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□ アンズの健康機能性
アンズの原生地は中国北部とされています。紀元前3000〜2000年頃には食べられていたとされているので、約4〜5千年の歴史があります。世界の長寿村の一つといわれる北パキスタンのフンザの住民が常食していることでも有名です。我が国にいつ頃入ってきたかは不明ですが、平安時代には栽培されていたとの文献があります。我が国の主な産地は長野県、青森県で、世界的な生産地はアメリカ・カリフォルニア州です。
アンズのカロリーは低く(36kcal/100g)、タマネギ(37kcal/100g)やニンジン(37kcal/100g)と同等です。その上、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。高血圧予防に効果的なカリウムが400mg/200gと豊富なので、200g/日摂取するだけで栄養所要量の20%も満たせます。また、プロビタミンAであるカロテン(3000μg/200g)が非常に多く含まれているため、200g/日でビタミンAの栄養所要量を男性で83%、女性で93%も満たせます。ビタミンAは、発育を促進したり、肌の健康を維持したり、暗いところでも目が慣れ見えるようになる機能(視覚の暗順応)に係わっています。また、カロテンには、活性酸素の消去作用もあることから、ガンなどの生活習慣病や白内障の予防効果があります。
さらに、ビタミンEは、3.4mg/200g含まれているので、200g/日で栄養所要量を男性で34%、女性で43%満たせます。フリーラジカル(不安定で反応性の高い原子や分子)により生じた酸化型LDL-コレステロールは、動脈内の皮下に沈着し、動脈硬化症が発症しますが、ビタミンEは、LDL-コレステロールの酸化を抑制して動脈硬化を予防します。
長寿村でも食べられている干しアンズには、ナイアシンが7mg/200gと非常に多く含まれています。この量は、一日に必要な栄養所要量の男性で44%、女性で54%にもなります。ナイアシンは、糖質、脂質、タンパク質の代謝に不可欠なビタミンで、約500種類の酵素と一緒に働いています。そのため、妊婦は通常の所要量に加えて一日当たり2mg、授乳婦は4mg多く摂取することが推奨されているので、干しアンズの摂取は有効です。
また、女性や妊婦には、鉄欠乏性貧血がかなり多くみられます。鉄およそ70%が血液中に存在し、赤血球のヘモグロビンと結合し、肺からの酸素の運搬を担っています。干しアンズ200gには、鉄が4.6mg含まれており、200g/日摂取するだけで栄養所要量を男性で46%、女性で38%満たせます。
以上のように、アンズは、健康の維持増進に効果的な食品です。
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