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 ■ 果物摂取で大腸ガン予防 その1

 大腸ガンは、大腸の内側に発生するガンで、生じた部位によって結腸ガン、直腸ガンとも呼ばれます。近年、わが国では大腸ガンが急速に増加しています。その原因には、高脂肪、低食物繊維食の欧米型食生活が影響しています。脂肪の多い食品を摂取すると、腸内で胆汁酸や腸内細菌の作用により発ガン物質ができます。この発ガン物質が大腸の粘膜と長期にわたって接触するとガンが発生します。

 世界保健機関(WHO)に所属する国際ガン研究機関が組織したプロジェクトで、ヨーロッパ8ヶ国、519,978人を対象とした今までで最も大規模な疫学調査(コホート研究:1992〜1998年、25〜70才)が行われました(文献)。その結果、食物繊維の摂取量が高いグループ(摂取食物繊維量31.9g/日)は、低いグループ(12.6g/日)と比べて、大腸ガンの発生リスクが25%低くなることが明らかになりました。

 さらに、食物繊維の供給源の違いに着目して、大腸ガンとの関係を調べたところ、果物由来の食物繊維では0.78倍、穀類由来では0.78倍、野菜由来では0.88倍、豆類由来では1.04倍となり、果物と穀類から摂取する食物繊維は、野菜や豆類から摂取する食物繊維よりも、大腸ガンの発生に対して、より抑制的に働く傾向にあることがわかりました。

 以上の結果から、調査を行った研究者たちは、食物繊維の摂取量が少ない集団が、摂取量を2倍に増やせば、大腸ガンのリスクが40%下がると推定しています。日本人の1日当たりの食物繊維摂取量は14.6gです(2001年国民栄養調査)。この摂取量は、大腸ガンの発生の多かった食物繊維摂取量の低いグループに近い値です。現在、3人に1人はガンで亡くなられていますが、大腸ガンは、肺ガン、胃ガンに続き第3位です(平成14年人口動態統計)。

 毎日くだもの200グラム以上食べて大腸ガンを予防しましょう。


【文献】
Bingham SAら, (2003) Dietary fibre in food and protection against colorectal cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC): an observational study. Lancet. 361: 1496-501.




      
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