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 ■ ナシ
      
ナシ摂取で肥満解消

ナシの健康機能性に関する科学的根拠(研究論文等)


 
      
□ ナシ摂取で肥満解消

 ナシ属植物には、世界に約20種あり、果樹として栽培されているのは、ニホンナシ、チュウゴクナシ、セイヨウナシ(洋ナシ)です。現在のニホンナシは、中国中部、朝鮮半島南部、日本に原生しているニホンヤマナシを改良したものです。弥生時代の遺跡からニホンナシの遺物が出土しています。

 ニホンナシには、清涼感のある甘み成分であるソルビトールが果肉200gあたりおよそ1.6gと、果物の中でも特に多く含まれています。ソルビトールは、低カロリーであり、虫歯になりにくい糖質として知られています。また、吸水作用があるため、便を柔らかくし、便の量を増やす作用とともに、便のpHを下げる働きがあるので、腸の蠕動運動を活発にして、お通じをよくします。

 ニホンナシ、セイヨウナシに多く含まれている無機成分はカリウムで、200g中280mg含まれていますが、ナトリウムはほとんど含まれていません(Tr/200g)。そのため、カリウムとナトリウムの比( Na/K比:0.000)が低く血圧を下げる作用があります。食事内容と脳卒中との関係について43738人の男性を調査した結果、カリウムを多く摂取している人は、脳卒中になるリスクが38%低いと報告されています。

 さらに、オランダ・ズフェン地域の住民に対する研究において、慢性非特異的肺疾患(気管支炎、肺気腫など)と食生活について25年間(1960-1985年)の疫学調査によると、ナシの摂取で、疾患発症のリスクが38%下がることが分かりました。一方、アレルギー発症と関係するリノール酸の摂取が多いとリスクが55%上昇しました。また、野菜や魚類の摂取と疾患発症との間には有意な差は認められませんでした。

 最近、ブラジルで行われた肥満の女性に対する研究からナシを摂取すると体重が減ることが分かりました。BMIが25以上の女性(30-50歳)に対して1日3個のナシを4ヶ月食べてもらったところ、体重が1.22kg減ったと報告されました。減少量が少ないと感じられるかも知れませんが、カロリーを同じにしたオートムギのクッキーを食べた人より統計的に有意に減少しました。そのため、著者らは、果物の摂取は、体重の減少に寄与すると結論づけています(Nutrition 19:253-256. (2003))。みずみずしくて美味しいナシをたくさん食べて、肥満が解消できるので一挙両得です。




 
      
□ ナシの健康機能性に関する科学的根拠(研究論文等)

Conceicao de Oliveira M, Sichieri R, Sanchez Moura A.
Weight loss associated with a daily intake of three apples or three pears among overweight women.
Nutrition. 19(3): 253-256. (2003)


Ascherio A, Rimm EB, Hernan MA, Giovannucci EL, Kawachi I, Stampfer MJ, Willett WC.
Intake of potassium, magnesium, calcium, and fiber and risk of stroke among US men.
Circulation. 98(12): 1198-1204. (1998)


Lederle FA, Busch DL, Mattox KM, West MJ, Aske DM.
Cost-effective treatment of constipation in the elderly: a randomized double-blind comparison of sorbitol and lactulose.
Am J Med. 89(5): 597-601. (1990)


Miedema I, Feskens EJ, Heederik D, Kromhout D.
Dietary determinants of long-term incidence of chronic nonspecific lung diseases. The Zutphen Study.
Am J Epidemiol. 1;138(1): 37-45. (1993)


Ylonen K, Saloranta C, Kronberg-Kippila C, Groop L, Aro A, Virtanen SM; Botnia Dietary Study.
Associations of dietary fiber with glucose metabolism in nondiabetic relatives of subjects with type 2 diabetes: the Botnia Dietary Study.
Diabetes Care. 26(7): 1979-1985. (2003)




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