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果物を食べれば薬のように減量できるとした報告はありませんが、生活習慣病予防について行われた多くの研究は、果物の摂取がダイエットに効果的であることを示しています。今回、その中から栄養指導を行ったヒト介入研究の報告を3つ紹介します。
果物と野菜の摂取量を増やし、脂肪の摂取量を減らすMultiple
Risk Factor Intervention Trial
(MRFIT)と名付けられた栄養指導を受けた人は、血液中の脂質が改善し、血圧が低下し、体重を減らすことができました(文献1)。
報告によれば、栄養指導により果実と野菜の摂取量が1日あたり5サービング以上に増加するとともに、穀類の摂取も増加し、脂肪からのエネルギー摂取量は35%未満に減りました。特に、果物と野菜の摂取量はダイエットと関係しており、体重の減少量の大きかった人は、そうでない人より果物と野菜の摂取量が多いことが分かりました。そして、このことが体重の減量に大きく貢献していました。
肥満体の213人を対象に、果物と野菜を自由に摂取してもらうことや、高複合炭水化物食品と低脂肪食品の摂取を増やすなどの栄養指導を行いました(文献2)。その結果、7カ月後には全参加者の69%となる147人がやせることに成功し、体重が平均で6.3kg減少しました。
さらにその後、平均25カ月の追跡調査(4〜76カ月)を行った結果、53%の人は、減量が続いているか体重を維持しており、平均で8.0kgの体重の減少が観察されました。
両親のうち少なくとも1人が肥満体の親と肥満ではない子供のいる家族を対象に、栄養指導に関するヒト介入試験が行われました(文献3)。参加した家族をランダムに2つのグループに分け、最初に、一般的なダイエットプログラムを両グループの両親に説明したあと、1つのグループには果物と野菜の摂取を奨励しました。
一方、もう一つのグループには高脂肪と高糖度食品の摂取量を減らすように奨励しました。子供たちに対しては両親と同じ食事をすることを目標としましたが摂取カロリーの制限はしませんでした。
そして1年後、果物と野菜の摂取を奨励したグループの両親の体重は、高脂肪・高糖度食品の摂取を制限したグループと比較して統計的に有意に体重の減少が認められました。その上、果物と野菜の摂取を奨励したグループの両親と子供は、高脂肪・高糖度食品の摂取量も少なくなっていることも分かりました。
どの研究も果物と野菜の摂取量を増やすと、摂取カロリーが減少し、ダイエットに結びつくとしています。「食事バランスガイド」では、どのくらい果物と野菜を食べたらよいかを提示しています。
その目標摂取量と現在の摂取量を比べると野菜の摂取量も不足していますが、果物の摂取量は目標値の半分程度と特に少なくなっています。従って、果物の摂取量を意識して増やせばダイエット効果が期待できると科学的データから予測されます。
【文献】 1)
Dolecek, T.A. et al.: Methods of dietary and nutritional assessment and
intervention and other methods in the Multiple Risk Factor Intervention Trial.
Am. J. Clin. Nutr. 65 (suppl 1): 196S-210S. (1997)
2) Fitzwater, S.L. et
al.: Evaluation of long-term weight changes after a multidisciplinary weight
control program. J. Am. Diet Assoc. 91: 421-424. (1991)
3) Epstein, L.H.
et al.: Increasing fruit and vegetable intake and decreasing fat and sugar
intake in families at risk for childhood obesity. Obesity Res. 9: 171-178.
(2001)
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