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□□■ 果物&健康NEWS Vol.67 ■□□
■ 2005年8月5日(金) ■
みなさん、こんにちは!
今週の特集は「人を対象とした研究の意義と難しさ」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
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◇ 人を対象とした研究の意義と難しさ
◇ 今週のレシピ
◇ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする(第9回)
◇ 理科自由研究参考サイト
◇ キッズQ:宇宙でも新鮮なリンゴを食べられますか?
◇ 編集部より
□ 人を対象とした研究の意義と難しさ
人を対象とした疾病予防のための科学的検証方法には、ヒト介入研究(実験系)と疫学調査(疫学系)とがあります。果樹研究所でも、疾病予防効果について、リンゴ摂取の効果についてヒト介入研究を、ウンシュウミカンについて静岡県三ヶ日町で疫学調査を行っています。
ヒト介入研究などの実験系の研究は、疾病のメカニズムの解析に有効な研究方法です。例えば、高血圧自然発症ラットに、物質Xを与え血圧低下が観測されれば、物質Xは降圧に有効と判断されます。ただ、ラットで有効でも人にそのまま適用できるとは限りません。人でも有効とするためにはヒト介入研究を行う必要がありますが、人を対象に科学的な検証を行うためには倫理的配慮など、様々な問題が含まれているため、いつでも実施できるとは限りません。ただし、ヒト介入研究で得られたデータは、最も科学的信頼性が高いと評価されます。
一方、疫学系の研究は、人の集団を対象にして疾病の頻度、要因などを調査し、原因と結果の因果関係を解明するのが目的です。人で因果関係が明らかになるため、食品などの疾病予防効果の検証に有効な方法です。喫煙と肺ガンとの関連などは、この研究方法で明らかにされた成果です。
ただし、疫学調査は、統計手法を用いるため、とにかく統計的に有意差があれば、科学的証拠(エビデンス)があると解釈し、逆に有意差がないから意味がないと考えている人がいますが、必ずしもそうとは言い切れません。例えば、食塩摂取量と血圧の相関が0.1で対象人数が100人の場合、p値(有意確率)は0.322となり、有効性を示す0.05(5%水準)よりもずっと大きく、統計的に有意ではないと評価されます。しかし、対象人数を1000人とするとp値は0.0015(0.15%)となり1%水準でも統計的に有意となります。
また、人は様々に考え行動しているため、バイアス(先入観、偏見、主観的・感情的要素など)がかかることも少なくありません。そのため、定期的に専門家が集められ、食品などに対する疾病予防効果についての論文を精査し評価を行っています。
次回は、「果物のガン予防効果の科学的評価」についてです。2003年3月4-11日に国際的な専門家が、果物摂取とガン予防効果などを判定のために国際ガン研究機関(International
Agency for Research on Cancer)に召集されました。
□ 今週のレシピ
○ ピーチアイスミルクティー
材料
茶葉(イーチフレーバードティー) 30g、グラニュー糖 45g、牛乳 200ml、ホイップクリーム、ピーチ、ミント
作り方と出来上がり写真は下記のサイトで見られます。
http://www.tea-a.gr.jp/dic/summer02.html
○ ぶどうの紅茶
材料
茶葉(ニルギリ・ケニアなど) 3g、熱湯 150ml、巨峰(スライスしたもの)
1粒分、カシスジャム 少量
作り方と出来上がり写真は下記のサイトで見られます。
http://www.tea-a.gr.jp/dic/summer05.html
□ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする
第9回 カキノヘタムシガの防除
Q:カキの実が夏にヘタを残して落果するのですがどうしてですか。
A:カキのヘタに糞があれば、原因はカキノヘタムシガ(カキミガ)による落下ではないかと思います。7月中・下旬から8月中旬までにカキノヘタムシガを防除してください。
今、樹上に付いているカキの実が、このまますんなりと収穫を迎えられれば良いのですが、まだまだ安心できません。これから被害がでる可能性のある病虫害では、「カキノヘタムシガ」が最大の害虫です。
このカキノヘタムシガは、年2回発生しますが、寒冷地方などでは1回発生の地域もあります。1回目の発生は、5月中・下旬から6月上・中旬頃です。産卵場所は、芽、枝、果実、果梗付近で10日〜15日で孵化し、まず最初に着果枝の先端に近い芽を食害し、その後、カキの果実に食入します。1匹の幼虫が数個の果実を加害します。被害期間は6月上旬〜7月中・下旬です。最後に幼虫は果実から出て、ヘタなどに繭を作ります。7月中・下旬〜8月中旬にカキノヘタムシガは、蛹から成虫になり2回目の加害をします。被害が出てからでは、被害果を集めて処分するしかありません。
カキノヘタムシガの防除法は、薬剤による防除が主ですが、越冬している虫を捕殺するための「バンド誘殺」や冬期の「粗皮削り」などもあります。
1)薬剤防除: 1回目と2回目の発生時に、それぞれ1回づつ防除します(1回目6月下旬頃)、(2回目8月上・中旬頃に)。ただ、発生が多い場合はそれぞれ各2回行うと良いでしょう(1回目の発生時は、6月始めに1回、6月中〜下旬に1回、2回目の発生時は7月下旬〜8月上旬に1回、8月中旬に1回)。何回も農薬散布を行いたくない場合は7月下旬〜8月上旬頃に1回散布されてはいかがでしょう。ただし、1回だけの防除ではカキノヘタムシガを完全には防ぎ切れないかも知れません。
【散布薬剤使用例】パダンSG水溶剤1,500〜3,000倍、スミチオン乳剤または水和剤1,000倍を散布(薬剤使用は記載されている使用事項を守り使用してください)。
2)バンド誘殺: 9月上旬頃に比較的大枝の部分(主幹、主枝、亜主枝等)に新聞紙やこも等15〜30cm位の長さのものを巻いておき、カキノヘタムシガをその場所で越冬させます。そして、春先に削りとった粗皮と一緒に焼却処分します。これで虫の密度がかなり減ります。
3)粗皮削り: カキノヘタムシガの越冬場所となる粗皮の部分を削り落とし越冬している虫を捕殺します。
□ 理科自由研究参考サイト
神戸市の西川先生のサイトで紹介している優秀作品のうち果物を使った電池の研究です。同じような課題に思えますが、見方、実験のやり方がなどが全然違います。
○ レモン電池
「レモン10個でもブザーは鳴らない?」、「レモンを温めるとブザーは鳴る?」などを調べています。
http://www.hi-net.zaq.ne.jp/t-nishi/9nen/lemon/index.htm
○ 身近な物で電池を作る
レモン、グレープフルーツ、リンゴ、トマト、醤油、紅茶などが電池になるかどうか調べています。
http://www.hi-net.zaq.ne.jp/t-nishi/11nen/awata/awata.htm
□ キッズQ:宇宙でも新鮮なリンゴを食べられますか?
宇宙空間でも、リンゴジュースだけでなく新鮮なリンゴまるごと食べることができます。食事は、宇宙での楽しみであるばかりでなく、ストレスを解消する大切な要素なので、宇宙飛行士の希望に添ったメニューで作られています。今回の野口聡一さんを乗せたスペースシャトル「ディスカバリー」には、宇宙用インスタントラーメンが積み込まれています。ただ、微小重力しかない宇宙では重力を必要とするお箸を使うのは難しいようです。
1961年4月12日にガガーリン宇宙飛行士が世界ではじめて地球の周回軌道に入り、大気圏外を1時間50分弱で1周しました。その時から人類は無重力の宇宙空間での経験を積み重ね、宇宙での食事は比較的簡単であることがわかりました。食物がいったん口に入れば飲み込みには全く問題がないことが分かりました。初期の宇宙食は、アルミニウムの歯磨タイプのチューブの中に入っていました。
アメリカのマーキュリ計画では、容器がアルミニウムからプラスチックに変わり、内容も豊富になりました。たとえば、ある日のメニューは小エビのカクテル、鶏肉、野菜、トースト、バタースカッチプディング、リンゴジュースでした。月を目指したアポロ計画では、7℃(45F)の水を67℃(154F)に加熱できる装置が装着され、お湯が利用可能になったので食品の味が非常に向上したとのことです。
最近ではダイニングルームのスペースがあり、宇宙飛行士はテーブルの周りに座って、ナイフとフォーク、スプーンで、地上にいるときに近い状態で食べることができます。食事の組み合わせは宇宙飛行士が選べますが、栄養バランスを考え1日あたり2,800カロリーとし、タンパク質を16〜17%、脂肪を30〜32%、炭水化物を50〜54%にしています。
スペースシャトルは新鮮な果物と野菜を載せいていますが、冷蔵庫がないので長期の保存はできません。リンゴ、バナナ、オレンジなどの新鮮な果物やにんじん、セロリなどの生野菜は、出発の24時間以内にシャトル内の生鮮食品ロッカーに積み込まれます。ただ、新鮮な果物や野菜はシェルフライフが短いので、リンゴなどは飛行開始から7日以内に、セロリなどは2日以内に消費するようにとされています。
下記サイトの写真は、国際宇宙ステーションの中のVoss宇宙飛行士とリンゴです(2001/3/22)。赤いリンゴと青いリンゴのどちらを食べるのでしょうか。それとも両方?
http://spaceflight.nasa.gov/gallery/images/
station/crew-2/lores/iss002e5710.jpg
☆ 編集部より ☆
宇宙飛行士の身体的制限はだいぶ緩和されてきています。裸眼で0.2、コンタクトレンズを入れて1.0で、虫歯があってもきちんと治してあればいいそうです。昔は出発時、重力が7〜8Gかかっていたそうですが、スペースシャトルでは最大3Gで、これは体重が3倍になったくらいの感覚だそうです。チャンスがあれば私も宇宙へ行ってリンゴを食べてみたい。(tnk)
バランスの良い食事と休養で、夏かぜに気を付けて下さい。(N)
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ご協力に感謝いたします。 編集長 敬白
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