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 ■ ウメ
      
ウメと健康機能性

ウメの健康機能性に関する科学的根拠(研究論文等)


 
      
□□ ウメと健康機能性 □□

 ウメは、植物分類学上バラ科サクラ属スモモ亜属に属し、スモモやアンズと近縁です。原産地は中国の四川省や湖北省の山岳地帯とする説が有力です。我が国では弥生時代の遺跡から種が発見されています。ウメは、薬用として古くから栽培されており、中国の「斉民要術」(530〜550年頃)に、「烏梅」(うばい)が薬用として記載されています。「烏梅」とは、未熟の梅をかまどの上で燻して乾燥したもので、胃腸を丈夫にして、下痢を止め、熱を消し、吐き気を止める漢方薬です。

 ウメに含まれるビタミンでは、抗酸化力が強いため生活習慣病の予防に効果的なビタミンE(7mg/200g)が多く、梅漬けには3.4mg/200g、梅干しでは1mg/200g含まれています。また、最近、梅酒や梅酢に、ビタミンEの中で最も生物活性の高いα−トコフェロールと同程度の抗酸化性を持つリオニレシノールというポリフェノール成分が見つかりました。そのほか、糖質、脂質、タンパク質の代謝に関与するナイアシン(生ウメ0.8mg/200g:梅干し0.8mg/200g)やアミノ酸代謝と関係するビタミンB6(生ウメ0.12mg/200g:梅干し0.1mg/200g)など、基礎代謝に関係するビタミンも豊富です。ビタミンAの前駆体で、ガンなどの生活習慣病に効果のあるカロテンも多く含まれています。‘白加賀’の完熟果には1842.6μg/200gも含まれています。

 江戸時代、旅に出るときは、食欲不振によく効く梅干しを持参したといいますが、ウメにはクエン酸、リンゴ酸が豊富に含まれているので、炭水化物と同時に摂取すると、グリコーゲンを効率的に蓄積することができるため疲労回復に役立ちます。また、クエン酸、リンゴ酸にはカルシウムの吸収促進効果もあります。ヒトの小腸はアルカリ性のため、カルシウムは不溶化して吸収されにくいのですが、クエン酸やリンゴ酸と結合すると、アルカリ性でもカルシウムは可溶化し、吸収率が高まることが知られています。梅干しを食べたときに出てくる唾液に含まれる酵素には、変異原性物質の作用を抑制する効果があります。また、貧血と関係する鉄が梅漬け(5.8mg/200g)、梅干し(2.0mg/200g)に多く含まれています。

 最近、クエン酸やムメフラールに血流改善効果が見いだされました。クエン酸は、生ウメにも梅干しなどの加工品にも含まれていますが、ムメフラールは、加熱過程で糖とクエン酸が結合してできる物質なので、生のウメには含まれていません。




 
      
ウメの健康機能性に関する科学的根拠(研究論文等)

Chuda Y, Ono H, Ohnishi-Kameyama M, Matsumoto K, Nagata T, Kikuchi Y.
Mumefural, citric acid derivative improving blood fluidity from fruit-juice concentrate of Japanese apricot (Prunus mume Sieb. et Zucc).
J Agric Food Chem. 47(3): 828-831. (1999)


Nishioka H, Nishi K, Kyokane K.
Human saliva inactivates mutagenicity of carcinogens.
Mutat Res. 85(5): 323-333. (1981)




      
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