ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第40回 葉酸発見の歴史


  

      
□□■ 果物&健康NEWS Vol.40 ■□□
   ■ 2004年12月17日(金)   ■


みなさん、こんにちは!
今回の特集は葉酸発見の歴史です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp



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 ◇ 葉酸発見の歴史
 ◇ 葉酸の発見者、ルーシー・ウィルス(Lucy Wills)小伝
 ◇ 今週のレシピ
 ◇ みかんについてのテレビパブリシティーを実施
 ◇ 科学ニュース
 ◇ 編集部より



□ 葉酸発見の歴史

 水溶性ビタミンである葉酸の発見の歴史はインドで始まりました。1928年、ルーシー・ウィルス(Lucy Wills)は、ボンベイに行き女性に一般的に見られた妊娠時の大赤血球性貧血の調査を行いました。当時知られていたビタミンAかCの欠乏症、または感染症ではないかと考え調査しましたが、関連性は認められませんでした。ところが、酵母や酵母エキス「マーマイト」(Marmite:スープやシチューに風味を添えたり、パンに付けたりする酵母エキス)がこの疾病を治療するのに大変有効であることを見つけました(1931年)。イギリスに帰った彼女は、同僚とともに、ボンベイの住民が摂取している食事と同じものをアカゲザルに摂取させたところ大赤血球性貧血と白血球の減少が再現されたので、この未知の成分を「ビタミンM」(M: for monkey)と命名しました(1937年)。

 同じ時代、家禽栄養の研究者は、当時知られていた精製したビタミンのすべてを与えて育てたヒナの成長が遅く、大赤血球性貧血を発症すること、そして、乳酸菌の生育因子「ビタミンBc」(for bacteria)を与えると回復することを1944年に報告しました。

 同じ頃、乳酸菌生育因子がホウレン草から見つけられ、ラテン語の葉を示すfoliumから葉酸(folic acid)と命名されました。この葉酸をサルに与えたところ大赤血球性貧血が回復したことから、ビタミンM、ビタミンBcと同じものであることが分かりました。

 葉酸の所要量は、わが国では食事から摂取可能な量として、成人で1日あたり200μgとされ、米国では400μgとなっています。妊婦および授乳婦での付加量は、それぞれ200μg/日および80μg/日です。

 葉酸は、豆類、野菜、果物に多く含まれますが、穀類、肉類にはあまり含まれていません。葉酸を含む主な食品として、乾燥大豆(230μg/100g)、生のホウレン草(210μg/100g)、乾燥ワカメ(440μg)、生のウシ肝臓(1,000μg)などが上げられます。しかし、葉酸は高温に弱く、調理時間が長いと50%以上が失われてしまいます。例えば、大豆をゆでると39μg/100gに、ホウレン草のゆでは110μg/100g、ワカメを水に戻すと46μg/100gとなってしまいます。一方、イチゴには90μg/100g、サクランボには38μg/00g、オレンジには32μg/100g含まれています。そのため、葉酸の摂取には生で食べる果物は効果的です。イチゴなら200g食べるだけでほぼ1日の所要量を満たすことが出来ます。




□ 葉酸の発見者、ルーシー・ウィルス(Lucy Wills)小伝

 ルーシー・ウィルス(1888-1964)は、若い女性のために設立されたチェルトナム(Cheltenham)大学に入学し、ケンブリッジのニューナム(Newnham)大学で、植物学と地質学を学び、1911年に地質学の優等卒業試験に合格しました。その後、生涯の友人となるケンブリッジで植物学を教えていたマーガレット・ヒューム(Margaret Hume)と南アフリカに植物学の研究に行きました。第一次世界大戦がおきると彼女は、イギリスに戻り、看護婦として志願し、女性のためのロンドンメディカル校(London School of Medicine for Women)に入学し、1920年に卒業しました。1920年代後半に彼女は何度もインドを訪問し、繊維工場で働く女性が妊娠すると貧血になることを知り研究を始めました。彼女は、この貧血が真の悪性貧血ではないことを突きとめ、精製されていない肝エキスで回復すること、精製された肝エキスでは回復しないことを発見しました。その後、安くて効果的な療法として「マーマイト」のような酵母エキスがこのタイプの貧血に効果的であることも見つけました。

 1928年、彼女はパートタイム生化学者としてロイヤルフリー校(Royal Free Hospital School of Medicine)に採用されましたが、インドでの研究も続けていました。1938年に、医学雑誌ランセットに「熱帯の大赤血球性貧血と悪性貧血との関係」についての論文を発表しました。第2次世界大戦が起こった1939年に、彼女はイギリスに戻り急患メディカルサービス(Emergency Medical Service)でフルタイムの病理学者になり、後に、ロイヤル・フリー・ホスピタルに移りました。1947年に引退した後も南アフリカとフィジーの健康・栄養問題に取り組みました。
 彼女は環境と健康面から生涯、車を運転せず、いつも自転車に乗っていました。余暇には、スキーのクロスカントリーや登山を楽しんでいたようです。




□ 今週のレシピ

○フルーツヨーグルト
 倉吉市立学校給食センターで人気の給食デザートです。

材料(材料5人分)
 イチゴ10個、バナナ1本、りんご1/2個、ヨーグルト(無糖)100g、 ヨーグルト(加糖)125g、生クリーム25g
 作り方は下記のサイトで
 www.city.kurayoshi.tottori.jp/ kyushoku/syukan/16/16cooking.doc

○キャンドル仕立てのオレンジクリーム

 オレンジをカップに使用することから、食器を洗う手間が省け、ホームパーティーの時に便利なイタリアンレシピ。

材料(4人分)
 フレッシュオレンジ2個、生クリーム60g、牛乳60g、グラニュー糖30g、小麦粉20g、卵1個、バニラエッセンス適宜、コアントロー 小さじ1杯程度、ココナッツ お好みで
 作り方とできあがりの写真は下記のサイトで
 http://allabout.co.jp/gourmet/italiancuisine/closeup/CU20030528B/




□ みかんについてのテレビパブリシティーを実施

 12月4日(土)放送のテレビ番組「めざましどようび」(フジテレビ)、12月5日(日)放送の「笑っていいとも増刊号」(同)、12月14日(火)放送の「午後は○○おもいっきりテレビ」(日本テレビ)において、みかんについてのテレビパブリシティーを実施しました。「めざましどようび」では、みかんを甘く食べるコツの紹介、「笑っていいとも増刊号」では、12月3日が「みかんの日」であることを紹介し、スタジオにて国産柑橘(温州みかん、ネーブル、デコポン、文旦、ばんぺいゆ)を試食していただきながらそれぞれの柑橘の特徴を紹介、「午後は○○おもいっきりテレビ」では、みかんと血液サラサラについて紹介しました。



□ 科学ニュース

 平成17年度から平成21年度までの5年間使用する「日本人の食事摂取基準(2005年版)」の概要が厚生労働省から発表されました。食事摂取基準とは、健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示したものです。
 今までは「第○次改定 日本人の栄養所要量−食事摂取基準−」としていた名称も変更されました。また、今回の改定では、生活習慣病予防に重点をおき、栄養素についての指標「目標量」を新たに設定しました。

 改定された食事摂取基準で増やすべき栄養素として
  食物繊維、n-3系脂肪酸、カルシウム、カリウム が上げられています。

 また、減らすべき栄養素は、
  コレステロール、ナトリウム(食塩) です。

 脂質については、脂肪エネルギー比率のみならず、その質も考慮する必要があるとし、飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、コレステロールの基準についても策定されています。
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/11/h1122-2.html



☆ 編集部より ☆

 果物は、生活習慣病予防に重点をおいて策定された食事摂取基準で摂取が推奨されている食物繊維、カリウムを多く含み、削減が求められているコレステロールやナトリウムをほとんど含んでいません。(tnk)

 忘年会シーズンですが、食事のメニューにぜひ、果物を取り入れましょう。それがちょっと難しいようでしたら、帰宅途中に、足はふらついてもしっかり果物を買って、お酒を飲んだ後の水分、ミネラルの補給を。(N)


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