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□□ イチジクとカルシウム □□
一昔前までは民家の庭先に必ず1〜2本のイチジクが植えられていました。食べ頃になったとき、鳥たちに先に食べられてしまった悔しい思いを経験したかたもおられるのではないでしょうか。果実を食べる動物や鳥たちは、不思議なことに他の果実が豊富にあっても、イチジクを好んで食べることが知られています。この理由を調査した研究者によれば、鳥が産卵したり、動物が成長するために必要なカルシウムを摂取するために、イチジクを食べるのではないかと推定し、科学雑誌(Nature
392:668
(1998))に報告しています。
イチジクは、カルシウムの供給源(生果52mg/200g、乾果260mg/200g)として優れており、一日に必要な栄養所要量を生果では8.7%、乾果では43%満たせます。カルシウムは、丈夫な骨と歯をつくるために必要なミネラルなので、成長期の子供や妊婦(+300mg)、授乳婦(+500mg)は、特にカルシウムを多く必要とします。カルシウム不足の状態が続くと、骨や歯からカルシウムが溶け出してしまうので、成長期だと歯の質が低下し、あごの骨の発育が悪くなります。骨の質が悪くなると、腰痛や肩こり、ひいては骨がもろくなる骨粗鬆症にもなりかねません。とくに女性は、閉経後に骨粗鬆症の発症率が急上昇するので、若いうちから積極的にカルシウムを摂取することが大切です。ところが、栄養調査によると、日本人のカルシウムの摂取量は、一日に必要な栄養所要量を満たしていません。また、カルシウムは単独で摂るよりも、ビタミンDやマグネシウムを併せて摂取すると、体内で吸収されやすくなります。イチジクには、マグネシウムも28mg/200g(生果)、124mg/200g(乾果)と豊富に含まれているので、カルシウム不足が気になる人に勧められる果物です。
さらに、イチジクには食物繊維(生果3.8g/200g、乾果21.9g/200g)が豊富に含まれており、乾燥イチジクでは全重量の10%にもなります。一日に必要な食物繊維の量は20〜25gとされていますが、日本人の食物繊維摂取量は16g/日くらいで、必要量に達していません。しかし、イチジク(乾果)を200g食べるだけで、1日に必要な食物繊維を摂取することができます。食物繊維には、水溶性と不溶性の二つに分類されますが、イチジクは他の食品に比べて水溶性食物繊維(生果1.4g/200g、乾果6.6g/200g)の割合が高いのが特徴です。水溶性食物繊維は、血糖値の上昇を抑制する効果や高脂血症を予防する効果、腸の運動を活発にし、便通を整えてくれる働きがあります。
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