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□ ブルーベリーの健康機能性−その1
ブルーベリーの特徴は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが200mg/200gと非常に多く含まれていることです。そのため、ブルーベリーは目によいとされています。目の網膜には、ロドプシンという紫色の色素があり、これが光の刺激を受けたとき脳に信号を伝えて「見える」と感じさせます。強い光を受けたり、長時間目を酷使したり、加齢などによって、ロドプシンは分解され減少します。アントシアニンはロドプシンの再合成を助けるはたらきがあるため、ブルーベリーは、弱い光の中での視力を改善し、眼精疲労を回復する効果があると多数報告されています。一方で、アントシアニンの効果には、統計的な有意差は認められないとする報告もあります。しかし、この報告においても、視力の改善が見られた人もいました。
また、ブルーベリーにはビタミンEが3.4mg/200g含まれており、200g摂取すると一日の食事摂取基準(8mg/30-49歳)の43%も満たすことができます。食物繊維も6.6g/200gと多く、果物の中では最も高いグループに属しています。食事摂取基準では食物繊維の目安量として20〜26g/日(30-49歳)の摂取が求められていますが、日本人の摂取量は14〜15g/日で、摂取基準に足りません。そのため、通常の食事にブルーベリーを200g付け加えると、食物繊維を十分に補うことができます。食物繊維は大腸ガンや心臓病の予防に効果があるばかりでなく、肥満解消にも有効です。
ポリフェノールなどの抗酸化成分が老化やアルツハイマー病の予防に有効であるとする疫学調査が報告されていますが、そうした報告を支持するブルーベリーの研究が発表されました。ブルーベリーのエキスを19か月目のラット(人では65〜70才に相当)に与えたところ、棒上歩きの実験では、無摂取のラットは5〜6秒で落下するのに対して、摂取したラットの落下時間は11秒に延長されました。このことから、ブルーベリーは、老化にともなっておこる運動能力、平衡感覚、記憶力などの低下を抑制する効果が際だって高いことが明らかになりました。
このように、ブルーベリーには抗酸化成分や食物繊維が豊富に含まれているので、眼精疲労の回復、老化防止、生活習慣病の予防効果が期待できます。
□ ブルーベリーの健康機能性−その2
ブルーベリーは、溶解性や分子構造など物理化学的性質の異なる多種多様なポリフェノールを含んでいます。今まで見いだされたポリフェノールには、アントシアニジンのほか、タンニンの一種であるプロアントシアニジンやフラバノール、ケルセチン配糖体、フェノール酸などがあります。
プロアントシアニジンは、強い抗酸化活性をもつため、LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)の生成を抑制し、動脈硬化の発症を抑えると報告されています。さらにプロアントシアニジンには、アレルギーに対する効果も見いだされています。アレルギーは、食品中に含まれているタンパク質や花粉などを抗原として発現しますが、プロアントシアニジンは、アレルギー反応に関わるヒアルロニダーゼと呼ばれる酵素の活性を阻害するとともに、アレルギーの化学伝達物質であるヒスタミンの遊離を抑制します。皮膚がかゆくなる病気で、アレルギーの一種であるアトピー性皮膚炎に対してプロアントシアニジンによる抑制効果が報告されています。
ポリフェノールには抗酸化作用があるため、細胞の老化やガン予防、肝臓の機能回復、血圧の上昇を抑制します。また、血液中の血小板の凝固を抑制し、毛細血管を保護する機能や血栓の生成を抑制するなど、生活習慣病を予防する成分として期待されています。Sweeneyらは、ラットにブルーベリーを摂取させたところ、脳への血液の流れを止め、ときにおこる脳障害を軽減できたことから、脳への血液循環の異常で起きる脳卒中の予防効果が期待できるとしています。さらに、ブルーベリーには脂溶性抗酸化ビタミンであるビタミンEやA、水溶性抗酸化性ビタミンであるビタミンCなどが含まれています。
ポリフェノールなどの抗酸化成分には水に溶けやすい性質(水溶性)のものと脂質に溶けやすい性質(脂溶性)のものとがあります。人の身体には、性質の異なる多種多様な細胞、組織、器官で構成されているため、単一な成分だけの摂取では効果が十分に発揮されません。そのため、溶解性の異なる成分がバランス良く含まれている食品が健康の維持増進、疾病の予防に効果的であると考えられています。ブルーベリーはこうした観点からも優れた食品の一つです。
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