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 ■ 食事バランスガイド
      
食事バランスガイド

食事バランスガイド活用編

食事バランスガイドお父さん編

食事バランスガイドお母さんと子供編


 
      
□ 食事バランスガイド

 平成12年に「食生活指針」が策定され、心身ともに健康で豊かな食生活の実現に向けた普及・啓発が進められてきました。しかし、果物・野菜の摂取不足、食塩・脂肪のとり過ぎ等の食生活上の問題が見られ、肥満者が増えるなどなかなか生活習慣の改善が見られませんでした。そこで、国民一人一人が自らの食事を選択する際に「何を」「どれだけ」食べればよいのかの拠り所をわかりやすく示すことが必要となり、食事バランスガイドが作成され、公表されました。食事バランスガイドでは、食生活指針を具体的な行動に結び付けるため、望ましい食事の組合せやおおよその量をわかりやすくイラストで示しています。

 この取組を進めることによりバランスのとれた食生活を実現し、国民の健康づくり、生活習慣病の予防、食料自給率の向上に寄与することが期待されています。

 食事バランスガイドは、こまをイメージした逆三角形のイラストで、主食(ごはんやパンなど)、主菜(肉や魚など)、副菜(野菜、きのこ、海藻、いもなど)、牛乳・乳製品、果物の5区分の食品をバランス良く食べる目安を示しています。成人が1日に食べる目安量を、1つ、2つなどの単位(またはSV:サービングの略)で提示しています。果物の1日の摂取量は2つで、ミカンなら2個、リンゴなら1個、カキなら2個、ナシなら1個、ブドウなら1房、モモなら2個です。果物の主材料の重量がおおよそ100gなので、この量を「1つ(SV)」に設定しています。副菜(野菜など)は、おおよそ70gを「1つ(SV)」としています。





【総カロリー】
 基本形としては、「成人」を対象とし、想定エネルギーは2200kcalで、ほとんどの女性と活動量が低い男性がここに含まれます。

【主食(ごはん・パン・麺など)】<5〜7つ(SV)>
 毎食、主食は欠かせません。主菜、副菜との組合せで、適宜、ごはん、パン、麺を組み合わせます。

【副菜(野菜・いも・豆・海藻など)】<5〜6つ(SV)>
 日常の食生活の中で、どうしても主菜に偏りがちになることが多いので、できるだけ意識的に主菜の倍程度(毎食1〜2品)を目安に十分な摂取を心がけます。

【主菜(肉・魚・卵料理・大豆食品など)】<3〜5つ(SV)>
 多くならないように注意してください。特に油を多く使った料理では、脂質及びエネルギーの摂取が過剰に傾き易くなります。

【牛乳・乳製品】<2つ(SV)>
 毎日コップ1杯の牛乳を目安に摂取してください。

【果物】<2つ(SV)>
 毎日、適量を欠かさず摂るように心がけてください。


プレスリリースのサイトは下記です。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050621press_2.html

食事バランスガイドのイラストは下記のサイトで見られます。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050621press_2b.pdf



□ 食事バランスガイドレシピ

 食事バランスガイドで上げられている1日の献立を紹介します。
 果物はみかん1個とリンゴ(中)1/2個です。

朝食
 主食:食パン厚切り1枚、副菜:野菜サラダ、主菜:目玉焼き、
 乳類:牛乳1/2杯、果物:みかん1個
昼食
 主食:うどん(汁1/2残)・おにぎり1個、副菜:筑前煮・ほうれん草浸、
 主菜:サンマ塩焼き1/2切れ
夕食
 主食:白飯2杯、副菜:具沢山みそ汁・酢の物、
 主菜:ハンバーグ1/2・冷や奴1/3丁、
 乳類:チーズ1個、果物:リンゴ(中)1/2個




 
      
□ 食事バランスガイド活用編

 食事バランスガイドを具体的にどのように日々の食生活に用いたらよいでしょうか。今までの食事の献立ガイドには、栄養素など細かな数値を用いてきました。そのため、専門的な知識がないとどうしていいか分からないことも多くありました。そこで、今回の食事バランスガイドでは、栄養や食品に関する細かな知識の無い人にも分かりやすく、実践しやすいことを第一として、「料理レベル」でおおよその量を示しています。
 食事バランスガイドを活用するには、まず最初に、自分の1日の活動量やライフスタイルに見合った5区分の料理(主食・主菜・副菜・乳類・果物)の適量範囲を考え、好みの料理を選んで食事を組み立ててください。食事バランスガイドには、1日を単位として望ましい摂取量が示されています。1日の食事が基本ですが、あまり厳密には考えず、エネルギーや栄養素の過不足は少し長い期間での調整でも十分可能です。エネルギー摂取が過剰になると1ヶ月程度の期間で体重や腹囲(ウエストサイズ)に現れてきますので、その変化を自己チェックし、摂取量を調整します。また、エネルギーのバランスを考え、それ相応の運動(活動量)をすることも大切です。


 表1.食事バランスガイドの利用の手順
-----------------------------------------------------
  自分の1日の活動量・ライフスタイルを知る
    ↓
  各料理区分の適量範囲を調べる
    ↓
  好みの料理を選んで食事を組み立てる
    ↓
  楽しく食事をする
    ↓
  体重と腹囲の変化の測定(食事量と活動量のバランスを知る)
    ↓
  毎日の食生活に活かす
-----------------------------------------------------


表2.1日の適量の把握(対象別、料理区分別)
--------------------------------------------------
エネルギー  主食  副菜  主菜  乳類   果物
--------------------------------------------------
1600kcal  4−5 5−6 3−4  2    2
1800kcal   〃    〃   〃    〃    〃
----
2000kcal  5−7  〃  3−5  〃    〃
2200kcal   〃    〃   〃   〃    〃
2400kcal   〃    〃   〃   〃    〃
----
2600kcal  7−8 6−7 4−6 2−3 2−3
2800kcal    〃   〃   〃   〃    〃
--------------------------------------------------



エネルギー区分ごとの対象者
1600-1800kcal:6〜9歳の子供、身体活動量の低い女性、高齢者の女性
2000-2400kcal:ほとんどの女性、身体活動量の低い男性、高齢者の男性
2600-2800kcal:12歳以上のほとんどの男性

−−

子供と女性、高齢者は、1日に果物2つ(例:みかん2個)
ほとんどの男性は、1日に果物2〜3つ(例:りんご1個とみかん1個)




□ 食事バランスガイドレシピ:20歳代女性用

 若い女性用(2000kcal)にアレンジした食事バランスガイドレシピです。朝はパンですが、夕食は魚中心の和風献立です。果物は、朝のキウイフルーツと間食のみかんで、それぞれ1個づつです。

朝食:食パン厚切1枚、野菜スープ、目玉焼き、キウイフルーツ
昼食:スパゲティナポリタン、野菜サラダ、牛乳1杯
間食:みかん
夕食:ごはん軽く2杯、焼き魚1尾、冷奴、筑前煮、ほうれん草のお浸し




 
      
□ 食事バランスガイドお父さん編

 男性に肥満が増えてきています。国民栄養調査によれば30〜60歳代の男性では約3割の人が肥満です。例えば、30〜39歳の男性で肥満度を示すBMIが25を超えている人の割合は、昭和57年は19.1%でしたが、平成4年では26.6%となり、平成14年には31.2%となりました。肥満は生活習慣病の発症を助長することが科学的研究から明らかになっています。そのため、適正な体重を維持するためには、カロリーの高い油料理を控え、果物と野菜を多く摂取することが大切です。

 脂質分の摂取割合は総カロリーに対して25%未満が適切です。また、お酒には脂質は含まれていませんがカロリーは意外と高く、ビール中ジョッキ500ml、焼酎ロック100ml、日本酒コップ1杯のカロリーは、それぞれおおよそ200kcalで、ごはんにすると軽く1杯分、みかんなら5個分と同じです。

 外食の利用頻度と野菜の摂取量を調査した結果、外食をほとんど利用しない人は1日当たり野菜を323.8g摂取していますが、毎日1回以上外食する人は260.5gとだいぶ摂取量が少ないことが分かりました。そのため、外食の多い人は意識して果物や野菜を多く摂取することが大切です。野菜なら生野菜だけでなく、かさの減る加熱した野菜を取り入れたり、食べやすいように1口サイズにした果物を小さなタッパに入れ、お昼時や休憩時間に食べるのも摂取量を増やす方法です。

 若い世代ほど果物や野菜の摂取量が少ないことも国民栄養調査から明らかとなっています。その上、朝食の欠食率も、男女とも20歳代が最も高く、年々その割合は増加しています。朝食の欠食は、1回の食事の摂取量が多くなり、過食につながる可能性もあることから肥満等の生活習慣病の発症を助長します。また、午前中のエネルギー供給が不十分となり体調が悪くなることなどの問題点も多く指摘されています。そのため、朝食は欠かせません。その時、果物を1つ忘れずに食べましょう。

 主食、主菜、副菜、乳製品、果物を組み合わせて摂取することが大切です。どれかが欠けても、どれかが多すぎてもバランスが悪くなります。食事バランスガイドで示したコマに喩えるなら駒が倒れてします。

○ほとんどのお父さんへ:毎日くだものを2〜3つ食べましょう。
 みかんなら2〜3個;リンゴなら1〜1+1/2個;モモなら2〜3個;なしなら1〜1+1/2個



□ 食事バランスガイドレシピ:お父さん用

朝食メニュー
 ○おにぎり、ゆで卵、みかん1個
 ○トースト、牛乳、リンゴ1/2個

昼食メニュー
 ○ラーメンを野菜ラーメンや五目ラーメンにして果物1つ
 ○牛丼か親子丼だったら青菜のお浸しに果物1つ
 ○カレーライスに野菜サラダと果物1つ

夕食は少し軽めに、お酒もカロリーのうち




 
      
□ 食事バランスガイドお母さんと子供編

 朝食の欠食は、1回の食事の摂取量が多くなり、可食につながる可能性があることから、子供たちの肥満を助長します。国民栄養調査から9〜11歳の男子では、1976-1980年では肥満の割合は8.4%でしたが、1986-1990年では12.5%となり、1996-2000年には15.0%と急激に増加しています。女子でも、順番に7.5%、9.0%、12.2%と増加しています。

 また、「児童・生徒の食生活等実態調査」(平成12年)では、毎日朝食を食べる習慣のある子供の割合は58.9%と6割を切っています(保護者回答)。朝食を欠食すると午前中のエネルギーの供給が不十分となり、体調が悪くなることなどが指摘されています。午前中の授業を受けられない、エネルギー不足でぼーっとしていることのないように、朝食を取る習慣をつけましょう。

 子供たちのお母さん世代は、お父さん世代とは逆にやせすぎ(低体重)が問題となっています。例えば、20-29歳の女性で低体重(やせ:BMI < 18.5)とされる人の割合は1982年では11.4%であったのに1992年には25.2%、2002年には26.0%となっています。体重と身長から得られる体格指数であるBMI値が18.5以下であると、ガンや心臓病などの疾患で死亡するリスクが増大することが科学的な調査から明らかとなっています。メルマガ第3回でも紹介しましたが、ボッテチェリの「ヴィーナス誕生」のヴィーナスは、身長158cm、体重52kgと推定されているので体格指数(BMI)は21です。やせすぎは、健康上よくありません。食事をバランスよく食べましょう。

 食事バランスガイドでは、12歳以下の子供たちとすべての女性に対して、1日に果物を2つ摂取することを勧めています。みかんなら2個、リンゴなら1個、モモなら2個、ナシなら1個、キウイフルーツなら2個、ブドウなら1房、カキなら2個です。ところが、平成15年国民健康・栄養調査によれば20-29歳の女性の果物の摂取量は79.5g、30-39歳では69.9gと食事バランスガイド推奨量の半分以下しか食べていません。さらに、果物に多く含まれている食物繊維では、20代が12.0g、30代が12.5gと日本人の食事摂取基準2005の目安量である20-21gの6割程度です。

 そのため、朝食は欠かさず、栄養バランスを考えて、親子で3食楽しく食べる習慣をつけましょう。子供たちと一緒に美味しい果物をたくさん食べましょう。




       ご愛読ありがとうございました。

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