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アメリカにおいてガンは心臓疾患の次に多い死亡原因です。アメリカガン学会(American Cancer
Society)が公表している今年のレポート(Cancer Facts & Figures
2006:文献1)によると、2003年の死亡者数が1930年の統計を取り始めて以来、初めてわずかですが減少したと報告しています。死亡率については1991年以降低下していましたが、死亡者数は高齢化および人口増加により2003年まで増加を続けていました。
2002年のガンによる死亡者数は557,271人でしたが2003年には556,902人と369人減少しました。このことについてアメリカガン学会疫学とサーベイランス部会副会長Micheael
Thun博士は、「ガンによる死亡者数の減少は画期的な事件である」と述べています。さらに続けて「研究は進展しているが、これからも非常に長い道のりである。」と言っています。
今回低下がみられた背景は、ライフスタイルの改善、早期発見、治療方法の進歩など、いくつかの要因が複合的に作用しているとしています。1995-2001年のガン患者の5年生存率は65%で、それ以前(1974-1976年)の50%と比較して生存期間が延長しました。ガンの死因の1位である肺ガンは、男性では発症率、死亡率ともに低下が続いていますが、女性では発症率は横ばい、死亡率は上昇しています。乳ガンの死亡率は1990年以来低下しています(年平均2.3%減)。結腸ガンの死亡率は20年以上にわたって減少しています(年平均1.8%減)。小児ガンによる死亡率は1975年から48%低下しており、5年生存率も1970年以前の50%未満から現在は80%まで伸びています。
同レポートで、ガンによる死亡原因の約三分の一はライフスタイル(栄養、運動、肥満)と関係している述べています。そのため、ガンのリスクを下げるため栄養の改善と運動が大切であるとしています。アメリカガン学会は、科学的根拠に基づき栄養を改善するためには植物起源の食品の摂取を推奨しています(文献2)。具体的には以下の通りです。
1)毎日、果物と野菜を5サービングかそれ以上摂取すること。 2)加工した穀類や砂糖に代えて全粒穀類を摂取すること。 3)赤肉、特に高脂肪肉や加工した肉の摂取を控えること。 4)健康的な体重を保つように食品を選ぶこと。
以上のことを行えば、ガン予防だけでなく心臓病や糖尿病など生活習慣病予防にも効果的であるとレポートは述べています。
アメリカではガン予防のために果物と野菜の摂取を推奨する「5
A
DAY」運動が行われており、最初に、10万人当たりのガンの死亡率が減少し、次いで罹患率が下がりました。しかし、アメリカでもガンによる死亡者数の実数はなかなか減りませんでしたが、わずかですが今回、実数も減少しました。
我が国でも、アメリカの「5
A
DAY」運動にならって「毎日くだもの200グラム運動」等が行われています。まだ果物の消費を伸ばし、ガンの死亡率を下げるところまで至っていませんが、希望を与えてくれる結果です。
【文献】 1)
American Cancer Society: Cancer Facts & Figures 2006. pp1-54. American
Cancer Society, Atlanta, USA. (2006)
2) Byers, T., et al. & ACS 2001
Nutrition and Physical Activity Guidelines Advisory Committee: American Cancer
Society guidelines on nutrition and physical activity for cancer prevention:
Reducing the risk of cancer with healthy food choices and physical activity. CA
Cancer J. Clin. 52: 92-119. (2002)
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