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□□■ 果物&健康NEWS Vol.5 ■□□
■ 2004年3月26日(金) ■
みなさん、こんにちは!
果物&健康NEWS Vol.5をお送りします。
■メニュ−■
□□ 食物繊維で大腸ガンのリスクが低下 □□
□ 文献紹介 □
★用語解説★
◆◇◆サイト紹介◆◇◆
□□ 食物繊維で大腸ガンのリスクが低下 □□
大腸ガンは、大腸の内側に発生するガンで、生じた部位によって結腸ガン、直腸ガンとも呼ばれます。近年、わが国では大腸ガンが急速に増加しています。その原因には、高脂肪、低食物繊維食の欧米型食生活が影響しています。脂肪の多い食品を摂取すると、腸内で胆汁酸や腸内細菌の作用により発ガン物質ができます。この発ガン物質が大腸の粘膜と長期にわたって接触するとガンが発生します。
世界保健機関(WHO)に所属する国際ガン研究機関が組織したプロジェクトで、ヨーロッパ8ヶ国、519,978人を対象とした今までで最も大規模な疫学調査(コホート研究:1992〜1998年、25〜70才)が行われました。その結果、食物繊維の摂取量が高いグループ(摂取食物繊維量31.9g/日)は、低いグループ(12.6g/日)と比べて、大腸ガンの発生リスクが25%低くなることが明らかになりました。
さらに、食物繊維の供給源の違いに着目して、大腸ガンとの関係を調べたところ、果物由来の食物繊維では0.78倍、穀類由来では0.78倍、野菜由来では0.88倍、豆類由来では1.04倍となり、果物と穀類から摂取する食物繊維は、野菜や豆類から摂取する食物繊維よりも、大腸ガンの発生に対して、より抑制的に働く傾向にあることがわかりました。
以上の結果から、調査を行った研究者たちは、食物繊維の摂取量が少ない集団が、摂取量を2倍に増やせば、大腸ガンのリスクが40%下がると推定しています。日本人の1日当たりの食物繊維摂取量は14.6gです(2001年国民栄養調査)。この摂取量は、大腸ガンの発生の多かった食物繊維摂取量の低いグループに近い値です。現在、3人に1人はガンで亡くなられていますが、大腸ガンは、肺ガン、胃ガンに続き第3位です(平成14年人口動態統計)。
毎日くだもの200グラム以上食べて大腸ガンを予防しましょう。
□ 文献紹介 □
Bingham SAら, (2003) Dietary fibre in food and protection against colorectal
cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition
(EPIC): an observational study. Lancet. 361: 1496-501.
上記で紹介した大腸ガンに対する疫学調査の論文です。
★用語解説★
疫学調査
疫学とは、人間集団における疾病の頻度、分布、要因を調査し、原因と結果の因果関係を解明すること。人間を対象にする場合、因果関係の検証のための自由な実験が出来ないため、疫学調査により解明する。
・コホート研究
疫学調査方法の一つ。コホート研究は、多数の健康人の集団を対象として、最初に、疾病の原因となる可能性のある要因(食生活・血液データなど)を調査する。次に、この集団を追跡調査して、疾病にかかる(あるいはかかった)人を確認し、要因と疾病との関連を分析する。喫煙と肺ガンとの関連などは、この研究方法で明らかになった。
リスク
疾病にかかる(または死亡する)確率のこと。
◆◇◆サイト紹介◆◇◆
今週は、子供たちのために作られた健康と栄養に関するページを紹介します。
http://www.med.or.jp/forest/quiz/q_menu.html
日本医師会が運営している「健康の森」の中のクイズ一覧のページです。下の方にある「大腸」をクリックしてクイズに挑戦してみて下さい。また別に「キッズクラブ」のページもあります。
http://www.med.or.jp/kids/index.html (音声付き)
http://www.nestle.co.jp/kids/junior/food.html
ネスレが運営しているキッズページです。「きょうのゆうごはんはなにがたべたい?」で4つの食品を選んでもらい、フードピラミッドから栄養バランスを判定するようになっていて、色々なものを食べる大切さを理解できるようになっています。(音声付き)
☆ 編集部より☆
子供を対象としたWEBサイトを見ていて、もし、子供たち自身が「果物と健康」のホームページを作ったら、すごいのが集まるかも知れないなと思いました。(tnk)
はや年度末。私事ですが4月に異動することになってしまいました。担当者は変わりますが、果物&健康NEWSを引き続きよろしくお願い致します。(eb)
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