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□ アメリカの食生活改善運動
子供たちや学生の貧しい食習慣は、肥満につながるなど健康上、様々な問題があるため、食生活を改善する必要があります。今回は、アメリカで行われている先進的な食生活改善運動について紹介します。アメリカでは、過去20年の間に太り過ぎが増加し、子供たちでは2倍に、ティーンエイジャーでは3倍になりました。
そのため、学校の内外で販売されている健康に役立たない食品や飲料についての関心が高まっています。アメリカの学校では、学生の健康リスクを回避するために効果的な食品の選択が可能になるように食生活改善運動を行っています。
食生活改善運動のスローガンは「Making
It
Happen!(やればできる!//自らの手で、期待していることを起こそう)」です。栄養改善のために、アメリカ政府が定めた食事プログラムにそった食品の摂取を促進するための革新的な戦略です。「Making
It Happen!」は、アメリカ農務省と教育省、保健・福祉省の共同事業です。
「Making It
Happen!」の主要なシステムは、学校が健康によい食品と飲料を販売し、学生がそうした食品を購入・摂取できるようにすることです。このシステムを採用した17の学校と学区のうち12カ所では、事業収入を上げたと報告されています。
この運動の主要なテーマは以下の通りです。 1)食生活を改善するための中心となる一人を定め(親、栄養管理者、学校長)、その人を中心に食生活を改善する。 2)栄養改善のために、さまざまの知識や技術を持つチームを学校などにおく。 3)運動の最初に、学校などにおける栄養環境の評価を行い、長所と短所を明らかにする。 4)食生活改善の過程を注意深く見守り、データを採取し、記録する。 5)学校や学区、州などすべてのレベルで食生活改善を引き起こす。
「Making
It
Happen!」の運動は、若い人に健康な食生活とは何か、学校が食生活改善のためにどのようなサポートができるかを説明することから始めます。そして、この運動を成功させるためのポイントは、
1)推奨する食品の栄養表示の確立、 2)マーケティングテクニックを使って健康に良い食品や飲料を利用しやすくすること、 3)健康増進に役立たない食品の制限、 4)活動を支えるための資金集め、などです。
例えば、学生が日常的に使う自動販売機に100%果汁、牛乳などを必ず用意するとともに、購入しやすいように目に付きやすい場所におくことが必要としています。また、新鮮な果物や野菜、フルーツサラダ、全粒食パン、ベーグル、チーズなど健康によい食品を学生が購入し易いように配置するなど、マーケティングテクニックを使うこととしています。
精神論に頼らずマーケティング理論を用いた「Making
It Happen!」運動はアメリカらしい食生活改善活動です。アメリカと日本では学校などにおける食環境が異なるため、そのまま、「Making It
Happen!」の運動を我が国へ導入することはできませんが大変参考になるやり方です。
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