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第68回 果物のガン予防効果の科学的評価

  



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□□■ 果物&健康NEWS Vol.68 ■□□
   ■  2005年8月12日(金)    ■


みなさん、こんにちは!
今週の特集は「果物のガン予防効果の科学的評価」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp



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 ◇ 果物のガン予防効果の科学的評価
 ◇ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする(第10回)
 ◇ 理科自由研究参考サイト
 ◇ 編集部より



□ 果物のガン予防効果の科学的評価

 人の健康の維持・増進を目的とする分野では、定期的に専門家が集められ、食品などの健康機能を科学的根拠に基づいた評価を行っています。その代表的な例が、1997年にアメリカガン研究所などがまとめた報告です。その報告では、ガンのリスク下げるか、上げるかについて科学的実証レベルを6段階で評価し、リスクを下げる評価として実証レベルの高い順に、「リスクを下げる証拠がある(decreases risk convincing)」、「恐らくリスクを下げる(decrease risk probable)」、「リスクを下げる可能性がある(decrease risk possible)」として表しました。

 「リスクを下げる証拠がある」とは、ガンのリスクを下げるとする科学的根拠が揺るぎないもの、「恐らくリスクを下げる」とは、一部の論文では肯定的な結論は出ていないが、他の多くの肯定的な論文から推してリスクを下げると科学的に考えて良いもの、「リスクを下げる可能性がある」とは、リスクを下げるとする有力な論文は多いとはいえ、肯定的ではない論文もあり、科学的に因果関係が明らかになったとまではいえないが、疾病予防のためには摂取を推奨できるものです。

 2003年3月に国際的なガンの専門家が、国際ガン研究機関(International Agency for Research on Cancer: IARC)に召集され、果物と野菜の摂取とガン予防についての評価会議が行われました。会議では、バイオマーカーを利用した疫学系の研究やガン発現機構に関する実験系の研究などの論文を精査し、果物と野菜の摂取は様々なタイプのガンに対して予防効果があると評価しました。

 果物のガン予防効果は、食道、胃、肺のガンのリスクを「恐らく下げ」、口腔、咽頭、喉頭、直腸・大腸、腎臓、膀胱のガンのリスクを「下げる可能性がある」としています(表)。同様に野菜の摂取は、食道、直腸・大腸のガンのリスクを「恐らく下げ」、口腔、咽頭、喉頭、胃、肺、卵巣、腎臓のガンのリスクを「下げる可能性がある」としています。果物は、ガン予防に対して野菜と比べて勝るとも劣らないと評価されています。国際ガン研究機関が行った果物と野菜摂取とガン予防に対する評価は、アメリカガン研究所などがまとめた果物と野菜のガン予防に対する結論(1997)を大筋で有効としています。

 今年に入って野菜や果物の摂取量と大腸ガン発症との関係を調べた疫学調査結果が公表されました。40-59歳の男女計88,652人について7-10年追跡調査した結果、野菜の摂取量と大腸ガン発症との間には差はなく、果物摂取による大腸ガンの予防リスクは0.92となり、予防効果が認められたが統計的な有意差はなかったとしています。

 綿密に計画された疫学調査結果は尊重されなければなりませんが、先にも述べた通り、1つの調査結果だけで食品の評価が決まるわけではありません。科学的に総合判断された国際ガン研究機関の「果物摂取は大腸ガンのリスクを下げる可能性がある」とする評価を変更する必要は今のところないと思います。

表.IARCによる果物・野菜のガン予防効果
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  ガンの種類  果物   野菜
-------------------------------------
  口腔      ↓    ↓
  咽頭      ↓    ↓
  喉頭      ↓    ↓
  食道     ↓↓   ↓↓
  肺       ↓↓    ↓
  胃       ↓↓    ↓
  直腸・大腸   ↓    ↓↓
  腎臓      ↓    ↓
  膀胱      ↓     
  卵巣           ↓
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↓↓:恐らくリスクを下げる
↓ :リスクを下げる可能性がある




□ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする
  第10回 ブドウの収穫適期


 ブドウは、庭先果樹として比較的少ない樹種かも知れませんが、それでも簡易な棚やフェンス、車庫などのスペースを利用して「デラウエア」、「キャンベルアーリー」、時には「巨峰」等が植えられているのが見かけられます。

 ブドウの収穫期は、それぞれの品種によって少し異なりますが、甘さ(糖度)や酸味度、着色程度などが目安となります。酸味が減り糖度が上がり、品種特有の香り(マスカットブドウの香りやキャンベルアーリーの様な香り等)が出てくると収穫期です(ほとんど香の無いブドウもありますが)。モモやナシなどは、収穫適期は比較的短いのですが、ブドウは、果実が着色し、糖度も上がり食べられるようになってからも、比較的長期間、樹上に置くことができます。ただそのまま置いておくと「晩腐病」等にかかる場合があるので注意が必要です。

 ちなみに品種別に見た熟期判定の目安は、「デラウエア」では糖度が18度以上、甘味比(糖度と酸度の比)が30〜35で果皮色が紫赤色のもの、「巨峰」では糖度17度以上、甘味比が30〜35で果皮色が濃紫黒色のもの、「ネオ・マスカット」では16度以上、甘味比が25〜30、果皮色が黄緑色のものです。

 ただ、家庭では糖度や酸を簡単に測ることができないので、開花後からの日数や果皮色が目安となります。「デラウエア」では70〜75日、「巨峰」では85〜90日、「ネオ・マスカット」では95〜100日)です。

 果皮色や日数を参考にしながら着色の進んだ果実を食味して収穫してください。房の中では先端の方が果梗側より成熟が遅れるので、先端の果実を食べて美味しければ収穫可能と考えます。

 ブドウが着色を始める頃に暑い日が続き、特に夜温が高いと、本来、赤や黒に着色するブドウ品種が着色不良となり、「巨峰」など黒色のブドウでは赤褐色や赤紫色程度までしか色が付きません。また沢山成らせすぎて糖度が上がらない場合も黒く着色しません。前者の場合は甘みは十分ありますが、後者は甘味不足であまり美味しくありません。

注)甘味比とは、糖度(屈折計示度)と酸含量を測定し、糖度を酸含量で割った値。例:糖度18で酸含量0.6%の場合は、甘味比は30となります。




□ 理科自由研究参考サイト

 そろそろ夏休みも終わりに近づいてきましたが、残りの時間でも十分に間に合うテーマを紹介します。

○ チョコバナナ、りんごあめ作り

 「チョコバナナ」、「りんごあめ」を作ってみましょう。でも、何で理科実験なんだって?チョコレートや飴は暖めれば溶ける(液体になる)。冷えれば固まる(固体になる)。物の溶け方の学習です。

「チョコバナナ」のサイトは下記です。
http://www.morinogakko.com/classroom/rika/
jikken/tyokobanana/index.html


「りんごあめをつくろう」のサイトは下記です。
http://www.asahi-net.or.jp/~dd8k-kruc/nature/
expment1/ringoame/aplindex.htm


○ リンゴの変色の観察

 リンゴを切って、しばらくすると、色が変わります。リンゴの変色と空気とはどんな関係があるかを調べてみよう。

「リンゴの変色の観察」のサイトは下記です。
http://www.kids.gakken.co.jp/jiyuu/db05/obs/o22.html




☆ 編集部より ☆

 綿密に計画された大腸ガン発症と果物摂取との関係を明らかにした調査結果は尊重されなければなりませんが、分析した食品数が全部で44品目と少ないこと、調査の対象者数は多いが大腸ガンの発生数が少ないこと、また、我が国の果物の摂取量は先進諸国の半分と少ないので、比較対象の摂取量の差が小さすぎるのではないかなどの点を考慮する必要があると思います。(tnk)

 お盆休みで帰省される方が多いと思いますが、地場産の新鮮な食材を活かした郷土料理をいただき、ゆっくり過ごしてリフレッシュを。
 ほな、また来週。(N)



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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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