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 ■ 果物摂取で骨粗しょう症予防
      
果物摂取で骨粗しょう症予防


 
      
□ 果物摂取で骨粗しょう症予防

 人の身体を支えている骨の量は、年を経るしたがい自然と減っていきますが、食生活の改善によって骨量の減少を抑制できます。骨の硬さを示す指標に骨密度があります。骨密度とは、単位面積当たりの骨量で、普通の人は、1平方センチメートル当たり約1gです。日本骨粗鬆症学会では、20歳から30歳代の平均的な骨密度を100%とした時に、骨密度が80%になると「注意」、70%で「警告」としています。骨密度が低下すると、骨粗しょう症となり、腰痛があらわれたり、骨折しやすくなります。女性は、ホルモンの関係から閉経期以降、急速に減少していきますので、特に注意が必要です。

 骨の主要成分は、カルシウムとリンで、若年期にカルシウムの摂取量が多いと、老人になったとき、骨粗しょう症のリスクが少なくなると報告されているので、カルシウムの多い牛乳の摂取が推奨されています。

 近年、骨密度を高めるには、牛乳だけでなく果物の摂取も効果的であることが分かりました。月経閉止前の45才から49才のイギリス人女性994人を調査したところ、果物と牛乳の摂取が少ない女性では、摂取量の多い人に比べ、骨密度が低いと報告され、食物繊維や亜鉛、マグネシウム、カリウムの摂取が多い人では、骨密度が統計的に有意に高いことが分かりました。さらに、アメリカにおいて69才から93才の907人を対象とした疫学調査において、肉食とパンを主に摂取するグループ、キャンディーの摂取が多いグループ、果物と野菜・穀類の摂取が多いグループなど、食習慣に従って6タイプに分類して解析した結果、男性では、果物と野菜の摂取量が多いと骨密度の低下が抑制されると報告されました。

 果物に含まれているカルシウムの量はそれほど多くないのに果物を摂取するとなぜ骨粗しょう症を予防できるのでしょうか。茨城キリスト教大の板倉弘重教授のグループが、55歳前後の女性12人を対象にレモン摂取と骨密度との関係を明らかにしています。女性を2つのグループに分け、どちらにもカルシウムの多い食事をしてもらいましたが、一方のグループにだけ、1日1個のレモン(おおよそ4〜5グラムのクエン酸)を摂取してもらいました。すると、3ヵ月後、レモンなしのグループの骨密度が0.5%下がったのに対し、レモンを摂取したグループでは0.7%上昇していました。この結果から、クエン酸には、カルシウムの吸収を助ける働きがあることが分かりました。また、果物にはマグネシウムやカリウムなどのミネラルやビタミンをバランス良く含み、食物繊維も多いため、果物を摂取していると年齢が高くなっても骨密度が維持されるのではないかと考えられます。

 以上のように、意外にも、果物を多く摂取すると骨粗しょう症の予防に効果があります。




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