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第90回 キッズQ:リンゴの皮を食べた方がいいの?

  



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□□■ 果物&健康NEWS Vol.90 ■□□
   ■  2006年2月17日(金)   ■


みなさん、こんにちは!
特集は「キッズQ:リンゴの皮を食べた方がいいの?」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp



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 ◇ キッズQ:リンゴの皮を食べた方がいいの?
 ◇ 文献紹介:加齢性黄斑変性症の予防
 ◇ 今週のレシピ:アスリートの食事
 ◇ 品種紹介:カンキツ「不知火」(通称デコポン)
 ◇ 果物の歌:おさななじみ
 ◇ ローマからのフルッタ通信
 ◇ 花便り:明谷梅林のウメ
 ◇ 編集部より



□ キッズQ:リンゴの皮を食べた方がいいの?

 「リンゴは皮ごと食べた方がいいの?」との質問を受けることがあります。結論から先に言えば、皮ごと食べて3日でやめるなら、皮をむいて毎日食べてください。

 毎日食べる食事は、生存に必須な栄養分をとることが第一義的な役割ですが、楽しく、心豊かにすることでもあります。食による健康の維持・増進と食の楽しみとは、相互に矛盾する関係ではありません。食事を摂る事による充足感、また美味しい物を食べる事による喜びは、精神衛生上好ましい影響があります。

 リンゴを皮ごと食べるように勧める根拠は、皮と果肉の成分値を比較して皮にポリフェノールなどが多いことによります。しかし、この比較には注意が必要です。というのは、リンゴ1個を考えた場合、果肉重量に比較して皮の重量が少ないので、皮だけの成分値を理由に、皮ごとがよいということにはなりません。なぜなら、リンゴの皮だけを食べることはまれで、果肉と一緒に食べるのが普通だからです。

 そこで、アメリカ連邦農務省(USDA: United States Department of Agriculture)が作成した食品データベースに記載されている皮付きリンゴと皮なしリンゴの成分値を見てみましょう(表)。リンゴ1個の果肉割合は85%で、皮の割合は7%です。ミネラルの成分値で見るとカルシウム、鉄、マグネシウム、カリ、ナトリウムでは皮付きの方が多く、亜鉛、銅、マンガンでは皮なしの方が多くなっています。ビタミンでは、C、B6、A、E、Kでは皮付きの方が多いのですが、B1、B2、パントテン酸では皮なしの方が高い値となっています。食物繊維は皮付きが多く、ポリフェノールも、(-)-エピカテキン、(+)-カテキン、ケルセチンともに皮付きリンゴに多く含まれていますが、皮なしリンゴにも結構な量が含まれていることが分かります。

 以上見てきたように、皮付きリンゴと皮なしリンゴの成分値を見ると、皮だけと果肉だけの成分値の差から受ける印象とは異なり、皮なしリンゴにも栄養成分やポリフェノールが意外と多く含まれていることが分かります。

 従って、皮ごと食べることを楽しんでいる人はそのまま続けてください。皮を食べることに違和感のある方は、無理をしないで皮をむいて食べてください。美味しくなくては食事ではありません。

 健康の維持・増進には「食事バランスガイド(http://j-balanceguide.com/)」などでも指摘していますが、主食、主菜、副菜、果物、牛乳・乳製品の5つを過不足なく食べることが必要です。食糧需給表(平成16年度 概算値)の果実の供給量をみると1人1日当たり114gです。この量は、果物の摂取目標である200グラムの6割程度にすぎません。

 果物はお薬ではないので、皮ごと食べて3日でやめるなら、楽しみながら皮をむいて毎日食べてください。果物を毎日食べることが健康のためには何より大切です。


表. 皮付き、皮なしリンゴの成分値
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成分名         皮なし    皮付き
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
水分(g)         86.67     85.56
カロリー(kcal)      48       52
タンパク質(g)       0.27      0.26
脂質(g)           0.13      0.17
灰分(g)           0.17      0.19
炭水化物(g)        12.76     13.81

ミネラル
カルシウム(mg)       5       6
鉄(mg)           0.07     0.12
マグネシウム(mg)      4       5
リン(mg)         11      11
カリ(mg)         90      107
ナトリウム(mg)       0       1
亜鉛(mg)          0.05     0.04
銅(mg)           0.031     0.027
マンガン(mg)        0.038     0.035

ビタミン
C(mg)          4       4.6
B1(mg)          0.019     0.017
B2(mg)          0.028     0.026
ナイアシン(mg)       0.091     0.091
パントテン酸(mg)      0.071     0.061
B6(mg)           0.037     0.041
A(μg)         2       3
E(mg)          0.05     0.18
K(μg)         0.6      2.2

食物繊維
食物繊維(g)       1.3      2.4
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
USDA National Nutrient Database for Standard
Reference, Release 18 (2005)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ポリフェノール
(-)-エピカテキン(mg)   6.23      8.14
(+)-カテキン(mg)     0.86     0.95
ケルセチン(mg)     1.5      4.42
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
USDA Database for the Flavonoid Content of Selected
Foods ・2003




□ 文献紹介:加齢性黄斑変性症の予防

 食事からビタミンEなど抗酸化成分を多く摂取すると、目の視力が徐々に落ちる加齢性黄斑変性症(AMD)を予防できることをオランダの研究チームが明らかにしました。

 オランダのロッテルダムに住む55才以上の4170人を対象に、1990-1993年と2004年の食事摂取状況と加齢性黄斑変性症との関係を調べた結果、食事から平均以上にβ-カロテン、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛を摂取している人は平均以下の人に比べ加齢性黄斑変性症のリスクが35%低いことが分かりました。

 この結果は、抗酸化性のビタミンを多く含む果物などの食品を摂取すると加齢性黄斑変性症を予防できることを示しています。

【用語解説】
加齢性黄斑変性症とは:
 目の網膜の中心部を黄斑部と呼びます。この黄斑部は視力を維持したり、色の判別などの働きをしていますが、加齢にともなって異常をきたした状態を加齢性黄斑変性症といいます。

【文献】
van Leeuwen, R., et al.: Dietary Intake of Antioxidants and Risk of Age-Related Macular Degeneration. JAMA. 294: 3101-3107. (2005)




□ 今週のレシピ:アスリートの食事

 イタリア・トリノで冬季オリンピックが開催されています。そこで、今回はJOC(日本オリンピック委員会)が勧めるアスリートのための食事を紹介します。ここでチェックして欲しいのは、主食・おかず・野菜・果物・乳製品の5つがすべて揃っていることです。スポーツにルールがあるのと同じで食べ方にもルールがあります。アスリートなら、朝・昼・夕の3食とも『栄養フルコース型』で食べて欲しいとのことです。

栄養フルコース型に則って選んだアスリートのための夕食メニュー例
 主食:ごはん、スパゲッティ
 おかず:チキン照焼き、鮭(三平汁)、うなぎ蒲焼、納豆
 野菜:サラダ、温野菜、おひたし、三平汁
 果物:フルーツ盛り合せ、100%グレープフルーツジュース
 乳製品:牛乳

上記夕食メニューの写真は下記のサイトにあります。
http://www.joc.or.jp/stories/athletemeal/20050804.html

試合当日のメニューは下記のサイトにあります。
http://www.joc.or.jp/stories/athletemeal/2005080402.html




□ 品種紹介:カンキツ「不知火」(通称デコポン)

 1972年に「清見」×「中野3号ポンカン」を交雑してできた「不知火」(通称デコポン)の果実にはデコ(カラー)があり倒卵形の形をしています。皮の剥皮性も良く、果肉は橙色で多汁、じょうのう膜も薄く、食べやすい品種です。熟期は2月中旬から3月上旬です。糖度は14〜16度、クエン酸含量は1.0〜1.2%で食味良好です。

「不知火」の果実の写真などは下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/
data/hinsyu/cu-shiranui.html





□ 果物の歌:おさななじみ

 中村八大作曲、永六輔作詞の「おさななじみ」はNHKの番組「夢であいましょう」(昭和38年6月)で発表されました。デューク・エイセス が美しいハーモニーで歌う「幼なじみの思い出は 青いレモンの味がする」に懐かしさを覚える人も多いと思います。そして、今でも子供たちが口ずさんでおり、NHKの「日本のうた、ふるさとのうた100曲」にも選ばれています。

 歌詞と演奏は下記のサイトです。クリックすると演奏が始まりますので、演奏がじゃまな人は消音してからクリックしてください。
http://bunbun.boo.jp/okera/aaoo/osana_najimi.htm




□ ローマからのフルッタ通信

 2月最初の土曜日、いつものように青空市場に行くと、どのお店にもイチゴが並んでいました。ローマにはスーパーマーケットもあるのですが、新鮮な野菜や果物を買うなら、断然メルカートと呼ばれる市場の方が種類も豊富、かつ、お得です。メルカートに並ぶ果物や野菜で季節を感じることができます。

 しかし、今回イチゴを見つけて春が近づいていると勘違いしたのは私だけのようでした。日本ではハウス栽培が普及してイチゴの季節はクリスマスから4月ぐらいまでですが、30年前は4〜5月をピークにした初夏の味だったとのこと。ローマでは、イチゴといえば5月だそうです。こちらのクリスマスケーキにはイチゴは載っていないので、私としてはイチゴを見かけるのはほぼ1年振り、まさに「初物」という感じでしたが、よく見るとモロッコからの輸入品でした。

 せっかくなので、モロッコ産イチゴで試したイタリアならではのイチゴの楽しみ方を1つ紹介したいと思います。レシピはとっても簡単。イチゴを2つに切って、バルサミコ酢をかけて食べるというものです。バルサミコ酢の酸味が強かったらお好みで砂糖をかけます。マスカルポーネやバニラアイスクリームと一緒にいただくのも美味しいらしいです。私も初めて試したのですが、以外にも絶妙な組み合わせ。バルサミコ酢とあえてから1時間ぐらいおいて食べるのがいいとのアドバイスを後から聞いたので、5月のローマ産イチゴのシーズンになったらまた試してみたいと思っています。




□ 花便り:明谷梅林のウメ

 花がほころびはじめた徳島県阿南市の明谷梅林(あかだにばいりん)には、4000本の梅の木があります。品種は、「鴬宿」、「淋州」、「梅鴬」、「小梅」の4種類で、ウメの花を見ながらゆっくりと散策を楽しめるそうです。

 明谷梅林まつりは、2月初旬から3月下旬まで開催されます(問い合わせ先:阿南市商工観光労政課0884-22-3290)。

昨年の明谷梅林のウメの写真下記のサイトで見られます。
http://www.jrt.co.jp/tv/asa630/2005/05spot/05021.htm




☆ 編集部より ☆

 トリノ冬季大会に向けてJOCのメディカル統括責任者大西祥平氏がアスリートにアドバイスしています(http://www.joc.or.jp/stories/torino_wintersports/03_20060106_01.html)。この中で、体調を整えることが一流選手の条件で、バランスのよい食事を心がけることが大切と述べています。アスリート以外でも同じです。果物を忘れずに毎日食べてください。(tnk)

 今週のレシピでは、アスリートの食事について紹介しましたが、国民1人ひとりがバランスのとれた食生活を実現していくことができるよう、食事の望ましい組み合わせやおおよその量を分かりやすくイラストで示した「食事バランスガイド」を農林水産省と厚生労働省が平成17年6月に策定していますので、皆様の食生活の参考にしてください。 

下記のサイトで「食事バランスガイド」による食生活のチェックができます。
http://www3.gov-online.go.jp/gov/tsushin_flash/
200509/f_food_guide_s.swf
(sk)




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