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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第267回 リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その7
      食品と薬の違い@

  





□■□ 果物&健康NEWS Vol.267
■□□ 2009年11月6日(金)配信
□□◇ <創刊日2004年2月26日>



みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その7」です。
果樹農業は未来を拓く。果物は健康を守る。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
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<<■ 本日のメニュー >>>>

 ◇ 季節のたより
 ◇ 今週のレシピ:ミカン
 ◇ リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その7
          食品と薬の違い@
 ◇ 品種紹介:カンキツ「清見」
 ◇ 新型インフルエンザ情報14
   −正確な知識で冷静な対応−
 ◇ 読者から:リンゴのインフルエンザ予防効果
 ◇ 文学の中の果物:温泉だより(芥川龍之介)
 ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 編集部より



□ 季節のたより

旬の果物:ミカン、カキ、リンゴ

「新高」など晩生のナシ、「ラ・フランス」などのセイヨウナシやブドウも

札幌市11月7日
日の出  6:16  日の入り 16:20
夜明け  5:39  日暮れ  16:57
月の出 20:07  月の入り 10:53  月齢 19.4

「木枯らし」とは、晩秋から初冬にかけて吹く、北よりの(やや)強い風のことです(気象庁:予報用語)。最初に吹くのが木枯らし1号です。冬型の気圧配置になったことを示しています。

札幌市11月の過去3年間の気候
       06年   07年   08年 09年(途中経過) 
平均気温   6.2   3.9    4.6    5.3   ℃
降 水 量   182.0   75.0   86.0   −    mm
相対湿度   69    63    68    67    %




□ 今週のレシピ:ミカン

○ みかん色サラダ

材料 (4人分)
 ミカン(薄皮をむく)2個、ニンジン(細い千切り)1本など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://jasaga.or.jp/recipe/09/09_10/mikan.html

○ 手羽元のミカン煮

材料 (4人分)
 手羽元 400g、ミカン 2個、パセリ 少々など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://jasaga.or.jp/recipe/08/08_02/chicken.html




□ リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その7
         食品と薬の違い@


リ  ポ:皆さんこんにちは。ミカンが美味しい季節となりました。
     食べてますか。
     今日は食品と薬の違いについてフルッタさんにお伺いし
     ます。
フルッタ:こんにちは。毎日くだもの200グラムはミカン2個分
     です。もちろん、それ以上食べても問題ありません。
     リポさん。食品と薬の違いはなんだと思いますか。

リ  ポ:薬は錠剤で、食品は....それ以外のものかな。
フルッタ:両者の区別は意外と難しいですよね。基本的には、医師
     など専門家が病気の治療のために処方するのが薬で、健
     康の維持・増進のために摂取するのが食品です。

リ  ポ:なぁ−んだ。当たり前ですよ。
フルッタ:あなどってはいけません。医師など専門家が処方するの
     で、処方された薬は病状にあわせて薬の質と量が決めら
     れています。ところが、食品は違います。ミカンを毎日
     10〜20個食べる人がいる一方で、ほとんど食べない人も
     います。

リ  ポ:つまり、摂取食品や摂取量が人によってバラバラで決ま
     らないということですね。
フルッタ:そうです。サプリメントを摂取している人は年ごとに摂
     取量が増えていく傾向にあります。そのため、過剰摂取
     となり疾病のリスクが高まります。

リ  ポ:薬とは逆の傾向にありますね。
フルッタ:それから、食品と薬の対象者は、赤ちゃんから高齢者ま
     で、体力、体調に大きな違いがあることも忘れてはいけ
     ません。

リ  ポ:そうですね。でもそのことが特に問題なのですか。
フルッタ:はい。薬は、医師が患者の病状と体力、体調を診ながら薬
     の質と量を決め、処方します。最初は副作用をコントロ
     ールしながら強い薬を処方しますが、回復すれば最後は
     投与は中止されます。ですから、薬の副作用にも対応で
     きるのです。

リ  ポ:何となく分かってきました。食品は薬のような効果があ
     ってはいけないということですね。
フルッタ:そうです。摂取量に依存して効能・機能が高まるような
     場合は大変危険です。大量摂取したとき副作用がでる可
     能性があります。薬効が強い場合も同じです。肺ガンな
     どに対するβ-カロテン・サプリメントの投与結果などが
     こうした例と考えられています。

リ  ポ:つまり、医師の処方したビタミン剤は問題ないが、そう
     でない場合はリスクが大きい訳ですね。
フルッタ:はい。体に必要のない薬は不必要で、有害であることも
     あります。

リ  ポ:食品はあまり薬効があってはいけないのですね。
フルッタ:そうです。病気の治療に使われる薬と、健康の維持・増
     進のための食品では根本的な違いがあります。あまり良
     い例えではないかもしれませんが、機械で考えると、機
     械が故障したときに直すのが薬で、機械の保守が食品で
     す。

リ  ポ:その例え、よく分かります。故障は病気で、保守は健康
     の維持・増進ですね。
フルッタ:両者は似ているようで違います。保守は機械が故障しな
     いように油を差したり、サビを落とすことです。

リ  ポ:なるほど。
フルッタ:つまり、治療と健康の維持・増進では研究方法も異なる
     わけです。ところが、20世紀における健康の維持・増進
     の研究パラダイムは治療のための薬の研究方法と同じで
     した。

リ  ポ:おぼえましたよ。パラダイムシフトですね。
フルッタ:そうです。食事全体のバランスの解明が健康の維持・増
     進のために必要であることが分かりました。

リ  ポ:単一成分の解析ではダメなのですね。
フルッタ:人の場合、薬による病気の治療効果は非常に分かりやす
     いのですが、健康の維持・増進のための食生活改善によ
     る効果は分かりにくいので、なかなか情報が伝わりません。

リ  ポ:確かに、薬の効能は分かりやすいです。
フルッタ:従って、薬とは違う食品は、効能・機能を表示してはい
     けないこともおわかりいただけたと思います。

リ  ポ:すみません。そのことは、まだよく分かりません。科学
     論文があるのに、なぜ効能・機能が表示できないのです
     か。
フルッタ:よくある質問です。この問題は、憲法に保証された言論
     の自由(研究の自由)と薬事法などと関係があります。

リ  ポ:えぇ!憲法と関係があるのですか。
フルッタ:はい。憲法は生活と密着しています。

リ  ポ:それでは次回はお薬の開発を巡る話題とのことです。
     皆様、新型インフルエンザが流行しています。ご自愛
    ください。


  (つづく))




□ 品種紹介:カンキツ「清見」

 「清見(きよみ )」は「宮川早生(みやがわわせ)」と「トロビタオレンジ」を交雑して育成された、日本で最初のタンゴール(ミカン類とスイートオレンジの雑種の総称)品種です。育成地(静岡県静岡市)近くの海岸、清見潟から命名されました。

 果実は扁球形で200g内外、果皮は黄橙色で剥皮はやや難です。果肉は濃橙色で柔らかく多汁です。糖度は11〜12%、酸は1%前後で、わずかにオレンジ香があり、風味優良です。熟期は3月中下旬で、3月中旬〜5月に出回ります。単胚性のため、育種親として多く用いられています。

「清見」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/KIH/data/kankitu/kiyomi.html




□ 新型インフルエンザ情報14
  −正確な知識で冷静な対応−


◇国立感染症研究所・感染症情報センター

国内の状況

 感染症発生動向調査によるインフルエンザの報告は増加傾向にあり、第43週(10月19日から25日)の1週間に118,570例で、定点あたりの報告数(1週間の1医療機関当たりへの受診患者数)は24.62で42週(17.65)と比べて増加しました。

新着情報

11月2日 WHO:パンデミックワクチンの方針と戦略についてのWHO専門家勧告 (09/10/30)

上記の情報は下記のサイトにあります。
 http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html

◇農林水産省:新型インフルエンザ関連情報サイトは下記です。
 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/shininful.html

◇厚生労働省:新型インフルエンザ対策関連情報サイトは下記です。
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html




□ 読者から:リンゴのインフルエンザ予防効果

インフルエンザの予防対策としてお茶のカテキンが注目されています。リンゴにもリンゴポリフェノール中の一成分にエピカテキンが含まれており、お茶より抗菌化作用が強いと聞きました。

 皮の近くに多く含まれているようですが、リンゴを皮ごと食べればインフルエンザの予防対策として有効なのでしょうか。(H)

【編集部より】
 新型インフルエンザが流行していますが、その対策において最も重要なことは、正確な知識と冷静な対応です。

 リンゴ、カキなど果物にはカテキンやエピカテキン、そのポリマーが豊富に含まれています。しかし、お茶も含めてインフルエンザ予防効果は期待できません。「インフルエンザの予防対策としてお茶のカテキン」には実効性のある科学的根拠はありません。

 インフルエンザは飛沫したインフルエンザウイルスが口からだけでなく、鼻の粘膜などからも感染します。そのため、インフルエンザ対策としてのうがいの効果は限定的で、無効としている専門家もいます。

 科学的根拠のある有効なインフルエンザ対策は、手洗いをする、なるべく人混みを避ける、果物を含む栄養バランスのよい食事で体力をつけるなどです。今の時期は特に手洗いを必ず実行してください。




□ 文学の中の果物:温泉だより(芥川龍之介)

 当時の三百円は大金だったでしょう。少くとも田舎大工の半之丞には大金だったのに違いありません。半之丞はこの金を握るが早いか、腕時計を買ったり、背広を拵(こしら)えたり、「青ペン」のお松と「お」の字町へ行ったり、たちまち豪奢(ごうしゃ)を極め出しました。「青ペン」と言うのは亜鉛(とたん)屋根に青ペンキを塗った達磨茶屋(だるまぢゃや)です。当時は今ほど東京風にならず、軒(のき)には糸瓜(へちま)なども下っていたそうですから、女も皆田舎じみていたことでしょう。が、お松は「青ペン」でもとにかく第一の美人になっていました。もっともどのくらいの美人だったか、それはわたしにはわかりません。ただ鮨屋(すしや)に鰻屋(うなぎや)を兼ねた「お」の字亭のお上(かみ)の話によれば、色の浅黒い、髪の毛の縮(ちぢ)れた、小がらな女だったと言うことです。

 わたしはこの婆さんにいろいろの話を聞かせて貰いました。就中(なかんずく)妙に気の毒だったのはいつも蜜柑(みかん)を食っていなければ手紙一本書けぬと言う蜜柑中毒の客の話です。しかしこれはまたいつか報告する機会を待つことにしましょう。ただ半之丞の夢中になっていたお松の猫殺しの話だけはつけ加えておかなければなりません。お松は何でも「三太(さんた)」と云う烏猫(からすねこ)を飼っていました。ある日その「三太」が「青ペン」のお上(かみ)の一張羅(いっちょうら)の上へ粗忽(そそう)をしたのです。ところが「青ペン」のお上と言うのは元来猫が嫌いだったものですから、苦情を言うの言わないのではありません。しまいには飼い主のお松にさえ、さんざん悪態(あくたい)をついたそうです。するとお松は何も言わずに「三太」を懐(ふところ)に入れたまま、「か」の字川の「き」の字橋へ行き、青あおと澱(よど)んだ淵(ふち)の中へ烏猫を抛(ほう)りこんでしまいました。それから、――それから先は誇張かも知れません。が、とにかく婆さんの話によれば、発頭人(ほっとうにん)のお上は勿論「青ペン」中(じゅう)の女の顔を蚯蚓腫(みみずば)れだらけにしたと言うことです。

 半之丞の豪奢を極(きわ)めたのは精々(せいぜい)一月(ひとつき)か半月(はんつき)だったでしょう。何しろ背広は着て歩いていても、靴(くつ)の出来上って来た時にはもうその代(だい)も払えなかったそうです。下(しも)の話もほんとうかどうか、それはわたしには保証出来ません。しかしわたしの髪を刈りに出かける「ふ」の字軒の主人の話によれば、靴屋は半之丞の前に靴を並べ、「では棟梁(とうりょう)、元値に買っておくんなさい。これが誰にでも穿(は)ける靴ならば、わたしもこんなことを言いたくはありません。が、棟梁、お前(まえ)さんの靴は仁王様(におうさま)の草鞋(わらじ)も同じなんだから」と頭を下(さ)げて頼んだと言うことです。けれども勿論半之丞は元値にも買うことは、出来なかったのでしょう。この町の人々には誰に聞いて見ても、半之丞の靴をはいているのは一度も見かけなかったと言っていますから。




□ 今週の果物

 今週は札幌市の青果物市場に入荷している果物について紹介します。地元北海道産の果物はリンゴ、ブドウ、スモモ、イチゴ、メロンなどです。取扱量の多い果物は、カキ、ミカン、リンゴなどです。入荷量の多い産地は新潟、和歌山、北海道、山形、佐賀、青森、長野産などです。

甘ガキは岐阜、愛知産、渋ガキは新潟、山形産です。甘ガキと渋柿の産地が分かれています。新潟、山形は渋ガキの代表的な産地です。

ウンシュウミカン(早生温州など)は和歌山、佐賀産などです。

リンゴ「つがる」は北海道産、「ジョナゴ−ルド」は青森、北海道産、「王林」は長野、青森、山形産、「ふじ」は長野、北海道、山形産です。早生品種である「つがる」は北海道産となりました。品種の熟期に従って産地は長野から北海道へ移っていきます。

ニホンナシ(「新高」など)は新潟、福島産、セイヨウナシは山形、福島産です。

ブドウ(「デラウェア」、「巨峰」など)は北海道、福島産などです。

クリは茨城産です。スモモは北海道産です。

イチゴは北海道、宮城産などです。メロンは北海道、熊本、静岡産などです。




□ 今日のフォト

 店頭の果物売り場にカキが沢山並べられています。熟したカキが好きな人と、肉質がしっかりしたカキが好きな人に大きく分けられるようです。

 写真の果実は、渋ガキ「平核無」を樹上で脱渋した果実(右)と、収穫後に炭酸ガスで脱渋した果実(左)です。果実の外観は同じですが、樹上で脱渋した果実はゴマがいっぱいで、収穫後脱渋した果実にはゴマがありません。食味も樹上脱渋した果実は甘ガキのように肉質のしっかりした食感で、炭酸ガス脱渋した果実は柔らかくてつるっとした食感です。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News109.html
  (掲載は次号まで)





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 http://www.kudamononet.com/kkr/registory.html

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☆ 編集部より ☆

 木枯らし1号や初雪の便りが聞かれますが、札幌では日本シリーズで熱くなっているのではないでしょうか。毎試合ともいい勝負ですね。ヤンキースの松井選手のMVP もいいニュースでした。(tnk)

 今日、番町小学校で行った果物の公開授業を見に行ってきました。間苧谷先生の授業をしっかり聞いて、休憩時間に配ったみかんを掲げてうれしそうにしている姿には癒されました。お酒をよく飲むお父さんには、柿やみかんを食べるように勧めましょう!(KT)





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