ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第50回 高血圧治療ガイドライン2004



  

      
□□■ 果物&健康NEWS Vol.50 ■□□
   ■  2005年3月25日(金)   ■


みなさん、こんにちは!
今週は高血圧治療ガイドライン2004です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp



:::■ メニュー ■:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ 高血圧治療ガイドライン2004
 ◇ 健康ニュース:リンゴで乳ガン予防
 ◇ 食育コーナー:食のかえうたコンテスト
 ◇ 今週のレシピ:フルーツタルト
 ◇ 編集部より



□ 高血圧治療ガイドライン2004

 生活習慣の欧米化に伴い、国民の4人に1人、3500万人が高血圧に罹患していると言われています。そのため、日本高血圧学会は、高血圧予防についての科学的根拠(Evidence-based Medicine)とともに、世界保健機構/国際高血圧学会のWHO/ISH statement、アメリカのガイドライン(JNC7)、ヨーロッパのガイドライン、ヨーロッパ高血圧学会-ヨーロッパ心臓病学会ガイドライン(ESH-ESC)をふまえ、「高血圧治療ガイドライン2004」を公表しています。

 血圧が高いと脳卒中の罹患率、死亡率も高いことが知られています。高血圧と脳卒中との罹患率、死亡率との関係を調査した疫学調査によれば、最高血圧(収縮期血圧)が10mmHg上昇すると、脳卒中の罹患リスク、死亡リスクが男性では20%、女性では約15%増加するとされています。また、高血圧と心疾患との関連も明らかになっており、最高血圧が10mmHg上昇すると冠動脈心臓病の罹患リスク、死亡リスクが男性では約15%増加します。

 国民の最高血圧水準が2mmHg低下すれば脳卒中による死亡率が6.4%低下、死亡者数では9,000人減少すると推測されています。そのため、ガイドラインでは、血圧が140/90mmHg以上の人は、血圧を正常値に戻すために、少なくとも生活習慣の修正が必要であるとしています。

 血圧は、降圧剤などの薬剤を使わなくても生活習慣を修正すれば降圧効果が認められることから、下記の6項目について改善することを推奨しています(ただし、重篤な腎障害などの患者を除く)。

 1)食塩摂取量は1日当たり6g未満とする。
 2)果物・野菜の積極的摂取及びコレステロールや飽和脂肪酸の摂取量を控える。
 3)適正体重の維持(BMIで25を越えない)。
 4)有酸素運動を毎日30分以上定期的に行う。
 5)アルコール摂取量の制限(1日当たり男性では20〜30ml以下、女性では10〜20ml以下)
 6)禁煙

 ガイドラインは、臨床試験に基づいた高血圧予防のためのDASH食事摂取プラン(用語解説参照)のDASH食と比較して、わが国の食生活の現状は、食物繊維、カリウム、マグネシウム、カルシウムはかなり少なく、ナトリウムの摂取量は約1.5倍と多すぎるとしています。そのため、ガイドラインでは、食生活を修正してDASH食が推奨する値に近づける必要があると述べています。

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           DASH食    日本人の現状
                   男性   女性
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食物繊維(g/日)      31    15.5   16.1
カリウム(mg/日)    4700    1920   1891
マグネシウム(mg/日)   500     288    250
カルシウム(mg/日)   1240     605   607
ナトリウム(mg/日)   3000    4843   4278
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 果物は、ナトリウムをほとんど含まず食物繊維とカリウム、マグネシウムが豊富に含まれていることから、果物の摂取を増やすことで理想的な食事に近づけることが出来ます。DASHでは、果物を1日当たり320kcal〜400kcal(ミカンなら8〜10個、リンゴなら4個程度)摂取することを勧めています。

【用語解説】
 DASH食事摂取プラン:高血圧を予防するために、カルシウムが多く、飽和脂肪酸とコレステロールの少ない低脂肪乳製品と、カリウム、マグネシウム、食物繊維が多い果物・野菜の積極的な摂取を推奨する食事摂取法。

【文献】
 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:高血圧治療ガイドライン2004.日本高血圧学会.pp1-131.2004.(東京)




□ 健康ニュース:リンゴで乳ガン予防

 米コーネル大学の研究グループは、毎日リンゴを食べると乳ガンの発生リスクが低下する可能性があることをマウス実験で確認したと発表しました。リンゴによる乳ガン腫瘍の成長抑制率は、ヒトに換算して表すと毎日1個の摂取で17%低下、毎日3個で39%低下、毎日6個で44%低下したとしています。乳ガン腫瘍の成長を抑制する理由として、リンゴに含まれる抗酸化作用をもつフラボノイドなどポリフェノール成分が細胞を破壊するフリーラジカルを除去したためとしています。また、こうした作用は、ある特定な成分によるのではなく、リンゴに含まれている化学的性質の異なる様々な成分の相乗効果による作用であると述べています。

下記のコーネル大学ニュースにも記事が掲載されています。
http://www.news.cornell.edu/Stories/March05/apples.cancer.ssl.html

【文献】
Liu, RH., et al., 2005 Apples Prevent Mammary Tumors in Rats.
J. Agric. Food Chem., 53: 2341-2343; DOI: 10.1021/jf058010c

【用語解説】
DOI:インターネット上の論文(電子ジャーナル)にDOIが記載されていますが、DOIとはDigital Object Identifierの略のことです。インターネット上の文献(著作物)の場所をURLの変更等に左右されず恒久的に示す識別子です。従って、引用文献にも記載することが出来ます。また、検索する場合は、DOIごと検索すると目的のサイトが表示されます。




□ 食育コーナー:食のかえうたコンテスト

 群馬県食品安全会議事務局が幼児・児童向け食の替え歌を募集した「食のかえうたコンテスト」で最優秀賞に青木初美さん(前橋市)が決まりました。「アルプス一万尺」にのせて食生活で必要なことのすべてが歌い込まれています。

 下記のサイトにアクセスして、歌ってみてはいかがでしょう。
 http://www.pref.gunma.jp/shokukaigi/06kids/song/song_top.htm




□ 今週のレシピ:フルーツタルト

○ プチタルト
 サランラップ・レシピライブラリーの世界の料理・イギリスから、中に詰めるフルーツやジャム、クリームでいろいろ楽しめるプチタルト。電子レンジを使ったカスタードクリームの作り方も載っています。

【材料】
 いちご、キウイフルーツ、ピーチ(缶詰め)、オレンジなど、薄力粉、バター(食塩不使用)、卵黄、牛乳、バニラエッセンス、ラム酒

 作り方と出来上がりの写真は下記のサイトで。
 http://www.asahi-kasei.co.jp/saran/recipe/0284.html

○ アメリカンパイ風ミックスフルーツタルト
 サランラップ・レシピライブラリーから果物たっぷりのフルーツタルト(調理時間は80分)。

【材料】
 リンゴ、ブルーベリー(生)g、アプリコット(缶詰)、シナモンパウダー、薄力粉、ベーキングパウダー、塩、グラニュー糖、バター(食塩不使用)、牛乳

 作り方と出来上がりの写真は下記のサイトで。
 http://www.asahi-kasei.co.jp/saran/recipe/0587.html



☆ 編集部より ☆

 googleで「食育」を検索すると約64万件がヒットしますが、その具体例について調べると非常に少ないのが現状です。「食育」運動を進めるためには、具体例が大変参考になります。運動を進めておられる皆様、ぜひホームページに苦労話なども含めて載せて下さい。(tnk)

 福岡県西方沖を震源とする地震で被災された方々にお見舞い申し上げます。(N)





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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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