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 ■ NEWSの源流&コラム 編集長 俗世夜話

科学のおもしろさ、楽しさ、驚きを伝えたい。 そして、つらく悲しい日々のことなども。
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 2007年6月25日 スモモ「大石早生」

  スモモが最盛期です。我が国で栽培面積が一番多いのが「大石早生」です。皮をむくよりそのまま食べる方がスモモの醍醐味があるように思います。











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 2007年7月7日
食事プラス運動で乳ガンの生存率が向上

 1991年から2000年に早期の乳ガンと診断され治療を受けた女性1,490人を対象に食生活と運動習慣について調査が行われた結果、30%の女性が健康的なライフスタイルを維持していました。

 毎日5サーブ以上の果物や野菜を食べ、週6日、30分ほど早歩きなどの身体運動を続けていた女性は、健康に気を使わない女性に比べ、乳ガン治療後10年の間に死亡するリスクが44%低いことが分かりました。

 以上の結果より、研究者らは、果物と野菜の摂取と適度な運動を伴う健康的なライフスタイルは乳ガン発症後の生存率を高めることが出来ると結論づけています。

【文献】
Pierce, J. P. et al.: Greater Survival After Breast Cancer in Physically Active Women With High Vegetable-Fruit Intake Regardless of Obesity. J. Clin. Oncol., 25: 2345-2351. (2007) [DOI: 10.1200/JCO.2006.08.6819]




 2007年6月28日
イギリス:卵のテレビCM再放送の禁止

 イギリスの放送広告規制機関は、1950年代に英国で放映されていた「もっと卵を食べよう」というテレビコマーシャルの再放映が禁止されたとイギリスBBCが伝えています。。現在行われている栄養指導「いろいろな種類の食品を摂取すべき」との原則的目標に反するからというのが理由とのことです。

 「卵は栄養成分が豊富で健康によい」と栄養学者によって推薦されていることから、この決定に対して広告主らはショックを受けています。

【文献】
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/6220684.stm




 2007年6月26日
脳卒中で心臓発作の長期リスクが高まる

 アメリカの研究から脳卒中既往のある患者は、心疾患関連のリスクが高まることが分かりました。脳卒中既往の患者655人(平均69歳)を対象に5年間にわたって心血管イベントを調査した結果、86件の血管性心疾患、17件の心臓発作、8件のうっ血性心不全、15件の急性心不全による死亡が確認されました。以上の結果から、脳卒中に罹患した人は、その後に心臓発作のリスクが増大することが分かりました。


【文献】
Mandip, S. et al.: Risk of Myocardial Infarction or Vascular Death After First Ischemic Stroke - The Northern Manhattan Study. Stroke, 38: 1752-1758. (2007) [doi: 10.1161/STROKEAHA.106.480988]




 2007年6月23日
年を重ねても知覚の鋭さは変わらない

 オランダの研究チームは、味覚について年配者(61-86歳)と若者(18-25歳)を対象に調査が行われました。カスタードクリームの風味やテクスチャーなどを変化させて年配者と若者の知覚(味、きゅう覚、咀嚼)が測定されました。年配者は、若者と比べ、味覚感度、嗅覚感度、咀嚼効率で低い値でした。しかしながら、知覚の鋭さにおいては両者に違いはありませんでした。

 以上の結果より、年を重ねると知覚機能は低下するが知覚の鋭さは変わらないことが分かりました。

【文献】
Kremer, S. et al.: Food Perception with Age and Its Relationship to Pleasantness. Chem. Senses., Online May 22 (2007) [doi: 10.1093/chemse/bjm028]




 2007年6月22日
Googleで国内の学術論文280万件が検索可能に

 国立情報学研究所が作成している国内の学術論文情報のデータベース「CiNii」(サイニイ)をGoogleで検索できるようなりました。

 国立情報学研究所は、現在271の学協会から許諾を得て、紙媒体の学協会誌約1,000タイトルに掲載された約280万件の論文本文をNII-ELSとしてPDF化しています。googleで検索できるようになったことから一般の人のアクセスが増える期待されています。

国立情報学研究所のサイトは下記です。
http://ci.nii.ac.jp/cinii/servlet/CiNiiTop




 2007年6月21日
紀元前2世紀の弥生時代の遺跡からウリ科の果実が出土

 滋賀県守山市下之郷町の環濠集落跡「下之郷遺跡」から約2100年前(弥生時代中期)のウリ科の果実の表皮や果肉が発見されました。

 出土したのは長さ約10cm、高さ約5cm、厚さ約5mmの半球状の果実です。炭化しておらず、表皮は茶色で硬く、果肉は黒っぽい色で軟らかいとのことです(下記サイトに写真あり)。

 DNA解析の結果、ウリ科の果実でメロンの仲間でした。また、放射性炭素による年代測定の結果、2120±40年前のものと分かりました。

発見されたウリ科の果実の写真は下記のサイトにあります。
http://www.city.moriyama.shiga.jp/pub/submit.nsf/
361c1b7b3090f83949256d9f000e5f62/a82f258b2b8d
562a492572ed001e48e5!OpenDocument





 2007年6月21日
あるある「ねつ造」事件が提起した課題(2)編集権について

 「あるある」調査報告書の指摘した「編集・演出の自由の範囲」の課題と、研究者とメディアとの間のギャップを前回指摘しました。そして、研究者が「抗議した」との報道があると書きました。しかし、研究者が発表した内容が研究者の意図と異なったとしても事実誤認でない限りメディアは訂正しません。その理由は、メディアに編集権があるからです。

 編集権とは何でしょうか。日本新聞協会が公表している「編集権声明」がありますのでそこから引用します。「新聞の自由は憲法により保障された権利であり、法律により禁じられている場合を除き一切の問題に関し公正な評論、事実に即する報道を行う自由」であり、「この自由はあらゆる自由権の基礎であり民主社会の維持発展に欠くことが出来ぬものである。またこの自由が確保されて初めて責任ある新聞が出来るものであるから、これを確立維持することは新聞人に課せられた重大な責任である。編集権はこうした責任を遂行する必要上何人によっても認められるべき特殊な権能である。」としています(文献1)。

 編集権を確保するため、「新聞の経営、編集管理者は常時編集権確保に必要な手段を講ずると共に個人たると、団体たると、外部たると、内部たるとを問わずあらゆるものに対し編集権を守る義務がある。」とし、「外部からの侵害に対してはあくまでこれを拒否する。」と述べています。

 引用したのは新聞協会の声明ですが、この編集権の考え方はマスコミすべてに当てはまる大切な権利です。この編集権を考慮して「あるある」ねつ造事件を考えないと「自説の展開」に陥り、問題の本質「編集・演出の自由の範囲」が見えてこないように感じています。

 科学の話題ではありませんが統計についての最新のニュースから考えてみましょう。マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングが「2007年世界生計費調査-都市ランキング」を発表しました(文献2)。この発表はLondon, England(Reuters)発としてCNNなどでも掲載されました。同社の日本支社でもプレスリリースしているので、発表とメディアとの関係を知るのに都合がよいと思い取り上げました。

 発表を要約すると、「世界143都市での海外駐在員の生活費を比較すると、モスクワが最も高く、昨年に引き続いて首位を占め、昨年3位だった東京は4位に下がり、ロンドンが2位に上がり、3位はソウルが入った。」とする内容です。

 注意書きを見ると、このランキングは政府機関や主要な企業が従業員を海外に派遣する際に、駐在員の購買力を補償する生活費の調査データであることが分かります。この注意書きなどがメディアでどう扱われたかを見るとそのメディアの編集方針(編集権)が分かります。また、この調査は物価の国際比較ではありません。

 まずGoogleで「モスクワ 生活費 世界一」で上位60番目まで検索してみました。朝日新聞、毎日新聞、日経新聞、読売新聞は出てこなかったので記事にしていないと判断しました。つまり、記事にしないという編集方針(編集権)が示されています。

 研究者がプレスリリースしたのに記事にならないと嘆くケースです。でも記事にしなかったことに対して研究者は抗議することはしないでしょう。

 次にウエッブ上で見つかった代表的な記事の見出しを紹介します。
▼ロイター
 外国人にとって最も生活費がかさむ都市はモスクワ=調査
 http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-
26485620070618

▼CNN
 主要都市の生活費調査 モスクワが世界一、東京は4位
 http://www.cnn.co.jp/business/CNN200706180019.html
▼産経新聞
 「世界一の物価高」2年連続モスクワ 富裕と貧困、いびつ社会
 http://www.sankei.co.jp/kokusai/world/070619/
wld070619000.htm

▼共同通信社
 東京の生活費、4位に 世界番付トップはモスクワ
 http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/
20070619010002031.asp


 海外駐在員のための生活費のデータであることが見出しから分かるのはロイターだけです。このことが、記事の中にもないのは共同通信社と産経新聞です。また、産経新聞の記事には、プレスリリースの発表内容に「モスクワの富裕層と貧困層の格差」が加えられています。産経新聞の記事とプレスリリースを比較すると受ける印象がだいぶ異なりますが、この違いが編集方針(編集権)の違いです。

 仮に研究者が、自身の発表と報道内容が違うとメディアに抗議しても編集権を元に拒否されます。また、拒否しなければ報道の自由が失われることになります。このように編集権は重要で重い課題です。そこで、編集権という観点から「あるある」事件をもう一度考えてみたいと思っています。

 次回、編集権の観点から「ねつ造」、「誤報」、「紛れもない事実」とは何かを考えてみたいと思います。

【文献】
1) 日本新聞協会の編集権声明、1948(昭和23)年3月16日
http://www.pressnet.or.jp/info/seimei/shuzai/1201henshuken.htm

2) マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング:2007年世界生計費調査-都市ランキング.2007年6月18日
http://www.mercerhr.co.jp/pressrelease/details.jhtml/
dynamic/idContent/1268605;jsessionid=KJGAFXPFAM3
KACTGOUGCIIQKMZ0QUJLW





 2007年6月13日
機能性食品の評価はまだ定まっていない

 オランダの研究チームは、機能性食品の長期的な安全性有効については医薬品との相互作用も含めて不明な部分が多いことから、積極的にデータをとり観察を継続していく必要があると報告しています。

【文献】
de Jong, N., et al.: Functional foods: the case for closer evaluation. BMJ, 334: 1037-1039. (2007)[doi: 10.1136/bmj.39196.666377.BE]




 2007年6月12日
肥満になると骨量が減る

 アメリカ・ミズーリ・カンザスシティー大学の研究チームが、約6,400人を対象にBMI値と骨量との関係について調査した結果、肥満になると骨量が減ることが分かりました。

 骨量に対する総体重の力学的負荷の効果を考慮に入れて肥満と骨量の関係を評価した結果、体脂肪が増えると骨量が減少することが分かりました。従って、肥満を抑えることが骨量の増加につながり、骨粗鬆症を予防できると研究者らは考えています。

【文献】
Lan-Juan Zhao, L-L. et al.: Relationship of Obesity with Osteoporosis. J. Clin. Endoc. Metabol. 92: 1640-1646. (2007) [doi: 10.1210/jc.2006-0572]




 2007年6月11日
果物などに含まれているエピカテキンは記憶を高める

 アメリカ・ソーク研究所による、ブドウ、ブルーベリー、モモやなど果物に含まれているエピカテキンをマウスに投与したところ記憶力が向上したと報告しています。

 エピカテキンを投与したマウスと投与しなかったマウスの車輪運動に対する記憶力調査から明かとなりました。研究者らは、エピカテキンにより脳内血流量が改善されたためと考えています。

【文献】
van Praag, H. et al.: Plant-Derived Flavanol (?)Epicatechin Enhances Angiogenesis and Retention of Spatial Memory in Mice. J. Neur., 27: 5869-5878. (2007) [doi: 10.1523/JNEUROSCI.0914-07.2007]




 2007年6月9日
あるある「ねつ造」事件が提起した課題(1)

 関西テレビの「発掘!あるある大事典」の「ねつ造」事件についてかなり多くの報道と識者による解説が行われましたが、現在ではあまり見かけなくなりました。

 今まで掲載された記事や解説をかなり読んできましたが、「ねつ造」事件が提起した課題は多岐にわたり、それぞれの課題について納得がいく説明がされたようには思われません。

 例えば、関西テレビの外部有識者による調査報告(2007年3月23日)では、「128回 たったこれだけ!足裏刺激でヤセる」について「演出においては、事実のねつ造や実験データの改ざんは何ひとつない。」とした上で、「このような演出は、よく言えば巧妙なものといえる。しかし、逆に批判的にいえば、狡猾に番組テーマに沿って視聴者の心理を操作する物であるともみる余地もある。」と指摘しています。

 視聴者の心理を操作する「あるある」の演出は、この回だけではありません。そのため、今まで発表された「あるある」批判記事もこの点を問題としていますが、その議論を各自の持論である「えせ科学論」などへ展開し、調査報告書が提起した「このような演出手法は、編集・演出の自由の範囲内か、それとも、それらの自由を逸脱している表現方法か疑問としない」との課題に応えていないように思います。調査報告書の提起した課題はメディアの本質とかかわり、今日的な重い課題です。

 ここで、研究者とジャーナリストとの関わりについての話題に移します。研究者は、自分の行った研究を専門の科学雑誌に報告します。ジャーナリストは、取材した内容を一般メディアに記事として掲載するのが仕事です。両者は同じような仕事をしているようですが、発表の目的が異なるため、両者間で十分なコミュニケーションがとれない場合があります。

 研究者が発表する論文は、それ以前に行われていた研究を前提とした実証的なデータを積み重ねたものです。研究論文の結論は限定的で、一つの論文だけで、包括的な大きなテーマを一気に解決する決定的な結論を導きだせることは滅多にありません。そのため、一つの実証的な研究論文だけで大きなテーマを解釈しようとすると、曖昧な説明となるのが普通です。研究者は、大きなテーマの中の一部を担当し、限定された条件下で実験を行うように訓練されています。

 一方、メディアでは、新しさに報道価値があるため、新しさを強調しようとします。また、読者が興味をひく珍しさや「ブレークスルー」などの情報を求めています。科学論文は実証的な報告であるため、大きなテーマを直接的に解釈出来ないことがしばしばありますが、ジャーナリストは、研究者のそうした説明の曖昧さに対してあまり寛容ではありません。

 ジャーナリストは、明快な結論を読者に提供する訓練を受けています。そのため、ジャーナリストの質問に対して研究者は回答に困り、研究論文の結論から飛躍した「希望的観測」が述べられることがあります。

 このことが、あとでトラブルの原因となることがあります。どうしてトラブルとなるかといえば、研究者はある前提をいくつかおけば、包括的な大きなテーマを説明(希望的観測)できるといったつもりが、記事ではたいてい前提が除かれてしまうためです。前提が除かれた記事に対して研究者は違和感を感じることがよくあります。

 テレビの場合はもう少し深刻です。テレビでは演出や放映時間の関係で前提を語った部分がカットされることが普通にあります。ところが、新聞記事と異なり、テレビで放映された全部が研究者自身の発言となってしまうため研究者の違和感は高まり、その違和感が大きいとテレビ局へ抗議となってしまいます。こうした例が、「あるある」の番組でもあり「抗議した」との報道がありました。この課題が重いのは、記事にしたメディアもその例外ではないということです。

 今回示した例も含め調査報告書の指摘した「編集・演出の自由の範囲」の課題はとても難しく、大変重要なのですが、どうすればよいかについて明快に解説した記事はないように思います。

 今後も、「あるある」が提起した課題や研究者とメディアとの関係などについて、少しずつではありますが考えていきたいと思います。




 2007年6月9日
iPS細胞(人工万能幹細胞)の選抜に成功

 京都大再生医科学研究所の研究チームは昨年、4種類の転写因子(Oct3/4 (Pou5f1), Sox2, c-Myc, Klf4) をウイルスを使って体細胞に導入すると、体細胞がES細胞のような分化、増殖能力を持つことを世界で初めて見つけ、iPS細胞(人工万能幹細胞)と命名しました。しかし、作成段階でiPS細胞を選び取る際、分化能力が低い細胞も含まれるため、ES細胞と同じように利用することはそのままでは難しいことも分かりました。

 そこで、胎児の皮膚の下にある細胞を利用し、細胞を取り出す時期と、できあがった人工細胞の中から質の良い細胞を選び出す方法を改良し、高い分化能力を持つ細胞だけを選び出すことに成功しました。こうして選別された細胞は、生殖細胞にも分化することを確認されました。

 ES細胞は、受精卵を使うので倫理上の問題があり、他人の細胞から作られるため、将来臓器の作成などが可能になっても、移植で起こる拒絶反応を減らすことが課題です。iPS細胞は自分の体細胞から臓器や組織をつくることができるのでこうしたES細胞の課題を解決できるのではないかと考えられています。

 しかし、生まれたマウスを1年近く観察したところ、20%のマウスで遺伝子組み換えの際に使うウイルスや遺伝子が原因と思われる甲状腺腫瘍が認められました。

 この研究は、まだ解決すべき課題は多いのですが、将来的には脊髄損傷や心不全に対する再生医療につながる可能性があると考えられています。

【文献】
Okita, K. et al.: Generation of germline-competent induced pluripotent stem cells. Nature, online 6 June (2007) [doi: 10.1038/nature05934]




 2007年6月7日
減量には動機づけが大切

 アメリカで2型糖尿病で過体重の女性217人を対処にヒト介入試験が行われた結果、食事療法と運動を組み合わせるだけではなく、何故そうした改善を行う必要があるかについての動機づけが大切であるかを知ることが体重を減らすのに効果的であることが分かりました。

 動機づけの方法は「動機づけインタビュー(motivational interviewing)」と呼ばれ、患者自身で改善する理由を見いだすことです。動機づけインタビューを受けた女性の体重は18ヶ月後、平均で8ポンド減りましたが、動機づけを受けなかった女性では4ポンドで、統計的に有意に減少していました。

【文献】
West, D. S. et al.: Motivational Interviewing Improves Weight Loss in Women With Type 2 Diabetes. Diabetes Care, online Mar. 2, 2007. [DOI: 10.2337/dc06-1966]




 2007年6月6日
バランスのよい食事は肺疾患のリスクを下げる

 アメリカで42,917人の男性を対象に調査が行われた結果、果物や野菜、全粒穀類、魚を中心とした食事を摂取していると肺気腫や気管支炎など重大な肺疾患のリスクが半分になることが分かりました。一方、西欧型食生活(精製穀類、肉類、デザート、フレンチフライなど)は肺疾患のリスクがかなり高くなりました。果物、野菜、全粒穀物、魚には抗酸化物質などが豊富に含まれているためではないかと研究者らは考えています。

【文献】
VARRASO, R. et al.: Prospective study of dietary patterns and chronic obstructive pulmonary disease among US men. Thorax, Online 15 May, 2007. [doi: 10.1136/thx.2006.074534]




 2007年6月5日
ウルグアイ:果物と野菜中心の食事で口腔・いん頭ガンのリスク低下

 ウルグアイで食事摂取のパターンと口腔・いん頭ガンについて症例対照疫学調査が行われました。調査の結果、肉、料理した野菜、じゃがいも、サツマイモを主とする食事パターンの人は、口腔・いん頭がんの発生リスクが極めて高いことが分かりました。一方、果物(オレンジなど)、生野菜、魚などで特徴付けられる食事パターンの人は口腔・いん頭ガンの発症リスクが66%低いことが分かりました。

 以上の結果より、口腔・いん頭ガンの発症は食事のパターンと強く関係していることが分かりました。また、研究者らは、栄養とガンの発症との関係を調べる上で食事摂取のパターンを解析することが重要であると述べています。

【文献】
De Stefani, E. et al.: Dietary patterns and risk of cancer of the oral cavity and pharynx in Uruguay. Nutr. Cancer, 51: 132-139, (2005)




 2007年6月3日
近代医療の起源は古代エジプト

 近代医療の起源は、ヒポクラテスなどギリシア人ではなく、それより古い3,500年前の古代のエジプト人であるとする証拠が見つけられました。

 イギリス・マンチェスター大学の調査チームは、紀元前1,500年前にパピルスに書かれた医学書を証拠を発見しました。今まで、ギリシャのヒポクラテスが医学の父と考えられてきましたが、ヒポクラテスが生まれたのは紀元前1,000年なので、エジプトの方が古いことになります。

 また、薬の調合のためのプロトコルと療法の記載もあり、古代エジプトの医学がギリシャより進歩していたと考えられています。さらに、現代医学の観点から見ても、記載されている処方箋や療法の多くには、優れている点があることが分かりました。

 殺菌剤、下剤、整腸剤などの処方箋も発見されています。リウマチにはセロリとサフランを、サナダムシ退治にはザクロを、鎮咳薬にはアカシアが使用されていました。

【文献】
マンチェスター大学のニュースサイトは下記です。
http://www.manchester.ac.uk/aboutus/news/display/
index.htm?id=115387





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