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□□ カキのビタミンA,C □□
カキの種は、縄文、弥生時代の遺跡からも出土していますが、今のように大きなカキは奈良時代に中国から渡来し、野生化したものと考えられています。カキは昔から日本人に親しまれた果物の一つで、山里に色鮮やかなカキが実っている景色は、深まりゆく秋を感じさせます。そんな風景を正岡子規は、「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」と詠んでいます。
カキは甘いので意外に感じるかも知れませんが、カロリーが低く、ビタミンCが多く含まれています。甘ガキには140mg/200g、渋抜きガキには110mg/200gも含まれています。一日に必要なビタミンCの栄養所要量は100mgなので、カキを1個食べるだけで1日の必要量を満たせます。
成分表などから検索するとビタミンCの多い食品としてあまのりやせん茶(茶葉)が上位に出てきます。グラム単位で比較すると確かに多く見えますが、これらの食品は、水分が少ないためにビタミンC含量が多くなり、また、水分が少ないことからカロリーが高くなります。そこで、カロリー単位で比較してみると意外なことに甘ガキのビタミンC含量はこれらの食品より多くなります(表)。
ビタミンCは脳卒中などの循環器系疾患やガンなどの生活習慣病の予防効果のほかに、しみ・そばかす・しわなどにも効果があります。ビタミンCは調理によってかなり失われるので、生で食べられるカキはビタミンCの供給源として優れています。
表 重量当たり、カロリー当たりのビタミンC含量
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ビタミンC含量
100g当たり 100kcal当たり
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甘ガキ 70 117
渋抜きガキ 55 87
あまのり(味付けのり) 200 112
せん茶(茶葉) 260 79
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カキの果肉が黄色いのは、カロテノイドが多く含まれているからです。カロテノイドは、黄色やオレンジ色の色素で、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコペン、ルテインなどがあります。このうち、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンは、体内に入ると腸で吸収され、ビタミンAに変わることから、プロビタミンAと定義されています。また、カロテノイドは、体の各器官が酸化するのを防ぐ抗酸化作用があるので、ガンや心臓病の予防、コレステロール値の低減などに効果があります。ビタミンAはレチノールと呼ばれる成分ですが脂溶性なので、摂り過ぎると体に蓄積して過剰症の心配が出てきますが、カロテンやクリプトキサンチンは体内に入ってから必要な分だけがビタミンAに変化するため、ビタミンAの過剰症のリスクを避けることが出来ます。
カキにはプロビタミンAが多く含まれていますが、なかでもβ-クリプトキサンチンが豊富です。β-クリプトキサンチンは、ガンに対する予防効果が高いことでも知られています。β-クリプトキサンチンはウンシュウミカンに含まれる成分として知られていますが、カキ品種のなかには、ウンシュウミカンに匹敵する量を含む品種もあることが分かってきました。
カキには、ビタミンCやAだけでなく、ポリフェノール、食物繊維、カリウムも豊富なので生活習慣病予防に効果的な果物です。
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