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□ 果物摂取で関節炎予防
カキやミカンなどに多く含まれているカロテノイドの一種であるβ-クリプトキサンチンに関節炎の予防効果が見いだされました。
慢性間接リウマチ(リウマチ様関節炎)は、男性に比較して女性に多く、約3倍の罹患率です。症状の初期は、手指の朝のこわばり、関節の腫脹、貧血、発熱などがあり、次第に症状が強くなり、末期には関節が破壊される疾病です。わが国における患者数は30〜50万人と推定されており、30〜50歳代で発症しますが、現時点では、慢性間接リウマチの完全な治療法はないようですので予防が大切です。
約3万人の女性(55-69歳)を対象としてアメリカで行われた慢性関節リウマチに対する疫学調査(Iowa
Women's Health
study)から、β-クリプトキサンチンの摂取量が1日当たり40μgより少ない人は多い人に比べて慢性関節リウマチ発症のリスクが33%高いことが明らかにされました(1)。
今年に入って、イギリスのマンチェスター大学のチームは、ヨーロッパで行われたノーフォーク研究(The
European Prospective Investigation of Cancer Incidence (EPIC)-Norfolk
study)のデータを分析した結果、β-クリプロキサンチンを多く摂取すると慢性関節リウマチを含む炎症性多発性関節炎のリスクを低減できると発表しました(2)。
ヨーロッパに住む2万5千人以上の食習慣を調査し、カロテノイドと炎症性多発性関節炎との関係を調べた結果、ルテインやリコピンには両者の関連性は認められませんでしたが、β-クリプトキサンチンやゼアキサンチンを多く摂取している人は、発症のリスクが統計的に有意に少ないことが分かりました。
炎症性多発性関節炎の患者と健常者を比較したところ、患者は健常者に比べてβ-クリプトキサンチンやゼアキサンチンの1日の摂取量がそれぞれ40%、20%低いことが分かりました。また、β-クリプトキサンチンやゼアキサンチンを多く摂取している人は少ない人に対して炎症性多発関節炎の発生リスクがほぼ半分でした。
これらのデータは、β-クリプトキサンチンを多く含む新鮮なカキやミカンを摂取すれば慢性間接リウマチなどの炎症性多発性関節炎のリスクを軽減できることを示しています。夏から秋に変わり、カキやミカンの美味しい季節となりました。カキやミカンを毎日食べて疾病を予防し健康を維持しましょう。
【文献】 1)
Cerhan, J.R., et al., (2003) Antioxidant micronutrients and risk of rheumatoid
arthritis in a cohort of older women. Am. J. Epidemiol. 157: 345-354.
2)
Pattison, D.J., et al., (2005) Dietary β-cryptoxanthin and inflammatory
polyarthritis: results from a population-based prospective study. Am. J. Clin.
Nutr. 82: 451-455.
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