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□□■ 果物&健康NEWS Vol.87 ■□□
■ 2006年1月27日(金) ■
みなさん、こんにちは!
特集は「糖尿病発症のメカニズム」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
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◇ 糖尿病発症のメカニズム
◇ 文献紹介:物忘れとホモシステイン
◇ 品種紹介:カンキツ類「はるみ」
◇ 果物の歌:みかんの花咲く丘
◇ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする(第27回)
◇ 今週のレシピ:イタリア料理から
◇ ローマからのフルッタ通信
◇ 編集部より
◇ セミナーの案内
□ 糖尿病発症のメカニズム
糖尿病には1型と2型がありますが、日本では2型糖尿病の占める割合が9割以上と圧倒的に多いことが知られています。2型糖尿病の発症には食生活が深く関与しており、高脂肪食を続けて食べていると発症すると考えられています。
人の血液中のブドウ糖濃度(血糖値)は、正常であれば常に一定範囲内に調節されていますが、この血糖値が病的に高まった状態を糖尿病といいます。血糖値を下げるにはインスリンというホルモンが関与していて、インスリンが不足すると糖尿病になります。従って、糖尿病は、糖分の取りすぎが原因と誤解されていますが、インスリンを作るすい臓の機能の低下が原因です。
2型糖尿病が何故発症するのか良く分かっていませんでしたが、アメリカ・カルフォルニア大学の研究者らは、高脂肪食が2型糖尿病を発症させる分子的なメカニズムを解明し、科学研究雑誌「Cell」に発表しました。
食事をすると血液中にブドウ糖が増えるので、ブドウ糖濃度を下げるため、すい臓のβ細胞からインスリンが分泌されます。もう少し詳しくいうと、血液中のブドウ糖が増えると、β細胞の膜にあるブドウ糖トランスポーター2(糖輸送担体:Glut-2)と呼ばれる膜タンパク質によってブドウ糖がβ細胞内に取り込まれ、この刺激によってインスリンが分泌されます。Glut-2タンパク質は、β細胞内にブドウ糖を取り込むドアの役割をしています。従って、Glut-2タンパク質がうまく働かないとβ細胞からのインスリンの分泌が阻害されるため、血液中のブドウ糖の濃度が下がらなくなります。この現象が2型糖尿病発症の初期段階です。
Glut-2タンパク質は糖鎖が結合している膜タンパク質で、糖鎖がないGlut-2タンパク質はブドウ糖と結合せず機能不全となってしまい、その結果としてβ細胞内にブドウ糖を取り込めなくなります。そこで、カルフォルニア大学の研究チームは、Glut-2タンパク質の糖鎖に着目し、Glut-2タンパク質に糖鎖を付加するグリコシルトランスフェラーゼ4a(GnT-4a)の遺伝子が発現しないノックアウトマウス作成しました。その結果、このマウスは、ブドウ糖をβ細胞内に取り込むことができず、インシュリンの分泌が阻害されました。このことから、十分な量のGnT-4a酵素がないとGlut-2タンパク質は機能不全となりブドウ糖を取り込めずインスリンの分泌損なわれるため、2型糖尿病が発症すると考えられました。
この論文が糖尿病研究において世界的に注目されるのは、上記のメカニズムが正常なマウスでも証明されたためです。正常なマウスに、高脂肪食を与えたところ、GnT-4a酵素の活性が低下し、その結果としてGlut-2タンパク質への糖鎖の付加が進まず、インスリンの分泌が阻害されました。この糖尿病発症のメカニズムは、糖尿病患者ではGnT-4a酵素の発現量が少ないことや、2型糖尿病で一般的に観測されるGlut-2タンパク質の機能不全をうまく説明できるだけでなく、疫学研究などで明らかになっている糖尿病と高脂肪食との関係とも矛盾しないことから十分に納得のいく理論です。
以上の結果は、低脂肪で果物など植物性食品を多く摂取する食生活に改善すれば糖尿病が予防できることも示しています。また、こうした研究によって『果物を食べると糖尿病になる』などの誤解も解ければよいのですが。
【用語解説】
ノックアウトマウスとは:
特定の遺伝子を働かなくした遺伝子組み換えマウスのことです。ノックアウトは「欠如」という意味で、遺伝子の機能や病気の研究などに使う実験用動物として開発されます。逆に、遺伝子を人工的に導入した場合はトランスジェニック(形質転換)マウスと呼ばれています。
【文献】
Ohtsubo, S., et al.: Dietary and Genetic Control of Glucose Transporter
2 Glycosylation Promotes Insulin Secretion in Suppressing Diabetes. Cell
123: 1307-1321, (2005) [doi: 10.1016/j.cell.2005.09.041]
□ 文献紹介:物忘れとホモシステインとの関係
記憶喪失は、血液中のホモシステインの増加量と葉酸の減少量に関係していると、イギリス・オックスフォード大学の研究チームが発表しました。
今までに、ホモシステインが増えると冠状動脈性心臓病や脳卒中などのリスクが高まることが明らかになっています。また、血液中のホモシステイン含量は食事内容や遺伝と密接に関係しています。一方、葉酸は、ホモシステインの濃度を下げるビタミンとして知られています。
イギリス人2,189人(65〜67歳)を対象に、1992-1993年とその6年後に、ボランティアの血液中のホモシステインと葉酸の量を調べるとともに、記憶力のテストを行いました。その結果、記憶力テストで記憶障害が認められた人では血液中のホモシステインの濃度が高く、葉酸の濃度が低いこと、逆に、記憶障害のない人では、ホモシステイン濃度が低く、葉酸の濃度が高いことが分かりました。
以上の結果から、葉酸の摂取を増やすと記憶障害防止に効果的であることが分かりました。葉酸を多く含む食品は果物、野菜、豆類などで、果物は葉酸の供給源として優れています。その理由については、メルマガ「果物&健康NEWS:葉酸の発見」(第40回)を参照してください。
▽メルマガ・バックナンバーは、下記のサイトに掲載しています。
http://www.kudamononet.com/Kudamono&Kenko/
【文献】
Nurk, A., et al.: Plasma total homocysteine and memory in the elderly:
The Hordaland Homocysteine study Ann. Neuro. 58: 847-857. (2005) [DOI:
10.1002/ana.20645]
□ 品種紹介:カンキツ類「はるみ」
糖度が高く、食味良好な品種「はるみ」は、「清見」にポンカン「F-2432」を交雑して育成したミカンです。農研機構果樹研究所により1999年に品種登録されました。果皮の剥皮が容易で、じょうのうが薄く食べやすいのが特徴です。
「はるみ」の花と果実の写真、育成経過は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/
data/hinsyu/cu-harumi.html
□ 果物の歌:みかんの花咲く丘
加藤省吾作詞、海沼実作曲の「みかんの花咲く丘」は、1946年に歌手の川田正子さんが歌い、終戦直後の人々の心をとらえて大ヒットしました。その川田さんは1月22日、71歳で永眠されました。
歌詞と演奏は下記のサイトです。クリックすると演奏が始まりますので、演奏がじゃまな人は消音してからクリックしてください。
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/
mikannohana.html
□ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする
第27回 剪定の実際 − 剪定ばさみの使い方
今回は、枝を切るとき剪定ばさみをどのように使うかについて説明します。剪定に使うハサミは、バネ付きの剪定ばさみをお勧めします。この剪定ばさみを使うと少しの力で枝を切ることができます。剪定ばさみは切れが悪くなった場合は砥ぎ直しして使えます。また、使用後は水洗いするなどして汚れを落とし乾いたタオルなどで刃をふいてそのあと油拭きしておくとよいでしょう。
剪定ばさみは、枝に対してハサミの刃が手前から入った場合は、手前から向こう側に枝を押すように切ると楽に切れます。刃が枝に対し向こう側から入った場合は、枝を手前に引く様にして切ります。
ハサミやノコギリで枝の分岐部位や発生部位から枝を切り取る場合は、切り枝の基部が残り、その部分が突き出た状態(凸)にならないようにできるだけ枝の基部から切り取ります。但し、枝の発生部と平行になるような切り方は切り口が小判型となり大きくなるため、切るときは、枝の発生部位に近い部分の上側から切り始め、枝の下側がわずかに残るように切り、できるだけ円に近い切り口となるようにします。
1年生の枝を切る場合、一般的にはできるだけ芽に近いところから平行か、ほんのわずか芽の側が高くなるように切ります。ただ、ブドウなど切り口の癒合の悪い樹種では、節と節の中間または必要とする芽の1つ上の芽(犠牲芽)で切ります。
□ 今週のレシピ:イタリア料理から
○ 果物と野菜のごちそうサラダ(Insalata augurale con frutta)
材料(6人分)
ベルギーチコリ 1株、ルッコラ 1パック、サニーレタス 1/6株、
洋梨 1個、くるみ 50g、パルメザンチーズ 30g、
ドレッシング(バーモント酢 大さじ1、レモン汁 大さじ1杯、
サラダ油 大さじ4杯、塩、こしょう 各少々)
作り方と出来上がりの写真は下記のサイトで見ることができます。
http://www.hiroshima-gas.co.jp/good/recipe/
joyjoy/italy/italy10.htm
○ マチュドニア(イタリア版 フルーツポンチ)
材料(6人分)
りんご 1個、タンカン 2個、八朔 1個、バナナ 1本、砂糖 100g、
水 200cc、レモン汁 大1 杯、白ワイン(好みで) 100cc、
アイスクリーム又はシャーベット 適量
作り方と出来上がりの写真は下記のサイトで見ることができます。
http://recipe.gnavi.co.jp/recipe/2621.html
□ ローマからのフルッタ通信
私はローマ在住ですが、海外に住んでみると改めて日本や自分自身の習慣について目を向ける機会があります。先日ある記事をインターネットで読んでいて、日本ならではだなと感じたものがありました。それは、「皮がむきやすいミカンや切り口が変色しないリンゴなど、おいしさとは別の価値を持った便利な農産物が各地で開発されている」という記事です。これらの果物や野菜の開発のために農水省は新年度から5億円の予算を投入するとのこと。
果物を食べる際に「皮や種をとるのが面倒」との声はよく耳にし、私自身もその気持ちはよく理解できます。そもそも、「皮ごと食べる」という発想がないところが日本人的ではないでしょうか。試しにリンゴについて職場の各国籍の同僚に聞いてみたところ、通常リンゴを食べるときに皮をむくと答えたのは韓国人の同僚のみでした。他にもプラム、桃、洋ナシ、ぶどうなども皮ごと食べられています。ローマで売っているぶどうは、おそらく皮をむくという発想は想定外らしく、試しましたが皮だけを除くことはほぼ不可能で、私もそのまま食べました。しかし、その他の果物に関しては手間がかかっても私はやはり皮をむいて食べています。個人的には皮ごと食べたときの食感が好きでないというのが一番の理由ですが、残留農薬を気にしてという理由も耳にします。外国人の言い分としては果物の皮の部分により栄養があるとのこと。
まさか皮のないリンゴはありえないとしても、便利な農産物の開発も期待されます。それと同時に、果物はやはり皮ごと食べた方が本当は体のためにいいのか?という疑問も気になっています。
☆ 編集部より ☆
ローマ在住のH.Satoさんより不定期ですがフルッタ通信をお送りいただけることになりました。「果物は皮ごと食べた方がいいの?」についてはメルマガで取り上げる予定です。(tnk)
リンゴのまるかじは健康的で素的ですが、年を重ねるとどうも歯が弱くなり、まるかじりはとても無理・・・。若い頃からのマウスケアも大切ですね!(nk)
【セミナーの案内】
「やさい・くだもの健康食生活セミナー 」参加者募集のお知らせ
〜たっぷり野菜と毎日の果物は、あなたの健康のサポーター!〜
http://www.kanto.maff.go.jp/yasai_kudamono/kenkou.htm
日 時:平成18年3月1日(水)13:30〜16:00
会 場:さいたま新都心合同庁舎1号館・講堂
埼玉県さいたま市中央区新都心1−1
交 通:JRさいたま新都心駅下車徒歩5分、JR北与野駅下車徒歩8分
内 容:@基調講演「野菜・果物おいしく食べて健康長寿」
講師:岸 朝子 氏
(食生活ジャーナリスト)
A事例紹介「生活習慣病予防への期待も大きい社員食堂で
の取組み」
講師:西影 昌純 氏
(伊藤忠商事株式会社 食材流通部 青果流通課長)
B情報提供「食事バランスガイドについて」
講師:津志田 藤二郎 氏
((独)食品総合研究所 食品機能部長)
申込み:上記URLにある申込用紙に必要事項をご記入の上、FAX等でお申し込みください(メール、郵送でも可(※メールの場合、必ず「セミナー申込」と件名を明記ください。))。
締切り:平成18年2月20日(月)まで(申込先着300名)
参加費:無料
関東農政局では、たっぷりの野菜と毎日の果物で、美しく健康な毎日を推進するため、料理記者歴40年、食生活ジャーナリストとしてご活躍の岸朝子(きしあさこ)氏他をお迎えし、「やさい・くだもの健康食生活セミナー」を開催することとしました。
セミナーに参加していただいた方には、もれなく、カラダにやさしい「おいしいみかん」をプレゼント!
詳細は上記HPでご覧いただけます。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
問合せ先:関東農政局生産経営流通部園芸特産課(担当:林田、菊池、永塚)
TEL:048−600−0600(内線3347,3336,3338)
FAX:046−601−0533
Eメールアドレス:engei@kanto.maff.go.jp
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ご協力に感謝いたします。 編集長 敬白
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