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第257回 食事方法が乳ガンリスクと関係する?

  





□■□ 果物&健康NEWS Vol.257
■□□ 2009年8月10日(月)配信
□□◇ <創刊日2004年2月26日>



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<<■ 本日のメニュー >>>>

 ◇ 季節のたより
 ◇ 今週のレシピ:ナシ
 ◇ 文献紹介:食事方法が乳ガンリスクと関係する?
 ◇ 品種紹介:ナシ「秋麗」
 ◇ 文献紹介:中年期の高コレステロール血症は認知症リスクを高める
 ◇ 科学ニュース:治療が必要かもしれない便秘
 ◇ 文学の中の果物:種梨(田中貢太郎)
 ◇ 理科自由研究:水に浮く果物・野菜
 ◇ 今週の果物
 ◇ 美味しいナシの選び方
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 編集部より



□ 季節のたより

旬の果物:モモ、ナシ、スモモ

 ナシ「幸水」が豊富に出回ってきました。多汁でシャリ、シャリとした肉質が魅力です。

札幌市7月11日
日の出  4:35  日の入り 18:43
夜明け  3:56  日暮れ  19:23
月の出 20:35  月の入り 9:41  月齢 19.5

札幌市8月の過去3年間の気候
       06年   07年   08年  09年(途中経過) 
平均気温   24.3   23.5   21.2   22.0    ℃
降 水 量   36.5   65.5   56.0   −    mm
相対湿度   72    71    71    77    %




□ 今週のレシピ:ナシ

○ 梨のみぞれ和え

材料
 梨 1/2個(200g)、胡瓜 1/2本→マッチ状千六本に切る、しめじ 70g→半分に切りほぐす、大根 150g→すりおろす、人参 少々、甘酢(酢 大さじ2杯、だし又は水 大さじ1杯、など)

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.jakyoto.com/modules/weblinks/singlelink.php?lid=94

○ 吉野梨の白ワイン煮

材料
 吉野梨 4個(700g〜800g)、白ワイン 1 1/4カップ、上白糖100g、レモンの輪切り 2枚、生姜の輪切り(皮付) 1枚、クローブ 5個

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.kasias.or.jp/ja-ysc/recipe/recipe-nashi_004.htm




□ 文献紹介:食事方法が乳ガンリスクと関係する?

 乳ガン予防には、食事をどのくらい食べたかという「量」と同じくらいに、どのように食べたか(「食べ方」)も重要であると、カナダ、マギル大学のポラック教授が「ガン予防研究」のオンライン版(8月3日)に見解を発表しました。

 肥満は乳ガンのリスクを高めることが知られています。そのため、カロリー制限食は乳ガンのリスクを減らすのに有効ですが、継続的にカロリー制限をするのではなく、一定の時間を置いて間欠的にカロリー制限をした方が乳ガンのリスクが低くなることが分かり、食事の食べ方もリスクと関係していることが分かりました。

 その理由として、カロリー制限によって乳ガン細胞が死滅するのではなく、カロリー制限によって生体内のホルモンなどの分泌の変化によってガンのリスクが低下するためではないかと述べています。

【文献】
Pollak, M.: Macronutrient Intake and Cancer: How Does Dietary Restriction Influence Tumor Growth and Why Should We Care? Cancer Prev. Res., Online Aug. 3, (2009) [doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-09-0134]]



   ■ ガン予防には果物と野菜を毎日5〜13サービング
      (1サービングは握り拳1個分))


□ 品種紹介:ナシ「秋麗」

 「秋麗(しゅうれい)」は「幸水(こうすい)」と「筑水(ちくすい)」を交雑して育成した品種です。果形は扁円形でよく整い、有袋栽培では「二十世紀」と同様の美しい外観に仕上がる青ナシです。平均果実重は350g程度で、「秀玉」よりややこぶりです。果肉は柔らかく、肉質がち密で多汁です。果汁の糖度は13%前後で、好ましい風味があり、食味は「二十世紀」よりも優れています。収穫期は9月上旬頃で、「秀玉」とほぼ同時期です。

「秋麗」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/data/hinsyu/cu-syurei.html





□ 文献紹介:中年期の高コレステロール血症は認知症リスクを高める

 中年期に血中のコレステロール濃度が高いと、高齢者になってからアルツハイマー病(AD) や血管性認知症 (VaD) などになるリスクが高くなるとフィンランドやアメリカなどの国際研究チームが「認知症と老人性認知障害」に発表(8月4日付け)しました。

 研究では、9,844人の男女を対象に40年間にわたって追跡調査が行われました。その結果、中年期にコレステロールが240r/dlより高い人はアルツハイマー病のリスクが66%高くなることが分かりました。また、コレステロールの境界値とされる200-239r/dlでも52%高くなっていました。血管性認知症もコレステロール値が高いとリスクが31%高まることが分かりました。

 以上の結果から研究者らは、男性の中年期のコレステロール値が高いと人生の後半にアルツハイマー病や血管性認知症になるリスクが高まるので、認知症予防に中年期のコレステロールの管理が大切であると述べています。

【文献】
Solomona, A. et al.: Midlife Serum Cholesterol and Increased Risk of Alzheimer's and Vascular Dementia Three Decades Later. Dement Geriatr Cogn Disord 28: 75-80 (20099 [DOI: 10.1159/000231980]




□ 科学ニュース:治療が必要かもしれない便秘

 アメリカ医学図書館(NLM)は、医師の診断を求める必要がある便秘についてMEDLINEplusに公表しています。

 多くの便秘は治療が必要というわけではありませんが、次のような事例では、医師の診断、治療が必要な場合があります。アメリカ家庭医学会は便秘に関して医師と相談する必要のある危険信号のリストを提供しています。

・初めての便秘や、便秘がまれに起こるとき。
・少なくとも3週間以上食物繊維を多く含む食品や果物を摂取し、運動しても便秘が改善されないとき。
・腹痛があるとき。
・血便があるとき。
・便秘で体重が減ったとき。

上記情報は下記のMedlinePlusのサイトで読めます(英語)。
http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/news/fullstory_
87599.html





□ 文学の中の果物:種梨(田中貢太郎)

 村に一人の男があって梨を市(まち)に売りに往ったが、すこぶる甘いうえに芳(におい)もいいので貴(たか)い値で売れた。破れた頭巾をかむり、破れた綿入をきた一人の道士が有(あ)って、その梨を積んでいる車の前へ来て、

「一つおくれ」
 と言った。村の男は、
「だめだよ」

 と言って叱ったが道士は動かなかった。村の男は怒って、「この乞食坊主、とっとと往かないと、ひどい目に逢わすぞ」と言って罵った。

 すると道士は言った。
「この車には何百も積んであるじゃないか、わしがくれというのは、ただその中の一つだよ、一つ位くれたところで、あんたにそうたいした損はないじゃないか、なぜそんなに怒りなさる」

 側(そば)に立って見ていた人たちも道士に同情して、村の男に、「一つわるいのをあげたらどうだ」

 と言ったが、村の男は頑として肯(き)かなかった。肆(みせ)の中にいた奉公人がやかましくてたまらないので、とうとう銭を出して一つだけ買って道士にあたえた。道士はそれをいただいた後で側の人たちに向って言った。

「出家には、ものおしみをする人の心がどうしても解りません、わしに佳(よ)い梨がある、それを出して、皆さんに御馳走をしよう」

 すると一人が言った。
「持ってるなら、それを食えばいいじゃないか」

 そこで道士が言った。
「わしが食わないのは、佳い梨だから、この核(たね)をとって種にしたいと思ってたからだよ」

 道士はそこで一つの梨をとって啗(く)ってしまって、その核を手に把(にぎ)り、肩にかけていた鋤(すき)をおろして、地べたを二三寸の深さに掘り、それを蒔(ま)いて土をきせ、市の人たちに向って、

「これに灌(か)ける湯がほしい」
 と言った。好事者(ものずき)が路ばたの店へ往って、沸きたった湯をもらってきて与えた。道士はそれを受けとって種を蒔いた所にかけた。皆がふしぎに思って見つめていると、そこから曲った芽が出てきて、しだいに大きくなり、やがて樹になり、枝葉が茂り、みるみる花が咲き、実になったが、その実は大きく芳がよく、それが累々として枝もたわわになったのであった。

 道士はそこでその梨を摘(つま)みとりながら、側に観ている人たちに与えたので、実はみるみるなくなってしまった。すると道士は鋤をもって樹を伐りはじめ、しばらく丁々とやっていたが、やがて断(き)れたので葉のついたままの樹を肩にしてしずかに往ってしまった。

 初め道士があやしい法術をおこないかけた時、村の男も皆の中に交って頸をながくして見ていたので、あきないに往くことも忘れていた。そして、道士が往ってしまったので、気がついてこれからあきないに往こうと思って、はじめて梨を積んであった車をふりかえった。車の中の梨は空になっていた。そこで村の男は道士が皆にわけてやったのは皆己(おのれ)の物であったということを知った。また仔細に見ると車の手綱が一つ亡(な)くなっていた。それは新たに断りとったものであった。村の男は大いに恨み憤って急に道士の跡を追って往こうとした。牆(かき)の隅をまがるとき、断りとられた手綱が垣の下に棄ててあった。村の男ははじめて道士の伐り倒した梨の木が、即ちその手綱であったということを知った。そして道士の所在を尋ねたがわからなかった。そこで市の人たちは白い歯をだして笑いあった。



田中 貢太郎(たなか こうたろう)
 1880年3月2日−1941年2月1日。高知市生まれ。小説家、随筆家。代表作は「旋風時代」「日本怪談全集」など。




□ 理科自由研究:水に浮く果物・野菜

 京都女子大学附属小学校の理科の先生が八百屋に扮し「水に浮く、野菜・くだものはどれでしょうか?」という問題を出し、実験を通して野菜・くだものの不思議を学びました。
 レタス、トマト、ニンジン、レモン、ジャガイモ、大根、玉ねぎ、プチトマト、ナス、りんご、かぼちゃ、それぞれの野菜や果物の浮き沈みに、子ども達から驚きの声があがりました。

実験風景は下記で見られます。
http://www.kyoto-wu.ac.jp/fusho/topics/post_438.html




□ 今週の果物

 今週は札幌市の青果物市場に入荷している果物について紹介します。地元産果物はメロン、スイカやサクランボ、イチゴなどです。取扱量の多い果物はメロン、スイカ、モモ、ナシなどです。産地別では地元北海道が多く、次いで福島、山梨、青森、福岡、山形、佐賀産、などです。

モモは福島、山梨産などです。スモモは北海道、山梨、青森産などです。サクランボは北海道産です。

ニホンナシ「幸水」は福岡、佐賀、茨城産、「豊水」は佐賀産です。

リンゴ「つがる」は福島、山形、宮城産、「ジョナゴ−ルド」は青森産、「王林」は青森産、「ふじ」は青森産です。

ブドウ(「デラウェア」、「巨峰」など)は山梨、山形、宮崎、東京、新潟産などです。渋ガキは奈良産です。

ウンシュウミカンは佐賀、大分産などです。

メロンは北海道、千葉、静岡産、などです。

スイカは北海道産です。イチゴは北海道産です。




□ 美味しいナシの選び方

 美味しいナシは、軸がしっかりしていて、形がよく果皮に張りがあり、重みを感じるものです。ニホンナシには、「幸水」、「豊水」などの赤ナシと「二十世紀」などの青ナシがあります。ナシはお尻の方が甘味が少し高くななります。




□ 今日のフォト

 農研機構果樹研究所では、恒例のモモの加工実習が行われました。缶詰用モモ品種「錦」を原料として、アルカリ薄皮、半割、核取り、ブランチング、整形などの工程を経て製品化します。写真は原料のモモと製品です。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News99.html
  (掲載は次号まで)





☆ 編集部より ☆

 サイエンスキャンプの一環として先週の金曜日(8月7日)に高校生を対象に「くだものの美味しさを科学する」として官能検査の実験が行われました。次号でその様子などを紹介します。(tnk)

 先々週に頼んだモモがやっと届きました。日照不足でまだ収穫できないと1度連絡があり、心待ちにしていたピンク色の果実は私の心の中でより一層おいしくなっていました。先週お尋ねしたモモの皮を食べるについては、投稿がありませんでした。残念。(KT)




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