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第263回 リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その3
      動物実験、サプリメント、食事-1

  





□■□ 果物&健康NEWS Vol.263
■□□ 2009年10月2日(金)配信
□□◇ <創刊日2004年2月26日>



みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その3」です。
メルマガをゆっくりとお楽しみください。
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公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
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<<■ 本日のメニュー >>>>

 ◇ 季節のたより
 ◇ 今週のレシピ:カキ
 ◇ リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その3
   動物実験、サプリメント、食事-1
 ◇ 品種紹介:カキ「久目丸」
 ◇ 文献紹介:サプリメントの利用には注意が必要
 ◇ たま子のフルーツエッセイ:我が家特有の食べ方
 ◇ 文学の中の果物:鳶と柿と鶏(豊島与志雄)
 ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 編集部より



□ 季節のたより

旬の果物:ナシ、カキ、リンゴ、ミカン

クルミの産地、長野県では収穫の最盛期です。

大阪10月3日
日の出  5:54  日の入り 17:40
夜明け  5:22  日暮れ  18:12
月の出 16:51  月の入り  4:39  月齢 13.8

名月や児立ち並ぶ堂の縁
      − 松尾芭蕉

明日(10月3日)は十五夜です。月が完全に満月になるのは10月3日の夜半過ぎ4日になってからです。

大阪市10月の過去3年間の気候
       06年   07年   08年
平均気温   20.4   20.0   19.6     ℃
降 水 量   73.0    72.0   62.0    mm
相対湿度   65    63    65     %




□ 今週のレシピ:カキ

○ 柿のおろしあえ

材料 (1人分)
 カキ 30g、大根 70g、レモン 10g、薄口醤油 2g

○ 柿のシャーベット

材料 (1人分)
 カキ(熟したもの) 150g、パルスイート 5g、湯冷まし水 25g、ブランデー 適量

「柿のおろしあえ」と「柿のシャーベット」の作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.ja-owari-chuoh.or.jp/nougyo/02_06_03.html




□ リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その3
  動物実験、サプリメント、食事-1


リ  ポ:皆さんこんにちは。前回、ガン予防のための施策や行動
     を推奨するためには副作用があってはいけないとのお話
     でしでした。
フルッタ:リポさん、こんにちは。その点がとても大切なポイント
     です。「科学論文があるから」では推奨するための証拠
     としては不十分です。研究を発表することと、人に勧め
     ることとは大きな違いがあります。

リ  ポ:そこのところをもう少し詳しくお願いします。
フルッタ:人の健康にかかわる行動を勧めるとは、その人の健康に
     対して責任があることでもあります。従って、十分な科
     学的検討が必要で、人に勧めても良いかを明らかにする
     必要があります。

リ  ポ:科学論文だけでは不十分なのですか。
フルッタ:はい、そうです。科学論文は、ある条件下で行われた実
     験の結果を示していますが、すべてを解決したわけでは
     なく研究途中で、副作用などが分からない場合がありま
     す。

リ  ポ:それでは、ガン予防のための食生活とはどんな食事です
     か。
フルッタ:ガンの予防には果物と野菜を中心とした食生活が重要で
     す。

リ  ポ:どうして果物と野菜が良いのですか。
フルッタ:ガンの専門家が世界中の研究論文を科学的に再評価した
     結果、ガンの予防に果物と野菜の摂取が有効で、その科
     学的レベルは人に推奨すべきレベルにあると判断されま
     した。

リ  ポ:果物や野菜に含まれている何か特別な成分がガンに効果
     があるのですか。
フルッタ:20世紀にはガンに有効な成分があると考えられ、多くの
     研究が行われました。しかし、特別な成分があると考え
     るより食生活(食事内容)がガン発症と関係していまし
     た。

リ  ポ:特定のビタミンやポリフェノールなどがガンの予防に効
     果があるのではありませんか。
フルッタ:そうではないのです。20世紀の「特別な成分がガン予防
     に有効である」とするパラダイムが、21世紀では「特別
     な成分がガン予防に有効であるとの証拠はなく、適切な
     食事が有効である」ことに転換しました。

リ  ポ:パラダイムシフトですね。もう一度、説明してください。
フルッタ:科学におけるなパラダイムシフトとは、科学的思想、考
     え方が大きく変わることをいいます。例えば、天動説か
     ら地動説への転換です。科学の進歩は一歩、一歩と前進
     しますが、大きく思想、考え方やとらえ方が転換すると
     きがあります。

リ  ポ:サプリメントではダメですか。ビタミンやミネラルの摂
     取には果物からといわれてもサプリメントの方が効果が
     ありそうに思えますが。
フルッタ:サプリメントより果物が良い科学的根拠を紹介します。
     パラダイムシフトの根拠となるレポート「食品、栄養、
     運動とガン予防」(世界ガン研究基金・アメリカガン研
     究財団:文献)では、特定成分のサプリメントはガン予
     防に無効か有害であると結論づけています。

リ  ポ:本当ですか。知りませんでした。
フルッタ:本当です。従って、むやみにサプリメントを摂取するこ
     とは勧められません。医師などの指導に従って摂取する
     ことを勧めます。
リ  ポ:果物を含む食生活が大切ということですね。ありがとう
     ございました。次回、もう少し詳しく伺いたいと思いま
     す。


   (つづく)

【文献】
World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research: Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. Washington DC: AICR, (2007)




□ 品種紹介:カキ「久目丸」

 「久目丸(くめまる)」は富山県氷見市のカキ栽培園において発見された偶発実生です。育成地(富山県魚津市)では11月中旬に成熟します。果皮の色は黄橙色で、光沢はやや良、条紋が多く発生します。果肉の色は黄色、褐斑はなく、果肉はかなり粗で、種子数は1〜2個で、完全渋ガキです。

「久目丸」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/data/
hinsyu/pr-kumemaru.html





□ 文献紹介:サプリメントの利用には注意が必要

 アメリカ、パーデュ大学などの研究チームは、植物由来のファイトエストロゲン(イソフラボン)サプリメントの骨損失予防効果は通常の治療法に比べて効果が不十分であり、多くの懸念があると「臨床内分泌・代謝学雑誌」のオンライン版に発表しました。

 研究では、閉経後の女性11人を対象に、通常の治療法(リセドロネート、エストロゲン+プロゲステロン)では、22〜24%骨損失を防ぐことができましたが、4種類のイソフラボンサプリメントでは、わずか5〜9%骨損失を防げただけでした。

 以上の結果から、研究者らはイソフラボンサプリメントの長期使用は、脳卒中や乳ガンのリスクを高める懸念があるため推奨できないと述べています。

【文献】
Weaver, C. M. et al.: Antiresorptive Effects of Phytoestrogen Supplements Compared to Estradiol or Risedronate in Postmenopausal Women Using 41Ca Methodology. J. Clinic. Endoc. Metabol., Online July 7 (2009) [doi: 10.1210/jc.2009-0332]




□ たま子のフルーツエッセイ:我が家特有の食べ方

 私は小さい頃にみかんジュースが大好きで、毎日飲んでいました。しかし、“みかんジュースはどうやら「ストレート」で飲むのが一般的らしい”と知ったのは小学校にあがってからでした。
 大好きなみかんジュースを冷蔵庫から取り出し、保育園児の私は考えます。
「牛乳と水、どちらと混ぜようか」

 牛乳とジュースを混ぜるとドロッとしたヨーグルト飲料のようになるのは、割と知られたことだと思います。今やってもおいしい。未体験の方は是非お試しください。
 水の方は、今やると多分おいしくない。幼い私が糖分を摂りすぎないようにという配慮だったのでしょうか。真相はわかりませんが、とにかく当時の私は「みかんジュースは何かと混ぜて飲むもの」だと思っていました。

 こんな風に、それぞれの家庭特有の食べ方、飲み方があると思います。幼い頃の食べ癖など、何か思い出したら、久しぶりにやってみると面白いかも?




□ 文学の中の果物:鳶と柿と鶏(豊島与志雄)

 李は振向いて、草原で遊んでる子供たちの方へ、手の中の栗を空高く投げやった。秋の午後の陽に栗の実がきらきらと光った。

 草の中から栗の実を拾ってる子供たちを残して、吉村と李は海岸の方へ降りていった。
「実は、野心がありました。」と李は云うのであった。「僕は水泳がへたです。何事でも、上達して損はないでしょう。それで、水泳も上達したいと思って、ここに、志田さんの奥さんのお許しで、監督に残ったのですが、だめでした。九月のなかばすぎになると、海の水は冷たくて、身体にいけませんね。それで、水泳より山にいって、栗を取る方が面白くなり、木登りは上手になりました。」
「木登りも、その、野心の一つかい。」
「あとで、そうなりました。」

 そして李も笑ったが、ふいに、うまい柿を御馳走するし、紹介する人もあるから、是非ついて来いと云い出した。「柿はいいが、紹介の方は許してくれよ。僕は仕事に来てるんだからね。」
「ええ、分っています。綺麗な女の人ですよ。先生に逢いたがっていました。」

 独りで勝手に呑みこんでいるのである。吉村と其他で逢ったのはその日が初めてだし、逢いたがってるもないものだ、恐らくは李が好きな女ででもあろうかと、吉村はすぐに小説家らしい想像をしながら、苦笑をもらした。

 半農半漁の人家の聚落の間をぬけて、もはやどこもひっそりとしてる別荘地の方へはいり、その出外れ近いところで、李は足を止めて云った。
「ちょっと待って下さい。……困ったなあ。」
「どうしたんだい。」
「先生、裏からはいるんですよ。」
「同じじゃないか。別荘なら、裏も表も大してちがやしないよ。」
「そうだった。全くそうです。」
 いやに感心して、また歩き出したが、すぐその先の、四つ目垣の木戸を押しあけてはいって行くのである。

 吉村はおや、と目を見張った。志田さんとかの別荘へ行くものだと思っていたのであるが、そこはたしかに、上山君枝の家の裏手にちがいなかった。垣根の中のすぐそこに、低く枝を拡げた二本の柿の木が、赤い実を一杯つけていた。李はその柿の木に歩み寄り、手の届く枝を引き撓めておいて、物色しながら幾つかの実をもいだ。「こちらからいきましょう。」

 柿を持って、表の芝生の庭の方へ廻ってゆくのだった。
 吉村は躊躇しながら、それでも多少の好奇心も覚えて、わざと後れながらついていった。




□ 今週の果物

 今週は大阪市の青果物市場に入荷している果物について紹介します。取扱量の多い果物はニホンナシ、カキ、リンゴ、ウンシュウミカンなどです。産地別では和歌山、青森、長野、福島、熊本、宮城、愛媛産などです。 

ニホンナシ「豊水」は宮城、福島、広島産、「二十世紀」は福島、長野、新潟産、「新高」は埼玉、富山、熊本産などです。ニホンナシは晩生の品種の取扱量が増えてきています。セイヨウナシは長野、北海道、山形産などです。

甘ガキは福岡産、渋ガキは和歌山産などです。

リンゴ(「つがる」など)は青森、山形産などです。

ウンシュウミカン(ハウスみかん、早生温州など)は和歌山、三重、愛媛産など、スダチは徳島産、カボスは大分産です。スダチやカボスはナベなどのほかサンマとの相性も良いです。

ブドウ(「デラウェア」、「巨峰」、「ピオーネ」)は岡山、長野、山梨、山形産などです。

クリは熊本、愛媛産などです。熊本、愛媛はクリの主産地です。

イチジクは和歌山、兵庫産などです。

モモは山形産、スモモは青森、北海道産などです。
 
メロン(「アンデスメロン」、「アールスメロン」など)は北海道、静岡、福井、茨城 山形産などです。

イチゴは長野、北海道、徳島産などです。

スイカは愛知、鳥取産などです。




□ 今日のフォト

 品種保存されているイチジクの果実が成熟中です。果皮が紫色に変わったものもあります。日暮れると草むらから虫の鳴き声が大きくなります。いつのまにか稲刈りが終わっていました。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News105.html
  (掲載は次号まで)





☆ 編集部より ☆

 明日は十五夜、雨が降らないと良いのですが。十五夜には果物などを供える習慣があります、果物は今が旬で美味しい季節です。(tnk)

 今週でたま子のフルーツエッセイは終わりになります。たま子さん、ありがとうございました。エッセイは終わりましたが、果物の旬はこれからです。今年は秋の気候が長いそうなので、食欲の秋を楽しみましょう!(KT)





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