ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第24回 食物繊維と心臓病 


  

      

□□■  果物&健康NEWS Vol.24 ■□□
    ■   2004年8月13日(金)  ■

みなさん、こんにちは!
今回は、食物繊維と心臓病です。




■メニュ−■

   □□ 食物繊維と冠動脈疾患(心臓病)予防 □□

   ◇◆ 用語解説 ◆◇

   ●◇ 今週のレシピ ◇●

   ★☆ 農林水産業ひと口メモ 食料自給率 ☆★

   □■ お知らせ ■□




□□ 食物繊維と冠動脈疾患(心臓病)予防 □□

 心臓の筋肉(心筋)に血液を供給している血管を冠動脈と言い、この冠動脈が動脈硬化などにより心筋に必要な血液を供給出来なくなると狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患(心臓病)となります。

 食物繊維を摂取すると、血圧が下がり、血液中の脂質やインシュリン感受性が改善されると報告されていることから、食物繊維は冠動脈疾患に有効であると考えられていました。そこで、アメリカやヨーロッパで行われている10件の疫学調査プロジェクトのデータをまとめて食物繊維の摂取量と冠動脈疾患との関係について分析が行われました。

 男性91,058人、女性245,186人あわせて約34万人を対象に6〜10年間追跡したところ、食物繊維を1日10グラム多く食べると、冠動脈疾患の罹病率が14%、死亡率が27%低くなることが分かりました。

 次に、食物繊維を、穀類由来、果物由来、野菜由来に分けて、冠動脈疾患との関係を調べたところ、1日あたりの摂取量が10グラム増えると、冠動脈疾患の罹病リスクは、穀類由来の食物繊維では0.90倍、果物由来では0.84倍、野菜由来では1.00倍でした(表)。また、冠動脈疾患の死亡リスクは、穀類由来の食物繊維では0.75倍、果物由来では0.70倍、野菜由来では1.00倍でした(表)。

 このことは、果物由来の食物繊維を摂取すると冠動脈疾患の罹病率では16%、死亡率では30%低下することを示しています。穀類由来の食物繊維も冠動脈疾患のリスクの低下(罹病率10%低下、死亡率25%低下)が認められましたが、野菜由来の食物繊維については、はっきりしたリスクの低下が認められませんでした。この結果から果物由来と穀類由来の食物繊維は、冠動脈疾患の予防に有効であると結論付けられます。

表 食品群ごとの冠動脈疾患の罹病リスクと死亡リスク
-----------------------------------------------
             冠動脈疾患
          罹病リスク  死亡リスク
-----------------------------------------------
穀類由来食物繊維    0.90     0.75
果物由来食物繊維    0.84     0.70
野菜由来食物繊維    1.00     1.00
-----------------------------------------------


 現在、日本人の1日あたりの食物繊維の摂取量は14g(平成14年国民栄養調査)です。今より食物繊維を10g多く摂取するのはなかなか大変ですが、DASH摂取プラン(メルマガ「果物&健康NEWS」vol.17-19)などの摂取法を参考にすれば、カロリーを増やさずに食物繊維を増やすことが十分に可能です。

原著:Pereira MA, et al. Dietary fiber and risk of coronary heart disease: a pooled analysis of cohort studies. Arch Int Medicine 164: 370-376. (2004)




◇◆ 用語解説 ◆◇

食物繊維
 五訂日本食品標準成分表では「ヒトの消化酵素では消化されない食物中の難消化性成分の総体」と食物繊維(dietary fiber)を定義している。食物繊維は、生活習慣病の予防因子であること、食品のグリセミックインデックスを規定する重要な因子として生体のエネルギー利用に影響を及ぼすこと、大腸において発酵を受けその代謝物が利用されること、便秘解消に効果的なことなどが明らかにされている。そのため、日本人に対する1日当たりの目標摂取量は、成人では20〜25gとされている。また、アメリカ食品医薬局(FDA)の食物繊維目標摂取量は1日当たり20〜35gである。




●◇ 今週のレシピ  ◇●

モモ果実入りブレッド
(材料)
 ・ソフトタイプのバターかマーガリン:1/2カップ
 ・砂糖:1カップ
 ・卵:3個
 ・強力粉:23/4カップ
 ・ベーキングパウダー:小さじ11/2杯
 ・ふくらし粉:小さじ1/2杯
 ・塩:小さじ1杯
 ・細かくしたシナモン:小さじ11/2杯
 ・新鮮なモモスライス・2カップ
 ・解凍した冷凍濃縮オレンジジュース・大さじ3杯
 ・バニラ・エッセンス:小さじ1杯

(手順)
1.バターをクリーム状にしたあと、少しずつ砂糖を加えて、よく混ぜてください。
2.卵を1度に1個ずつ加え、強くかき混ぜて泡立てて下さい。
3.強力粉、ベーキングパウダー、ふくらし粉、塩、シナモンを一緒に混ぜてください。次に、モモ スライスと上記クリームを交互に加え、よく混ぜて下さい。
4.濃縮オレンジジュースとバニラを入れ、かきまぜててください。
5.油を塗り、粉をふりかけた9x5x3インチのオーブン用金属皿に上記のミックスチャーを流し込んで下さい。
6.350F(180℃)で1時間焼くか、木の串を中央に刺してクリームが付いてこなくなるまで焼いてください。
7.10分間金属皿の中で冷やして下さい。
8.オーブン用の金属皿から移して、完全に冷やすとできあがりです。




★☆ 農林水産業ひと口メモ 食料自給率 ☆★

 平成15年度の食料自給率が発表されました。カロリーベースでの食料自給率は40%で、6年連続の横ばい、果実類の自給率は44%で前年同です。内訳では、みかんは104%(前年の自給率98%)、りんごは62%(同63%)です。

食料自給率は、食料消費について国産でどの程度賄われているかを示す指標です。
自給率=国内生産量/国内消費量×100

http://www.kanbou.maff.go.jp/www/fbs/fbs-top.htm




□■ お知らせ ■□

中国四国地域「やさい・くだもの」摂取拡大に向けた講演会の開催について

1 趣旨
 現在の日本人に増加している生活習慣病の要因は、食事などの生活習慣が主要な原因の一つといわれています。
 生活習慣病の予防には、毎日の食生活において、ご飯、肉、魚等と一緒にたっぷりの野菜と果物を摂取し、栄養バランスの良い食生活を取り入れることが効果的だといわれており、「食生活指針」(文部科学省・厚生労働省・農林水産省決定)、「健康日本21」(厚生労働省)、「がん予防12か条」(国立がんセンター)など、野菜・果物の摂取の拡大について呼びかけられています。
 そこで、野菜・果物を摂取することの健康上の重要性や1日当たりの望ましい摂取目安等を紹介・普及し、野菜・果物の摂取拡大を図るための講演会を開催します。

2 テーマ
  「たっぷり野菜・どっさり果物で健康食生活!」
   ※「ベジフルセブン」&「毎日くだもの200g運動」
  目標は1日350g(5皿分)の野菜と200g(2皿分)の果物

3 開催日時
平成16年10月15日(金) 13:30〜16:30 (開場13:00)

4 場所
メルパルク岡山 住所:岡山市桑田町1−13 電話:086-223-8100(代)

5 開催内容
(1)講演
@演題:「野菜・果物の機能性と食生活への導入」(仮題)
   講演:女子栄養大学教授 吉田企世子氏
  A演題:「野菜・果物の摂取による病気予防」(仮題)
   講演:独立行政法人国立健康・栄養研究所
      栄養所要量策定企画・運営担当リーダー 佐々木敏氏

(2)展示
   野菜・果物の摂取拡大に関するパネル、資料等の展示

6 主催
  中国四国農政局、青果物健康推進委員会、果物のある食生活推進全国協議会

7 参集範囲
  消費者、栄養教育関係者、実需者(外食・加工等)、流通関係者、(小売・卸売業者等)、野菜・ 果実等生産者、農業団体、県・市町村等(申込先着200名)

<問い合わせ・申し込み先>
 〒700-8532
  岡山市下石井1-4-1岡山第2合同庁舎
  中国四国農政局生産経営流通部園芸特産課
  電話:086-224-9413(内線2436)
  FAX:086-232-7225
  e-mail:agripage@chushi.maff.go.jp




☆ 編集部より☆

 日本女子サッカーチームの歴史的な勝利からアテネオリンピックがスタートしました。さらに、多くのドラマが生まれるでしょう。テレビから目が離せません。ただ、夜中の放送が多いようなので寝不足、夏ばてにはご注意を。(tnk)
 
 私がオリンピックを見た記憶は、1984年のロスオリッンピックからです。その中で開会式を始め、柔道の山下選手がケガをし、きびしい状況ながらも金メダルを取ったこと、女子マラソンでアンデルセン選手がふらふらになりながらも最後まで走り抜いたこと等、その他いろいろな競技で感動しました。これから始まるアテネオリッンピックも楽しみですね。ところで開催地ギリシャは果物の最高摂取国で、日本はギリシャの摂取量の約4割程度です。体のために、毎日しっかりくだものを食べましょう。(N)



Copyright 2004-2005 Keiichi Tanaka. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.






果物&健康Newsへ戻る



ホームページへ戻る