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リンゴ摂取で中性脂肪が減少
−ヒト介入研究の成果から−
【研究の背景・ねらい】
1)アメリカでは果物と野菜を1日400〜800g摂取する運動が展開され、活習慣病を予防し、健康の維持・増進をはかっている。
2)我が国の果物消費量は、先進諸国のおおよそ半分位で、世界平均や発展途上国平均にも達していない。
3)「果物には果糖が含まれているので中性脂肪が増える」と言われており、このことが、果物の消費が伸びない一因である。
【成果の内容】
1) リンゴ1.5〜2個(360〜480g)のカロリーは229〜306kcalであり、ビタミンC含量は12〜16mg、遊離糖含量は53.5〜71.3g(果糖:27.0〜35.9g、ブドウ糖:9.2〜12.2g、ショ糖:14.4〜19.2g、ソルビトール:3.0〜4.0g)、水溶性食物繊維含量は1.4〜1.9g、不溶性食物繊維含量は4.4〜5.9gであった。
2) リンゴの摂取により、被験者14名のうち12名で中性脂肪が低下した。リンゴ摂取により中性脂肪値は87mg/dlとなり、リンゴ摂取前(110mg/dl)と比較し21%、有意に減少した(P<0.05)(図1)。
基準範囲の中間値90mg/dlより低いヒトでは、中間値に近づいた。
また症例は少ないが、リンゴ摂取前に中性脂肪値の高かった2名(>149mg/dl)ともリンゴ摂取により中性脂肪が基準範囲内まで減少した。
以上の結果より、リンゴには果糖が含まれているため、中性脂肪が増えるともいわれるが、本研究によりリンゴは中性脂肪を減らすのに効果的であることが明らかとなった。また、リンゴ摂取により、中性脂肪が多い被験者では減少幅が大きく、少ないとあまり減少しないことから、リンゴには中性脂肪を正常化する作用が備わっていると考えられた。
【まとめ】
ヒトボランティア介入研究の結果から、リンゴの摂取により血液中の中性脂肪が減少したことから、リンゴにはヒトの生理反応を正常化する作用(ホメオスタシス:恒常性維持作用)があり、高脂血症などの生活習慣病の予防に適した食品であることが明らかとなった。また、リンゴに含まれる果糖などの糖質成分による血液成分への悪影響は認められなかった。
(独)農業技術研究機構果樹研究所
さとうクリニック
江東微生物研究所
田中敬一らが記者発表(2001.08.29)した本成果は、日本経済新聞(インターネットでも配信)、毎日新聞(インターネットでも配信)、東京新聞、中日新聞、茨城新聞、常陽新聞、東奥日報、上毛新聞、神戸新聞、産経新聞(青森版)、日本農業新聞、山陽新聞、日刊工業新聞(共同通信社インターネットで記事掲載及び全国に配信)、日本テレビ「ズームイン朝」AM5:30〜、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ!AM5:30〜、インターネットKYODO
Newsで英文記事掲載、読売新聞(夕)、週間農林などで報道されました。
(2004.4.19記)
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