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■ 果物がダイエットに有効なわけ


      
 女性を中心にダイエットに対する関心は非常に高く、様々なダイエット法が提案され、試されています。過度な減量は健康に良くありませんが、肥満を防ぐためのダイエットは生活習慣病予防に有効です。肥満は、高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病を誘発する危険因子です。

 食べ過ぎが長期間にわたると肥満になります。そのため、摂取カロリーを下げることが推奨されています。しかし、無理なカロリー制限は長続きしません。その理由は、食事の楽しみの一つである満腹感が得られないためです。

 満腹感を得るためには高カロリーの食品を摂取する必要があるのでしょうか。最近の研究から、人が満腹感を感じるのは、摂取した総カロリー量に比例するのではなく、摂取した食品のボリューム(体積)と関係があることが分かりました。

 肥満と肥満でない20人を対象に低カロリーから高カロリーの食事を交互にほしいだけ食べてもたったところ、高カロリー食品(3000Kcal)の半分の低カロリー食品(1570Kcal)でも摂取した食物のボリュームが大きいと満腹感が得られることが分かりました(文献1)。

 また、男性28人を対象に摂取した食品の体積と満腹感に関する研究では、昼食の30分前にヨーグルトベースのミルクシェークを摂取してもらいました(文献2)。摂取してもらったミルクシェイクの体積は、300ml、450ml、600mlと異なっていますが、カロリー、成分、重量は同じです。体積だけが異なるのは、ミルクシェークに空気を吹き込んでボリュームを大きくしたためです。

 ミルクシェークを飲んだ後、昼食を好きなだけ食べてもらい、摂取した食品の量とカロリーを調べたところ、600mlのミルクシェークを食べたとき、昼食で摂取した総カロリーが300mlのミルクシェークを飲んだときよりも12%も低いことが分かりました。そして、300mlのミルクシェイクを飲んだときより満腹感も高いことが分かりました。このことから、満腹感とカロリーは関係がなく、ボリュームが多い食品を摂取すると満腹感が得られることが分かりました。

 さらに、女性を3つのグループに分け、満腹感、カロリーについて調査が行われました(文献3)。第1のグループには低カロリーメニューを、第2のグループには中くらいのカロリーメニューを、第3のグループには、高カロリーメニューを提供しました。この3つのメニューは、同じ料理(パスタなど)ですが、食材の中の野菜の量でカロリーを調整しました。好きなだけ食べてもらったところ、各グループとも摂取した量は同じでした。このことは、満腹感とカロリーは比例せず、満腹感は食品のボリュームに関係することを示しています。

 以上の結果から、体積が大きくて、カロリーの少ない食品で満腹感が得られることが分かりました。この性質を持つ代表的な食品は果物です。そのため、アメリカ国立生活習慣病予防センター(National Center for Chronic Disease Prevention)などが、無理のないダイエットのために果物の摂取を勧めています。

 健康的にダイエットするためには、無理をしないことが重要なポイントです。果物は低カロリーでかつボリュームが大きいので満腹感が得られます。空腹感に耐えることなく楽しみながらダイエットするのには果物がお勧めです。

【文献】
1) Duncan, K.H. et al.: The effects of high and low energy density diets on satiety,  energy intake, and eating time of obese and nonobese subjects. Am. J. Clin. Nutr. 37:763-767. (1983)

2) Rolls, B.J. et al.,: Increasing the volume of a food by incorporating air affects satiety in men. Am. J. Clin. Nutr. 72: 361-368. (2000)

3) Bell, E.A. et al., Energy density of foods affects energy intake in normal-weight women. Am. J. Clin. Nutr. 67: 412-420. (1998)



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