンゴ38、セイヨウナシ38、モモ42、オレンジ42、サクランボ22です。果物のグリセミック・インデックス値が低い理由は、良質な食物繊維を多く含むためです。従って、果物の胃内の滞留時間はデンプン食品より長いことが分かります。滞留時間が短いとの説明は俗説です。

○ 果物をいつ食べたらよいか

 現在、生活習慣病を予防し健康の維持増進には血糖値の上昇をゆっくりにするのが良いとされています。例えば、朝食を抜いた2食より3食に分けてきちんと食べる方が肥満になりにくいことが分かっています。従って、果物を食べる時間は、朝も金、昼も金、夜も金です。野菜や他の食品と同じです。また、食前でも食後でも栄養的には同じです。ただし、生鮮果実は満腹感が持続するので食事の前に食べると空腹感が抑えられ、全体の食事の量が少なくなることが知られています。

(お知らせ)
「糖尿病専門医に紹介したくだものの働き」はお休みさせていただきました。




□ 品種紹介:モモ「錦」

 「錦(にしき)」は「缶桃12号(かんとう12ごう)」と「缶桃2号(かんとう2ごう)」を交雑して育成した品種です。満開から100日余りで収穫される中生の缶詰用モモ品種です。果実重は150〜200g程度で缶詰に適しています。果肉は黄色、不溶質で加熱しても煮崩れしません。缶詰にした製品は外観、品質とも良好です。ジャムや瓶詰めなどにも利用できます。極めて優れた缶詰用品種ですが、海外から安価なモモ缶詰製品が輸入されており、わが国ではほとんど栽培されていません。

「錦」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://fruit.naro.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/data/
hinsyu/cu-nishiki.html





□ 文献紹介:果物と野菜の摂取が骨を強くする

 アメリカ、タフツ大学などの研究チームは、果物や野菜を多く摂取するとアルカリ度が上がるため、骨からのカルシウムの損失が抑えられるので骨が強くなると「臨床内分泌学・代謝雑誌」のオンライン版に発表しました。

 タンパク質は筋肉や骨に必須の栄養素ですが過剰になると体内で酸性物質が増加するため、中和に必要なカルシウムが骨などから失われると考えられています。

 研究では50歳以上のボランティアを対象として、タンパク質の摂取量と炭酸水素カリウムとの関係を解析しました。その結果、炭酸水素カリウムは尿タンパク質の排泄を抑えるだけでなくカルシウムの吸収を促進することが分かりました。

 以上の結果から研究者らは、カリウムなどミネラルを豊富に含む果物や野菜の摂取は骨の健康に必要で、体内の酸とアルカリのバランスを保つために大切な食品であると述べています。

【文献】
Ceglia, L. et al.: Potassium bicarbonate attenuates the urinary nitrogen excretion that accompanies an increase in dietary protein and may promote calcium absorption. J. Clinic. Endocrinol. Metabolism. Online Dec. 2. (2008) [doi: 10.1210/jc.2008-1796]




□ 読者から:「リポフル閑談」の復活を

 果物&健康News 毎回楽しみに見ていますが、「リポフル閑談」がここ最近無いのが寂しいです。是非復活を。(S)


【編集部より】
 うれしいメールありがとうございました。近いうちに復活させたいと思っています。今回は、リポさんのプロフィールを紹介します。リポさんは卒業後、地方局のアナウンサーを経て、現在はフリーのリポーターをしています。健康番組の司会のかたわら、猛勉強して気象予報士の資格を得ました。果物が大好きだそうです。




□ 文学の中の果物:みみずのたはこと(徳冨健次郎)

 畑の物は可なり出来る。昨年は陸穂(おかぼ)の餅米が一俵程出来たので、自家で餅を舂いた。今年は大麦三俵籾(もみ)で六円なにがしに売った。田園生活をはじめてこゝに六年、自家の作物が金になったのは、此れが皮切だ。去年は月に十日宛(ずつ)きまった作男を入れたが、美的百姓と真物(ほんもの)の百姓とは反(そ)りが合わぬ所から半歳足らずで解雇してしまい、時々近所の人を傭ったり、毎日仕事に来る片眼のおかみを使って居る。自分も時々やる。少し労働をやめて居ると、手が直ぐ綺麗になり、稀に肥桶を担ぐと直ぐ肩が腫れる。元来物事に極不熱心な男だが、其れでも年の功だね、畑仕事も少しは上手になった。最早(もう)地味に合わぬ球葱(たまねぎ)を無理に作ろうともせぬ。最早胡麻を逆につるして近所の笑草にもならぬ。甘藷苗の竪植(たてうえ)もせぬ。心(しん)をとめるものは心をとめ、肥料のやり時、中耕の加減も、兎やら角やら先生なしにやって行ける。毎年儂(わし)は蔬菜(そさい)花卉(かき)の種(たね)を何円と云う程買う。無論其れ程の地積(ちせき)がある訳でも必要がある訳でも無いが、種苗店の目録を見て居るとつい買いたくなって買うのだ。蒔(ま)いてしまうのも中々骨だから、育ったら事だが、幸か不幸か種の大部分は地に入って消えて了う。其度毎(そのたびごと)に種苗店の不徳義、種子の劣悪(れつあく)を罵(ののし)るが、春秋の季節になると、また目録をくって注文をはじめる。馬鹿な事さ。然し儂等は趣味空想に生きて、必しも結果には活きぬ。馬鹿な事をしなくなったら、儂が最後だ。

 時の経(た)つは速いものだ。越(こ)した年の秋実を蒔いた茶が、去年あたりから摘(つ)め、今年は新茶が可なり出来た。砂利を敷いたり剪枝をしたり苦心の結果、水蜜桃も去年あたりから大分喰える。苺(いちご)は毎年移してばかり居たが、今年は毎日喫飽(くいあき)をした上に、苺のシイロップが二合瓶(ごうびん)二十余出来た。生籬の萩が葉を見て花を見てあとは苅られて萩籬の料になったり、林の散歩にぬいて来て捨植(すてうえ)にして置いた芽生の山椒が一年中の薬味になったり、構わずに置く孟宗竹の筍(たけのこ)が汁の実になったり、杉籬の剪(はさ)みすてが焚附(たきつけ)になり、落葉の掃き寄せが腐って肥料になるも、皆時の賜物(たまもの)である。追々と植込んだ樹木が根づいて独立が出来る様になり、支えの丸太が取り去られる。移転の秋坊主になる程苅り込んで非常の労力を以て隣村から移植し、中一年を置いてまた庭の一隅(いちぐう)へ移し植えた二尺八寸廻(まわ)りの全手葉椎(マテバシイ)が、此頃では梢の枝葉も蕃茂して、何時花が咲いたか、つい此程内(うち)の女児が其下で大きな椎の実を一つ見つけた。と見て、妻が更に五六粒拾った。「椎が実(な)った! 椎が実った!」驩喜(かんき)の声が家に盈(み)ちた。田舎住居は斯様な事が大(たい)した喜の原になる。一日一日の眼には見えぬが、黙って働く自然の力をしみ/″\感謝せずには居られぬ。儂が植えた樹木は、大抵根づいた。儂自身も少しは村に根を下(おろ)したかと思う。



徳冨 健次郎 (とくとみ けんじろう)
 1868年12月8日 - 1927年9月18日。明治、大正期の小説家、徳冨蘆花の本名。熊本県水俣出身。代表作は「不如帰(ほととぎす)」など。晩年には、パレスチナ巡礼やトルストイ訪問などを経て半農生活に入った。




□ 果物花便り:日本一早いモモの花見(山梨県)

 山梨県笛吹市のハウス桃園では、1ヶ月間「春まで待てないハウス桃宴のお花見」を開催しています。ハウス内の気温は25度に保たれています。雨天でも暖かく、団体だけでなく個人でも楽しめます。食事・飲み物などの持込みも自由です。

開催日:2009年2月14日(土)〜3月中旬
開催場所:JAふえふき富士見支所直売所(受付)
車:中央自動車道都留ICから15分
電車:JR中央線石和温泉駅からタクシーで15分

■問い合わせ:JAふえふき富士見支所
       TEL055-262-3853

ポスターは下記のサイトにあります。
http://www.city.fuefuki.yamanashi.jp/file/478ffbc21d247.pdf

ハウス桃園の詳細は下記のサイトをご覧下さい。
http://www.city.fuefuki.yamanashi.jp/kanko/
kanko_cal.php?id=1777





□ 今週の果物

 今週は名古屋市の青果物市場に入荷している果物について紹介します。地元産の果物はウンシュウミカンやイチゴなどです。

入荷量の多い果物はリンゴ、ウンシュウミカン、イヨカン、イチゴ、ハッサク、キウイフルーツなどです。

産地別では青森、愛媛、愛知、静岡、和歌山、熊本、徳島産などです。

ウンシュウミカンは静岡、愛知産、イヨカンは愛媛産、ハッサクは和歌山、徳島産、ネーブルオレンジは静岡、熊本産など、甘ナツミカンは熊本産などです。その他、デコポンなど晩柑類もたくさん入荷しています。

リンゴ「ジョナゴールド」は青森産、「王林」は青森産、「ふじ」は青森産です。

イチゴは愛知、熊本、鹿児島産などです。

キウイフルーツは愛媛産などです。甘ガキは岐阜産、サクランボは高知産です。

温室メロンは静岡、高知産、「アンデスメロン」は熊本産などです。
スイカは沖縄、熊本産などです。




□ 今日のフォト

 つくば市周辺では2月27日の昼頃、雪が降りました。ナシの枝にも雪が積もり、その枝の下は土がみえています。まるで、樹の影のように見えます。
 明日、3月3日はひな祭りです。雛人形と並んでいるのはリンゴとデコポンです。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News77.html
  (掲載は次号まで)





☆ 編集部より ☆

 メルマガ配信が6年目に入りました。この5年間の間にも、ガン、循環器系疾患、糖尿病など生活習慣病に対する果物摂取の大切さを示す科学的証拠が必要かつ十分量、蓄積してきました。「毎日くだもの200グラム」への流れが変わると期待しています。(tnk)

 先日はれひめを初めて食べました。内袋が薄くて食べやすかったです。もう少し食べたかったな・・・。晩柑類は種類が豊富なので、いろいろな味や香りが楽しめますね。食べ比べてみると、自分の好みがわかっておもしろいですよ。(KT)




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