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 ■ ネクタリン
      
ネクタリンの健康機能性−その1

ネクタリンの健康機能性−その2


 
      
□ ネクタリンの健康機能性−その1

 ネクタリンは、果皮表面にうぶ毛がなく、つるつるしているため油桃(ゆとう)とも呼ばれていますが、モモから派生した一変種です。遺伝的には有毛は無毛に対して優性です。ネクタリンは形状から『モモとプラムの掛け合わせ』、『アンズとモモの掛け合わせ』ではないかと思っておられる人もいますがモモです。

 ネクタリンは6〜7世紀頃、アジア中央部のパミール高原、天山山脈を中心としたトルキスタン地方で改良され、中国や地中海沿岸へ伝来したと考えられています。我が国へは、明治5〜6年に北海道開拓使が北米から5品種導入したとの記録があります。

 ネクタリンの果皮は黄赤色で果肉は赤紅色〜黄色で、肉質は締まっており、強い甘みと適度な酸味をもつので甘酸っぱい味がします。品種には、「フレーバートップ」、「ファンタジア」、「秀峰」、果樹研究所が育成した「ヒラツカレッド」などがあります。主要産地は、全体の70%が長野県で、福島、山形などでも生産されています。ネクタリンの旬は夏から初秋です。

 ネクタリンは食物繊維を200g中に3.4g含んでおり、特に、水溶性食物繊維であるペクチンが多いのが特徴です。ペクチンはコレステロールを正常化する作用や腸内細菌叢改善作用があります。日本人は、食物繊維の摂取量が不足しているので、ネクタリンを1〜2個食べると不足分を補えます。また、食物繊維は肥満解消にも有効と考えられており、ネクタリンのカロリーは43kcalと少ないことからダイエットな食品です。

 ナトリウムを過剰に摂取すると高血圧の原因となるので、ナトリウム摂取を減らし、カリウムを多く摂取する必要があります。ネクタリンには、ナトリウムはほとんど含まれておらず、カリウムは200g中に420mgも含まれているためカリウムの供給源として大変優れており、高血圧予防に有効です。




 
□ ネクタリンの健康機能性−その2

 ネクタリンにはビタミンが豊富に含まれています。例えば、栄養バランスが良く、子供を育てるための牛乳とカロリー単位で比較すると、ネクタリンのビタミン含有量は牛乳に劣りません(表)。ビタミンEは牛乳の33倍、ビタミンCは23倍、ナイアシンは16倍、葉酸は4倍も多く含まれています。

 ネクタリン1個(200g)にはビタミンEが2.8mgと豊富です。ビタミンEの1日に必要な目安量は男性、女性(30-49歳)とも8mgですから、ネクタリンを1個(200g)摂取するだけで目安量の35%も供給できます。ビタミンEは、生体膜で発生する活性酸素を除去する働きがあります。活性酸素が除去されず酸化反応を繰り返すと過酸化脂質を生成し、生体膜に障害を起こします。また、ビタミンEには、生体膜を安定化する作用もあります。

 不足すると、しみができたり、血行が悪くなって冷え性、肩こり、頭痛、しもやけなどの症状が出てきます。さらに、糖尿病、動脈硬化、アルツハイマー病などの生活習慣病や老化予防効果があります。また、ビタミンEは授乳期には1日当たり3mg余分に摂取することが推奨されているので、ネクタリン1個摂取するとちょうどこの量に相当します。

 ナイアシンは200g中に1.4mg含まれています。ナイアシンは、生体内でNAD、NADAとなり多くの酸化還元反応に関与しているため、糖質、脂質、タンパク質の代謝に不可欠です。そのため、ナイアシンは、夏ばてや二日酔いの解消に効果的なビタミンです。魚介類、特に青背魚にナイアシンが多いのですが、ネクタリンにもそれに匹敵する位含まれています。例えば、サバ(たいせいようさば)は100kcal当たり2.0mgで、ネクタリンは1.6mgです。

 また、胎児のために妊婦は、妊娠後期にナイアシンを通常の所要量に加えて、1日当たり3mg、授乳婦は2mg多く摂取することが推奨されているので、ネクタリンを1個摂取するのは大変効果的です。

 さらに、ネクタリンには、ガンなどの生活習慣病予防との関係で注目されている抗酸化成分であるβ-クリプトキサンチンが200g中に360μg、β-カロテンが300μgなどのカロテノイドが多く含まれています。β-クリプトキサンチンとβ-カロテンは生体内でビタミンAに変換されます。妊婦はビタミンAを1日当たり70μg、授乳婦は420μg多く摂取することとされているのでネクタリンの摂取は有効です。
 以上のように、ネクタリンは、ビタミンが豊富なので若いお母さんにお勧めします。


表 100kcal当たりのネクタリンと牛乳の比較
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ビタミン          ネクタリン   普通牛乳
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ビタミンA
 βカロテン相当量(μg)    558       9
 レチノール相当量(μg)     47      57
ビタミンE(mg)         3.3     0.1
ビタミンB1(mg)        0.05     0.06
ビタミンB2(mg)        0.07     0.22
ナイアシン(mg)         1.6     0.1
ビタミンB6(mg)        0.02     0.04
葉酸(μg)            28      7
パントテン酸(mg)        0.47     0.82
ビタミンC(mg)         21      1
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五訂増補日本食品標準成分表より





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