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第270回 リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その10
      食品と薬の違いC

  





□■□ 果物&健康NEWS Vol270
■□□ 2009年12月11日(金)配信
□□◇ <創刊日2004年2月26日>



みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その10」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
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<<■ 本日のメニュー >>>>

 ◇ 季節のたより
 ◇ 今週のレシピ:キウイフルーツ
 ◇ リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その10
          食品と薬の違いC
 ◇ 品種紹介:キウイフルーツ「さぬきゴールド」
 ◇ 文献紹介:45歳から体力が急速に低下する
 ◇ 新型インフルエンザ情報16
   −正確な知識で冷静な対応−
 ◇ 文学の中の果物:次郎物語(下村湖人)
 ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◇ サイト紹介:キウイ倶楽部
 ◇ 編集部より



□ 季節のたより

旬の果物:ミカン、リンゴ、カキ
     セイヨウナシ、イチゴ、ユズ

東京 12月12日
日の出 6:41  日の入り 16:28
夜明け 6:05  日暮れ  17:04
月の出 2:23 月の入り 13:10  月齢 24.8

豪雪地帯
 豪雪地帯とは「豪雪地帯対策特別措置法」に基づく、政令で定める期間の累年平均の積
雪積算値が5000cm・日以上の地域の内、政令で定める道府県または市町村のことです。
 豪雪地帯のうち積雪量が特に多く、住民の生活に著しい支障を生ずる地域で、内閣総理
大臣が指定する市町村が「特別豪雪地帯」です。(気象庁予報用語より)

東京 12月の過去3年間の気候
       06年   07年   08年  09年(途中経過) 
平均気温   9.5    9.0   9.8  10.8   ℃
降 水 量  200.5   72.0   70.5  −    mm
相対湿度   52    54    53   58    %




□ 今週のレシピ:キウイフルーツ

○ 豚肉とキウイソース

材料 (4人分)
 豚ロース(厚切り) 120g×4枚、ネギ・バジルの葉、キウイフルーツ、オリーブオイル、など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://jasaga.or.jp/recipe/09/09_11/kiwisource.html

○ キウイヨーグルトムース

材料 (4人分)
 キウイフルーツ、プレーンヨーグルト、グラニュー糖、生クリーム、ゼラチンなど。

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://jasaga.or.jp/recipe/09/09_11/kiwi.html




□ リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その10
         食品と薬の違いC


リ  ポ:皆さんこんにちは。今日はガン予防と科学論文について
     伺います。フルッタさん。難しいお話しですか。
フルッタ:こんにちは。難しくはありません。科学論文というと皆
     さん躊躇されますが恐れることはありません。

リ  ポ:ガンはどんな病気ですか。
フルッタ:ガンは生活習慣病です。ガンの発症や発症部位は、遺伝
     的背景よりも食事内容などの生活習慣が大きく影響しま
     す。例えば、アメリカに移住した日本人(日系アメリカ
     人)のガンを調べたところ、当時、日本では少なかった
     大腸ガンなど欧米型のガンが多く発症していました。

リ  ポ:欧米型の食生活になるとガンの病態も欧米型になるので
     すね。最近、日本でも欧米型の大腸ガンや乳ガンが増加
     しているのも同じ理由ですか。
フルッタ:はい。欧米型の食生活に変化したためと考えられます。

リ  ポ:ガンは予防できるのですか。
フルッタ:できます。食生活など生活習慣の改善で三分の一、禁煙
     で三分の一、併せて三分の二のガンを予防できることが
     分かりました。

リ  ポ:その科学的根拠はなんですか。
フルッタ:ガンの専門家が世界中のガンに関する科学論文を再評価
     してまとめた「食品、栄養、運動とガン予防」です(文
     献1)。パネラーの一人として日本からも九州大学名誉
     教授の廣畑富雄先生が参加しています。

リ  ポ:果物はどんなガンに有効なのですか。
フルッタ:ガンのリスクを下げる食品として果物は最も効果的な食
     材で、口腔・咽頭・喉頭ガン、食道ガン、胃ガン、肺ガ
     ンの4つガンのリスクを下げると判断され、果物の摂取
     は推奨レベルにあります。

リ  ポ:その他のガンに対してはどうですか。
フルッタ:統計学の観点から有意にリスクを下げるとされたのは、
     鼻腔ガン、すい臓ガン、肝臓ガン、大腸(結腸・直腸)
     ガンの4つのガンで、予防効果が期待できるレベルにあ
     ると判断されました。

リ  ポ:普通、統計的に有意にリスクを下げると効果があり、と
     していませんか。
フルッタ:学術的な判定基準ではその通りです。この報告は世界中
     の科学論文を再検討した結果なので学術的に十分な根拠
     があります。しかし、パネラーなどガンの専門家は、さ
     らに高い学術的なハードルをもうけて安全性と健康の維
     持・増進に対する有効性を判断しています。

リ  ポ:つまり、8つのガンに対して有効である訳ですね。
フルッタ:私たち研究者は、そう考えていますが、消費者を守る観
     点からは「確実」、または、「ほぼ確実」なレベルのみ
     を推奨レベルと判断して摂取を勧めています。

リ  ポ:すると、予防効果が期待されるレベルの食品などでは、
     個々の科学論文の中には、効果なしとするケースもある
     のですか。
フルッタ:はい、あります。しかし、そうした科学論文の研究条件
     を調べると、特殊な条件が設定されている場合がありま
     す。

リ  ポ:例えばどんな場合ですか。
フルッタ:疫学調査では、食物摂取頻度アンケートにより、被験者
     の食物の摂取量を調べるわけですが、実際の摂取量を正
     確に反映しているかなどが問題となる場合があります。

リ  ポ:どんな場合が考えられますか。
フルッタ:研究条件である食事記録調査項目が少ない、調査回数が
     少ないなどがあります。

リ  ポ:つまり、1つの科学論文だけでは一般化はできないとい
     うわけですね。
フルッタ:その通りです。従って、研究発表にあたってはそのこと
     に十分に注意する必要があります。

リ  ポ:わたしたちメディア側もそのこと忘れてはいけないとい
     うことですね。
フルッタ:そう思います。特に健康にかかわることですから、ミス
     リードしていないかを常に心がける必要があります。

リ  ポ:ありがとうございました。次回は、世界ガン研究基金な
     どによるガン予防に対する「政策と行動」の提言です。
     ごきげんよう。

    (つづく)

【文献】
1) World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research: Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. Washington DC: AICR, (2007)




□ 品種紹介:キウイフルーツ「さぬきゴールド」

 「さぬきゴールド」はアップル系キウイフルーツと中国系キウイフルーツ「FCM−1」を交雑して育成した品種で、育成地(香川県坂出市)では10月中旬に収穫できます。

 果形は短台形で、果皮の色は褐色、果実表面の毛じの密度は粗、長さは短、硬さは軟、果梗の長さはやや長、太さ及び相対果梗長は中です。種子外側の果肉色は濃黄色、周辺の果肉色は黄色、果心の形は長楕円形、色は白色です。

 果実が大きいのが特徴で、甘味は高く、酸味は低く、香気があります。「ヘイワード」やアップル系キウイフルーツと比較して、果実が大きく、種子外側の果肉色が濃黄色です。

「さぬきゴールド」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/data/
hinsyu/pr-sanukigold.html





□ 文献紹介:45歳から体力が急速に低下する

 アメリカ、ヒューストン大学の研究チームは、加齢に伴い45歳をすぎると体力が急速に低下すると「内科学アーカイヴス」に発表しました。ただし、適切な体型を保ち、運動して喫煙を控えれば体力の低下を抑制できるとしています。

 研究では、20〜96歳の女性3,429人、男性106,889人を対象に、1974年から2006年まで調査が行われました。その結果、体力に関係する心肺適応性は一定の速度で低下するのではなく、45歳を過ぎると低下が早くなり、BMI値が増加することが分かりました。また、喫煙、運動不足が重なるとさらに加速していました。

 いままでは体力の低下は直線関係にあると考えられてきましたが、今回の研究から、そうではないことが分かりました。また、女性よりも男性でより急激に低下しました。

 以上の結果から、研究者らは30〜40代で過体重、運動不足、喫煙を避け、健康的な生活習慣を維持すれば、高齢になっても体力を維持できると述べています。一方、過体重で運動しない喫煙者では50〜60代で健康に問題が現れるとしています。

【文献】
Jackson, A. S. et al.: Role of Lifestyle and Aging on the Longitudinal Change in Cardiorespiratory Fitness. Arch. Intern. Med., 169: 1781-1787. (2009)




□ 新型インフルエンザ情報16
  −正確な知識で冷静な対応−


◇厚生労働省:新型インフルエンザ対策関連情報

最新情報

新型インフルエンザワクチンに関するカナダ調査結果(2009年12月8日)2009年12月10日

【Q&A】新型インフルエンザワクチンQ&Aについて2009年12月7日

上記の情報は下記のサイトにあります。
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html

◇国立感染症研究所・感染症情報センター
 http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html

◇農林水産省:新型インフルエンザ関連情報
 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/shininful.html




□ 文学の中の果物:次郎物語(下村湖人)

「姉ちゃんも一緒に帰るよ。」
 次郎はほっとした。同時に、竜一の肩にかけていた彼の腕が少しゆるんだ。しかし、竜一はつづけて言った。
「だけど、またすぐ東京に行くんだろう。東京にお嫁入りするんだから。」
 次郎は、木の枝から果物をもいだ瞬間、足をふみはずして落っこちたような気がした。

 まもなく始業の鐘が鳴った。次郎は教室に這入っても春子のことばかり考え続けた。竜一の言ったことは、まるで出たらめのような気もした。しかし、それにも拘らず、春子が遠くに消えていくたよりなさが、一秒一秒と彼の胸の奥にしみていくのだった。春子のお嫁入り、それは次郎にとって少しも悲しいことではない。彼は、村の娘たちの嫁入姿をこれまで何度も見たのであるが、そんな時に春子の場合を想像しても、それは美しいまぼろしでこそあれ、決して苦痛とは感じられなかった。また春子の相手が、何処の誰であろうと、それも次郎にとって、ほとんど問題ではない。その人物を想像してそれに対して、敵意を持つというような気には少しもなれないのである。彼には、ただ春子が薬局から姿を消すのがたまらなく淋しい。それもこの近在にでもいて貰えばまだいい。夏休み中だけで帰って来るのなら、辛抱も出来る。しかし、竜一の言うのが本当なら、彼女は遠い東京に去るのである。もう一度帰って来るにしても、結局は永久にこの村から姿を消すのである。あれほど自分を可愛がっておきながら、どうしてそんな遠いところに行く気になれたのだろう。自分が幼いころからほしいと思っていた「姉」、やっと平気で「姉ちゃん」と呼びうるようになったその「姉」が、どうしてこんなに無造作(むぞうさ)に自分から離れて行くのだろう。

 彼の心には、お浜に別れた時のかすかな記憶があらたに甦って来た。その時のこまかな事実は、もう大てい忘れているが、言いようのない淋しさのために、地の底にでも吸いこまれるように感じたことは、今でもはっきり覚えている。その感じが再び彼の胸にうずきはじめた。むろんその頃とは年齢もちがうし、お浜と春子との彼に対する関係が同じでないことぐらいは、よくわかっている。春子はただ友達の姉というに過ぎない。薬を貰いに行くたびにどんなに親しみをましていようとも、お浜に期待したものを春子にも期待していいとは決して思わない。道理の上では、それは十分納得のいくことである。しかし、それにもかかわらず、春子に対する彼の気持の上での期待は、お浜に対するのとあまり変らない。否、それが当面の生々しい問題であるだけに、遠い過去のそれよりも一層痛切であるとさえいえる。お浜はいわばもう絵に描いた乳母である。それがものを言わないのは淋しい。しかし、その淋しさは諦めのつく淋しさである。思い出してその絵を見る時だけの淋しさである。忘れていることも出来る淋しさである。期待と名のつくほどのものが彼の心に動くには、お浜は、あまりにも古い絵になり過ぎている。だが春子はまだ決して絵ではない。彼女のいかなる部分も生きて動いている。眼が笑い、唇がものを言い、髪が揺れ、白い指が薬壜をふっている。しかも、次郎にとっては、喜び以外の何者でもない唯ひとりの「姉」である。かりに彼女とお浜とが、同時に次郎の生活に飛びこんで来て、彼に対する愛情の競争をやるとしたら、多分「姉」は「乳母」に勝をゆずらなければならないであろう。しかし、「姉」が生きた人間で、「乳母」が絵でしかない場合、次郎でなくとも、「姉」を失うことこそ、より大きな不幸と感ずるであろう。




□ 今週の果物

 今週は東京大田市場の青果物市場に入荷している果物について紹介します。取扱量の多い果物はミカン、リンゴ、カキ、イチゴ、メロンなどです。産地別では愛媛、和歌山、長崎、熊本、福岡、青森、山形産です。

ウンシュウミカン(早生温州、普通温州)は愛媛、和歌山、長崎産など、ネーブルオレンジは佐賀産、イヨカンは愛媛産、ハッサクは和歌山産、ポンカンは熊本産です。

リンゴ「ジョナゴ−ルド」は青森産、「王林」は青森、岩手産、「ふじ」は青森、長野、岩手産など、「紅玉」、「陸奥」は青森産です。

甘ガキは福岡、奈良、岐阜産、渋ガキは愛媛、福島産などです。

セイヨウナシは山形産です。ニホンナシは鳥取、大分産などです。

キウイフル−ツは愛媛、山形、福岡産、などです。ブドウ(「巨峰」など)は青森、長野産などです。クリは新潟、神奈川産などです。

イチゴ(「とちおとめ」、「さちのか」など)は栃木、福岡、佐賀産などです。メロンは熊本、静岡産などです。スイカは熊本産です。




□ 今日のフォト

 キウイフルーツのような「香粋(こうすい)」を紹介します(写真)。「香粋」はキウイフルーツではなく、サルナシで、両親は一才サルナシとマツアです。酸味が少なくて、糖度が高く、アクチニジンが少ないのが特徴です。

 そのため、すっぱいのが苦手な子供達にも人気です。果皮の表面に毛がないので果実をハーフカットしてブドウのようにチュッと果肉を吸い込むこともできます。別名は「キウイのたまご」だとのことです。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News112.html
  (掲載は次号まで)





□ サイト紹介:キウイ倶楽部

 キウイ倶楽部ではキウイフルーツの美味しさや香川県で育成したキウイフルーツのオリジナル品種などを紹介しています。

キウイ倶楽部のサイトは下記です。
http://www.e-kiwi.jp/index.htm




☆ 編集部より ☆

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 皆様はカットフルーツを買ったことがありますか。もうすぐクリスマス。家族や仲間と集まるイベントで、華やかさを彩る1商品として活用してはいかがでしょうか?クリスマスケーキもいいけど、クリスマスフルーツも。(KT)





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