くだもの・科学・健康ジャーナルHP > 果物&健康NEWSトップ >
ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第84回 果物摂取で認知症予防

  



サイト案内





メルマガ果物&健康NEWS登録


□□■ 果物&健康NEWS Vol.84 ■□□
   ■  2005年12月20日(火)   ■


みなさん、こんにちは!
特集は「果物摂取で認知症予防」です。
------------------------------------------------------
毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp



:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ 果物摂取で認知症予防
 ◇ 今週のレシピ:キウイフルーツ
 ◇ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする(第24回)
 ◇ おもしろ記録:世界一の晩白柚
 ◇ 食育:ミカン体験学習
 ◇ 読者から
 ◇ 編集部より



□ 果物摂取で認知症予防

 高齢になると発症する認知症は、加齢とともに増加する酸化ストレスや炎症反応が関係していると考えられています。果物にはビタミンCやビタミンE、ポリフェノールなどの抗酸化ストレス成分や抗炎症成分が豊富に含まれています。すでに、果物を多く摂取すると心血管疾患など生活習慣病に関わる疾病の死亡率が低いことが明らかになっています。しかし、果物の摂取と認知症との関係はまだよく分かっていませんでした。

 そこで、記憶・健康・加齢に関するCache Country Studyの研究を行っているアメリカ・ユタ州立大学の科学者は、高齢者の認識力と食事(果物と野菜)との関係を調べました(1)。この研究では、1995年の時点で65才以上であった男女5092人を追跡調査し、食事内容についてインタビューを行い摂取状況を調べ、3632人から有効な食事のデータ(男性1566人、女性2066人)を得ました。認識力の調査はModified Mini-Mental State Examination (3MS)の最新版を用いて、1996-1997年、1998-1999年、2002-2003年の3回調べました。果物と野菜の摂取量は1日当たりのサービング単位で5段階に分類しました。

 その結果、認識力に影響を与える因子の影響を除いたあと、果物と野菜の摂取量の最も多いグループと最も低いグループとを比較したところ、果物と野菜の摂取量が多いグループの得点が統計的に有意に高いことが分かりました(有意差p=0.01)。果物だけで比べた場合も果物の摂取量が多い人は少ない人より高い得点でした。

 以上の結果より、果物と野菜を多く摂取すれば男性、女性にかかわらず高齢者の認知機能の低下を防ぐことができると研究者らは結論づけています。

 また、南フロリダ大学の研究チームは、ワシントン州シアトルに住む65歳以上の日系人男女1836人を7〜9年間にわたり追跡調査を行いました(Kame Project cohort)(2)。その結果、コップ1杯(約240ml)の果物・野菜ジュースを週に最低3回飲む人は、週1回未満の人に比べて、アルツハイマー病の発症リスクが73%低く、週1-2回でも32%発症リスクが低いことを見いだしました。

 以上の結果から、果物や野菜に含まれている成分が神経細胞の保護やタンパク質の酸化を防ぐためアルツハイマー病を予防できるのではないかと研究者らは考えています。

 動物実験などから果物が認知症に有効であると示唆されていましたが、人でも果物を多く摂取すればアルツハイマー病など認知症を予防できることが科学的に明らかになりました。

【文献】
1) Wengreen, H.J., et al.: Fruit and Vegetable Intake and Cognitive Function in the Elderly: The Cache County Study on Memory, Health and Aging. Alzheimer's Asso. Int. Conf. Prev. Dementia. O2-03-06. (2005)

2) Borenstein,A.R., et al.: Consumption of fruit and vegetable juices predicts a reduced risk of Alzheimer's disease: The Kame project. Alzheimer's Association Int. Conf. Prev. Dementia.. P-161 (2005)




□ 今週のレシピ:キウイフルーツ

 甘味と爽やかな酸味があるキウイフルーツの料理を紹介します。

○ キウイフルーツの肉巻き揚げ

材料(4人分)
 キウイフルーツ 4個、薄切り豚ロース肉 4または8枚(130g)、
 小麦粉 20g、パン粉 30g、卵 1個、塩、こしょう 少々、
 揚げ油 適量、オーロラソース、トマトケチャップ、マヨネーズ
 付け合わせ:レタス、ミニトマトなど

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトで見ることができます。
http://www.pref.kagawa.jp/nousui/aji/2/r/099-r.htm

○ キウイフルーツとシーフードのパーティーサラダ

材料(4人分)
 キウイフルーツ 1個、エビ 中6尾、イカ 小 1ハイ、
 刺身用ホタテ貝柱 3個、下茹で用塩 適量、レタス 1/4個、
 プチトマト 6個、セロリ 1/2本、たまねぎ 1/4個、クレソン 少々

マリネ用ドレッシング:酢 大さじ1杯、塩 小さじ1/5杯、コショウ 少々、みりん 大さじ1杯、サラダ油 30cc

キウイフルーツドレッシング:キウイフルーツ 1個、酢 大さじ1杯、砂糖 小さじ1/2杯、塩 小さじ1/4杯、コショウ 少々、サラダオイル 大さじ2杯

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトで見ることができます。
http://www.nhk.or.jp/akita/cooking/c041203.html




□ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする
  第24回 剪定の実際 − 結実樹の剪定順序


 剪定をする前に、まず、剪定対象樹全体を眺められる位置に立ち、樹全体をよく観察して剪定の構想を決めます。樹全体の大きさはどうか、枝の混み具合はどうか、枝の伸びはどうか、隣接樹との枝の接し具合はどうかについて状況を良く見極めます。そして、樹全体を小さくする(縮伐、樹高の切り下げ)かどうか、大枝を切り取る必要があるかどうかを決めます。

 剪定の構想を決めるときには、前回お話しした果樹栽培の樹形、@主幹形、A変則主幹形、B開心自然形、C開心形(杯状形)、D棚仕立てを参考にします。結実樹の剪定順序は以下の通りです。

1)縮伐や切り下げが必要なら、最初にこの処理をします。次いで枯れ枝を切ります。

2)次に、残しておくと翌年、樹形を乱すような勢いの良い、1年生の枝(徒長枝という)のうち大枝から空に向かって上向きに伸びている枝、樹の内側に向かって伸びている枝(内向枝という)、枝同士が重なり合っている枝(交差枝という)、結果枝のある枝(側枝という)をノコギリで切り取ります。これで剪定の大まかな部分は終わりです。

3)次に、剪定の仕上げを行います。樹の上部から下部に向かって、主枝については先端から基部へ向かって、ノコギリやハサミを使いながら側枝や結果枝が適度な間隔になるように間引き剪定します。

4)最後に、結果枝を切り返します。結果枝の切り返しは花芽や葉芽の位置をよく確認しながら、結果枝を伸ばしたい場合は枝の先端から三分の一か二分の一程度に切り返します。果実を成らせたい場合は結果枝をほとんど切り返さないか、五分の一あるいは四分の一程度に切り返します。

 果実をならせる剪定を続けていると切り返しが弱いため、どうしても結果部位は先端の方になってしまいがちなので、意識して、結果部位を枝のつけ根の方(基本的には幹)に近づけるように間引剪定や切り返し剪定をしてください。




□ おもしろ記録:世界一の晩白柚

 熊本県八代市の園田清治さんのハウスで、平成17年1月に収穫された晩白柚(バンペイユ)が、カンキツ類でも大型ぞろいの『ザボン区(英名:pummelo)で重量世界一』として、ギネスに認証されました。

 認証された晩白柚は、重さ4,858g、直径26cmで、通常の2倍程の大きさで、バスケットボール程のサイズです。また、地元の龍峯小学校3、4年生で学習会に参加した児童は、世界一の果実に目を丸くし、「将来は晩白柚をつくる仕事がしたい!」とかたっていたそうです。

 世界一の晩白柚(レプリカ)の写真は下記のサイトで見られます。
 http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/ar/
article_view.phtml?id=12634





□ 食育:ミカン体験学習

 和歌山県田辺市立上秋津小学校の体験学習「2005ミカン体験学習」のサイトを紹介します。上秋津小学校は和歌山県知事賞・和歌山県農業教育最優秀賞など数々の賞を受賞しています。

接ぎ木作業と試食の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.agri.gr.jp/kids/mikantaiken/2005/2005-1.htm

摘果作業の写真です。
http://www.agri.gr.jp/kids/mikantaiken/2005/2005-2.htm

体験学習についての5年生の作文は下記のサイトで読めます。
http://www.agri.gr.jp/kids/sakubun/2005/2005-2.htm




□ 読者より

 いつもメールマガジンを読ませていただいております。 果物&健康NEWSは、プレスリリースへのリンクばかりでもなく、内容も親しみやすく、為になるコラムからちょっと技術的な果樹栽培についても含まれており、充実した内容ではないかと思います。

 今回のニュースで一番感動したのは、弘前の小学校のウェブサイトの内容です。とてもよくできていると思いました。

 私のFAOの仕事で学校菜園を奨励しているのですが、とてもよい具体例を見せてもらったように思います。学校菜園の目的の一つはでは、果物と野菜の消費を増やして栄養バランスをよくすることです。

 これ以外の仕事でもFAOとWHOで行っているfruit and vegetables initiative というものであり、このメールマガジンからいろいろと学んでおります。

 ちなみに、私はこちらで一日3個みかんを食べるように努力しています。




☆ 編集部より ☆

 果物の力を示す科学的データが次々と発表されています。ぜひとも多くの皆さんに果物を食べていただきたいと思っています。(tnk)

 今回の配信で、配信数は6,500件を超えました。これからも配信内容を充実していきたいと思いますので、果物&健康NEWSに関してご意見等がありましたら編集部までご連絡をお願いします。
(編集部)E-mail: kudamono_kenkou@nm.maff.go.jp   (sk)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。
 無断転載は、引用を含めて、お断りします。
 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

Copyright 2004-2005 Keiichi Tanaka. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.



くだもの
はたらき



果物と糖尿病予防


果物&健康Newsへ戻る
果物&健康Newsへ戻る


くだもの・科学・健康ジャーナルへ
くだもの・科学・健康ジャーナル
ホームページへ戻る